七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス)   作:墓守

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誤字報告、感想、ここ好き、ありがとうございます!
次回、次回こそ主人公が出ると……多分……!!!(なお次回更新はゲートキーパー予定)


シーマン5

「悠仁の兄……この方達が」

 

 悠仁の祖父は、戸惑いながらも受肉した三兄弟を見た。

 長男は普通に見える、壊相は服装だけではなく違和感を感じる。そして血濡はとても人間には見えない。

 

「俺としても、末弟がいるとは思わなかった。だが、確かに血の繋がりを感じる。ならば、俺はお兄ちゃんとしての義務を果たそうと思う。悠仁をどうか任せてほしい」

「悠仁は普通の人間じゃない。それはわかってるんじゃねーの? 今後必ず巻き込まれるし、だったら最初から力をつけた方がいい」

 

 説得をした後、代表して脹相に説明を行う。

 

「俺は、弟達によりよい環境が得られるなら何でもする」

「そ。今はまだ無理だけど、20年後、もう少しマシな未来を見せてやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よくわからないけど、10年後、里香ちゃんも危なくなるんだよね? なら、僕は里香ちゃんを守る為に協力するよ」

「ありがとう。君の婚約者には護衛を付けて、安全を保障するよ」

 

 

 

 

 

 

 

 真摯な説明と説得の結果、乙骨と虎杖は無事五条家預かりとなった。

 その上。

 

「赤血操術だと!? しかも毒の効果つき、血液無限!?」

「十種影法術だと!?」

 

 加茂家と禪院家は大騒ぎとなり、直毘人は直哉を問い詰めた。

 

「五条家に膝を折るという事ではあるまいな? 恵の術式を知っていて五条家にみすみす渡すとは、当主の座を欲したか?」

 

 酒を飲みながら、殺気をぶつける。だが、直哉は耐えた。

 何せ、なんとかしないと人として呪霊として、2回も半端者のちみっこに殺されるのだ。それは嫌だ。

 

「むしろ膝を折ってるのは悟くんやろ? 大親友の傑くんを預けるんやから。壊相と血濡を預かるんは負担やし……。一方的に五条家利用してて、なんや申し訳なくなってくるくらいや。安心せぇよ。10年後にちゃあんと恵くんは帰ってくるから。ま、当主継ぐんは真希ちゃんかもしれんけどなぁ」

 

 そうやって強がりもあるが、馬鹿にするように言ってしまうのは直哉の性格故か。

 だが、その発言の異様さと本気で言っているらしいということに、直毘人は思考を巡らせる。酒カスだが、伊達に当主をやってはいない。

 

「……あやつ、清志。予知系統の呪霊でも飼っておったのか?」

 

 直哉の表情を見て確信する直毘人の表情を見て、直哉は誤魔化しきれないか、と諦める。元々、直哉の口は割と軽い。そして黒い。

 

「あー。パパならええか。ついでに探して確保して欲しい子もおるし……。禪院家な。ほぼほぼ全滅するゆう予言があるんや。せやから、恵くんは伏黒性にしといた方がええんや。全滅回避できたら呼び戻したらええ。本人もお姉さんに危害が出ない大前提があれば、ってことで納得しとる」

「詳細を教えろ、直哉。当主命令だ」

 

 殺気を出した言葉に、直哉は頷くどころか、逆に戦意を見せてきた。

 

「いやや。パパ、甚爾くんに悟くんの抹殺仄めかしたやろ」

「!!」

 

 それがなければ、甚爾は死ぬことはなかった……とまでは言えないが、何せ直哉は甚爾を尊敬し、憧れていた。その人が無理した一因となって、それが黒幕の手の内だったと思うと、どうにもやりきれない。直哉はそのモヤっとした感情を隠す男ではないのだ。

 

「10年後、呪霊との内通者が好き勝手やる事になっとる。でもな、今のうちからある程度準備しとかな理屈に合わん。現時点で、総監部と御三家にもそれぞれ根が張ってるはずなんや。パパもそういう意味では信じられへん。五条家が一番侵食率低そうやし、悟くんを守り切った実績があるから、弱くて確定味方なのは五条家に放り込んでおくのは正しい。傑くんも囮やしな、ほんまに五条家が一方的に損してるんやで? 悟くんは性格上、きっちり鍛えて返してくれるやろうしな」

 

 はっきりと信じられないと言い切った直哉だが、五条悟にも喧嘩を売っている。相変わらず尖った男である。

 

「禪院が五条に負けると? だから五条に膝を折ると?」

「五条家、悟くん1強やろ。悟君死ぬから、普通に潰れるんやないかなぁ。ま、禪院家全滅も悟君戦死もさせへんけど。自分かて死にたくないし。呪霊になる経験はしたくないわ」

 

 歯に衣着せぬ着せぬものいい。でもそれは自分に対してもである。

 

「真希は強くなるか」

「ぜんっぜん信じられへんけど、甚爾君クラスになるらしいわ。そしたら遊雲返してもらう約束やし、自分も本当に甚爾君クラスになったらサポートしてもええ。一番やる気あるっぽいし」

「真依が死ぬか」

 

 直哉ははっきりと表情を歪める。

 幼児をボコる腐った男ではあるが、殺すとなるといかに直哉でもあっさりと認める事はできない。だが、真依を殺せば、今一度憧れの再来と会えるのだ。ならば、直哉は実行するだろう。

