【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
「取り敢えずこれを渡しておく。ガチャの景品にでも入れてくれ」
結局、武器鍛冶が得意な俺達が見付からなかったので、覚醒者の体力を駆使して自分で打った。
百本打って使えそうなのが十二本。その内の二本は彫刻に失敗したので、対天使用武器は十本勝負になる。
「刀の良し悪しは分からないけど、コレは中々良いもんじゃないの?霊能組織垂涎な気がするけど」
「刀としてはそれなりの出来なんだが、霊刀としては駄作なんだよ」
「というと?」
「式神で例えるならスキル一つだけで枠が埋まってるんだ。だから切れ味を上げたり、耐久度を上げる事も出来ない、本当にただの〝刀〟としての価値しか無い」
ゲーム風に言うなら
「それは確かにキツイね。まぁ、俺は武器使わないけど」
「俺も使わんな」
【ソウルドレイン】が権能化してから【呪怨刀】すら使わなくなったし。
「ところで今日は何やるの?出来れば長引いてくれると嬉しい」
「スレから天使への怨嗟集めて、対天使用付与効果の作成だ」
ショタオジに説明しながらメシア教愚痴スレを開き、【呪殺吸収】の霊符を大量展開。
「お〜そんなに『マヨヒガ』きついんだ?」
「赤字案件なんだよ。しかもかなりの額」
返答しながらベルフェゴールから貰った
「うへぇ。だから
「天使がもうちょい美味しければこんな事しなくて済むんだがな」
「ところでセツニキ、これ使った?」
「いや?どうせ
たぶん使ったら死後の俺の魂の権利を貰う辺りかな。
「気付いてたんだ?」
「俺なら仕込むからな。ルキフグスならやると思ってた」
分霊には何も知らせず、仕込まれた術式の運び屋として使う。分霊は
「俺、舐められてんのかな?」
「ショタオジがキレるギリギリのところで遊んだだけだろ。それより手直しは出来そうか?」
「もう終わってるよ~」
軽い言葉と共に飛んできた紙を受け取る。あの一瞬でここまで出来るのか。やっぱりショタオジは俺達のチートだな。
「よっし、それじゃ始める。漏れた〝呪詛〟は任せた」
「はいはい」
天使への愚痴を吐き出す俺達を挑発する様な一文を書き込む。すぐに〝呪詛〟が飛んできた。
「量がすげぇ。どんだけ恨まれてるんだよ」
「まぁ、メシア教だし」
「下手すれば【ムドバリオン】クラスじゃないか?」
「うーん、メンタルケアしないと不味いかな?」
「それなら回収終わったら祓っておくか」
「お願いね」
時間にして五分程続いた〝呪詛〟の嵐が止まったので、逆探知して【浄化】を飛ばしておく。そしてログアウト。
「うわ~何て言うかえんがちょ!って感じだね」
「物質化頼めるか?流石にこの量だと力量が足りん」
「はいはい」
〝呪詛〟を受け止め、呪符化した霊符をショタオジに渡すと、一瞬で黒曜石の様な石に変わる。
「やってる事を理解出来ると、逆に頭がバグるんだが?」
「セツニキなら何時か俺を越えられるでしょ」
「来世の俺に期待してくれ」
ルキフグスもショタオジも俺を過大評価し過ぎだ。ただの人間にゴジラのじゃれつくは即死技なんだわ。
◇
土産に持ち込んだ信玄餅とお茶を頂き、少しだけ雑談してショタオジの部屋を後にする。これから星祭に帰り、武器の仕上げを行うつもりだったんだが──
「お、セツニキだ」
「京四郎ニキか。こっちで会うのは珍しいな」
星祭だと手合わせも含めて結構会ってるんだが。
「権能訓練で予備も含めて全部折れちゃってさ。新しいの買いに来たんだけど良いのが無くて。製造班も忙しそうだから諦めた帰りだよ」
「大丈夫なのか?」
「男鹿ニキ達ほどじゃないけど体術にも自信あるからね。最悪、素手で潜るよ」
……丁度良いな。
「京四郎ニキ、暇なら俺からの依頼受けないか?繋ぎ程度の太刀なら打てるから依頼の報酬に出すぞ」
「お、マジ?見本とかある?」
「ほいよ」
霊符から取り出した太刀をそのまま渡す。
「普通に業物だね。ずっと太刀打ってる製造班の晴彦ニキ*2程じゃないけど、サブとしてなら買い取りたいぐらいだよ」
「晴彦ニキと並べる刀鍛冶とか何人居んだよ。刀組の無茶振りに振り回されて星祭に来れる様になっちゃった一人だぞ?」
古参の製造班は修羅勢に拉致られ、異界に連れて行かれた経験のある奴が多い。というか高レベル製造班は大抵それが原因だ。
