【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
そして大晦日なのにグロ注意という。
一旦〝アイツ〟の事は忘れ、異界について思考を巡らせる。レベル二十相当のスピアーをワンパンした存在が居る事は確定。だから次に作る式神は【
とはいえ使い捨ての式神にそんな事したら本体のリソースが減るので、あくまでも自然発生した耐性でゴリ押す。──という訳で。
「アジョット!君に決めた!」
核となる霊符に【雷撃耐性】と【アナライズ】の霊符を重ね、そこに霊力タンク用の霊符を繋いで
ただ、こういうネタ系の式神はメシア教徒が造形に対して勝手に意味を見出だし、かなりの確率で隙が作れるからやらない理由が無い。
戦闘において、特にリスクも無く無条件で隙を生み出せる強さは語るまでもないだろう。
意識をアジョットに繋ぎ、軽く動きを確かめる。着ぐるみの頭だけを被ってる様なバランスの悪さだが、まぁ、ポッポや多数の虫を操作するよりマシだ。
あれは何と言うか〝自分〟を見失いそうになる怖さがあるしな。
◇
異界に突入した直後。すぐ目の前に【天使 ヴァーチャー】の姿があった。
「おや?何とも奇妙な──アジョット?」
……へぇ。
「誰と勘違いしている?私の名は War Fish 。異界を操り、罪無き人々を苦しめている貴様らメシア教徒に正義の鉄槌を下す【妖鬼 アズミ】のデビルシフターだ!」
異界に入ってすぐに居た【ヴァーチャー】に高々と宣言する。嘘吐く時は堂々と吐かないとな。
「それは誤解ですよ。我々メシア教は常に世界の為に働いております」
「ほう?この私が貴様らの悪行に気付いていないと?教会に存在していた人体実験の痕跡はどう説明するつもりだ?」
「さぁ?私は生憎と
組んだ腕を指で叩きながら、少し苛ついた様子の【ヴァーチャー】に対してさらに問い詰める。
「では、問いを変えよう。
ピクリ、と動きが止まり、【ヴァーチャー】が忌々しそうな視線を俺に向けてきた。
虫達の働きによって完成した地図を見た時、最初に感じたのは純粋な疑問だった。
石長比売が封印されていると思われる異界の中心から放射線状に人を並べ、それら全て繋ぎ合わせ、一つにした形状の異界。異界丸々
だが、俺にはそれに何の意味があるのか理解出来なかった。
ただ子供を量産するだけなら人間牧場でもやれば良い。俺が
余りにもおぞましく、素人でも出来るぐらいに簡略化され、合理化された〝
次に思い浮かんだのは〝アイツ〟関連だ。
こう言っちゃなんだが、クトゥルフは基本的にグロい方向に話が進む事が多い。突然家の地下に洞窟が出来て、興味本意で入ったら、実は旧支配者の口で生きたまま溶かされるとか良くある話だ。
しかし目の前の【ヴァーチャー】の動きがそれを否定した。コイツは何か目的を持って、こんな
「……へぇ。魚人風情が僕のやってる事に気付いたんだ?」
「私は貴様らの〝敵〟なのだ。人型になったスライム如きが考える事ぐらい理解出来ない筈が無いだろう?」
嘘だ。狂人の考える事なんざ欠片も理解出来てない。したくも無い。
「困ったな。君を生かして帰す訳には行かなくなったよ」
「それが本性か。やはりメシアは悪だな。四文字も貴様らの様な声すら聞けぬ──」
「魚人風情が主を語るなッ!!」
ゴウッ!と飛んできた【
「僕は他の天使達とは違うッ!主の言葉を自らの良い様に改竄している悪魔と一緒にするなッ!」
「罪無き
「仕方無かったんだよッ!こうしなければ終末後に人は生き残れない!!だから僕がやるしかなかったんだ!!」
空中から乱射する様に放たれる【
「その為に多くの女達の未来を奪ったというのか!!貴様は結局自分の為に動いてるに過ぎない!!神の言葉を都合良く解釈し、自らの罪を四文字に押し付けているだけだ!!」
「だぁぁぁまぁぁぁれぇぇぇぇぇぇ!!」
雄叫びの様な叫びと共に飛んできた【
「その力を何故犠牲となった女達の為に使えない!!犠牲が必要ならまず始めに貴様がなるべきだったのだ!!」
「ガァッ────!?」
身を雷に焼かれながらも【ソウルドレイン】を発動。魂を吸われた経験が無かったのか、地面に墜落した液状天使は踞ったまま動かない。──このまま決めるッ!
『待ってくださいっ!これ以上
突如聞こえた女性の声。この程度で止まる様な生半可な人生を歩んでないが、この時は何故か足を止めてしまった。
「この魚人風情がぁぁぁぁぁぁ!」
「───ちっ」
その隙を突かれ、MAGに還るアジョット。残念ながらここまでの様だな。
◇
「あの声はたぶん石長比売で確定。
糞面倒な事になってるな。異界に同化とか馬鹿じゃねぇの。土地神にでも成ったつもりか?
苛立ちと共に煙草に火を着けると、スマホに着信があった。
『セツニキ、生きてる?』
『生きてるぞ。取り敢えずはな』
開口一番、俺の身を案じるショタオジの声を聞いて、苛立ちを煙と共に吐き出す。まずは現状報告だ。
『ここの異界、〝メシア落ち〟した
『何時かは起こると思ってたけど、まさかこんな時に〝ハズレ〟を引くとはね。セツニキ、厄落としした方が良いんじゃない?』
『石長比売の分霊が大当たりの気配してるからトントンなんだよな。〝人間を呪った〟方じゃなくて後の女の為に留まった方の側面が降りてるっぽい』
『俺的にはセツニキと比べたら〝大ハズレ〟なんだけど?』
『諦めないからか?』
『うん』
煙を空に吐き出しながら次の言葉を考えていると、先にショタオジの方が口を開いた。
『俺が動いても良いよ?色々問題が起こるかも知れないけど、セツニキを失うよりマシだし』
『それだけは駄目だ。お前が動く様な案件じゃないし、俺が死んだとしても動くなよ』
終末のトリガーが何なのか未だに不明だが、だからこそ〝この程度〟の案件でショタオジに動いて欲しくない。まだ伏せ札を〝敵〟に教える必要は無いのだ。
『ならさ~生きて帰って来てよ?まだクソゲーすら一緒に遊べてないんだけど?』
『出来ない約束はしない主義だから口にはしないがな。出来るだけ頑張ってみるさ』
『普通は約束する場面じゃない?』
『死亡フラグを立てるつもりは無いぞ?』
『あーそれもそうだね』
その後、少しだけ会話して電話を切る。さて、灰色の脳細胞を酷使する時が来たな。
良いお年を!