【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録 作:Lilyala
そしてタイトルを見てくれ。実はまだ本編始まって無いんだ(笑)
「認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちというものを」
「私達も所詮俺達ですしね」
「案を出した私もですけど、皆さんも大概ですよね」
「私もここまで楽しめたのは久々だ」
「いや~♪これは中々良い異界なんじゃないかな?」
ガイア連合でも色々出来る人材が揃ったお陰というべきか。完成した試作品一号は、とてもじゃないが人間が越えられるレベルじゃなかった。
「楽しみ過ぎたが、流石に却下だ。試走でショタオジ以外即全滅は流石に駄目だろ」
「ですよねぇ。式神抜きにしておいて本当に良かった」
「幾つか使えそうな〝ギミック〟を確認出来ましたし、私達の技術限界を確認する意味ではアリでしたけどね?」
「私達もここまで出来るようになったかと思うと感慨深いな」
「確かにな」
まだ餓鬼にビビってた頃と比べると、文字通り天と地の差があるぐらいには成長したな。
「それで、次はどうします?」
「幸い素材は俺らや古参が持ってくるからな。錬金術でそれを昇華すりゃ良いだけだから、本命の前にもう一回試作品作るか」
流石にこのまま本命は怖すぎる。
「難易度的にはどれくらいで?」
「レベル三十で作るが、ボス含めて俺らが苦戦するレベルが理想だ」
「了解。では、私はギミックに回ろう」
「あ、私もギミック行きます」
「では、私とセツニキで異界作りですね」
「頼むわ、探求ネキ。ついでにイワナガとサクヤも呼ぶか。神の【権能】を混ぜた時の状態を知りたいし──よし、封印完了。深層試験にでも使ってくれ」
「いや~助かるよ」
封印して箱に封じ込めた〝異界〟をショタオジに投げ渡す。持っていても使えないしな。
「作った身で言うのもアレだが、深層試験を越えるには何年掛かるやら」
「ぶっちゃけ、ギミックを無理矢理解除して強化された悪魔を殴った方が楽ですよね」
「そう簡単に解除出来る難易度じゃないけどな?」
「うむ。自信作だしな」
「私達のはまだマシじゃないです?ショタオジお手製のギミックありますし」
「俺が作りました☆」
ウィンクで星を飛ばすショタオジを見て、軽く溜め息を吐き出す。上が居るって良いなぁ!
気持ちを切り替える為に一度拍手。
「じゃ、俺はイワナガ達呼んでくる。出来る所まで先に宜しく」
『『『了解』』』
さて、星祭に居てくれると良いんだが。
◇
結界とは、主に神聖な場所と俗世を区切る〝仕切り〟としての役割を果たすモノ全般を指している。
村や道に悪しきモノを入れない為に置かれる道祖神も、その性質上、結界を発生させる〝装置〟になる訳だ。
この悪しきモノは傲慢な権力者に言わせれば愚民となり、その場合は館を囲む塀や堀、城壁が〝結界〟となる。
政治家達が自分達の居る場所を政界と呼ぶのは、愚民には立ち入られたくないという心の現れだと言うのは言い過ぎか。
話が逸れた。元に戻そう。
〝界〟という言葉は仏教の言葉であり、神道では〝
神社の周囲を覆う鎮守の森や一段高くなっているのは、神聖なる境内と俗世を分ける為だ。つまり、そこには確かに〝境〟が存在している。
日本人は幼い頃から無意識にそれを感じ取っており、境内で自然と背筋が伸び、小声になってしまうのは、霊能が無くとも神を側に感じているからかも知れない。
まぁ、長々と語ったが、言いたい事は単純だ。
「なぁ、ショタオジ」
「ん?どうかした?」
「シャドウ式じゃないペルソナ降霊の術式ってたぶんこれだろ」
「…………良く自力で辿り着けたね」
霊符に書いた術式をショタオジに投げ渡すと、そんな言葉が返ってきた。
「セツニキ、閃きでも起きました?」
「サクヤの〝境〟は調和型だから気付けなかったが、イワナガの〝境〟がキッチリしてるお陰でな」