何の素材が必要なのか口頭で説明する技能が製造班に無かったというのも原因の一つだが、説明を受けるより連れて行った方が早いと判断する修羅勢が多かったのだ。
その被害を最も受けていたのが〝鍛冶〟をメインにした製造班──武具製造班だ。
今でこそ素人が武器を使う事の難しさが広まっているが、初期の頃は見た目だけで刀や剣を選ぶ俺達が多かった。
もちろん技の無い身で武器を振るえば簡単に折れる。特に刀は酷かった。そもそも製造班の技量が足りていないのに使用者が多過ぎたのだ。
日に日に増える俺達が剣や刀を選び、需要だけが増えていく。素材も足りず、技術も足りず、折れたら罵声を浴びせられ、心の折れた俺達が去り、負担が残る俺達に偏る悪循環。
そんな地獄の環境を耐え続け、確固たる地位を築いた鍛冶師の一人が晴彦ニキだ。
「修羅勢呼ばわりされてるの草生えるよね。本人も使い手も未熟だったから、素材集めて打ってを繰り返した結果なのにさ」
「京四郎ニキも含めて刀組が諦めなかったしな。俺はメイスを勧めたんだが」
「やっぱ転生者なら刀使いたいじゃんさ」
ちなみに晴彦ニキに刀鍛冶を仕込んだのは俺だ。前世から憧れていたが、刀鍛冶一本で食える未来が見えなくて諦めていたらしい。
余りにもバキバキ折るので、グラ爺と一緒に刀組の指導もした。だから俺らの流派は基本的に磐長一族とグラ爺の合の子を自己流に変えた物になる。
まぁ、すでに晴彦ニキの鍛冶の技量は俺を超えてるし、剣術も刀組や剣組に抜かれてるので後方師匠面しか出来ないが。
「それでどうする?入れる予定のスキルカードもあるなら付与代はサービスするぞ?」
「お願いするわ~ところで依頼って何なん?」
「対天使用武器の試運転ついでに『マヨヒガ』の探索だ」
「S案件なんだっけ?俺らにも召集掛ける?」
「いや、あそこ異界として美味く無い上に敵も強くないから無報酬で呼べないんだわ」
「セツニキのヘルプコールなら皆来ると思うよ?」
「岩手以外の支部から岩手だけ狡い言われるぞ?」
「あ~俺らも含めて修羅勢の傭兵料安くないもんね」
山梨異界での日給×拘束日数が雇える最低ラインになるので、基本的に興味が無ければ動かないし、呼ばれもしない。
今回は
「ま、そういう訳だから依頼を受けてくれると助かる」
「りょ。あ、報酬の太刀ってこれ?」
「いや、依頼完了したら新しく打つぞ?使い手の好みに合わせてないしな」
「よっしゃ!やっぱ刀は長くないとね!」
「セフィロスぐらいか?」
「いや、正宗クラスは長過ぎるよ」
「さよか」
さて、忙しくなるな。まずは図書館探検隊のキリスト系に強い奴の確保からだな。
◇
対天使用金策兵器『金成*3』は上手い具合に機能した。
天使以外には効果無いが、天使をマッカに変換出来る機能が予想以上に俺達に受け、山梨以外の修羅勢も含めて多くの俺達が〝旅行〟しに来てくれた。
前段作戦に参加した霊視ニキから恨みのLILINが来た件に関しては無視する。元々作る予定も無かったし。
岩手支部としては図書館探検隊を雇う費用だけで『マヨヒガ』の攻略が進んでいるからか、日に日に思い詰めた表情をする事が多くなっていた愛宕ネキの顔色も少しづつ良くなってきている。……金成の請求書を何時出すか迷うな。素材も術式も技術料も含めてかなりの額になるんだが。
まぁ、今は金の話は横に置く。大切なのは攻略出来るかどうかだ。
九割方探索され、完成間近となった地図を見ると、この異界がどういう形なのかも見えてくる。
異界の全景は菱形で、中央に主が居る事は確定。ついさっき滞在限界に達した俺達の話によると、最後のギミックは〝
神、子、聖霊の三位一体の正教会の訳語だったか。
神は四文字、子はキリストで良いとして、聖霊はまず確固たる概念を決めて欲しい。
答えが複数ある謎々かよ。──いや、逆にそれを利用すれば良いのか。
「愛宕ネキ。ちょっと依頼書作ってくれ」
「はいはい。内容を教えて?」
「【歌】関係のスキル持ちで──」
ドタドタ凄まじい足音を響かせながら、岩手支部の出張所として使っている大広間に誰かが飛び込んできた。あれは──山梨の修羅勢だな。
「セツニキヤバい!誰かが掲示板で『マヨヒガ』の位置漏らした!」
ついに来たか。