【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
探求ネキとか色んな修羅勢召喚するつもりだったけど、みんな各自で支部作ったりしてて参加出来ないという
「いやーメシア教は強敵でしたね」
前段作戦は上手く行った。一番大変だったのが秘匿拠点以外のメシア拠点にも襲撃仕掛けようとした霊視ニキを抑える事だった辺り、察して欲しい。
「貴様らに魅せてやろう!主の力の一端を!」
「な、なんだと……!」
「放たれる【牙折り】!必殺の【白龍撃】!」
「見てから【受け流し】余裕でした」
「あの時のガッカリ感やばかったよな。『マヨヒガ』が面倒なだけあってもっと大物が出てくると思ってたし」
「秘匿拠点も牧場なだけだったしなぁ……」
「被害者は記憶処理して岩手支部で引き受けるんだっけ?」
「その予定だった筈。覚醒してるからこのままだと悪魔の餌だし」
俺達の会話を聞きながら弟子達の調べてくれた情報に目を通す。やはり面倒な事になっているらしく、日本では馴染みの無い一神教がベースとなったギミックが多いらしい。
これは図書館探検隊も呼ばないと無理か……?
「セツニキ、ちょっと時間良いか?」
「ん?どうした霊視ニキ」
「前段作戦も終わったし、帰る前に挨拶しようかとな」
「律儀だな」
別にLILINに一言だけでも良かったんだが。
「ま、今度はこちらがヘルプを頼むかも知れないしな。親しき仲にも礼儀ありだろ」
「そうだな。あ、土産を用意してあるから受け取ってから帰れよ」
「そんな事まで手配していたのか?」
「こういう機会にアピールして行かないと知って貰う事すら無いからな。怠ると過疎化まで一直線だぞ」
ちなみにネット注文も可能だ。支払いも円以外にマッカも対応してる。支払う奴が居るかは不明だが。
「俺もこういう事を考えるべきか……?」
「『恐山』自体がブランドだからなぁ……やり過ぎるとイメージを損なう可能性もあるから加減が難しいな」
「嫁と相談するか……」
「それが良いと思うぞ」
もう完全に『恐山』の一員だな。まぁ、向こうもガイア連合に一蓮托生レベルで投資してくれてるから文句も言えないが。
去っていく霊視ニキを見送り、再び資料を読み込む。戦闘自体は問題無かった様だ。問題なのは滞在期間が三日しか無いって事か。
余り雇いすぎると愛宕ネキの貞操が危険で危ない事になるし、悩ましいな。
「んー……どうするかな」
「ナナシ。何を悩んでいるの?」
御茶を運んできたのはセリスだ。その後ろにはレティも居る。
「『マヨヒガ』の攻略自体は出来るんだが、試算すると費用が凄まじくてな。岩手支部が借金スタートになりそうで少し悩んでる」
「流石にタダでやらせる訳にはいかないものね」
「腐っても大型異界だからな」
修羅勢にとっては雑魚だが、普通の俺達にとっては格上のレベル帯なのも嫌らしい。岩手の俺達で戦力に数えられるのは一部だけだし、無料で使える手駒が無さすぎる。
「取り敢えず悩んでいても仕方ないですし、私とセリスの二人で行ってきましょうか?一神教の知識ならそれなりに持ってますし」
「三日しか滞在出来ないが、切れる札を大事に取っておいても仕方ないか。頼めるか?」
「「了解」」
三日分の食料と攻略済みの場所まで描かれて地図を渡す。ムラサキ達も投げ込めれば楽なんだが、どうやら異界の探知に成功してしまったらしく、双子ニキと同じく突入権利を失っていた。
待機中のムラサキ達の元へ行き、何処かの山中に飛ばされたセリス達と入れ替わる様に愛宕ネキがやって来た。
「セツニキ、本命の作戦の方はどう?」
「愛宕ネキの貞操って幾らで売れるかな」
凄まじい速度で胸を抱いたまま後退る愛宕ネキ。反応が良いな。
「冗談だ。そうならない様に考えてるよ」
「心臓に悪い冗談は止めて頂戴」
「冗談ではあるが、真面目に資金不足なんだよな。正確に言えば金はあるが、岩手支部がやばくなる」
試算した紙を愛宕ネキに渡すと、すぐに顔が青くなった。
「さ、流石にこの額は厳しいわよ……?」
「分かってる。だから悩んでるんだよ」
月単位で修羅勢を雇うとなると、かなりの額になる。さらに異界に潜れない間の補填も必要だ。
俺が肩代わりしても良いんだが、問題を抱えてる支部はここだけじゃ無いし、その度に知らない俺達に
「岩手支部の皆は使えないの?」
「敵のレベルはこんなもんだ」
【アナライズ】で抜いた情報の書かれた紙を渡すと、今度は眉間に皺が寄った。
「……無理ね。このレベルを相手出来るのって私を含めても十人居ないわ」
「だろうな。本当に嫌らしい異界だよ」
普通に突入出来るなら費用も抑えられるが、それも無理。何より厳しいのが……
