【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
相変わらず非覚醒者が飲めそうにも無いエナドリ片手に、今回世話になった古参製造班と机を囲む。ちなみにエナドリはフラスコに入ってる。なんでも製造班の趣味だそうだ。
「おいおい。作ったばかりの装備全損ってマジかよ?俺達の自信作だったんだぞ?」
驚愕した表情のエドニキに肩を竦めて見せる。
「ショタオジのS.O.Fを近距離で暴走させたからな。回収出来たのはこれだけだ」
もはや破片とすら呼べない程度の切れ端。それを机の上に置く。
「うっへ。【火炎吸収】だとこうなるのか」
「キャパシティオーバーで自壊してる様に見えるな。これなら無効の方がマシか?」
「やり合った感じ、無効だとそもそも軽減すら無理な感じだな」
殺り合った、とは言わないし、言えない。ショタオジの命を脅かせなかった以上、アレはただの模擬戦だ。
「これが最上位の悪魔や神の領域かぁ。俺達製造班はこれに耐えられる装備を作るのが目標になるのか?」
「中層じゃなくて下層素材ならワンチャンありそうだけど……行ける古参達でもまだ入口周辺だからなぁ」
「何もかもがヤバイらしいね。ハズレを引くとそもそも即撤退するしか無いとか」
「ネタバレされると萎えるからそこまでだ。やっぱり自分で遊びたいからな」
『『『う〜い』』』
「あ、トランプやダーツはどうだった?役に立った?」
「きちんと仕様通りに発動したぞ?ふんどしに防がれたが」
「また貴様かふんどしぃぃぃ!!」
武具製造班の前にずっと立ち塞がってるからな。叫ぶ気持ちは良く分かる。
「うっそだろおい。持てる力全て使って【貫通】特化させたんだぞ?」
「ショタオジが盾代わりに使ってたからなぁ。たぶん【物理吸収】特化な気がする」
「技術力の差で抜けなかったかー」
「頂きが遠い!」
『『『それな!』』』
本当に遠い。だからこそ面白いが。
「ギャンブラー装備はどうだった?」
「今回は【火炎吸収】に特化したが、あの出来なら汎用装備としても使いたい。まぁ、素材集めからなんだが」
一月で集められるかね。もっと掛かる気もする。下層試験が遠いな。
「袖とか拘ってたもんね?」
「宝石とか仕込むしな。望み通りの動きをする為にゃ拘らんと」
「こっちも作ってて楽しかったわ。流石にセツニキまでとは言わないけど、俺達も既製品に満足しないでどんどんオーダーメイドを依頼して欲しい。別に既製品のカスタマイズでも良いんだけどさ」
「腕を磨いても使われないとモチベきついよな」
「俺達はまだ古参と繋がりあるからマシだけど、新人達はスキラゲ中に上げるの辞めそうでさぁ」
「異界ガチ勢は勝手に育つからなぁ。駄目な奴はリタイアして式神遠征になるだけだし」
とはいえこのままでは不味いな。……そうだ。
「ショタオジチェック抜けた星祭の新人達とそっちの有望株を引き合わせるか?多少はマシになるだろ」
「まるで合コンだな。でも、それぐらいしてやらなきゃ駄目だよなぁ」
「俺達の時はセツニキの世話になったし、次は俺達の番だろうしな」
それから少しして、話題は新人から最近の式神事情へ。
「そういやショタオジがセックスすると式神がパワーアップする新システム作ったぞ☆」
「まじかー!肉欲に溺れなきゃ行けない日が来ちまったかー!かー!つれーなー!」
「式神の成長が俺達に追い付かないからか?」
「そうらしい。やっぱ人間の方が成長早いらしくてな」
「まぁ、式神とのレベル差二十以上とか普通に居るしな」
『『『いや、それは修羅勢だけ!』』』
なん……だと……!
「いや、普通に居るだろ?俺なんて今高級式神作ったらレベル差五十だぞ?」
「……確かに居るな。手加減抜きで低レベル式神をヤり殺してメンテに持ってくる奴」
「それで最初の嫁に頭下げて修理代稼いで貰う奴も居たよな?」
「いたいた」
「嫁が逆らえたら修羅場を通り越して
「何人か〝そういう趣味〟を持ってる奴が居てなぁ。やり過ぎで嫁の心壊れてショタオジ案件になったぞ~」
「……俺、ちょっと前に『マヨヒガ』をショタオジ案件にしない為に頑張ったんだが?」
「知ってる。でも事実だし」
嫁の代わりに主人を処分してぇ……!超処分してぇ……!
