【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録   作:Lilyala

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今回の章は運命に愛された勢と明確な差が生まれた後、それでも足掻く俺らを後押しする感じなお話です。

後半は探求ネキがうちの子の様に酷使されます(笑)


金策と格差と覚悟の差

 

 

 ムラサキ達と連絡を取り、改良を受けるか聞いたら全員が受けると答えたので、受付で帰り際に予約した。

 

 全額マッカで支払って帰宅。一日でかなりの額を動かしたからかちひろネキに呆れられたが、武器が無い分だけ他の修羅勢より金はあるんだよな。

 

 旅行は残念ながら延期だ。改良の日取りと被ってしまったので、ムラサキ達が事前に申請していた有給がそこに使われる事になる。

 

 今まで使っていた装備*1に着替え、異界へ向かう。……途中、ふと思い出したので暇してる式神を召喚。

 

 やって来たのはセリスとオオマチだった。

 

 

「いやー!ついに主様と冒険出来るね!」

 

「お互い頑張った甲斐があったわね」

 

 

 ムラサキとアイから飛んできた呪詛を笑顔で防ぎながら笑う二人に周りの俺達が引いている。

 

 

「じゃ、行くか。前衛はセリス、後衛はオオマチな」

 

「主様は?」

 

「周りの奴を適当に減らすつもりだ」

 

 

 まだ大人数を相手に出来る程の強さが二人に無い。そこらへんをサポートしつつ狩らないとな。

 

 

 

 

「オオマチ。次、お願い」

 

「了解~」

 

 

 俺が【挑発(殺気)】をばら蒔いて抱えてる悪魔をオオマチが【サイダイン】で釣り上げ、セリスが【絶命剣】で叩き斬る。

 

 その光景を目の当たりにした悪魔が怯んだ隙を突いて【地獄突き】で首を飛ばし、ついでに【ソウルドレイン】で周囲の敵から補給。

 

 さらに拍手一回で【煩悩即菩薩】を叩き込み、状態異常をばら蒔く。

 

 

「次ッ!」

 

「あいよ~」

 

 

 気分が高揚して来てるのか荒い声を上げるセリスと、気の抜けた声のオオマチとの対比が中々面白い。

 

 

「死ねぇッ!」

 

「【霞駆け】」

 

 

 歩法による幻覚と緩急の差による幻覚。二つを合わせて背後から襲ってきた【フラロウス】の【アイアンフィフト】を躱わし、そのまま間をすり抜けて雑に周りを切り捨てる。

 

 

「ナナシッ!」

 

「落ち着け。この程度じゃ相手にならねぇよ」

 

 

 悪魔の血の着いたトランプを適当にシャッフル。一枚引くと『A』が出た。……まぁ、そうなるわな。

 

 せっかく引いたので適当な悪魔に投擲。雑に投げたのにも関わらず、トランプは悪魔を両断して戻って来た。

 

 

 〝テセウスの船〟というパラドックスがある。

 

 

時代と共に腐り行く船の部品を次々と新しい物に変えて行く。結果的に全てのパーツを新しくした時、それは〝テセウスの船〟と呼べるのか。

 

 また、その後に古い部品を集め、再び船を組み立てた時、どちらが本物の〝テセウスの船〟だと呼べるのか。

 

 正しそうな前提と、妥当な推論から、受け入れがたい結論が得られる事を指す言葉がパラドックスだ。

 

 

 有名なのは〝私は嘘つきである〟か。

 

 

 興味があるなら考えてみると良い。正直者なのか、嘘つきなのか。その答えを俺は持っていないが。

 

 

 襲い来る【オセ】を蹴り飛ばし、投げる必要すら無くなったダーツ(ソウルドレイン)で貫く。MAGに還ったのを確認した後、再び【挑発】(殺気)を飛ばし、悪魔の視線を固定。その内の一匹をオオマチが釣り上げ、セリスが戦闘を開始する。

 

 

 さて、本題だ。俺のトランプは基本的にコンビニで購入した物で、長い間ずっと愛用している大切な相棒だ。

 

 トランプの枚数は五十二プラスJOKER二枚。数字が欠番する度に何度も買い足して使っていたのだが、当然の如く最初から使っていたトランプは一枚も残っていない。もちろん『JOKER』も含めてだ。

 

 いま使ってるトランプは、果たして本当に俺が愛用しているトランプ(相棒)なのか?それとも全く別のトランプなのか?

