【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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公表されてる総合デパート(イオン)の建築費は約87億+隣接地購入購入費用約53億で約140億。

地方は土地が安い、東京は土地が高いとか様々な要素を省いて単純に×19支部分で2660億。

これを数年で完済して黒字に戻したのがガイア連合であり、富豪俺達です。なので、支部は最低でも140億以上、またはそれに匹敵する価値があると示さなければ、終末後に切り捨てられる危険がある訳ですね。(ショタオジの甘さは除く)

純利益2660億は日産やパナソニックと同じレベルなんですが、実際はもっと利益を上げてると考えると、ガイア連合の富豪俺達の凄さが良く分かる。

そして建設開始のこの頃に大異界攻略出来る資金的な余裕なんてねぇよ!!って訳で主人公があの手この手で攻略費を下げる為に頑張ってます。


『マヨヒガ』其の陸

 

 

 取り敢えずショタオジに連絡を入れ、三日後に面会を取り付ける。それまでの間に雛形を作りたいところだが……

 

 

「C班!セメントの配合割り出しは終わったか!?」

 

「それは終わったけど鉄骨素材との相性が──」

 

「この際、鉄骨に使う鉄もイワナガ製で──」

 

「いっそ纏めてやって貰った方が──」

 

「価格が青天井になる──」

 

「上から連絡来たんだけど支部の数が増──」

 

 

『『『あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!!』』』

 

 

 地獄絵図だな。大人しく帰ろう。

 

 踵を返して部屋を出る。が、足が動かない。

 

 

「やぁ、セツニキ。今日は良い天気だね手伝って」

 

「せめてもうちょい会話する努力しようぜ?」

 

「そんな時間無いんだよぉぉぉ!!」

 

 

 顔見知りの古参製造班に連れられて案内された席に座る。問題になってるのは──霊的相性か。

 

 

「セメントと霊的素材の配合比率の割り出しまでは終わったんだけどさ。今度は土地と相性悪かったり、市販の鉄じゃ霊的保護に耐えられなかったりで現状になっております」

 

「土地に関して言えば、イワナガ主導で地鎮祭すれば問題無くなるぞ。後は銅鐸を埋めるのもオススメだ」

 

「銅鐸?」

 

「鳥は祖の霊、鹿は恵みの化身。それを大地を揺らさない〝重り〟として、〝豊穣〟の祈りを託す先として銅鐸に描き、埋める。そして恵みに感謝する時に掘り出し、また埋める。地鎮祭の思想の雛形*1になった日本古来からある独自文化だ。歴史的には縄文時代から弥生時代後期、つまり卑弥呼が居た時代の前からあるんだが、何故か古事記や日本書紀には登場しない*2し、出土した銅鐸を宝鐸と呼び、祭ってる場所もあるぐらい何の為に埋めたか分かってない歴史あるアイテムだぞ」

 

「セツニキ的には何だと思ってるの?」

 

「災害大国なのは今も昔も変わらないからな。当時の最先端技術で作られた物を土に埋めるって事は、大地を何とかしたいって意思の現れだ。つまり本命地震、次点で豊穣、大穴で死者への祈りだろう」

 

 

 天災や飢えへの畏れは今と比べ物になる筈も無く、何とかしようと努力した事は間違いない。

 

 死者の弔い方の移り変わりもその一つ。疫病を〝呪い〟と捉えたのなら、それを畏れ、神に祈るのは当然だろう。

 

 だからこそ土葬にも歴史があり、胎児の様に手足を折り曲げたまま埋め、再び生まれる事を祈る屈葬(くっそう)、石を持たせて死者が甦らない様に埋める抱石葬(だきいしそう)、全身を伸ばし、楽にした状態で埋める伸展葬(しんてんそう)の順に進み、弥生時代が始まる頃には木製の棺文化もあった。

 

 死者への祈りと畏れは何時まで経っても変わらない。それを教えてくれると同時に、太古の昔から地震を何とかしようとした先人の苦労を教えてくれるのが銅鐸だ。

 

 

「話の流れ的に一度途切れちゃってるよね?それでも効果あるん?」

 

「日本人の祖が行っていた祭だからな。外国人がやったら微妙かも知れないが、日本人がやればちゃんと効果出るぞ」

 

 

 祭に作法なんて本来必要ない。大切なのは祖に感謝し、大地に感謝し、傲らずに祈る事だけだ。

 

 

