【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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『マヨヒガ』其の参

 

 

 LILINでは無く通話でショタオジと連絡を取り、面会のアポを取る。その日程に合わせて一時的に山梨へ帰宅。そのまま星霊神社へ向かう。双子ニキ(弟)には愛宕ネキのヘルプとメシア教の秘匿拠点を探って貰っている。

 

 

「ほい、これ岩手のお土産な」

 

「お~ありがと。ちなみに中身は?」

 

「奥州初恋りんご。ネタに走ろうか迷ったが、時間的に探す余裕が無くてな」

 

「普通ならネタは止めろって言うのかも知れないけどさ。前世も今世もゆっくり旅できる様な環境じゃなかったから、実はみんなが持ってきてくれるお土産ってどんな物でも嬉しかったりするんだよね」

 

「俺達も育ってきたし、支部の結界張りに行くついでにプチ旅行でもすりゃ良いだろ。それぐらいの時間なら俺らでも稼げるしな」

 

 

 最悪、イワナガの力を借りて中層を封鎖しても良い。深層や下層クラスは無理だが、そっちはガイア連合のトップ勢を呼べば何とかなるだろ。

 

 

「それが切っ掛けで終末が来るかもよ?」

 

「お前だってガイア連合の一員なんだ。好きに生きる権利ぐらいあるだろ。それにその程度で終末が来るならそもそも誰にもどうしようも出来無いって諦めるべきだ」

 

「……そうだね。考えておくよ」

 

 

 頃合いを見計らっていたのか、ネコマタがお茶を持ってやって来た。お盆の上には初恋りんごが載っている。

 

 取り敢えず一旦話を切り上げ、雑談しながらお茶と初恋りんごを楽しむ。その合間合間に『マヨヒガ』の報告を上げて組織の(トップ)からの判断を待つ。

 

 

「現地に行ったセツニキ的にはどうなの?」

 

「それはどっちの意味で?」

 

「両方」

 

 

 ん~そうだな。

 

 

「ガイア連合としてやる価値はあるぞ。メシア教云々では無く、岩手は金鉱山があったからな。金山姉弟を解放するだけで玉山金山でゴールドラッシュを引き起こせる」

 

 

 イワナガとサクヤが山を作り、カナヤマ姉弟が鉱物を補填する。無限ループが始まっちまったな。マッカは掛かるが。

 

 

「でもそれって異界から分霊解放しなきゃ駄目だよね。何処をやるつもり?」

 

「宮城の黄金山(こがねやま)神社だな。岐阜の方は金山毘売神(かなやまひめのかみ)だけが祀神だった筈だし、東北と距離あるから〝信仰心〟の問題で岩手の鉱山管理出来ないだろ」

 

「成る程ね。……で、本音は?」

 

「マッカの製造、悪魔に頼る必要無くないか?」

 

「…………!」

 

 

 世界広しと言えども、ショタオジに驚愕顔させたのは俺ぐらいだろうな。

 

 

「金を基本としてMAGで構成されているし、製造術式も錬金術の黄金錬成系統だろ、アレ」

 

「ただ偽造するのでは無く、()()()()()()()()()()()()()()()、貨幣の持つ価値は変わらないって事?」

 

「ルキフグス的にも世界の主要貨幣にマッカが位置付けられる事に文句無いだろうしな。もしかしたら正規の製造方法を教えてくれる可能性もあるぞ」

 

 

 〝(カネ)〟は人間が最も信仰心を捧げる物だ。その恩恵を広く受けられるのだから、ルキフグスに文句がある筈が無い。

 

 

「……うん。たぶん行けると思う。交渉次第だけど正規の製造方法を教えてくれる可能性はかなり高いと思うよ。〝信仰心〟で強化されたルキフグスが襲ってくる可能性とか色々問題はあるけど、凄く惹かれる案だし、東北支部に金を注ぎ込む理由になるね」

 

「あ、それなんだが表向きは星霊神社から持ち出しって事で、星祭の死蔵マッカでやろうと思う。マッカの製造権利さえ手に入れば、終末に向けて量を確保しておく意味も無くなるしな」

 

 

 本人(?)達は気付いてないし、認めないだろうが、ルキフグス達がやろうとしている事は四文字と似ている。

 

 何もせずとも〝信仰心〟を稼げる状態に持っていく事を目的としているというか。その為のマッカ製造だろうし、交渉の余地はかなりあると踏んでいる。

 

 

「あのさ、セツニキ。この案って何時から考えてたの?」

 

「ここ最近だな。というか山梨だけなら星祭だけで何とかなったが、流石に日本全国を星祭だけの資金じゃ支えられねぇよ」

 

 

 終末後、主要貨幣になるのはマッカで確定。だからこそ人間の生存領域分ぐらいは確保するつもりで動いていたんだが……流石に日本全国となると無理だ。

 

 ちなみに最初の予定では山梨の金山を利用するつもりだった。歴史に残ってる以上、例え本当は無くても〝概念〟が金を生み出してくれる。武田信玄様々だぜ。

 

 

「組織が拡大方針を取った以上、対応するしか無いからな。それに『マヨヒガ』にガイア連合の資金を使いたくないから今回の話を持ってきたって訳だ」

 

「前の方は分かるけど後ろの方はどういう意味?そんなに厄介なの?」

 

「失敗すればS案件が確定してるんだが『マヨヒガ』は─────────なんだよ」

 

「へっ?え、マジ?」

 

「マジだ。だからこそくそみそニキは俺を指名したんだと思う。上手くやらないと酷い事になるしな」

 

「あ~その条件だとセツニキが一番適切になるのか」

 

 

