【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
この話を書くために色んな神話を調べたりしてるんですが、お前らに一言言いたい。
せめて権能ぐらいは統一しろよ!!
「僕が……異端者だと……?」
「信徒ってのはな。神の言葉をそのまま受け取り、慎みを持って戒律を守る奴等の事を言うんだよ。断じて都合良く受け取っているお前みたいな過激派や糞天使共は違う」
俺達一族は神道に関わる者達にとって異端者だ。何せ神話を改竄しようとしている一族なのだから。
だから一族の誰もが異端者という事を自覚しているし、言われても大人しく受け入れる覚悟がある。
──だが、コイツらは違う。
「私の他に神があってはならない。これは他の神の存在を認めるな、では無く、四文字以外の神の信仰を認めないという事だ。あなたの神、主の名をみだりに唱えてはいけない。当然だな。本当の信徒なら自身の心の中だけで神の名を呼べば良い。主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。神の記念日なんだ。信徒なら祝っても可笑しく無いだろう」
ここまでは神に対して守るべき戒め。
「あなたの父母を敬え。産んでくれた両親、育ててくれた両親への感謝。普通の家庭なら言われるまでも無く当然の事だ。殺してはならない。語るまでも無い。姦淫してはならない。昔から色に溺れた者の末路は決まっているしな。盗んではならない。他人の物が欲しいなら対価を出せというだけの話だ。隣人に関して偽証してはならない。この隣人は他人を示している。つまり、他人に嘘を吐くなという事だぞ?隣人の妻を欲してはならない。浮気は他所様の家庭を壊す行為だからな。そら禁止する。隣人の財産を欲してはならない。これには諸説あるが、他家の財産を自分の物と思うなというごく当たり前の話だな」
これらは〝
「主以外の神を信仰していない。神の名をみだりに唱えてない。主の日を心にとどめ、聖とする。俺にはわからんが守ってるのだろうな。──だけどな?」
ここで一旦言葉を区切り、溜め息を吐き出す。なんで神道者の俺がキリスト教徒に説教してるんだよ。可笑しいだろ。本来ならお前らが俺にやるべき事なのに。
「あなたの父母を敬え。お前は両親に誇れる生き方をしているか?殺してはならない。お前は今まで何人殺してきた?姦淫してはならない。これは色に溺れるだけじゃない。育てる能力の無い人間が子供が産まれる行為を快楽の為にする事を禁止する為でもあるんだよ。盗んではならない。隣人の妻を欲してはならない。隣人の財産を欲してはならない。お前は他人の妻を奪い、無形も含む様々な財産を奪い、幸せな未来や家庭を盗んだ果てにこんな糞みたいな事をしている訳だが、それでもお前は四文字の戒律を守ってると言えるのか?」
「と、当然だ!貴様は異教徒なんだ!それは貴様独自の解釈だろう!?だから──」
「馬鹿野郎が。俺に布教した奴は後に
宗教家という物は面白く、普通に他所様の宗教の良いところを学び、自身の神が関係する神話から解釈によって取り入れる事に前向きだったりする。
これは神話の改竄では無い。時代の経過と共に合わなくなった戒律を変えていく為だ。
もちろんそれをする事すら傲っている、神の言葉はそのまま受け入れるべきという派閥も出来る訳で、それが保守派や改革派となって組織内で別れる結果となる。
彼らに共通しているのは、主の言葉を私欲の為に変えようとしている訳では無く、主の教えを世に残すために一人一人が敬虔な信徒として〝信念〟を持っている事だ。
主の教えは素晴らしい。だから安易に改編するのでは無く、我々が努力してその素晴らしさを伝えれば良い。
主の教えは素晴らしい。だが今の時代には合わない。折れる所は折れて、主の教えを広く受け入れて貰う方が先だ。
素晴らしいな!なんて健全な宗教活動だ!……で。
「なぁ、異端者。キリスト教の名を借りて、四文字に罪を押し付け、本来の信徒の正道に戻ろうともしない外道よ。お前は敬虔なキリスト教徒である彼ら、彼女らに何をした?」
最も近くに居る
「見ろよ。この無限に繰り返される痛みに耐える苦悶の表情を」
「……めろ」
「死ぬに死ねず、魂すら固定され、永劫の苦しみを味わい続けてる彼女を見て、お前はそれでも主の言葉通り隣人を愛していると、