「ほうほう。作法というか儀式?としては鳥や鹿を描いた銅鐸を埋めれば良いだけ?」

 

「そう。そして豊穣に感謝する祭──豊穣祭の時に取り出して、終わった後に埋め直せば良いだけだ。年一でやれば充分だと思うぞ」

 

「建てるのジュネスなんだよなぁぁぁ!!」

 

「デパートで豊穣祭とか無理よな」

 

 

 だからこそ儀式は変異して、今の地鎮祭の様な形になった訳で。

 

 

「他に何か無い?出来ればジュネスで出来る奴」

 

「石長比売産の物は基本的に大地の物と親和性が高くなる傾向にある。そこで霊的な繋ぎとして〝長寿〟や〝不変不朽〟の意味があるムーンストーンやスフェーンを砕いて鉄に混ぜるのもオススメだぞ」

 

「宝石……もしかして石言葉?」

 

「yes.というか霊的素材はマジで変な所から変な物に繋がるからな。こういうの知らないと何処かで行き詰まるぞ」

 

「もしかして神剣とか呼ばれる武具ってさ。素材が特殊だから強いんじゃなくて、細かい霊的素材の積み重ねで出来たりする?」

 

「残念ながら素材も特殊で、霊的素材を細かくパズルの様に組み合わせて、神業と呼ばれる技で纏めた鍛冶師の作品でーす」

 

「全部じゃねぇか!!」

 

 

 そらそうだ。じゃなきゃ神話に登場なんてしない。

 

 

「むしろ石言葉を知らない程度の知識で作れたら、ソイツは間違いなく火之迦具土神とかメジャーな鍛冶神の転生体だぞ」

 

「うっ……そうなるね」

 

「ま、作りたいなら頑張れや。LILINにメッセくれれば可能な限り質問には答えてやっからさ」

 

 

 席を立ち、そのまま入り口に向かう。セツニキはクールに去るぜ──

 

 

「敵前逃亡は良くないなぁセツニキくぅ~ん」

 

「いや、忙しいのは俺も同じなんだが?」

 

 

 ガシッ!と捕まれた肩を軽く払い、椅子に座り直す。そして珈琲を要求。魔改造されたエナドリ*3が出てきた。

 

 

「そういやノリで捕まえちゃったけど、セツニキは何で製造班に来たのん?」

 

「岩手支部──っつーか『マヨヒガ』がS案件候補なのに赤字案件でな?少しでも費用を抑える為に対天使用の装備を製造班と作りに来たんだ」

 

「セツニキと製作とかやりたい奴しか居ないけど、今はそんな暇無いぞぅ」

 

「だから帰ろうとしたら、お前が捕まえたんだろうに」

 

「あの時の俺、グッジョブ!」

 

『『『グッジョブ!!』』』

 

 

 聞き耳を立てていた俺達がグッドサイン。というかその顔文字*4顔は止めろ。神経が苛立つ!

 

 

「真面目な話、仕様の構想とかあるの?」

 

「ショタオジ立ち会いの元、天使への呪詛を集めて対天使特化の〝呪い〟を生み出し、適当な武器にでも突っ込もうかとな」

 

「ほうほう。そういう作り方もあるのか」

 

「ゲームで言うキラー系の作り方としては結構メジャーだぞ?」

 

「……勉強しまーす」

 

「俺達はノリで物を作っている!」

 

「転生者の肉体が便利過ぎるんや!」

 

「だから今苦労してるんじゃないか?」

 

 

『『『全部当たっている。耳が痛いな』』』

 

 

「半減出来てないし、無効化にも耳分失敗してるな」

 

「セツニキ、語録までカバー出来るの守備範囲広すぎない?」

 

「五十年後、思い通りに動かない体になれば分かるようになるさ」

 

 

 それだけ言って、今度こそ席を立つ。……あのエナドリ、本当に合法なのか?何かやけに感覚が冴え渡ってるんだが。

 

 

 

 

 星祭に戻り、禊と面会。岩手支部──というより、愛宕ネキとその配下の巫女達に()の指導をお願いする。

 

 その後すぐに旅館の自室に戻り、着替えを持って温泉へ。まさか使うとは思っていなかった水垢離用の滝で体を清めた後、今度は製造室へ向かう。

 

 

「俺ららしいというか何というか……ここだけで幾らになるんだ?」

 

 

 雑に放り込まれた山梨異界産の素材を整頓してる式神体の女性の横を通り抜け、必要な素材を倉庫から拝借して鍛冶場へ。

 