 納得した様なのでちひろネキを呼んで貰い、これからの事を打ち合わせる。ついでに式神達をこっちで使う事を伝え、許可を貰う。

 

 ルキフグスとの交渉についてはショタオジに任せた。俺だとそもそもルキフグスの本霊の前には立てんしな。

 

 

 

 

 その日の内に岩手へとんぼ返りして、今度は愛宕ネキとの話し合い。とは言ってもやる事は少ない。やってくる修羅勢の宿の手配と『マヨヒガ』の情報封鎖と『ガイアカレー』を始めとするガイア連合産回復アイテムの手配だけだ。やる事一杯だな。

 

 そちらは支部長の仕事なので、俺は双子ニキから情報を貰い、床机の上に広げた地図に記されたメシアの秘匿拠点候補地に丸を付けていく。

 

 

「見た印象はどうだった?」

 

「大半は他の拠点と大差無し。一部は分かりやすいぐらい厳重だったな」

 

「何処だ?」

 

「此処と此処だ。後ここはたぶん火之迦具土神の高位分霊が封印されてるぞ」

 

「根拠は?」

 

「異界がほぼマグマで道が無い。なのに一神教系の建物が見えた」

 

「確定だな」

 

 

 双子ニキからの情報を元に重要拠点と思われる場所に赤ペンで丸を付ける。火之迦具土神の所は──星でも書いておくか。

 

 

「アンタ達、何時もこんな事やってるの?」

 

「何時もはやってないな。セツニキが出張る案件は基本的にS案件になるから慣れただけだ」

 

「双子ニキ、S案件じゃ伝わらないと思うぞ」

 

「あーこれ修羅板用語か。ショタオジ案件な」

 

「『マヨヒガ』そんなに不味い事になってるの……?」

 

「隠しても仕方ないから正直に言うが、かなり不味い事になってるぞ。『マヨヒガ』の伝承については?」

 

「神社に生まれてから神話や伝承を調べる様にしてたし、たぶん詳しい方だと思う」

 

「それなら詳細は省く。あれは()()()からの贈り物を人が持ち帰って幸せになるというのが前提にあり、メシア教が()()()()()()()()()()()()()()()()()()。つまり『マヨヒガ』に迷い込める霊的素質の高い人間にメシア教がマーキングして回収出来る様にしてるんだよ」

 

「えっ!?そんなの可笑しくないっ!?だって四文字は全知全能の神じゃ──」

 

「あの鳩、元々は〝山の神〟なんだ。知らない奴も多いがな」

 

 

 全知全能の神を崇めているクセに山の神として利用する事を躊躇わないのが本当にメシアだよな。山の神で括ると全知全能がどっか行くから余計酷い事になってるし。

 

 

「で、そんな状態にも関わらず、実力者が何度も突入する事が出来ない〝伝承〟があるから攻略が進まない。なのに大型異界に分類される広さがあって個人ではキツイ。やり方を間違えたらショタオジが消し飛ばすしか無くなるのも分かるだろ?」

 

「……御免なさい。もっと簡単に考えてたわ」

 

「支部長になるなら異界討伐した後の事も考えておけよ。小さいうちに定期的に壊すか、今回みたいに俺達を集められる伝を作るか。どちらかが出来ないと東北支部はキツイぞ」

 

「ええ。仲間と話し合ってちゃんと方法を用意しておきます」

 

 

 ま、本来なら根願寺の仕事なんだが。今回はその代わりとして金山をガイア連合で貰うから文句無いが。

 

 鉱脈が残ってる場合は高いが、殆ど枯れていて不良債権化している鉱山跡地の価格は安い。但し、鉱害や天災によって被害が出た場合、面倒な事になる。

 

 そこらへんの問題もショタオジの地脈管理の管轄に入れちまえば防げるし、サクヤを派遣して管理して貰っても良い。

 

 オカルトはリスクを減らして土地投資出来るから最高だぜ。

 

 

「さて、まずは前段作戦だな。取り敢えず山梨から三十人ぐらい雇って、俺の弟子達とセットで山中に放流。運良く『マヨヒガ』に投げ込めたら弟子達に式神を飛ばして貰って、内部情報を抜きつつ適当な物を奪って離脱して貰う」

 

「メシアが粉かけてきたらうちの組のもんに何してくれとんじゃ!!で強襲か。分かりやすくて良い作戦だな」

 

「待って頂戴。岩手支部に修羅勢三十人も雇えるマッカなんて無いわよ?」

 

「そこは星霊神社で一旦持つから問題無い。その為の交渉はショタオジとしたし、無利子の借金にしてくれるらしいから安心しな」

 

「……返済が滞ったら?」

 

「事情があるならこっちも配慮するが、無計画の浪費や踏み倒しの兆候があったら……」

 

「……………………あったら?」

 

 

 ごくり、と喉を鳴らす愛宕ネキに近付き、綺麗な頬を優しく撫でる。

 

 

「ミナミィネキがな。悪魔しょうかんを建てたんだが、やっぱり人間の方が良いって俺達も多いんだよな。自分より恵まれた境遇の〝転生者〟を好きにしたいって俺達も居るし」

 

「ひっ」

 

 

 大きな胸を抱いて後ろに下がる愛宕ネキに優しく微笑み掛ける。

 

 

「やり過ぎるとショタオジに『めっ』てされるから、アブノーマルな事はさせないから安心してくれ」

 

「ぜ、絶対返します!絶対!」

 

「そっか。それなら安心だな」

 

 

 まぁ、本気でそんな事をやろうとは思わないが。ガイア連合はそもそも支部長になってくれる人間が居ないから外部の管理者を招く事になったんだし。

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