「……確かに分かりやすいですね」
例えるなら、モノリスで四方を覆っていると言えば分かりやすいか。人の手では到底出せそうに無い、綺麗な表面の壁が四枚あり、それが異界を覆っている。
「む~私は〝炎〟だから仕方ないじゃないですか~」
「〝一族〟に伝わる多くの術式が私の【権能】を真似た術式なのも関係してますね?」
「だろうな。ショタオジはそこらへんを変数で行うが、俺はキッチリしてる方が好きだわ」
「リアルタイムで変えられた方が便利だと思うけどねぇ」
『『それが出来るのは
戦闘中に効果を切り替えるなんてやってられるか。どれだけの技量なんだよ。
「あ、自分で気付いてると思うけど、セツニキはどう頑張ってもペルソナ使いにはなれないからね?」
「分かってる。ここまで肉体と精神の〝境〟が曖昧だと無理だろう」
ペルソナ使い特有の移動術はやってみたかったが〝境〟が炎の様に揺らめいてる以上、確固たる形にはならん。
「バレると式神製造班が煩くなりそうですね。ペルソナ対応式神が欲しい俺達は多いですし」
「まぁ、しつこかったら拳で語り合うぜ」
「言葉って知ってる?使うと便利だよ?」
「言葉は使う難易度が高いからなぁ。嫌だって断ってもフリなんだろ?って返されるし」
「バベルの塔でも建てるしかありませんね──っと、出来ましたよ」
「お疲れ様」
「お~良い出来だね」
外側をイワナガ、内側をサクヤの生み出した〝境〟によって分けられた境界の中心部。そこに建てられた水晶製の鳥居の中に、探求ネキ製の〝異界〟が生まれた。
「む?少し遅れてしまったか?」
「結構急いだんですけどね」
「いえ、丁度出来た所です」
「ギミックは出来たか?」
「うむ。これだ」
渡された丸い水晶を覗き込む。……うーん。
「確か探求ネキは大陸系だよな?」
「そうですね。ベースはそちらになります」
「で、ミナミィネキは主に色欲特化で、秋雨ニキは陰陽道をベースに神道と大陸。イワナガとサクヤは神道系統だが、今回は【権能】の山と寿命長寿だったよな?」
「ええ。指定通りに」
「私もちゃんとやりましたよ~」
「……うん。別の意味で面白いもんが出来るかもしれん」
渡された丸い水晶を異界の中に投げ、星霊神社の異界とマヨヒガ術式を挟んで接続。さらに地脈と接続して、後は待つだけ。
「セツニキ~俺も見たかったんだけど~?」
「いや、ショタオジには事前知識無しで見て欲しい。正直、俺達もこのレベルの術者になったのかって驚きがあるぞ」
「そんなに?」
「そんなに」
ショタオジと会話してると、異界のギミック適応が終わった。相変わらず鳥居は水晶のままだが〝門〟の色は無色透明から
「……?何か甘い香りがしますね」
「まぁ、そこらへんは入ってからのお楽しみだな。ショタオジ、イワナガ達の護衛頼んで良いか?」
「オッケー」
必要無いと思うが、念のためギミック解放の札を渡しておく。そもそも俺達程度のギミックが通るとは思わないが。
「じゃ、行くか」
「はーい」
「セツニキが勿体ぶるとは期待値が高いな」
「ですね。私もワクワクしてきました」
存分に驚くと良いさ。何せ──
◇
『『おお……!これは凄い……!』』
女子二人が感嘆の声を上げるのを眺めつつ、秋雨ニキと周囲を警戒する。
「最初のエリアは
「上手く機能した様だな。結界から出るとギミックが発動するから注意してくれ」
「了解」
警戒レベルをある程度下げ、その分を周囲へ向ける。例えるなら空に浮いてる〝仙境〟と言った所か。
日本にも中山仙境*1があるが、どちらかと言うと大陸の仙境だ。
空の青が桃の花で埋め尽くす仙境を美しく魅せるこの光景は、SNSに投稿すれば一万良いね!ぐらいは固いだろう。
「見事なもんだね。セツニキと秋雨ニキが上手く大陸と神道を繋いだ結果、ここまでの〝桃源郷〟になった感じかな?」
「マヨヒガ術式のお陰でもある。あれは人の〝願望〟を形にする機能もあるからな」
理想郷や黄金郷。この場所に良く似た場所は世界各国の神話や伝説にあるが、人の欲望
