【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
────星祭神社、社務所内、自室。
「これが今の俺か」
「私の【アナライズ】で見える範囲だから、余り当てにされても困るわ。精々天気予報程度だと思って頂戴」
謙遜しながら渡された紙には、今の俺のステータスが。
★人間 <セッツァー・ギャッビアーニ> Lv43
万能型 物理・魔法耐性 精神状態異常無効 肉体状態異常耐性 時空耐性*1 破魔無効 呪殺無効 火炎弱点
スキル・破魔魔法*2呪殺魔法 *3ディアムリタ*4 清浄の一喝*5 煩悩即菩提*6色即是空*7 タルンダオート 吸血攻撃 ソウルドレイン 単独行動 呪いの大還元 龍の反応 貫通*8 延長強化 食いしばり 不屈の闘志 プレロマ・ブースタ*9
「見辛い!」
「貴方はまだマシな方よ?」
「これぐらいで良いんだが?」
ムラサキの目の前で紙に書き込む。
★人間<セッツァー・ギャッビアーニ>Lv43
強さ・光と闇が混じって最強に見える
「見える、なの?」
「最強はショタオジだからな。見えるだけだ」
というかショタオジを目指して頑張ってるからこその修羅勢な訳で。……やってみてわかる。アイツがどんな地獄を駆け抜け、生きてきたのかを。
「私達にとって最強は貴方よ」
「そうなれる様に頑張るさ──」
「お休みのところ失礼します。セッツァー様、入室しても宜しいでしょうか?」
「良いぞ~」
部屋の外に返事を返すと、障子扉が開かれ、禊が静かに入ってきた。
「突然申し訳御座いません」
「ムラサキ、御茶を」
「畏まりました」
「いえ、用件を伝え次第すぐに出ていきますので。御気遣いに感謝申し上げます」
「んー?」
今の時期にコイツがそこまで忙しくなる様な用件ってあったか?
「お話したいのはガイア連合の皆様の件なのです」
「何か問題を起こしたか?」
「いえいえ!とんでもないです!皆様はここの異界や近隣の異界はもちろん、困っている者達に救いの手を差し伸べて頂いているので助かっております。ただ最近は皆様の人数が少しずつ増加傾向にあり、このままだと御部屋のご用意が……」
「あー……最近はショタオジの試験を突破した奴が増えて来たからなぁ」
初期勢以外にも何人か【二代目モト師匠】を倒し、ショタオジに人格を認められた奴等が星祭へ来ている。今はまだ余裕あるが、このままだと不味い事に変わり無い。
ただ禊は俺らを崇拝し過ぎに思える。最悪、異界で寝泊まりさせれば良いのに。グラ爺が異界在住になるから駄目か。
「近隣の宿泊施設の買収も考えましたが、皆様がここに来る理由をお聞きになると、異界から遠くなるのは余り宜しくないと存じまして……」
「まぁ、そうだな。よし、何とかするか」
「えっと……?」
「あぁ、その件は俺が預かるから放置で良いぞ。鎮守の杜を少しだけ切り開くが許せよ」
「畏まりました」
頭を下げ、禊が退室する。それを見送り、スマホで暇人に集まる様に呼び掛け、部屋の外に出ようとするとムラサキが側に寄ってきた。
「お手伝いは居るかしら?」
「基本的に荷物運びになるぞ?」
「貴方の式神ですもの。構わないわ」
「それじゃ暇な奴等を集めて日曜大工だな」
さて、どんな形にするかな。
◇
「セツニキー、木材足りなくなりそう」
「暇な奴等集めて三層のトレント*10狩り宜しく」
「ういー、暇な奴挙手~」
「うぇーい」
相変わらずの喧騒の中で、器用さの高い俺らが鋸と
俺の役目は全体監督と設計図の作成。ついでに隠蔽術式と拡張術式の付与だ。
「憧れのマイホームは温泉旅館になりそうねぇ」
「建物自体は木組みの宮大工技術、そこにオカルト混じりの科学技術を使った神社旅館とでも言うべき
「終末後にも建てられるのが利点?かな」
「そういやそうか」
誠一郎ニキやクロネキ達と語っていると、サクヤが差し入れを持ってやってきた。
「みなさーん、ご飯ですよ~」
「お、サクヤちゃん直々の差し入れか」
「全国千三百の浅間神社にマウント取れるな」
「それな」
「丁度良いか。全員、キリの良いところで休憩入れー」
『『『うぇ~い』』』
握り飯の乗った御盆を側仕えの巫女と共に持ってきたサクヤが、一人一人に手渡しで配っていく。
「ふぃ~疲れた。お茶がうめぇ」
