七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス) 作:墓守
僧服の男が踊りで負けて苦しむ。
「ぐっ……」
「大丈夫ですか、洗脳された味方枠の人!」
「そういうのもあるのか」
「夏油様! 夏油様夏油様夏油様!」
「夏油様は、脳みそを入れ替えられているんです!」
「夏油様を見せしめのように無理やり踊らせるなんて、許せない……!」
「そうは言っても、踊って倒すしかないでしょ」
「一旦休憩して、三人がかりで倒そう」
各方向から強襲して、虎杖達は合流を果たしていた。
なお、休憩と報告はしている。今も、五条 悟に敵方の術士を引き渡すとともに、休憩をしているところだ。尋問で事情を聞きつつ、スポーツドリンクを飲み、水を浴びる。涼しくなってきたが、運動した体は熱く熱を放っている。
「そろそろ動きがついていけない……」
「頑張れ、ここまで来たらもう少しだから」
「成功すると治療されて、失敗すると死ぬから緊張感が半端ないしな」
三人とも、かなりの数の改造人間達を人間に戻している。
非常に強力な能力と言えた。
ただ、流石に全員ノーミスとはいかず、犠牲者も出てしまっている。
また、ダンサーにさせれば、というのは攻撃パートでの攻撃力が足りず、結局術師たちが踊らざるを得なくなり、開放された呪霊を倒す役割もあるため、結局踊るのは一年生三年組だけとなった。
「術者の体力も心配だし、頑張らないと。あの人は休憩なしだし」
「はた迷惑な……って言えないか。正直、助かったわ。犠牲者も出たけど」
「……あはは。……彼は、僕の親友なんだ。頼むよ」
五条先生に頼まれ、一年生組は気合十分で戦いへと向かった。
「ここからは、引掛けもあるから、俺が指示する。ノーミスで行くぞ!」
「おおー!」
三人がかりで踊る。
「ちゅー! チュー! ちゅー! ちゅー!」
「二番目だけハート銃で撃って!」
「「了解!」」
踊る。
「レフライレフライチューチューチュー!」
「レフライレフライチューチューチュー!」
踊る。
「愛! 愛なんだ!」
「愛って何よ!」
「おかしい、これは最終局面のムーブ……!」
「最終局面って何が起こるんだ?」
「悪役が踊りで洗脳されて良い人になる。とにかく、愛情を込めて踊るしか……」
「愛情込めて踊るって何よ。ああもう、やってやるわよ!」
「難易度上がったな……」
そして。虹の橋を歩き、宇宙船の上で踊る夏油のもとに踊りながら向かう。
なお、この辺の動きはオートである。
更にダンス勝負は続く。
「すごっ……」
「呪力が吸われる……!」
「エネルギーが渦巻いてる……!」
そして、テロップが流れた。
『夏油 傑の治療と救出に成功!』
「いよっし! 不意打ちに注意!」
「アップ」
「「「アップ!」」」
「警察、ありがとー♡」
そう言って、宇宙船の上で踊り狂っていた人が虎杖達の後ろに転移する。
「警察ではないけどな」
『ゲームクリア! ハッピーエンドです』
「疲れたー!」
「体が痛い……」
「なにげに呪力も空だな……」
宇宙船が次々に消えていき、渋谷にいつもの風景が戻っていく。
スポーツドリンクで水分補給した一年生たちは、死んだように眠りにつくのだった。
一方その頃。
「傑。こっち向いてよ、傑。傑だろ?」
夏油 傑は、自らの顔を覆ってしゃがみこんでいた。その顔は真っ赤である。
「……あの能力はずるいと思うんだ」
「それは僕もそう思う」
「家族達のことを頼む。取り返しのつかないことをしてしまった。家族の助命のためなら処刑は受け入れるし、何でもするよ」
「「夏油様!」」
縛られたまま、少しでも夏油に近づこうとする夏油の「家族」。
「私は……術士以外を猿にしか見れなくなっていて、声も碌に聞こえなくなっていて」
「うん」
「傷ついていた心も、憎しみも、全部無理やり力技で癒やされてしまった」
「うん……? ほんとに?」
「巻き込んだ家族には本当に申し訳ないが、今、心が暖かくて、世界平和に従事したいと思う」
「え、それって……」
「洗脳というやつだな。酷い洗脳だ。本人は狙ってないというのが特に。あと、虎杖たちに逆らえない感じがする」
「えーと、それは傑には残念だろうけど……僕には好都合、かな? おかえり、傑」
五条は、戻ってきた親友に手を差し出した。
「煩い 恥だ 1人にさせろ」
「もう二度と1人にしないに決まってるでしょ」
ハッピーエンド!!