【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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いつも誤字報告どうもです〜

何度か見直しても見過ごすのは書き手だからかなぁ


誇りと驕りと傲慢の原罪

 

 

 心身共にリフレッシュした状態で岩手に戻った俺の元に運ばれてきたのは、糞みたいな問題だった。

 

 余りにも阿保臭いので、いつもの旅館の大宴会場に名家や闇召喚士を名乗る()()を集め、威圧する。

 

 

「あのな?俺の手を煩わせる様なら纏めて()()に変えてやろうか?」

 

 

 気絶すら許さぬ、霊的な重圧。何人か畳にめり込んでいるが、今更気にしない。

 

 

「お前ら雑魚共の事情なんてどうでも良いんだよ。俺が仲良くしろって言ったら()()()()()()。それがお前ら無知無能な人間が出来る唯一の事だろ?違うか?」

 

 

 発端は霊能組織を建て直す為の闇召喚士の取り合いだった。霊的素質のほぼ無い人間しか居ない名家達は、自らの伝で様々な所から霊能者を呼び出した。

 

 その結果、名家同士の闘争や闇召喚士の雇用料吊り上げが発生、それを巡って争いが起き、一般人に()()を掛けてしまった。故に現状になる。

 

 

「今回の件、お前らを切り捨て、新たに霊能組織を立ち上げた方が早いと判断するには十分だ。別にお前らが居なくてもどうにでも出来るからな」

 

 

 実際、世界中のメシアの被害者や貧困層から霊的素質のある人間を集めて教育した方が早い。特に岩手にはメシア牧場の被害者が居るのだ。『マヨヒガ』に迷い込める時点で、才能で言えばR以上確定ガチャとなる。

 

 

「それでもお前らに術式を配ってやったのは、愛宕ネキがお前らに感謝していたからだ。長い間、この地を守っていたお前らに俺達が感謝していたからだ。お前らはそれを足蹴にし、裏切った。違うか?」

 

 

 返答は無い。返答させる様な生温い威圧をしていない。

 

 霊符から巻物を取り出し、畳の上に転がす。

 

 

「今日この場に来ている以上、最低限の謝罪の意思があると認めてやる。だからその巻物に血判を押せ。それで今回は不問としてやるが、次は無い」

 

 

 威圧を解くと、我先にと巻物に群がる者、この場から逃げ出そうとする者に別れた。想定通り過ぎて笑えるな。

 

 

「逃げた奴等はこの後、お前らの教育素材に使う。この場に来なかった者達もだ」

 

 

 その意味を知って死に物狂いで逃げ出そうとするが、俺の結界を破れる力量があるなら一人で生きていけるだろう。わざわざ名家なんて物に従わなくてもな。

 

 程無くして、何をやっても無駄だと悟った闇召喚士達が涎を垂らしながら失禁した。中には俺を殺そうと自慢の悪魔や術を放った奴等が居たが、マッカ一枚で契約を上書き、即座に主を殺した。

 

 レベル六の【メルコム】か。良い判断だ──いや、待て。

 

 じっと【メルコム】を見詰めると、スッと視線を反らされた。

 

 『地獄の辞典』によると【メルコム】は地獄の公務員給与担当の悪魔だ。そして財源を握ってるのはもちろん【ルキフグス】となる。本当に嫌な繋がりだが──

 

 

「それにサインするなら見逃してやる」

 

「喜んでッ!!」

 

 

 何時もの厳しい契約書を転がすと、即座に血判を押した。それを思業式神に回収させる。判断が早いのは流石と言うべきか。

 

 

「さて、面倒だが次は教育だ」

 

 

 現実逃避をしている闇召喚士や名家に【パトラ】を飛ばして正気に戻す。そして殺した闇召喚士達に【サマリカーム】を飛ばしてあの世から引き戻す。

 

 

「うっ……俺は……?」

 

「わ、私……死んだ筈じゃ……」

 

「お前ら雑魚共はどうやら頭が悪い様だからな。()()()()()()()()何度も教えてやるよ」

 

『『『は……?』』』

 

 

 言葉の意味を理解出来なかった闇召喚士や名家の首を跳ねる。そして【サマリカーム】を発動。

 

 

「巻物に血判を押せ。そしたら許してやる」

 

 

 それだけ言って、今度は縦に開き、心臓を抜き取る。そしてまた蘇生。

 

 周囲で見ていた名家達や闇召喚士達が胃の中の物を吐き出し、失禁してるが気にしない。

 

 五秒待っても動かなかったので、今度は内臓を引きずり出した。そしてまた蘇生。

 

 流石に三度目は気付いた様で、犬の様に這いながら巻物に向かい、血判を押す。

 

 適当に霊符をばら蒔いて部屋全体を【浄化】し、元の舞台の上に戻る。

 

 

