【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
他の三次様の作品にデモニカのイメージを改変されていた(笑)
残念ながら正義感の強い俺達も、山梨支部に密告する奴も現れなかった。仕方なく社務所で事務仕事をしていると、俺のスマホに着信が。
『非覚醒者の俺達が安全に覚醒出来る様に装備を作ることにしたから岩手支部も宜しく☆』
『この糞忙しい時に無茶振りするなと言いたいが、せめてどんな物が欲しいか言ってくれ』
『非覚醒者でも低位悪魔と戦えるパワードスーツみたいな物?』
どうやら本人にもどんな物が良いか想像付いてないらしい。これからの予定について溜め息を吐き出していると、ガイア連合創設期から現在までの間に完成している理論や製造方法が送られてきた。
『これ、ロボ部*1の秘匿情報じゃないのか?というかすでに非覚醒者向けで安全なのはスケベ部が作ってる*2だろ?それじゃ駄目なのか?』
『いや、あれ霊器歪むから却下したじゃん?俺達のお気に入りを覚醒させる為にやるならご自由にだけど、俺達には使わせたくないからさ。補助金も出すし、取り敢えずやって見てよ』
『まぁ、幹部勢が決めたならやって見るが……期待するなよ?』
『色んな支部で作って貰う予定だし、これはここだけの話だけど、本当の目的は献身的に協力してくれる富豪俺達が安全に覚醒する為の物だからね。セツニキには是非やって欲しいって推薦が凄くて』
『んー……それなら引き受けた。俺が去っても研究続けられる様に製造班には仕込んでおく。ただ、試作品が出来たら俺は去るぞ?』
『あいあい。それじゃよろしく〜☆』
ショタオジとの通話を終え、近くで一緒に書類仕事をしていた岩手支部の俺達に製造班の班長を呼ぶ様に頼む。来るまでの間に送られてきたロボ部の努力の結晶を印刷し、冊子状に纏めておく。
軽く捲って内容を見てみると、ロボ部の試作品は総重量三百を超える〝覚醒者専用機〟になったらしい。……非覚醒者の為に開発したんだよな?覚醒者用の追加装甲じゃなくて?
何でこんな事にと思いながら冊子を捲っていると、原因は〝動力源〟の様だ。制御系を担当するショタオジのブラックボックスは〝厄い気配〟がするのでスルーするとして、生身で悪魔と戦えるだけの性能を搭載すると、必然的に動力源の出力が不足。それを補う為に動力源が大型化していき、現在の姿へ。
というか全体的に技術不足を覚醒者としての才能で補った作りだな。装甲や人工筋肉も無駄が多い。
これ、無理じゃないか?いや、考え方が違うのか。
ロボ部が作ろうとしていたのはスパロボに登場する様な大型で、それを非覚醒者用の装備に流用したからこんな事になってる気がする。
だったら話は早い。必要なのは〝動力源〟の小型化だ。それさえしてしまえば、後は勝手に俺達が作り上げるだろう。
考えを纏め終えたのとほぼ同時、扉をノックする音が聞こえた。
「空いてるぞ」
「失礼します!」
やって来たのは岩手製造班の纏め役だ。彼に上からの指示を伝え、ロボ部の研究成果を渡す。
「まずは動力源の小型化を最優先に。その後は岩手ロボ部に任せておけば、それなりの物が出来上がる筈だ」
「全員で最後までやらなくても平気なんですか?」
「現状だと岩手支部は不良債権だからな。山梨の利益になる物をここらで作らないと、終末後に切り捨てられる可能性が高いんだよ」
金山関係の話は支部長である愛宕ネキにしか話していないので、敢えて危機感を煽る様に伝える。山梨におんぶに抱っこなら邪魔なだけだしな。
「ショタオジがそれをします?」
「ショタオジが助けたいのは〝転生者〟の俺達であって、岩手県じゃない。それが答えだ」
「……成る程。分かりました。動力源は最優先で作り上げてみせます」
「頼んだ。何か問題があれば報告書を上げてくれ。俺の権限内なら手助け出来るからな」
「はい。それでは失礼します」
一礼をして去っていく班長を座ったまま見送り、再び書類仕事に戻る。岩手県独自の強みが欲しいな。切実に。
◇
岩手県は日本で三番目に鉄道が開通した県らしい。それを利用して山梨まで直通の列車でも通してやろうか。
そんな馬鹿な事を考え始めたので一旦休憩。支部長補佐ポジションに居る高雄ネキ*3と共に珈琲の香りを楽しむ。
「実際どうなんですか?岩手支部って」
「たぶん影が薄い支部になるな。初期十九支部の十三番目ぐらいになりそうだ」
「妙に具体的な数字……」
「支部長やる様な奴等って基本濃い味付けなんだが、岩手支部は薄味というか……」
「まさかの常識人である事が弊害!?」
「『マヨヒガ』を攻略し終わったってのもあるし、何と言うか中盤の街みたいなポジションなんだよな」