 

 取り敢えず一本、試し打ちする。

 

 

 火床へ火炎系の霊的素材を投与して〝火〟の性質を変え、オカルト加工で〝大地〟の霊的素材を混ぜた玉鋼をまずは水減し()。その後に小割りの工程に入るが、実は【アナライズ】持ちなら三段階評価で心鉄向きか皮鉄向きか見抜ける。鍛冶系スキル持ちなら炭素量まで見抜けるので、真面目な刀鍛冶は涙目だ。

 

 続いてテコ台、及びテコ棒の制作。ここでの注意点は、テコ台は最終的に刀身の一部になるという事だ。だから良質な玉鋼を使うことが推奨されているのだが、オカルトブレードを作るならここが一番仕込みやすかったりする。

 

 小割した玉鋼を水で濡らした和紙で包み、藁灰と泥水をまぶしてゆっくり加熱。今回はそこまでやらないが、和紙の素材や灰、泥水の泥に拘るのも名刀を作る上で欠かせない。鋼を沸かし終わったら大槌で一度叩き、完成度を確認。この工程の出来が素人と熟練の鍛冶師の差になる訳だが……【アナライズ】で見抜けてしまうから製造班の俺達でも簡単に打てるんだよな。

 

 ここから先は鍛冶師と聞いて日本人が良く思い浮かべる工程に入る。

 

 まずは鍛練だ。溶け出した鋼を金敷に乗せ、大槌で軽く叩く。鋼が安定し始めたら灰をまぶして炉に戻す作業を繰り返す。

 

 ここで割ってしまう、もしくは割れてしまうのは小割をしくじった可能性が八割、残りは力を込めすぎているか安定の見極めが下手かのどちらかだ。まぁ、見極めは【アナライズ】で済むんだが。

 

 そして折り返し鍛練に入る。

 

 こういう時、思業式神は便利だ。横座も先手もどちらも俺で行けるし、息を合わせる工程も必要ない。

 

 流派によって変わるらしいが、大体十五回程折り返しては伸ばしてを繰り返す。この時に地金に現れる紋様が決まる。磐長一族は直刃だ。

 

 完成した皮鉄を状態維持の霊符で止め、炭素量の少ない柔らかい鋼──心鉄の方の作業をする。

 

 とは言っても、やる事は変わらない。気を付けるポイントは多数あるが、こういうのはやらなきゃ伝わらない事も多いので、端から見ると同じ作業をしてる様に見えるんだよな。

 

 二本の作刀が出来たら硬い皮鉄と軟らかい心鉄を組み合わせる造込みに入り、素延べ、火造り、焼き入れ、鍛冶研ぎ、茎仕立てと進めていき、銘入れしたら鍛冶師の仕事は終わりだ。今回は入れないから無銘刀だが。

 

 ここからは研師と彫師と鞘師の仕事になる。今回は全部俺がやる。

 

 研師と鞘師の仕事は刀の切れ味と刀身の保護に関わるので、出来れば腕の良い職人に頼みたい。オカルトブレードを作るなら鞘師の腕次第で呪力や霊力が漏れるので、全部自分でやる呪具師も多い。

 

 オカルトブレードを作るなら彫師の仕事は大事な工程になる。ここの出来でただの刀になるか、オカルトブレードになるかが決まる。

 

 大抵は玉鋼に混ぜた霊的素材に関連したモノを描くのだが、今回はシンプルに石に寄り添う桜を彫った。

 

 完成した刀を鞘から引き抜き、光に翳す。

 

 

「……やっぱ腕鈍ってるな」

 

 

 いきなり本打ちしないで良かった。たぶんこの程度の出来じゃ対天使用の呪詛に耐えられない。

 

 鍛冶場を清掃しながら考える。暫く修行するか、それとも外部に委託するか。どっちの方が良いかねぇ。

 

 

*1
諸説あり。というより本当に好き勝手言われてるので自分の信じる説を信じろ!レベル。マニアに投げ込むとレスバ出来るぞ!

*2
これも諸説あるが、この頃には銅鐸文化が廃れていたとされる説が一般的。ただ日本全国から出土するので、何処にもその文化が残らないなんて事があるのか?という疑問も残っている。

*3
効果的にはモンハンの強走薬グレートなのだが、色が妙にサイケデリックな違法薬品。非覚醒者が飲んだ場合、命の保証は無い

*4
( ´∀`)b←これ




転生者は刀を打つことを強いられてるんだ……!
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