七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス) 作:墓守
「お疲れサマンサー!」
「「「お疲れー!!」」」
全員で乾杯をする。目立つ受肉体はスカウト・排除したし、呪霊もあらかた倒した。総合的に人手は増えたし、神谷に研究資料も譲渡できた。約束の一月どころか三ヶ月過ぎて、呪霊のクールタイムもとっくに終了。
なので、一区切りのお祝いとお疲れ様会とお別れ会である。
嬉しい誤算として、直哉は、憧れの最強ではなくなったとはいえ甚爾に相手をしてもらい短期間で超スピードに丸くなっていたし、向こうの虎杖は受肉体ではなくなったが呪霊が見える状態は維持。真希の天与呪縛も外した。なお直哉は泣いた。
15本まで大丈夫と知り、虎杖のひとまずの立場も安泰。
とりあえずは、めでたいと言っていいだろう。
「じゃあ、この指の扱い、気をつけてね」
「わかったよ。この指はしっかり保管する」
15本分の指である。虎杖が喰らうと乗っ取り不可避なので、取り込むとしたら悟が抑えなければならないだろう。だが、それでも宿儺の指を消滅させる手段として受肉が選ばれる可能性もあった。
「神谷先生。どうしてもこちらの世界には来ていただけませんか?」
「もう亡くなっているとはいえ、同一人物が二人ってのはゾッとしないかい? 私はごめんだよ」
「傑がこっちに来てもいいけど?」
「悟を一人には出来ないよ」
そんなわけで、綺麗にお別れである。
「ああ、恵くん。私を背負うのもいいけどね。私、本当は優しい神谷先生を演じるのが好きなだけの、ゲス野郎だから。君もそう、肩肘を張らなくてもいいんだよ。憧れは理解からは最も遠いともいうしね」
恵はきょとんとして笑った。
「知ってます。偽善者ごっこ、ヒーローごっこが大好きで、賞賛されるのが大好きで、知らない人は、知ってる人でも本当は結構どうでもよくて。俺は、そんな神谷先生が好きでした。ほんっとトラブルメーカーで、最強コンビの上をいく問題児がいるとはって話題になってましたから。死に際だって自業自得が100%ですし」
「そ……それは本当に私ですか?」
引きながら神谷先生は言った。
「並行世界の同一人物とはいえ、別の人なんだって思えるほどの差異はありました」
「それはよかった。本当に良かった」
「でも、神谷先生は神谷先生ですよ。それははっきりわかりました」
「ええ……」
「先生、いつまでも元気でいてください」
「健康には気をつけるとするよ」
にこやかに別れた後、総監部は神谷に術式譲渡の命令を下した。
「あのさ。今際の際に譲渡をお願いするぐらいだったらまだいいけど、そうじゃないでしょ? そもそもの前提として、この術式、医者としての技術と経験と知識が必須なの。そんな候補者いるわけ?」
「そもそも、その特殊な病源蟲の出し方がわからないのですが……」
怒れる六眼と、戸惑う神谷。
そして、神谷は続ける。
「そもそも、大体呪術についても学べましたし、仙水さんの治療法も学べましたので、そろそろお暇しようかと。代価の分は働きましたし、残穢の整形方法も習得しましたし」
「へ?」
五条が飛び退く。
足元には、裏男。
「「「!?????」」」
「それでは、また機会がありましたら、お会いしましょう」
裏男に飲まれていく神谷と総監部。
無事だったのは避難できた五条悟だけ。
「え?」
「え!??????」
五条は動揺し、呪術界も騒然となり、魔界の穴が開く日をドキドキしながら待つことになるのだった。
なお、実際には魔界の穴が開かなかったばかりか、総監部が総入れ替えされたからか最初のゴタゴタを乗り越えると死傷率が驚くほど下がって平和になるのだった。
こっちの世界にも生まれていた仙水達が何を思い、どうしているかは誰も知らない。