「霊格の上昇ってすげーよな。俺、元ニートだぞ。なのに木材普通に持ち上げられる」
「元ニート現修羅勢とかある意味では順当に闇落ちしてるよな」
「ニートだった俺はある日両親に売られ、地下コロシアムで死闘を繰り広げる事に!」
「レベル四十近くの地下闘士とか強すぎてコロシアム崩壊しそう」
「むしろ相手も同じぐらいだろ?地下闘技場の運営すげーな」
「草」
円で動かない俺らを動かせるって事は、たぶんマッカか希少素材だろ。つまり──
「運営は闘神系と稲荷系みたいな商才持ち高位悪魔だな。俺らを闘士にするとは……良い目を持ってやがる」
「強くなれば満足だもんね、俺ら」
『『『それな』』』
誠一郎ニキに周囲に居た俺らが納得の声をあげる。実際、闘神とやりあえるなら満足する奴も多そうだし。グラ爺とか秋雨ニキとか。
「そういやセツニキ、闘神や武神、軍神や戦神の差って何?全部一緒?」
「闘神は野性的な強さ、武神は技術的な強さ、軍神は群れの強さ、戦神は最終的な勝利を手に入れられる強さを持っている元人間や悪魔、神の称号みたいなもんだ」
「もっと分かりやすく!」
「闘神は基礎ステが物凄く高い、武神はスキルの数が多い、軍神は全体バフや置物性能がヤバい、戦神は交渉や補給を含む戦術立案の得意な頭脳系」
「つまり?」
「雑兵は闘神や武神を集めて、隊長に軍神置いて、軍のトップに戦神を置くと最強」
「その理論で行くと俺らの大半って雑兵じゃね?」
「だからやる夫ニキや富豪系俺ら、ちひろネキを始めとする事務課が俺らの上に居るんだろ」
『『『やべぇ!納得しかねぇ!!』』』
やる夫ニキは闘神や武神に成りたがってるが、どう考えても軍神か戦神タイプだろ、あの人。
「ちなみに頭ヒャッハーが一番上で、下にも頭ヒャッハーが多いのが私の陣営だよ☆」
「ルキフグスが俺程度をスカウトする
「セツニキは便利だからねぇ。特化型に勝てなくても、何処に置いても役に立つっていうか」
「正に万能型よのぅ」
ベルフェゴールとシエラ婆が納得した様に頷き合う。
「これが望まぬ出世で管理職になる実態だな」
「グラ爺本人も闘神と武神の合の子だけど、俺らが軍神系に成れなさすぎて上に立ってくれてるしなぁ」
「私も含め、後ろで立ってるのが我慢出来ない者達しか居ないからな」
「私も自分で動きたいタイプですねぇ」
俺らの言葉に秋雨ニキとミナミィネキが同意する様に呟く。ほんっとに頭脳筋しか居ないな、俺ら。
いや、そもそも〝ガイア連合〟なんて名前になるぐらいだし、当然なのか?
「ま、俺らの使い方とかお金の運用とか終末対策は頭の良い奴らに任せておけば何とかなるだろ!」
「俺らにはギルニキやちひろネキ*11、探求ネキ*12やカタリナネキ*13が居るからな!」
「他人任せだけど、俺らがそっち方面で役に立つ事は無い!むしろ邪魔になる!」
「力仕事なら幾らでも手伝えるんだけどなー」
「もしくは戦闘」
「私も含めてコイツら役に立たなすぎて笑う」
「お前だって──って言う前に自分も含めてるのは謙虚」
「私も私らだし。というか読書ガチ勢*14にヘルプで呼ばれる分だけ君達より頭脳系よ?」
「その時の役割は?」
「戦闘」
「草」
返答に納得しか無いし、それを理解してる図書館探検隊の奴等は俺らの正しい使い方をしているな。一応、こんな奴等でも【調薬】*15や【霊符作成】*16とか色々持ってる筈なんだが。
俺らの残念さに愕然としていると、伐採組が戻ってきた。丁度良い頃合いなので、戻ってきた彼らを休憩に回し、休んでいた俺らの尻を叩いて再び旅館作りに動き出す。
水回りの整備や電気系統はベルフェゴールとヘルプに来てくれた製造班に任せ、俺はサクヤと共に温泉を
俺はメシアの天使共から
「ここは良い感じ!かも?」
「回りに霊草や霊花を咲かせて回復力は上げるとして……少し旅館から距離があるな。それに見えやすいし、周囲は霊木で覆うか?」
「マッカさえ貰えれば良い感じにやるよ~?」
「頼んだ。取り敢えずサクヤが産み出した檜で風呂を作るか。将来的には石長比売の石材で風呂を作りたいが」
「室内は檜、露天風呂は大理石が良いと思う!」
「完全に温泉旅館だな」
もしくはスーパー銭湯か。フードコートでも作るか?いや、駄目だな。そんな事やりたい俺らが居ない。……思業式神を作って、統率用に擬人式神を作ればいけるか?