今の苦境を乗り越えれば明るい未来があると、多くの人間が望むからこそ作られる場所。ある意味では〝希望〟を具現化した
今回、俺達が作り出したのは、大陸で語られる〝桃源郷〟と呼ぶに相応しい、美しい異界だった。
「さて、女子達が満足したみたいだし、そろそろ始めるか」
「私とミナミィネキはギミックを知ってしまってるからな。掛かるまでは黙っていよう。ただ、解除手段はショタオジ担当だから聞かれても分からんぞ」
「こっちは土地や悪魔の〝型〟の基礎こそ作ったが、何が出るかは全くわからん。だから〝変なもの〟が出ても諦めろよ」
「それはそれで楽しみだな」
「全くだ」
初見のゲームを手探りで進める楽しさは、何とも言葉にしづらい楽しさがある。
見る物全てが新鮮で、苦労して見付けた稼ぎポイントには上位互換がある事を知って。
落ち込みながら進め、ボスを倒した時の快感は格別の美酒となる。
「じゃ、まずは──この箱から開けるか」
「
「取り敢えず【アナライズ】────くくっ。成る程ね」
「セツニキ、どうしました?」
「やってみれば分かるぞ?俺程度*2の【アナライズ】で抜けたからな」
「では私も──成る程、ルール説明ですか」
木箱を【アナライズ】する事によって抜ける情報は、以下の通り。
・ギミック『能力制限*3』により、プレイヤーの能力はレベル1程度まで落ちます。
・ギミック『スキル・魔法・権能・霊力制限*4』により、プレイヤーは該当の能力を封印されます。
・ギミック『装備制限*5』により、プレイヤーの装備は一時的に特殊能力を失います。
各ギミックには解除手段及び失敗時の罰則が用意されておりますので、お好きな方法をお試しください。
最後に箱の中にはランダムで生成される解除手段が一つだけ用意されております。上手に御活用ください。
貴方達の御武運をお祈り致します。
「箱の中に用意って言ってるのに罠満載で解除前提なの笑うんだが」
「渡すつもり無いですよね、これ」
「斥候型の俺らが過労死しそうだな」
「すでに酷使枠ですから変わらないのでは?」
「そうだな──っと、開いたな」
カチャリ、という音と共に箱の鍵が外れた。
「自信作だったんだがな?」
「長く一緒に居るからな。お前らのクセは見抜けてるよ」
「むぅ。ショタオジの様に痕跡を消しきれてませんか」
「俺なら他人の癖を偽装するしね~」
「あれ、本当に分からないんですよね……」
「それな。……霊符か」
箱の底にあったのは、生成されたばかりの霊符。時々揺らぐのは構築し終わったばかりだからだろう。
とはいえ術者の力量的に使用する分には問題無いし、有り難く使わせて貰おう。
「『魔法解除』ですか。悩ましい所来ましたね」
「俺が解除するならまさかのヒーラー役になる訳だがどうする?」
「それも面白そうですけど、制限解除やってみます?」
うーん……悩ましい。が、答えは決まってる。
「ここに居る面子なら問題無いが、修羅勢の多くはそういう技術が無いしな。大人しく現状に従おう」
「了解です。それでは『魔法解除』はセツニキどうぞ。ヒーラー役お願いしますね」
「了解」
取り敢えず霊符を入れてるポーチや仕込んでるアイテムを一旦床に置き、今着ている装備を脱いで
「もしもーし?女の子がここに居るんですけどー?」
「今更だろ」
「だからって普通脱ぎます?」
「見られて困る肉体はしてないぞ?」
脱いだ装備を霊符に収納して新たな装備*6に着替える。ついでに霊符から薬品各種と床に置いた物を再び仕込み直す。
「一気に賢者っぽい見た目になりましたね」
「俺は戦士で学者で詩人だった男だぜ」
「俺達らしい過去ですねぇ」
「人生の後半は動くの辛くてなぁ。リハビリ以外はオンゲばっかりやってたわ」
「私も何時かそういう日が来るんですかね?」
「高レベル覚醒者なら老いを無視しそうだが」
俺達二人の視線が自然とショタオジへ。向けられたショタオジは笑いながらピースをこちらへ向ける。
「老いなさそうですね」
「だな」
羨ましい限りだぜ。