「頭の悪い部下を教育するのも上司の務めだからな。その巻物に血判を押した以上、お前らは一人残らず〝鬼手一族〟だ。当然、問題を起こした場合は連帯責任となる」

 

 

 その言葉の意味を理解した名家が反射的に何かを叫びそうになったが、自らの意思で口を塞ぐ。

 

 

「良い判断だ。もし反論するなら今度は全員を〝教育〟しなきゃならなかったからな。さて、お前らに初めての任務を言い渡そう。──俺を舐めた奴等を草の根掻き分けて連れてこい。今すぐだ」

 

 

 バネの様に身体を跳ね起こし、鬼手一族が一人残らず大広間を出ていく。その間に擬人式神に金を持たせ、旅館の女将に謝罪、修理費と迷惑料を払う。

 

 表の人間に迷惑を掛けるのは駄目だからな。迷惑を掛けたなら償う事が大事だ。

 

 

 

 

 逃げ出した奴等が泣いて謝っても許さず、反応が無くなるまで生と死を繰り返させる。それを鬼手一族に見せ付けながら、上下関係と〝裏切者の末路〟を叩き込んでいく。

 

 グラ爺を始めとする修羅勢との戦いの成果と言うべきか、魂が破損しないギリギリを見極める事が上手くなったな。

 

 だから蘇生率は驚きの百パーセント。元々魂を〝視る〟事は得意だったから、どの様に殺せば蘇生を確実に行えるか理解してしまった。たぶんこれがショタオジの【霊視】による視界の一部なのだろう。……これ以外にも【アナライズ】や【過去視】まで持ってるのだから恐れ入る。

 

 まぁ、そんな訳で大人しくなった〝裏切者〟にも巻物にサインさせ終わったら、次の工程に入る。鞭を入れたら飴を配る。これが〝裏〟の〝(基本)〟だ。

 

 

「お前らのせいで今日の予定が潰れたからな。せっかくだからお前らが学ぶべき事を教えてやるよ」

 

 

 何処か幸せオーラ漂うムラサキを呼んで、この大人数を纏めて愛宕ネキの神社に飛ばして貰う。

 

 神社に張られた人払いの結界の奥へ行き、紙漉きの道具を一式霊符から解放する。ついでにコンビニで確保しておいたノートと鉛筆を飛ばす。それを全員が受け取ったのを確認した後、基礎中の基礎を口にする。

 

 

「才能の無い人間が悪魔や妖怪と戦う為に作り出したのが術だ。つまり、お前らみたいな才能の無い奴は半端な才能で悪魔討伐なんて事に挑むよりも、一枚でも多く霊符を作った方が役に立つ」

 

 

 霊符の作り方は基本的に和紙の製造工程と大差無い。

 

 まずは原料の処理、続いて加工、最後に紙漉き。この工程を丁寧に行い、紙漉きの段階で霊的素材を混ぜる感じとなる。

 

 

「最初から通しで見せてやるが、乾燥と漬ける工程はすでに出来てる物を使う。その場面は口頭で説明するだけだから注意しろ」

 

 

 まずは霊草と(こうぞ)の処理。とは言ってもやる事は簡単だ。切り揃えた楮を楮甑(こうぞこしき)*1の中に立てながら入れて行き、四時間蒸す。

 

 それが済んだら黒皮を一気に剥がし、束にして乾燥。保存するならこのままで、使うなら一晩漬けて柔らかくする必要がある。

 

 もちろんそんな時間無いので、漬けた後の物を霊符から取り出す。

 

 まずは柔らかくした黒皮を取り除く為に水の中で軽く踏む。この時に繊維を痛めない様に踏むのがポイントだ。霊的なポイントとしては使う水を選ぶ事。もしくは霊地の水場がオススメだな。

 

 塵入り紙と呼ばれる和紙の場合は黒皮を残す事もあるが、塵の部分は霊草が担うので、黒皮の取り除きが不十分だと霊符の性能が下がる。だから仕事は丁寧に行う事をオススメする。

 

 黒皮を取り終わったら青皮を削り取る。芽や枝の痕、枝と枝が擦れて茶褐色に変色している所は確実に取らないと塵として残るので見逃さない様に。

 

 完成した白皮は一度乾燥させ、次に使うまで冷暗所で保管する。保管した物を霊符から取り出して作業を続行。

 

 楮から取り出した白皮を一晩流水に流し、繊維を柔らかくして煮熟剤*2の浸透を良くする。

 

 一度水の中で洗いながら取り残しの黒皮や塵を取り除いたら、煮熟(しゃじゅく)の工程だ。

 

 アルカリ水溶液で煮ていくのだが、水の目安は大体原材料の十倍以上。少ないよりは多い方が良い。だが繊維が沈むくらいが多めの上限だ。

 