「ま、セツニキの怒りは分かるが俺達だしな。諦めろ。ところで最近の流行りはどうだ?FGO越えるタイトルは現れたか?」
「艦これとか人気作は良いとこ行くけど、男女対応してるからなぁFGO」
「データベース*1に願望入れると大抵引っ掛かるし」
「やっぱ自分の性癖を叫べない奴は駄目だな!手直しが多い多い」
「本人も分かってなかったりするから面倒で嫌になるよな」
「最近だと岩手支部の奴は気合い入ってたな。なんでも性癖を叫ばないと無利子融資が受けられないとか言ってたが」
「あ、それ俺が決めたルールだな」
「やっぱりかー!可笑しいと思ったんだ。結構前の依頼方法なのに復活したからさ」
「分かりやすい分だけ優先的に作ってくれるぞって、ガセネタとセットで言っておいた。役に立ったなら何よりだ」
「実際、分かりやすいから前倒しは普通にあるよ?手直し無しで済むから先に片付ける事も多いし」
「だよなー。っと、そうだ。セツニキおめでとう!」
「ん?」
「ついにセツニキ大人バージョンの依頼来たよ!」
「おいおい。俺が偽物になっちまうじゃねぇか」
まぁ、偽物なんだが。
「むしろ式神に掛かる負担がヤバそう」
「セツニキなら出来たぞ!」
「無茶過ぎて笑う」
「そういやセツニキ。術ってスキルカードにならんの?」
「なるが、全部複合扱いだからわざわざ突っ込む意味がな」
「なして?」
「前提条件が多すぎるんだよ。例えば結界を張る霊符を使いたいなら、流派の基礎を始めとする十個以上のスキルを突っ込んで漸く作成、使用が出来るのに【
「学ぶなら本人か
「俺と同等の術師キャラとか、少なくとも俺より上のレベルまで上げないとキャパが辛いと思うぞ」
前世の知識分だけ、キャパシティ食うだろうし。
「転生チートや!ビーターや!」
「前世で頑張っておけば良かったな?」
「即死呪文辞めろ!」
「飛び火したんだが!?」
「俺もなー!前世で真面目に物理学を学んでればなー!今頃はロボ作れたんだけどなー!」
「まぁ、これから学べば良いだろ。お前らの年齢ならまだまだ先があるんだし」
「一番若いのセツニキなんだが?」
「これから成長期だぜ!」
「詐欺だろそれ!」
「HAHAHA」
若いって良いよな。身体が思い通りに動く。それから話題をコロコロ変えながら雑談を続けていると、前世の後悔の話へ移り、さらに飛んで岩手支部の製造班になった。
「実際どうなん?岩手支部の製造班。期待できそう?」
「ガイア連合だと貴重な集団で動ける奴等だったな。たぶん全員社会人経験者だぞ」
「え、ガイア連合にそんな常識人居るの?」
「個々で見れば居るだろう。全体で見ると好き勝手やってる集団なだけで。ほら、ちひろネキとか富豪俺達とか」
「あー……ガイアの苦労人達かぁ」
その覚え方はどうなんだと思うが、共感しか無いんだよな……。
「腕の方はどうなんだ?後ノリは?」
「ノリ的にはファンタジーのドワーフをロールプレイしてる感じだな。腕は悪く無いが、指針が無いとちょっと発想がありきたりというか」
「具体的に言うと?」
「剣を作らせたらロングソードが出来上がる。カトラスとかジャマハダルとかツヴァイヘンダーは出てこない」
「あー依頼人の曖昧な部分を読み取るのが苦手な感じか」
「逆に予算幾らでこんな性能をお願いしますみたいな依頼ならどんどん向こうに投げても大丈夫だ。流石にマッカ一枚で【物理吸収】の防具お願いします!みたいな阿保な依頼は駄目だけどな?」
「いや、同じ製造班でそれやったらムラハチ案件だろ」
「それな。でも、マジであるんだよなぁ。そんな糞みたいな依頼」
「後は技術料にケチつける奴等な。何度殺してやろうかと思った事か」
「因果応報って言葉を知らないんだろうな。職人に敬意を払わなきゃ自分の価値が安くなるだけなのに」
名家が高い品を買うのは見せびらかす為じゃない。価値ある技術の保護と、これ程の作品を作れる職人と懇意だという事を客人に伝える為だ。
職人も名家に選ばれているという自負があるからこそ、恥になる様な手抜きや不当に価値を高く見積もったりしない。
それを一度でも行ってしまえば、自らの磨き上げた腕の価値を下げてしまうからな。
成金が蔑称になるのは、その関係を〝金〟で買おうとするからだ。信頼関係をビジネスと勘違いするから嫌われる。それに気付けないが故に成金と呼ばれ、上流階級に居場所を得る為に金をばら蒔き、結果的に落ちぶれる。
金持ちの元に金が集まるのは、金持ち同士が価値観を共有し、情報を共有するだけの信頼関係があるからだ。何時も柳の下に
「その点、古参や星祭はしっかりしてるよな。無茶振りされまくるけど、料金を値切られた記憶が無い!」
「教育してるからな」
「教育?」
「例えば、剣使いなら実際に剣を打たせるんだよ。良い剣を作るのがどれだけ大変な事か、身体に教え込む。それが一番早いからな」
「俺達には使えなさそうだなぁ。ガイア連合の仕組み的に俺達と糞みたいな奴は対等だし」
「俺とも対等だぞ?」
「セツニキが支部長でも幹部でも無いのマジで詐欺だよな!」
『『『それな!』』』
ゲラゲラ笑いながらエナドリを飲む製造班を眺めながら、同じくエナドリに口を付ける。
相変わらず凄い覚醒するな、これ。
◇
中盤辺りには出来ていたらしいので、ここに突っ込みました。正解かどうかはどくいも様しか知りません(笑)
ただ、作者的にはエジプト滅んだ後ぐらいからショタオジにこんな事やれる余裕が無い気がする……。