 

 

 その答えは誰にも分からない──()()()()

 

 

「【ハイ・アナライズ】!主様ッ!〝ギミック〟持ちだ!名前は──【幻魔 ナルキッソス】!」

 

「やぁ、可愛い子猫ちゃん達?僕と素敵な一夜(マリンカリン)を過ごさないかい?」

 

「誰が貴方なんかと────!」

 

 

 【誘惑】を食らった筈なのに何故か【挑発(ナンパ)】されて視線を動かしてしまったセリスのフォローに入る。とは言っても、セリスが戦闘していた悪魔に向かってトランプを投擲するだけだが。

 

 

「耐性は?」

 

「【全属性弱点】!代わりに──」

 

「おっと。イケない子猫ちゃん(マリンカリン)だね?」

 

「ッ──!主様の前でその汚い〝モノ〟を見せるなぁぁぁ!!」

 

 

 【誘惑(マリンカリン)】が何故か【挑発】に入れ替わったオオマチが鎌を構えて【突撃】する。そこで気付く。

 

 そういや、ショタオジ製の高級式神は【精神異常無効】持ちだったな。だから【挑発】に切り替わったのか。

 

 とはいえナルキッソスは二人にとって格上だ。セリスとオオマチの二人を軽くあしらいながら、フェザータッチと呼ぶべき優しさで、二人の胸や股関を撫でて【吸魔】で吸う(快楽を与える)余裕がある。──が。

 

 

『『下手くそ!!』』

 

「なっ──!?」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()二人がキレ気味に【絶命剣】で吹き飛ばす。

 

 その転がる先にわざわざ【二重詠唱(エコー)】──は要らないな。たぶん必要になるのは下層からだろう。

 

 適当に霊符を投げて〝水鏡〟を生成。

 

 

「ハッ!なんて美しい人なんだッ!」

 

 

 神話通り、自身の顔を見た事で()()()()()()()ナルキッソスから視線を外し、周囲に【挑発(殺気)】を飛ばす。

 

 

「ほら、悪魔はまだ居るぞ。終わったら()()()してやるから──」

 

 

 距離を大きく取る。元々の立ち位置には地面を粉砕し、クレーターを作った男鹿ニキが居た。

 

 

「へい、セツニキ!()()()()()()()()()()()()!?」

 

 

確か今月の〝合言葉〟は──

 

 

「聞いて驚くなよ?()()()()()だ」

 

 

──最後に()()()()()()だったな。

 

 

「マジかよ!?」

 

「で、男鹿ニキは?」

 

「今朝、グラ爺を()()()とこだ」

 

「朝から元気だな」

 

 

 近付いて軽く一撃づつ叩き込み、【物理反射】が無いことを確かめる。お互いに殺し合い(アイサツ)する気分では無いらしい。まぁ、俺はこの前暴れたばっかりだから獲物として魅力が無いのだろう。

 

 

「で、ショタオジってマジ?」

 

「マジだぞ。『マヨヒガ』で新人達(ひよこ)増長していた(ぴよぴよ鳴いていた)だろ?同じ様にはなりたくないから挑んできた」

 

「良くショタオジの時間取れたな?」

 

「忘れたのか?常設依頼があるだろ」

 

「あッ!『神主の試練』か!」

 

 

 納得した様に声を上げた男鹿ニキに頷く。

 

 

「うわー……悩むなぁ」

 

「珍しいな?挑みに行かないのか?」

 

「セツニキは岩手行ってて知らなかったんだっけか。古参や俺らの多くは下層試験落ちたんだよ」

 

「落ちた?お前らが?」

 

「受かったのは秋雨ニキやミナミィネキみたいな文武両道派と、カヲルニキや霊視ニキみたいな上澄みだけだな」

 

 

 お陰でテスト対策に有用な『神話知識』や『教師』のスキルカードが高騰してるぜ、と言葉を締める男鹿ニキ。

 

 

「流石に下層ともなると、ショタオジも甘かった隙を潰す事にしたんだな。ちなみに何処まで喋れるんだ?」

 