 沸騰するまでは強火、それ以降は吹き零れ無い程度を目安として煮沸。大体三十分もすれば繊維が液中に沈むので、ひっくり返して炊きむらを無くす。

 

 磐長一族の霊符ではこの段階で細かく刻み、潰した霊草を汁ごと投入。非繊維の素材によって完成品の和紙の質や風合いが変わるので、本来なら塵を入れては駄目なのだが……欲しいのは和紙では無く霊符なので、容赦なく混ぜる。

 

 ちなみに煮熟剤を強くすると完成品は柔らかく、弱くすると固くなる。ここは術者によって好みが別れるので、御客様アンケートにでも答えて貰うべきだろう。

 

 二時間ぐらい煮たら一度取り出して繊維の状態を確認。指で軽く引っ張ったら千切れるぐらいが目安だ。

 

 煮熟完了後は一晩放置して、翌日に流水に浸して灰汁抜き。和紙作りの灰汁とは煮熟剤の事も指しているので、本来の意味とは微妙に違うのだが気にする奴は職人ぐらいだろう。

 

 次に塵取り。適量の繊維を水中に沈めた笊の中に入れ、塵を取り除く。この時、離解しやすい繊維をバラさない様に気を付ける必要がある。白い紙を作りたい場合は漂白剤を使うか、川晒(かわさらし)雪晒(ゆきさらし)と言った自然の力を使う手法がある。

 

 ここら辺はお好みだな。うちの霊符は基本的にほんのり緑色だ。多くはコピー用紙の色合いだが。

 

 最後に打解という工程に入る。石板や堅木の上に繊維を置いて叩いて解す。それが終わったら紙漉きだ。

 

 紙漉きは流し漉きと溜め漉きの二つがあるが、磐長一族は溜め漉きだ。打解度を高くして作る方法をメインにしているが、打解度を低くして霊的素材で作った〝ねり*3〟を加える場合もある。

 

 紙を漉き終わって紙床(しと)を積み上げたら、一晩放置して自然に水分を抜いた後、圧搾して水分をさらに抜く。

 

 その後は板張り*4の作業に入り、自然乾燥。

 

 蒸気乾燥という手段もあるが、霊符的に自然乾燥した方が〝質〟が良くなるので、出来れば自然乾燥したいところ。

 

 後は乾燥した紙を整え、切り分ければ完成。

 

 

「で、完成するとこうなる」

 

 

 懐からほんのり薄緑色に染まった〝オリジナル〟の霊符を取り出す。

 

 

「これに術式を書き込み──」

 

 

 書き込んだ文字は〝天罰覿面〟だ。何故、私がこんな目にって考えが顔に出てるぞ、ロクデナシ共が。

 

 

「霊力を流すと()()()()

 

 

『『『ッ────!?』』』

 

 

 晴天の空から降り注いだ雷が名家や闇召喚士達を貫く。犯した()()()()がそのまま威力に変わるこの術は、名家という名の塵共には効果抜群だな。

 

 

「誰かを不幸にして甘い汁を啜ってきた人間()が被害者面するな。殺したくなる」

 

 

 霊符をばら蒔き、治療用の結界を構築する。効果がすぐに現れる辺り、最大HP(体力)の低さが分かるな。俺らや修羅勢ならかすり傷すら治らないレベルだぞ、これ。

 

 

「雷の落ちなかった五人を鬼手一族の当主候補とする。明日までにその中から一人を選び、当主としろ。そしてソイツをこの場に居る全員で支えると誓え。それが出来なきゃ死ね」

 

 

 辺り一面を道具ごと【浄化】して、思業式神を呼び出してお片付け。その後、何処か蕩けているアイを呼び出して全員を大宴会場に送り、俺はこのまま愛宕ネキの社務所に帰る。

 

 正義感の強い俺達が邪魔しに来てくれないかな。それを理由に山梨に帰りたい。もしくは山梨支部に密告しろ。喜んで異界に帰るから。

 

 

 

*1
楮の皮を剥ぎやすくする為に蒸す道具

*2
伝統的な手法では木灰からアルカリ液を抽出して使う。

*3
和紙作りで使われるのはトロロアオイという植物から取れる粘液。熱に弱いので科学薬品のアクリパーズを使わない場合、真冬にやる必要がある。

*4
板の素材は松、とち、桧の木など。中でもイチョウの木を用いたものが最良らしいが、主人公はサクヤ産の不思議霊木かトレント(銀杏の姿)を利用する。これが霊能チートよ!




任侠系俺達の話とか誰か書いてくれないかな。

他の三次作品だと名家を尊重してますが、主人公は面倒なので纏めて管理する方向に舵を切りました。

お前ら皆家族な!家族だと言え(威圧)って訳ですね。

秘術や神具の性能がガイア産アイテムを超えられない以上、半端に覚醒してる厄介者感があるんですよねぇ、この時期の地方遠征俺達の愚痴見てると。
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