 

「……ただの死では駄目なんや。準備が必要やな」

「情報は確かなのか」

「検証の最中やけど、確かだと思ってないとパパに逆らったりせぇへんわ。当主は確かに従うべきやけど、お家や日本が壊滅する未来なんて選ぶくらいやったら逆らうわ、自分。……それに、悟君たちが信じて頼って話してくれたんやからな」

「しかし、10年かけて準備するような者がこの動きを見逃すかな?」

「見逃すわけないやろー? プチッと潰されそう。でもまあ自分強いから、生き残ったるわ。清志君と傑君はダメそうやけどな。あっさり殺されそう」

 

 正直怖い直哉である。1000年生きた化物を軽ーく倒して見せます、なんていうほど直哉は馬鹿ではない。憧れの甚爾君を倒した男を封印した呪詛師である。しかも頭が良くて執念深くて準備期間が長い。敵対した時点で詰みフラグが立っている。

 

 当主である自分に対するそれを上回る恐怖を感じているらしい直哉を見つつ、直毘人は考えた。ある程度の情報は取れた。さてどうするか。

 どうにか、五条悟の死の予言は実行させつつ、禪院家は無事に切り抜けたい。

 

「で、探して欲しい子供とは」

「後にスパイとなる子供や。天与呪縛で、日本全国に依代を飛ばすことのできる子供。与 幸吉。もうメカ丸と名乗ってるかもしれん。親に内緒で攫われて総監部で飼っとるはずや」

「……なるほど。一般出の御手洗 清志では知りうるはずもない情報だな。調べてみよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、加茂家では憲紀が責められていた。

 

「相伝を五条家に渡すなど!! なんという事を!!!」

「では特級呪物を当主にするつもりですか? 私はそれでも良いですけど」

「なんと……!?」

「私が大人になったら、当主の座は実力で奪って見せますし」

 

 自信たっぷりに言う幼児。

 

「清志相手でも、脹相相手でも、私は正々堂々戦って勝ちます。大人になったら、ですけど。流石に歳の差は覆せないし……」

「ではなぜ、他家へ! 当家の方が訓練も……」

「ちゃんと稽古をつけに行ってあげるつもりです。それに、妾胎だと言うだけで受けてきた偏見を忘れてません。元呪物、そもそも他家、二人はもっと立場が弱いから、いっそ外で加茂家の当主候補として遇された方がいいでしょう。それに、人質を預かるので、二人が粗雑にされる事はあり得ません」

 

 お泊まり会の後、オドオドした様子から落ち着いた感じに変わった幼児に加茂家の者達は戸惑う。

 憲紀としては、そもそも敵の手に家が落ちていたと知り、常在戦場のつもりでやってるだけなのだが。

 すごい幼児である。

 

 でも自分の家が敵地だと知って生活しなければならないので可哀想。

 傑と共に頑張って生き延びる所存である。

 

 

「夏油傑特級術師ですか。早速婚約者を配下の家から選ばねば」

 

 傍系ですらない扱いである。実は憲紀の隣で幼児の頑張りを呆気に取られて見ていた夏油は慌てた。

 

「いやその、私はその」

「女の子が怖いのですか? 清志もそうです。大人なのに臆病なんだから。私が守ってあげないと」

「いや、その。うん。助かるよ……」

 

 幼児に助け舟を出されて、思わずそれに乗ってしまった夏油傑は、その後術師の名家怖すぎるだろ、と五条悟に電話で泣きついた。もちろん、敵地なので観測されている。夏油傑に女を宛てがおうとしたら五条悟に泣きついたと言うことであらぬ噂を立てられるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五条の世話役のばあやが、五条に目通りを願ってきていた。

 

「坊っちゃま。禪院家に放った手の者から、未来の情報を手に入れたと聞きました。坊っちゃまは10年後に死ぬとか」

「何も聞くな。それと、俺は死なねーし傑も殺させねーよ」

 

 ぎりっと拳を握る。

 

 結局、夏油は加茂家に行く事になった。

 夏油が生き延びるなら良し。たとえ暗殺されても、夏油がメロンパン入れになれば、五条がいつでも捕捉できる。最終的にそういうことになってしまったのだ。

 夏油の記憶を、術式を、肉体を、過去を、すべて利用し穢し尽くすなど反吐が出る。

 

 だが、今のままでは手がかりがない事も確か。

 手札が揃うのは、やはり10年後なのだ。

 虎杖を受肉させる事を、五条悟はもう決めている。

 親友を救う為。日本を救う為。取れる手はなんでも取ってやる。

 

「それは良いのですが、婚約者を決めてください」

「へ?」

「10年後に死ぬのであれば、当主の代替わりの準備をしなくては」

「あー、次、乙骨ね。あいつの術式強いし、一応遠縁だけど親戚だし」

「それはそれとして、六眼の血筋は引き継がねばならぬのです。ただでさえ夏油傑特級術師とただならぬ仲を噂されているのです。早く婚約者を決めないと、子を残さず逝くことになりますよ。当主としての義務をお果たしください」

「はい……」

 

 いつになく気迫たっぷりに言われ、頷かざるを得ない五条だった。

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