「ヤメロォォォォォォ────!!」
絶叫と共に放たれた【マハジオダイン】が無差別に周囲の人間達に襲い掛かる。もはや感情の暴発とも呼べる制御の〝せ〟の字も無い魔法だが──もたらした被害は石長比売の権能によって無効化され、異界は何事も無かったかの様に静けさを取り戻す。
そんな異界に響き渡ったのは悲痛な叫びだ。
「仕方ないじゃないか!この世界はロクな結末が来ない女神転生の世界なんだぞ!?生きたいと望んで何が悪い!僕は間違った事をしていない!〝救世主〟が来なければ人類は滅亡するんだ!その為の犠牲!その為に僕は手を汚してきた!世界の為に生きてきた僕は間違ってない!間違ってるのは僕の邪魔をする君の方だ!」
押さえ込んできた感情を吐き出す〝転生者〟の声を黙って聞く。コイツはショタオジに会えなかった俺だ。──何て馬鹿な事は言わない。
「で?」
「…………は?」
「いや、だから何だ?」
一族で知識を継いできたからこそ断言出来るが、終末対策は本来なら世界中の霊能関係者が手を取り合うべき案件だ。
ショタオジならともかく、それ以外の霊能者が
キリスト教の人数を考えれば単独組織でワンチャン行けたかも知れないが、天使という名の悪魔を呼んだ時点で詰んでいた。そしてその
「別に必死こいて世界を救うつもりだったお前の志は否定しねぇよ?絶対に失敗するとは思ってるがな。俺が言いたいのは、その為に犯した罪は自分で背負えって話だぞ」
メシア教を名乗りながら、キリスト教徒の振りをするから話がややこしくなる。
「お前らメシア教徒や天使達は四文字を別に信じていないし、崇めてもいない。お前らメシア教が崇めているのは名前の通り〝救世主〟だろ?それを認めろよ異端者」
「ぁ……ぁ……」
「聖母マリアが信徒の罪を許すシンボルとなった時、キリスト教会は割れたそうだな?最終的に神の子を産んだ事でキリスト教に組み込まれたが、当時は四文字を崇めていない事から別の主を持ったとしてキリスト教を破門、マリア教を名乗るべきだと言われたそうだ。何かに似ていると思わないか?」
「違う……僕は……〝私〟は……!」
「お前も、お前と同化している天使も。本当にキリスト教徒なのか?四文字を信じているのか?自身に救いを与えてくれるなら誰でも良いんじゃないのか?
その言葉が〝止め〟になった。
「ァァ……あああああガァァァァァィィィィ!?」
ボコボコと肥大していく身体。グチャグチャと撒き散らされる肉片。人間と
その隙に一族の秘術に存在していた【縁切り*1】を行う。〝保護した魂〟と融合体との〝縁〟を切り、鳥型式神に回収する様に指示を出す。
ついでに拍手と共に【常世の祈り】を発動。対象は──
どれだけ異形になろうが、どれだけ肥大化してようが。
結局のところ肉体が生きてるなら【状態異常】だ。魂を肉体と繋ぎ合わせる【
諦めて魂の回収だけ済まして【呪怨刀】を構える。
「■■■■■ォォ──!」
「──っぶねぇ!」
振り下ろされた腕を避けると、避けた筈の腕からさらに腕が生え、俺の元へ迫る。それを何とか切り落とすと、今度は分かたれた肉片からもこちらに向かって腕が伸びてくる。
こんなグロテスクなハナハナの実*2は辞めろ。美人になって出直せ。
さらに厄介な事に本体の腕に生えた〝口〟が切り落とされた腕を喰らうと、再び肉体の一部に戻った。【物理無効】の手応えは無いが、実質【物理無効】の様なもんらしい。
取り敢えず牽制も兼ねて
「■■■■■ッ!?」
あるような無いような。膨大なHPのレイドボスをソロで削ってる気分になるな。
手を変え品を変え、耐性把握の為に様々な攻撃を試したが、結局のところ大きくなった【ヴァーチャー】という事が分かった。
つまり【呪殺】だ。【衝撃】は無理なので。
漸くメガテンらしくなってきたな、と思いながら呪符を大量展開。そしていざ射出するという時に──
「【マカラカーン】」
知らぬ間に顔だけの姿で【ヴァーチャー】の胸に張り付いていた〝転生者〟の口が開き、出来れば聞き間違えであって欲しい魔法の名が聞こえた。
メガテン世界だと分霊が違うで終わるんですが、現実はメガテン世界じゃないので統一してください。
キリスト教すら解釈複数あってメシア教が許された理由を身を持って知ったという。