【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
セツニキゼミでやった所だ!根回し編
男鹿ニキに星祭利用許可書持ち限定のスレを立てる様に頼み、ショタオジに面会を申し込む。運が良かったのか、タイミングが良かったのか。特に待つことも無く直ぐに案内された。
「今日はどうしたの?」
「ちょっと相談したい事が出来てな」
殺意の籠った視線を俺に向けるネコマタからお茶を頂き、一口飲む。うん、不味い。古今東西の毒の味がするぜ。
「いや、何で飲み干すのかな?吹き出すの期待して許可出した俺が言うのも何だけどさ」
「まぁ、不味い*1だけで死にはしないしな」
口直しに御茶請けを食べると、凄まじい辛さだった。キャロライナ・リーパー*2でも使ったのか?
「……何で普通に食べてるにゃ」
「この程度じゃ温いぜ」
「味覚オカシイんじゃにゃいか?」
「ふっ。蒙古タンメンや北極の美味しさを知らない可哀想な奴め……!」
ネコマタを憐れな目で見詰めて煽っていると、ショタオジがポツリ。
「…………俺も食べたこと無い」
「…………今度、パチモンだけど作ってやるよ」
「……うん」
まさかショタオジに流れ弾が飛ぶとは流石の俺も予想外だ。確かカップヌードルでの発売は二〇〇八年だったから流石に終末の方が早いだろう。
何となく暗くなった雰囲気を変える為、拍手一回した後に話を切り出す。
「下層試験で修羅勢の鼻を折ったらしいな?」
「セツニキは反対だった?」
「いや?むしろ感謝の気持ちで一杯だ」
レベル五十まで来ると、流石に出来ない事なんて殆ど無くなる。知識と経験さえあれば、神の真似事だって行けるだろう。
だからこそ、このタイミングでの足止めは助かった。俺らも古参修羅勢も下らない増長で失うには惜しい人材ばかりだからな。……とはいえ、問題が無い訳でも無い。
「ちひろネキにデータ見せて貰ったんだけどな?ちょっと問題が起きてるんだよ」
「問題?」
「中層素材の持ち込みがガクッと落ちてる。理由は予想付くだろ?」
「……勉強の為に修羅勢が潜らなくなったからか~」
これは山梨を第一に考える俺にとってかなり不味い状況だ。簡単に言えば、ショタオジの負担が増える。その結果、ガイア連合のあらゆる所に不備が出てしまう。
「でも、ここに居るって事は何かしらの案があるんだよね?」
「机に向かって勉強させるんじゃなくて身体に叩き込んでやろうかとな」
「具体的には?」
「星祭の異界を少し弄って、出現する悪魔全てを〝ギミック持ち〟にしてやるつもりだ。もちろん下層基準のな?」
「……成る程。マヨヒガとメシアの術式をパクって来たんだね?」
「当然。凄く便利そうだぞ?」
懐から霊符を取り出し、机の上を滑らせる。
「へぇー……これは確かに便利そう。色々悪い事に利用してくださいって言ってる様なもんじゃん」
「結界と術式が違うから同時に張れるのがデカイよな。普通なら費用対効果が釣り合わない規模の術式も同時に使えそうだし」
術に詳しくない人間に説明するなら、単純に結界に付与出来るキャパシティが二倍近くになった。普通なら結界のキャパシティ拡張は手間や費用の割りに余り伸びないのだが、マヨヒガ術式は系統が違うお陰で〝俺の考えた最強の結界〟を張れる感じだ。──たぶん東京大結界も同じ様な作りなのだろう。
じゃないと高位術者を失った根願寺が維持出来る訳が無いし。
「うん、許可するよ。というか殆どの俺達は勝手にやって事後報告なのにセツニキは律儀だよね」
「星祭はショタオジの傘下だし、機密が多いからな。勝手する訳にはイカンだろ」
「あ、マッカ製造、やっぱり星祭になりそう。今頃ベルフェゴールが倉の地下で作業してるんじゃないかな?」
「お、それじゃ面白い物をやるよ」
霊符から取り出したのは岩手支部製造班が作った〝マッカボックス〟だ。
「これにマッカを入れると、マッカを構成する霊力を使いやすい〝無色〟として抽出してくれる岩手支部が作った〝オモチャ〟なんだけどな?十枚ぐらい入れると──詰まる
「……これの何処が面白いの?」
「この霊力を取り出した後に出る搾り滓がな?──〝純金〟なんだよ」
簡単に搾り滓を取り出せる様に改良を頼んだお陰で、初期の頃の様に壊す必要が無くなったのは助かる。岩手支部は本当にこういうのが得意だと実感した。
「岩手支部にとってはただの金だが、俺らにとっては話が変わるだろ?」
「へぇ。つまり誰でも利用可能なリサイクル出来るエネルギーが生まれた訳だ?」
「〝無色〟の霊力ってのが堪んないよな。理論上、どんな奴にも使えるエネルギーだぞ。しかも操作が簡単!」
霊力を込めたい物を上に乗せてマッカを入れるだけ!わざわざ霊力操作の訓練をしなくても誰でも出来る!