「天使が美味く無いのがキツイ。岩下の蟻ぐらい沢山居るのに」
これに尽きる。これが御霊だったら、むしろ参加費を徴収出来るんだが。
「詳しく知らないんだけど、天使の素材って何が作れるの?」
「主に回復薬や【破魔】系のアイテムなんだが、加工が面倒な割に効果は他の奴と大差無いんだよ。しかも天使由来の『スキルカード』は俺達にも人気無い*1からさらに売れないという」
「普通のファンタジーなら人気なのに……」
「
ミナミィネキに売るにしても、流石に千を越える数は要らんだろうし、何より本人が捕まえに行ける。
わざわざ大量注文はしないだろう。開店したばかりだから費用も抑えたいだろうし。
「岩手支部にも製造班は居るし、何か俺達にも売れる物を作らせてみる?」
「『マヨヒガ』攻略したらたぶん元の山の神の異界に戻るんだよな。そしたら天使は居なくなるから……」
「無駄な努力になる訳ね」
重い溜め息を吐いた愛宕ネキに頷く。
「普通の『マヨヒガ』の方なら売り物は一杯あるんだよ。山系の異界は霊草やら霊木やら果実やら利用価値のある物が多いし、伝承通りなら霊力やマッカを消費して食料を増やせるアイテムが取れると思う。定期的に攻略さえすれば、突入権にリセット掛かるから人手不足にもなりづらいだろう」
「つまり、現状さえ越えれば何とかなると」
「その現状がメシア教のせいで糞になってる訳だが」
「ふぁきゅーめしあ」
可愛らしく言っても殺意を隠せてないのが笑う。目が笑ってないぞ。
◇
岩手支部に居ても仕方ないので、一旦解散して山梨に帰還。セリスとレティのお陰で異界の中盤まで攻略出来た。ここから先は修羅勢と図書館探検隊の力を借りなければ厳しいだろう。
だがその為の費用を安くする為の方法が思い浮かばない。いや、今までの積み重ねから無料で依頼を受けてくれる奴はたくさん居る。けれど、それに甘えるのはこれから先の事を考えると良くないんだよなぁ。
「って訳で、何か良い案無いか?ベルフェゴール」
たぶん本殿で一番〝今〟をエンジョイしてる奴を見掛けたので食堂まで引っ張り、珈琲片手に雑談開始。
「いきなりだね?セツニキ」
「仕方ないだろ?マジで案が思い浮かばないんだから」
「とは言っても君の事だ。本当に無い訳では無いのだろう?」
鋭いな。とは言ってもこれはなぁ……。
「一応、長期的に見れば効果の出る案は用意してる。ショタオジに交渉を頼む必要こそあるが、ルキフグスやそっちの陣営が気に入りそうな案がな」
「ふーん?ちなみに聞いても?」
「構わないぞ。これは試案だが、悪魔向けサービスの大幅アップデートに加えて天使限定の
「それだけだと僕らに利益無くない?」
「これの肝はあくまでも〝貸し出し〟って所だな。〝無料〟じゃないから好きな時にルキフグスが〝貸し剥がし*2〟出来るんだ」
「……成る程。高位天使が引っ掛かれば契約で弱体化出来るし、数だけは多い雑魚共をスライムにしてやるのも悪くないね」
「人間はそこらへんを法律で縛るが、悪魔には関係無いからな」
「天使達は人間を導かなければ行けない存在として見下してるからね。たぶん無利子貸し出しの意味にすら気付かないと思うよ」
「俺もそう思う」
この案の面白い所は、天国の奥地に引っ込んでいる正しい意味での四文字の信徒には効果が無いところだ。
俺の提供しているサービスを利用する必要が無いから、引っ掛かる事が無い。
引っ掛かるのは教えを好き勝手解釈してる現界した天使、もしくは送り込んだ分霊から情報を知って興味を持った天使のみ。
つまり、欲に溺れた悪魔だけだ。
「今本霊から連絡来たんだけど、ルキフグスは
「マジか。こっちも
スマホから悪魔向けサービスを扱っている部門の責任者に指示を飛ばす。元々何時かやろうと思っていたから準備だけはしておいたんだよな。
「まぁ、『マヨヒガ』攻略には役に立たないんだが」
長期的に見れば、対メシアで他の神話同士が手を組みやすくなるぐらいの効果はあると思う。
「それなんだけど、セツニキは〝ミダス王の呪い〟って知ってる?」
「触れると黄金になる呪いの奴だろ──って成る程。本霊には礼を言っておいてくれ」
「あいあい。ついでにこれもあげるよ」
投げ渡された紙を指で挟み、そのまま目を通す。
「これ貰って良いのか?てっきり交渉中だと思ったんだが」
「術式の難易度的に行える人間は少ないからね。マッカを広める目的にも合致するし、ルキフグスの許可もあるから気にせずどうぞ」
「助かる」
席を立ち、会計を済ませる。さて、これからは忙しくなるぞ。まずはエドニキの元へ行かないとな。
◇
ちなみにマヨヒガの話は拾まであります。後日談を含めると+2くらい。
読者様が不安になってきたら作者はとても嬉しい。