名産はある。特産もある。だがわざわざルーラを使ってまでアモールの水を買いに来るか?という話だ。これがはぐれメタルまで望まなくても、ジパングすぐ下のメタルスライムが居る洞窟ぐらい旨味があるなら来てくれる俺達も多いんだが……俺達を引き付ける魅力が支部長や補佐のおっぱいぐらいしか無い。そして式神で代用可能という。
「真面目な話すると結構ヤバいぞ。終末後は俺達の人数がそのまま支部の防衛力になると思った方が良い。各拠点の防衛兵器はショタオジ製だから期待出来るが、代わりに街が滅びましたで生きていけるか?」
「……無理です」
「俺達を引き止める為に〝花売り〟になりたくなきゃ岩手支部独自の強みを考えろ。俺が居るうちなら手伝ってやっから」
「検索 セツニキの引き止め方」
「その願いは私の力を超えている」
「糞めっ!と言って差し上げますわっ!」
愛宕ネキも高雄ネキも女子力は高い。前世なら嫁として引く手数多だっただろう。だが嫁式神の〝理想〟には勝てない。悲しいけど、これが現実なのよね。
珈琲を一口飲んで落ち着いた高雄ネキが真面目な顔で話を続ける。
「動力源の小型化が成功したらマシになります?」
「山梨の古参製造班にはマジモンの天才が居るからな。それに勝てるか?って言うと微妙なところだ」
岩手の俺達も悪くない。向上心もあるし、郷土愛もある。真面目で素直で頭の回りも良い方だろう。だがくそみそニキの女?嫁?*4に勝てるかと言うと、無理だと断言出来てしまう。あの人は歴史の転換点になり得る頭脳持ちだろうしな。エドニキ達もそれに負けていないと言えば、どれだけ厳しいか伝わると思う。
「うう……絶望的じゃないですかぁ……」
「俺が解決するにしても、岩手最強の霊地は盛岡八幡宮にあるが、あそこって十五代天皇を祀る神社だから俺*5の管轄外なんだよな。しかもこの地の伝承は弘法*6が関係する事が多いから神社よりも寺の方が強いという」
「き、切り札のセツニキさんの力が使えない……?」
「神道だからなぁ、俺」
追い討ちを掛ける様に情報を開示すると、愛宕神社の本社は京都だ。岩手に居る火之迦具土神は本霊に
室内の振り子時計が午後一時を告げる。顔を真っ青にした高雄ネキには悪いが、ブレイクタイムはここで終わりだな。
「ま、未来の事は未来の自分に回して、今は目の前の仕事を頑張れ」
「うぅ……愛宕ぉ〜……早く帰ってきてぇ〜……私一人じゃ背負いきれないぃ~……」
一応、使えそうな案もあるにはあるんだが。愛宕ネキ達じゃ力量がなぁ……。
◇
岩手支部の強みになりそうな〝モノ〟は意外な所から湧いてきた。
「『マヨヒガ』がもう復活した?」
「はい。確認した俺達の話によると、異界の帰りに近道のつもりで山中を横断した時に巻き込まれたみたいです。朝一で報告が上がってきました」
「確認した時刻は?」
「正確な時刻は不明ですが、異界を出たのは二十二時で間違いないそうです。式神が覚えていました」
「そうか。報告感謝する」
「いえ。では失礼します」
去っていく事務系俺達を見送り、机の下でガッツポーズ。時代の風が吹いてきたな。
「高雄ネキ、確かレベル二十代だったよな?ちょいと山中走って『マヨヒガ』の確認を頼む」
「それは構わないですけど……セツニキさんが行った方が早くないですか?」
「俺は初日に入ったからな。違いが知りたい」
「成る程、分かりました。すぐに向かいます」
高雄ネキは現状、岩手支部で唯一の無料ユニットだ。酷使枠とも言う。そして愛宕ネキと人気を二分してるので、
悪く思うなよ。これも岩手支部の未来の為だ。人件費を削れるチャンスは逃さないぞ。
「きひひ。主様、実は悪魔なのでは?」
「メルコム。俺が悪魔な訳無いだろ?
「違いねぇや!」
楽しそうに笑うメルコムに非覚醒者の事務系俺達が何かを感じたのか身震いする。悪いな、タダで使える奴だから使ってるんだ。悪寒程度で済むから許せ。──と思ったら。
「うわっ!?何か居る!?」
「おやおやぁ?初めまして。あっしの名前はメルコム。以後、お見知りおきを」
「あ、こちらこそ宜しくお願いします」
ペコリと頭を下げたメルコムに事務系俺達が頭を下げる。思業式神も使ってたし、メルコムも居る。霊的な圧力が常に掛かっていたとはいえ、まさか覚醒するとはな。
「取り敢えずオオマチ呼ぶから、山梨行って修行受けて式神発注して来い。代金は俺が一時的に持ってやる。今のままだと帰り道で食われるぞ」
「は、はいっ!」
ショタオジ宛の手紙を書いて渡し、何処か幸せオーラを撒き散らすオオマチを呼んで山梨へ移送。
人手が減った代わりに思業式神を呼び出してカバー。
完全に部外者の俺がワンオペする事になったのは皮肉でしか無いな。
皆さんも是非検索して欲しい。
作者と同じびっくりを味わって欲しい(笑)