「ますますマッカの価値が上がるね。これを知られる前に契約纏められて本当に良かった」
「本当にな」
ただでさえ素材としても優秀なのに、付加価値が付いたのはデカ過ぎる。製造権利を得た以上、ルキフグスの一人勝ちにさせないで済んだし。
「唯一の欠点はまだ一枚【アギ】一発分って事だが、地方霊能組織なら十分だろ?特許は岩手支部が取ったから一般販売しても良いし、好きに使ってくれ」
「了解。量産して、占術で一番良いときに売る事にするよ。改良はして良いの?」
「もちろん。というか刻まれてる術式的に最高変換効率はショタオジ以外無理な気がするわ」
「あー……これはいきなり難易度跳ね上がるタイプか。確かにまだ俺達じゃ厳しいね」
「次点でもエドニキ達古参製造班がギリ刻めるレベルだし、一般販売は岩手支部クラスの品質になるだろうな」
「それでも役に立ちそうなのが何とも言えないよね」
「一ヶ月一族総出で霊力を込めるより、マッカ一枚投入した方が早いしな」
それで悪魔から二マッカ以上稼げれば、もう一回遊べるドン!となる。銭投げは何時の時代も強いのだ。
ネコマタが淹れてくれたお茶を飲む。糞甘い。
「……やっぱり味覚おかしいんじゃないかにゃ?」
「悪魔を何万匹食ってると思ってるんだよ。この程度の味じゃ動じる訳無いだろ?」
「それで何で霊器揺らがないの?可笑しく無い?」
「ショタオジが人間である以上、俺程度の霊格じゃ人間を辞められる訳無いだろ?」
「…………セツニキは俺を人間だと思ってるんだ?」
「どうした急に」
「いや、ほら。俺って何でも出来るからさ」
「何でも出来る?セックスした事無いのに?」
「この場面で下ネタぶちこむ?普通」
「いや、当たり前の事を聞かれたらボケるしか無いだろ」
俺達と一緒に下らない事してはしゃいでる奴が人間じゃなくて何なんだ。
「セツニキに聞いた俺が馬鹿だったわ。……そういえば、星祭の筆頭巫女とはどうなの?いい加減、手を出した?」
「そろそろ夜這いされそうな感じだな。セリス達もくっ付けようとしてるのかケツ叩いてるし」
五人全員をダウンさせたからって酷い扱いだ。他所の嫁は独占欲強いのに。
「他の俺達の式神とは随分違うね?」
「距離感がミナミィネキに近いんだよな。恋人とか嫁じゃなくて仲間っていうか」
「なるほどねぇ~」
新しくネコマタが淹れてくれたお茶を飲む。う~ん、苦い。安息香酸デナトニウムか*3?
「だから何で耐えられるにゃ」
「むしろこれは俺のせいじゃ無いだろ。地方の糞みたいな霊薬飲んでみろ。この程度は可愛く思えるぞ」
「掲示板でも言われてたけど、そんな酷いの?」
「カレーって偉大だよな。どんな物に叩き込んでも全てを消してくれるし」
「そんなレベルなのかにゃ……」
「そんなレベルだぞ。しかもゲーム的に言えばMP1しか回復しねぇ」
「誤差じゃん」
「【反省を促すダンス*4】踊った方が回復するぞ」
「セツニキ、その見た目でギャグ出来るのずるくない?」
「最近は〝本物〟のセッツァーさんが現れたからな。俺は別路線に進むぜ」
「え、誰か式神で作ったの?」
「らしいぞ。製造班から聞いた」
「セツニキなら出来たぞ!って無茶振りされる式神大丈夫?」
「その話題も出たが、大丈夫だろ。最近の俺達には知名度無いし」
「あ~最近まで岩手だったし、こっちに居ても基本的に異界か星祭か」
「うむ」
わざわざ出る必要無いしな。異界と星祭を反復してるだけで楽しいし。
「何というか満喫してるねぇ。二度目の人生」
「ショタオジと出会った瞬間、何もかも杞憂だと分かったからな。そら楽しむさ」
ショタオジが無理ならどうにでも出来ないと諦められる。直接やり合ったからこそ、素直にそう思える。
「ま、俺も楽しんでるけどね。俺達は見てて飽きないよ」
「そら良かった。転生者を集める為に頑張った甲斐があったってもんだ」
個人的にはS案件を引き起こす奴等は処分したいが。ショタオジを楽しませるという価値があるなら、何とか我慢出来る。…………たぶん。
◇