【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
話を作ったキッカケは、星霊神社(山梨第一支部)には表向きの管理人の都さん(神主の分身)が居るにも関わらず、ペルソナ組との組手の時に山梨第二に神主も一緒に動いていたから。
だから都さん管理の星霊神社は非覚醒者の俺達用のエリア、裏は修羅勢やスケベ部等の覚醒者のエリアで、星霊神社外の山梨第二にも神主が自由に使える神社がありそうだなーと。
AAも神社内だったし。
たぶん後期の非覚醒の黒札の中には神主と会ったこと無い人が多そうってのもある。
小ネタのちひろさんの言葉的に良く思ってなさそうだったし。
夜も遅いという事で神社の境内に建つ日本家屋風の社務所に案内され、歓待を受けた。とは言っても、風呂を借りて飯をごちそうになってるだけだが。
そんな飯の席が終わり、食後のお茶を楽しんでいると、筆頭巫女兼神主代理であり、記憶の片隅を刺激する容姿*1の
「この神社は表向き『星霊神社』と名乗っております」
「表向き?」
「はい。本当の『星霊神社』は大異界を抑える要石となっており、
「ん?それだとその『星霊神社』はお前らの上司で異能持ち集団なんだろ?それならなんでこんな事に?」
「『星霊神社』は大異界を封印し、管理している関係上、一般人には見えぬように気付かれぬように結界が貼られているらしく……私達では見付ける事すら出来ず」
「あー……それは御愁傷様?」
覚醒者と非覚醒者の間には超えられない壁がある。たぶん俺が目の前で隠形使ったら、透明人間AVみたいな事が出来そうだ。四歳児の身体じゃ勃つモノも立たんから未来のお楽しみだが。
「元々『星霊神社』の代わりにメシア教と対峙して一族の多くが亡くなっていたのです。そこに追い打ちをかける様に十年程前に大異界に異変が起こり、一族の残る霊能者が総出で応援に向かって……」
「誰も帰って来なかったのか」
静かに頷く禊に掛ける言葉が見付からない。突然の事だったろうし、引き継ぎをしっかりしておけというのは無茶だろう。というかまた
とはいえ食後の茶飲み話にしては暗すぎる。なので疑問に思っていた事を聞いてみた。
「そういや祭神が置かれて無かったのは何でだ?救ってくれないなら神なんてっ!で壊して捨てたって言うなら称賛するが」
「私も詳しくは知らないのですが、父が生前、神の力を借りる為と申しておりました。正しくは『星霊神社』が神に力を借りる為、ですね」
「あー信仰心を交渉材料に使ってたのか。上手くやるもんだ」
神にとって
「えっと……あの……」
「んあ?」
「貴方様のお名前を聞いておりませんでしたので……」
「呼び名に困ったのか」
「はい……」
名前、名前なぁ。〝ぼく〟の名前は覚えてるし、〝俺〟の名前も覚えてる。でも両者共に死んでる訳だから、ここに居る〝オレ〟は誰なんだろうな。
見た目で決めるなら、俺は外人になっちまう。覚醒者には銀色に見える髪に左目に刻まれた傷。分かるやつには分かる、今の時代には発売されていないゲームのキャラクター。
中身で決めるなら〝俺〟の名前なんだが……俺の名前はオカルトが詐欺師と並んで胡散臭いからこそ許されるのであって、この世界で名乗るには重すぎる。
だから、この名になるのは必然なんだろう。
「俺の名はナナシだ。名字はお前らの星祭を貰って星祭名無とでも名乗るかね」
「偽名……ですか?真名を名乗ってはいけないとかそういう霊能的な制限があるとか──」
「いや?そもそも名付け親も居なかった」
この世界の人間じゃないからな!
「まぁ、俺の事はどうでも良い。それより何か言いたいことがあったんだろ?」
「あ、はい。明日からどう為さるのか聞いておこうかと思いまして」
「成る程。明日、というより今日からだな。お前らが寝てる間にこの神社の書物を全部読んで、明日の朝までにお前らの教育プランを組み立てるつもりだ」
正直言えば、先祖の残した覚醒修行をやるのは厳しいと思う。油を被って火を付け、覚醒したら修行完了や五感全てを封じる結界を張り、一週間瞑想させるとか基本的に覚醒出来なきゃ死ねという物が多い。
たぶん先祖達の時代にはしっかりとした教導者が居たのだと思うが、知識だけの俺がやって良い事では無い。
そこらへんの補填の為にも『星祭神社』の知識は欲しい。
「その様なご無理をしてお身体は平気なのですか?」
「覚醒者の事を心配するだけ無駄だぞ?俺程度でも富士山から飛び降りて普通に生き残れるんだからな」
「それは……また何とも……」
俺も〝そっち〟の立場なら引いていたし、気持ちは分かる。でも、覚醒すればお前らもこちら側だぞ。絶対に引きずり込んでやる……!絶対にだ!
