【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
更新止まったらたぶんネタギレ(笑)
誰か新しく書き始めてくれても良いんじゃよ?
山梨の鍛練場の一つで、ターンッ!という音と共に火薬の匂いが香る。
「……駄目だな。距離が遠いのか殆どMAGが吸収されてない」
「うーん、やっぱり狙撃用ライフルの距離は駄目かぁ」
「俺は普通にMAG手に入ってるんだが、それはどうしてだ?」
「自分の
固定した望遠鏡の様な物*1で悪魔を視認、引き金を引くだけでMAGが手に入るなら安全だと思ったんだが。
「取り敢えず、次はアサルトライフルの距離*2で試すか」
「じゃ、餓鬼を用意するね」
ショタオジが餓鬼を用意して的に張り付ける。早すぎて未だに動きが飛ぶのは笑うしか無い。
双子ニキ(弟)に銃の位置の調整をして貰い、岩手の俺達が固定された望遠鏡を覗き込みながら引き金を引く。
「さっきよりは吸収出来てるが……」
「覚醒には程遠いね」
非覚醒者用【デビルサーチ】の試作品は確かに効果あるが、大型過ぎてそもそも装備出来ないので、近接戦には使えない。
現状だと悪魔を〝視る〟為だけの望遠鏡だな。
「【見鬼ノ門】開いてナイフで狩れば、たぶん転生者の素質も込みで良い感じになると思うが……」
「あの術、俺以外だとセツニキ含む高位術師しか使えないからなぁ」
「富豪俺達までならともかく、社員俺達までは厳しいよな」
日本の人口に比べれば少数民族ぐらいの人数とはいえ、社員俺達は多い。ガイアグループ所属者まで含めるとさらに増える。
「一応、深層の素材を使えばもっと小型化出来るんだよね。ただ俺以外だと一握り以下の俺達しか入手出来ない素材だから、求めてる物とはちょっと違う。というか値段がヤバくなる」
「まぁ、あの望遠鏡も拠点防衛の為なら使えるし、ガトリング辺りとセットで売れるだろ。それで資金を回収しながら技術革新だな」
「今は売るわけにはいかないし、ガトリングは作れないけどね!」
つまり量産しても販売する訳には行かないから、技術進歩の為に赤字を垂れ流す必要がある。ジュネス建築で円も無い、技術革新の為にマッカも使う。カルト宗教なのに散財し過ぎだが、終末対策の言葉で仕方ないと割り切れるのがマジで糞だ。
「あの~セツニキさん?これで終わりです?」
「いや、ここからが本番だ」
「え?」
「やっぱり、固定された的を撃ち抜くだけだと経験にならないだろ?だからちょっと趣向を凝らす」
霊符からギンを召喚。的の後ろに座って貰う。
そして望遠鏡を的のすぐ近くまで動かし、リボルバーを岩手の俺達に手渡す。
「もし外して身体に当たったら、ギンに
「ひぃぁ……!」
銃の重さ。強力な悪魔でもあるギンの振り撒く霊圧。非覚醒者には厳しい環境を意図的に作り上げ、精神的にも追い詰める。
「大丈夫だ。的に当てさえすれば良いんだ。
「は……い……」
暗示という程でも無い、軽い思考誘導。岩手俺達が情けない足取りで望遠鏡に近付き、覗き込む。
震える手では銃を上手く構えられず、何時まで経っても引き金は引かれない。──なので、ギンに視線で合図を送った。
『わおーん!』
「ひぃ!?」
本犬的には吠えるフリに近い、気の抜けた声。だが
慌てて引かれた引き金。標準すら的に合ってない状態で引かれたリボルバーから飛び出た銃弾は、確かにギンの体に当たった。
「あっ……あ……」
「まだだ!戦え!殺される前に的を撃ち抜けば助けてやる!」
「は、はいぃぃ!!」
言葉の可笑しさに気付かぬ俺達が慌てて望遠鏡を覗き込み、色んな汁を垂れ流しながらリボルバーを連射する。残り五発の内、当たったのは一発だけ。もちろん餓鬼は死なない。
「追加だ!これを使え!」
「は、はひぃっ!」
空気を読んだ双子ニキが緊迫した声をあげながら今まで持っていたリボルバーを奪い取り、新たなリボルバーを渡す。そして再び発砲。
今度は三発当たり、良いところに当たったのか餓鬼をMAGに還した。
「おー、かなりのMAGが入ったな」
「やっぱり緊張感と霊圧を感じるぐらいは必須かぁ」
「本当は殺気も感じて欲しかったんだがなぁ」
「謳い文句は厳しい修行以下だからね。レベル四十越える悪魔からの殺気は流石にね?」
「まぁ、そうだよな」
確実に覚醒出来るという謳い文句の厳しい修行。星霊神社にショタオジ以外が居た時代に行われていた緩い修行。噂によると、この下もあるらしいが、それは省く。
今回は厳しいと緩い修行の間で使う事を目指しているので、中々難易度調整が難しい。
取り敢えず、色んな汁が漏れた岩手俺達に【浄化】を投げて綺麗にする。これを人数分繰り返し、一日目の実験は終了。悪くは無いが、先は長そうだな。
◇
ショタオジと話し合った結果、現状の道具では厳しいと判断。なので二日目からは手法を変える。
「これからお前達には瞑想して貰う」
「それって緩い修行と同じ奴ですか?」
「そうだ。但し、少しだけ負荷を掛ける」
そして再び召喚されるギン。非覚醒者なので見えてない筈だが、圧力を感じるのか岩手俺達が震えだす。
「せ、せ、せつにきさん。こ、この状態、で……?」
「そうだ。命の危険は無いから安心しろ」
無意識下で命の危険を感じ続けてるだけだし。
「それじゃ開始」
震えながらも何とか座禅を組み、目を閉じる岩手俺達。そんな俺達の横でギンをもふもふ。ギンがはしゃぐ度に揺れる尻尾が放つ風が岩手俺達に負荷を掛けていく。
……ふと気付いた!これは非覚醒者俺達の訓練に使えるかも知れない!