でも、温泉旅館のあの落ち着いた雰囲気も好きなんだよな。これは悩ましい。
「もしもーし?セツニキどうしたのー?」
「ちょっと考え事をしてただけだ。取り敢えず掘るから下がってろ」
【テラ】系統の術式を組み込んだ霊符を四方に張って起動。さらに【硬化】と【圧縮】を組み込んだ霊符で
「こんなもんか。そんじゃ任せた」
「はいはーい」
軽い返事と共にサクヤが壁を叩くと、穴の中央から勢い良く温泉が吹き出す。さらにその周囲に霊花が咲き乱れ、周囲を覆う様に霊木が生え育つ。
「どうでしょー?」
「良い感じだな。後はこの源泉から湯を引く為の設備をベルフェゴールに依頼で終わりだ」
「それじゃ戻りますかー」
サクヤと二人で旅館建設予定地へ戻ると、ショタオジが来ていた。こちらをチラリと見ると、軽く片手を上げてそのまま【転移】で消える。何だったんだ?
「あ、セツニキ。指示くれー」
「いや、まずは説明してくれ」
「俺も詳しく分からんから聞いたまま伝えるね?遠征組支援の為に各地の霊能組織に繋がりを作るって幹部会で決まって、まずは霊視ニキが仲良くなったイタコ繋がりで『恐山』からやるらしいんだけど、それなりの難易度だから修羅組から何人か出してってセツニキに伝えて?だ、そうです!」
「その間、
「式神作成や覚醒修行を一旦取り止めて異界に集中するらしいぞ」
そう答えたのは、後ろからやって来た霊視ニキだ。
「おう、久しぶりだな」
「最近はずっと恐山の依頼をやってたからなぁ」
俺個人としては星霊神社の異界へ入れやと思うが、ガイア連合山梨第一支部は趣味サーだからな。文句を言うのはお門違いだ。だからそれなりにお互いの近況を語り合った後、すぐに本題に入る。
「で、何人ぐらい出せる?」
「ショタオジが異界に集中するなら全員でも大丈夫なんだが……」
「だが?」
「こいつら戦闘では物凄く役に立つが、それ以外は本当に使えないぞ?」
具体的に言えば『ガンガンいこうぜ!』しか作戦が無い。
「セツニキひでぇ!」
「でも事実よな」
「補給?敵から掻っ払えば良いんですわ!」
「戦線の維持とか無理。どっちかって言うと一人でも多く道連れにして死ね!って言われた方が強いタイプ」
「あー分かりやすくて良い命令だぁ」
「俺らはミサイルだった……?」
「強ち間違いじゃない」
「草」
無言のまま霊視ニキと見詰め合う。
「コイツラ、戦闘では物凄く役に立つが、それ以外は本当に使えないぞ?それでも大丈夫か?」
「指揮できる人間を貸してください」
綺麗な御辞儀を見せる霊視ニキ。不安になるその気持は良く分かる。
「取り敢えず図書館探検隊の連中にも声掛けておく。連中なら俺らの使い方を理解してるだろうしな。引率は──シエラ婆よろしく」
「承った」
ふんす!と力強く頷いたシエラ婆を見て、霊視ニキが露骨に安堵の溜め息を吐き出した。気持ちは凄く良く分かる。
「セツニキー、準備出来た奴から向かえば良い?」
「先に向かって道中の異界も潰しちまおうぜ」
「地方組織に話通すのダルくない?」
「え?」
「え?」
「無許可でやるつもりだったの?」
「え、うん」
「おいおいお前、そりゃ──不味いか?」
「聞いてみよう。セツニキー、潰して良い?」
「バレないようにやれよ」
『『『うい』』』
「……何時もこうなのか?」
「何時もこうなんだぜ」
頭は悪くないんだがなぁ……。
他の方の作品を読んでると書く時間が無くなるのが辛い。貯金は来年の二日で無くなりますw