「テスト方式までだな。一芸特化か一般テストか選ぶ形で、一般テストを受ける為には悪魔召喚士の資格が必要。一芸の方はショタオジが直接テストして下層に通じるか判断。で、大半は一芸を受けて落ちた感じだ」

 

「何かペナルティはあるのか?」

 

「一芸の方の再テストを受ける為には四ヶ月に一回やるらしい一般テストを受ける必要がある。悪魔の知識を測る筆記と戦闘力を図る実技。最後に実戦の流れだ」

 

「へぇ。面白そうだ」

 

 

 テストなんて何時以来だろうな。大人になってからあの時真面目にやっていればと後悔するのは良くある話だし、俺も頑張るかな。

 

 

「筆記はともかく実技を超えれば下層探索許可書(資格)持ちに連れて行って貰えるんだけど、やっぱり自分で資格持ちになりたいだろ?だから最近の修羅勢は図書館に入り浸りだ」

 

「修羅(笑)」

 

「言うなって。正直、超えられなくて凹んでる奴も多いからな。俺も超えられると思ってたし」

 

「ある程度予想付くが、どうせ式神や仲間にギミック任せてた奴等が纏めて落ちた感じだろ?下層の難易度を想像すりゃそうなるわなって思うが」

 

「俺らや古参はセツニキやショタオジに騙されて悪魔召喚士の資格持ちも多いけど、無い奴等はピリピリしてるから空気は最悪だぞ?しかも一芸試験を超えた奴と明確に線引されたからなぁ」

 

女神転生(原作)をずっとプレイしてる状態のカヲルニキや物語(ガイア連合創設)の旗振り役をやった霊視ニキと比べる事自体が間違ってると思うけどな?」

 

「俺らや古参はその話を聞いてある程度は割り切れてるけど、全員が全員割り切れてる訳じゃ無いからさ」

 

 

 男鹿ニキも重傷だな。下層に行くって事は、少なくとも()()()()()()()()()()()と同等の知識や強さがなきゃ駄目だってのに。──仕方ないか。

 

 手持ちのトランプを全て空にばら撒く。セリスや男鹿ニキの嫁*2達は頑張っているが、流石にそろそろ援護しないと不味いしな。

 

 

「セツニキ?いきなりどうした?」

 

「男鹿ニキはパラドックスって知ってるか?」

 

「斧の話*3なら聞いたことあるぞ?」

 

「なら話は早いな。俺のトランプも似たような状態になってるんだが、前世なら絶対に出なかった答えが今世なら出たんだよ。残念ながら物限定だけどな。────やれ」

 

 

 地面に落ちたトランプが単独で動き出し、周囲に居る悪魔に【刹那五月雨斬り】を叩き込む。……意外に便利だな。

 

 

「式神って事か?」

 

「いや、付喪神だ。何度柄や刃を変えようが、船のパーツを新しくしようが。付喪神が宿ってるなら本物だろ?」

 

「あの手の問題ってオカルト的な解決方法使って良いのかよ?」

 

「問題文に但し付喪神が宿ってる場合を除くって書いてない方が悪い」

 

 

 現実の範囲外から殴るのが空想(オカルト)*4だろうに。

 

 

「さて、ドロップ回収したら帰るか。男鹿ニキ、暇だったらちょっと手伝ってくれ」

 

「それは別に良いけどよ……なんかするのか?」

 

「何、上澄みを知って、それでも上を目指す事を諦められない修羅勢(バカ)の為に()()()()を作るだけさ」

 

 

 

*1
FF11のコルセア装備

*2
べるぜバブのヒルダ。

*3
おじいさんの斧。刃を三回、柄を四回変えた斧は本当におじいさんの斧と呼べるのか?というパラドックス。これはジョージ・ワシントンの斧で……という冗談とセットで覚えられてるらしい。

*4
憑依信仰は日本独自の考え方なので、実は現実でも哲学者の範囲外から殴ってる。但し〝私は嘘つきだ〟は作者の頭では答えが出ない。




下層試験クリア目安は子供の頃のショタオジぐらいの知識&実力 か 一芸が必要な感じで書いてます。

カヲルニキ達は越えられて、俺らは普通に落ちました。

探求ネキは越えた後かも知れないし、受ける前かも知れないシュレディンガーの探求ネキ状態です(笑)
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