という訳で、ギンにゆっくり俺達の側を回る様に指示して少し距離を取り、消音結界を張ってショタオジと連絡。
『もしもし?』
『俺だ。修行見てて気付いたんだが、終末後を体験させるのが丁度良くないか?』
『……GPが濃くなった世界で悪魔が定期的に襲ってくる環境。足りない食料を手に入れる為には安全地帯から覚悟を決めて出なければならない。うん、襲わせるのは論外としても脅すぐらいならアリだし、確かに緩いと厳しいの間に丁度良いね』
『ある程度のサバイバル技術は教えておくべきかね』
『岩手の俺達にテスト頼めないかな?調整はその後が良さそう』
『了解。じゃ、今日の修行終わったら交渉してみるわ』
『お願いね~こっちは準備しておくよ』
通話を切り、視線を岩手俺達に向けると、ギンが距離を取って待機していた。……元々週末にコツコツ緩い修行してた俺達が失禁してるな。というか覚醒してる。
再びショタオジに連絡。ついでに【浄化】を投げてやる。後は高級式神の手配か。やる事が多い。
◇
結論から言えば、一月ぐらいで全員覚醒した。正確に説明すると、残る六人の内、コツコツ修行していた三人が終末体験中に覚醒。まだ緩い修行歴すら浅い非覚醒者の三人が、やけくそ気味に厳しい修行に突っ込んで覚醒した感じだ。
もちろん支部長代理権限で覚醒済みの岩手俺達も厳しい修行に投げ込んだ。辛い時間を共に過ごす事で連帯感を生み出すのは、組織を運営する基礎中の基礎。ついでに痛みを覚えさせ、悪魔を侮る事が無くなるなら万々歳だ。
製造班には
そんな彼らに星祭の初心者セットを無料配布。新人は沼に沈めないとな。異界は楽しいぞ!
これ以降は手出ししない。心が折れたとしても、覚醒者となった以上、仕事は幾らでもあるのだ。それこそ終末後にすらな。
それに山梨の様に低レベルから式神だけを派遣する事は出来ない*3が、レベル十ぐらいになれば、岩手俺達は『マヨヒガ』へデイリークエストに行くだけで生きていける。
俺は速攻で片付けたので気付かなかったが、『マヨヒガ』の道中には山に居そうな悪魔がそれなりの頻度で現れ、周囲には霊草や霊木がたくさん生えている。さらに異界本番の『マヨヒガ』内に至っては
地域によって変わるが『マヨヒガ』は
では、岩手の『マヨヒガ』で直前まで
その結果なのか知らないが、外観は日本家屋なのに内部は近代的に改築されており、テレビやポット等が普通に置いてある。
もちろん、持ち帰れる。しかも日を跨げば復活する。
それを山梨に出荷、製造班が解体する事によって異界内で動く機械技術が飛躍的に高まり、ついでに少し古いが幾らでも回収出来る異界対応家電の産地になった。
高雄ネキが泣いて喜んだのは言うまでもない。
この恩恵はまだある。岩手製造班にちゃんとした仕事が生まれたのだ。『マヨヒガ』から回収した家電を分解、内部パーツや術式を模倣、改良、生産し、最新家電に組み立て直し、それを各地のガイアグループに出荷。
終末後対応の家電を現段階で生産しているのは
残る仕事は岩手産非覚醒者装備の製作か。これさえ終われば、やっと山梨に帰れる。異界が俺を待ってるぜ。
◇
岩手は異界対応家電産地として生き残るぜ!