◇
「すげーな、メシア教。ここまでやるのか」
自室として与えられた部屋で思わず漏れ出たのは、メシア教による徹底的なまでの情報破壊を知った結果だった。
基礎に当たる部分は全て消失しており、応用の大事な部分は破り取られている。
危険な儀式についてはそのまま残っており、誤訳や間違った術式の結果、別の危険が発生しそうな書物に関しては天使の匂いがする【誘導】術式がほんのり香っていた。
二度と
とはいえ得られたモノも確かにある。
どうやら星祭神社は『恐山』のイタコ系列の術式から発展した様で、降霊術や憑依術の行使が基本だ。
解りやすく式神で例えると、俺の使う浅間神社系列は基本的に自身の霊力を符や巻物に貯蔵して利用する傀儡系。
利点は単価の安さによる使い捨ての容易さ、数の暴力を振り回せる群れの力、作成時こそ霊力の消費はあるが、戦闘時に自身の霊力を余り使わない事にある。欠点は自身の実力を超える事をやろうとしても無理という事か。
それに対して恐山式は呼び出した霊的存在を依り代に憑依させて動かす自立起動型。利点は霊格上昇の発生、憑依させる霊的存在次第で術者が素人でも戦える存在となる事。欠点は霊的存在との交渉の難しさや依り代の値段の高さ、後は反逆される恐れがある事か。
危険を承知の上なら自身に霊的存在を憑依させる『シャーマンキング』的な事も出来るだろうが……こんな事を教えられないな、流石に。
「んーどうすっかな」
俺が教えるなら浅間神社式になるだろうが、個人的に先祖代々継いできた物を捨てさせる事に抵抗がある。
だが恐山式は素人に難しいどころの話では無く、覚醒していてもあっさり死ぬ可能性の方が高い。
降霊する霊的存在の強さを抑えれば安全にはなるだろうが……大気中の霊力の低さから考えるに依り代の値段は安く抑えられない。
安物を使えば、下手すれば呼んだと同時に送還される可能性が高いのだ。
終末がくれば問題は解決するが、今度は別の問題が発生する。世の中巧く出来てるな、クソが。
「取り敢えず、霊力が無くても覚醒した時に役に立つ霊符の書き方や霊草の調合からかねぇ。恐山式が知りたいなら本場に派遣が一番だろ」
本場に霊能組織が残ってると良いなぁ。出来れば俺の知識以上の奥義や秘技があるなら助かる。俺も知りたいし。
──そして翌日。
「色々考えた結果、まずはお前らが妖と呼ぶ存在を見て貰う事にした」
昨日の教育プランはどうしたって?奴なら死んだよ。
いや、俺の様に先祖代々続く仕来たりとして習うならともかく、いきなり霊符の書き方や調合の仕方を教えても、霊力の無い彼女達では胡散臭く思うだけで訓練に身が入らないだろう。
だからまずは〝
「あの、ナナシさんを疑う訳では無いのですが、霊力が無くても見えるのですか?」
質問してきたのは禊だ。というか禊以外は相変わらず紙の覆面を付けている。まぁ、指示に従ってくれるなら何の問題も無いが。
「ぶっちゃけるとこの業界は胡散臭いからな。悪魔を祓ってもそんなの居なかったって踏み倒す奴等も多いんだわ。で、当時の陰陽師達は考えた訳よ。見えないなら見せ付けりゃ良いってね」
この術式の制作者は安倍晴明。本当にムカついていたのか、蘆屋道満と共同開発だ。この信頼度の高さよ。
適当に霊符をばら蒔き、正面に五行を再現。
「
言葉に込められた意味を読み解くならば、全世界全てを平等に見せてやるから怯えろ、ってところか。怒り具合が良くわかる。
「開門──」
パンっ!と拍手一回。すると目の前の五行の中心が揺らぎ、水面の様に波打った。これで〝こちら〟と〝あちら〟を覗ける窓の完成。
とはいえ窓の先に悪魔は存在してないので、犬神を召喚。こちらにじゃれつこうとするのを制止して窓の先に座って貰う。
「流石に異界の奴を呼んだら危ないからな。俺の式神を呼んだから覗いてみろ。見た目は可愛いが、後でどれくらい恐ろしい存在か教えてやっから」
そう言って振り向いた俺の視界には、怯えた表情で後退る巫女達の姿が。一部が
「今日の授業はここで終わりにする。さっさと風呂行ってこい」
俺は何の為に〝門〟を開いたんだろうな。
◇
恐山すら根切りにしたメシア教が星霊神社に辿り着かなかった理由がわからなかったので、代わりの神社(生け贄)を作った感じですね。
根願寺は星霊神社の事を知ってたから情報売ってそうだし。
もちろん本家と矛盾した場合、本家が正しいです。