七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス) 作:墓守
今回割と地獄な展開なので注意です。
俺達は五条家に集まっていた。
ほんと、一番情報の漏れが少ないのが五条家なのだ。
加茂家? 論外です。
「清志、ボロボロじゃん。訓練頑張ってる? 成長できてる?」
「全然やで、悟くん。雨の日で勝率100%、晴れの日で0%。領域使ってこられたら終わりやな」
「まあ、僕雑魚ですし。多分、領域展開も使えないですし」
「りょういきてんかい……いずれは私も覚えないと」
「俺、最近使えるようになったぜ!」
「流石やな、悟くん」
にこやかに近況を報告し合う。
「傑、大丈夫? 辛くないか?」
「幼児が頑張ってるのに、私が尻尾を巻いて逃げられないよ」
「傑は頑張っています。後私はもう幼児ではありません。子供です」
「幼児に庇われてんぞ傑www」
「うう、名家の子どもって本当に凄いよね。自信なくすよ」
「あ、そうだ。夏油さん、これ飲んで自信回復させてください」
訓練場に移動し、閉じ込めていた呪霊を開放する。
悟くんがワンパンして、傑くんが取り込み。
「大丈夫か、傑? それ、狂うほどまずいんだろ」
「それ何度目だい? 大丈夫だよ、悟。こういう術式なのだし、私の偽物は1000万も飲んだらしいしね」
「それもう、呪霊のワンコそばだろ。24時間取り込み続けても無理だって」
「そういえば、恵くんはそろそろ次の覚えた?」
「順調に鍛えてるよ。津美紀は馴染むの大変みたいだけど、外に出しても狙われるみたいだし、今後どうするか悩みどころだね。彼女は術師の血を引いてないから、家の者と結婚させるわけにもいかないし、一生監視と護衛をつけるのは……」
「でも一回呪霊が祓われたみたいだし、護衛は外せないんじゃない? やっぱり気にされてるよね。御三家周囲は」
「悠仁や九相図はどうですか? 今日も特訓をつけてあげるのです」
九相図相手にもお兄ちゃん面の憲紀である。虎杖相手にも負けるのだが。
悠仁に関してだが、ひとまず、獄門疆と死した九相図を取り込んだ事により、なんと術式と呪力と呪霊が見える目をゲット。価値が爆上がりしているが、宿儺が術式を手にれても困るため、宿儺の器として使う計画は破棄された。良かったのか悪かったのか、といった所である。他の九相図との仲は悪くない。
一通り近況を報告しあう。
「で、身の回りはどんな感じ? 自分、もう罠依頼いややぁ! 挫けたいわほんま」
「それが、酷いんだよ、悟! この前なんて毒を盛られたんだ」
「あ? 憲紀、なんで傑に毒見つけてねぇんだよ。丁重に扱え」
「ええ……悟にはついてるのかい?」
「俺は無限で弾くから」
「そういえばそんな事を言ってたね」
話し合いが続く。
彼らが見据えるのは、遙か未来。
日本人が、全て呪霊にされる未来を防ぐ為。
それゆえ、多少の犠牲も飲み込んで、自分達も傷つきつつ進んでいく。
未来を知っているが故に、彼らの視野は狭かった。自分たちのことで精一杯だった。ある程度の犠牲は、許容範囲のものとした。
だが、大多数の者にとっては、遙か未来の多くの犠牲などより、自分の身近な者の方が大事である。当然の事だ。未来の詳細を知らないなら尚更。
その当然の事に気づけなかった故に。
悲劇は起こる。
直哉は、よく話しかけてきていた。
「真希ちゃん。力が欲しい?」
「欲しいさ。当然だろ」
「真希ちゃん。当主になりたい?」
「なりてーな。私を認めさせてやるんだ」
「絶対に?」\
「しつけーな、絶対にだ。負けねーぞ」
「真希ちゃんが当主になったら、補佐したるわ」
「なんだよ、いつもボコってくるくせに気持ちわる」
何度もした会話なのに、その時の直哉の表情を覚えていない。
真依は私に問いかけた。
「おねぇちゃん。強くならなくてもいいんじゃない?」
「嫌だ」
「おねぇちゃん。当主になるのってそんなに大事?」
「大事だ」
「おねぇちゃん。おねぇちゃんが望むなら……私、応援するよ。だからおねぇちゃん。私の事、ずっと側においてね」
「当たり前だろ」
そういった真依の表情を、覚えてない。
それは、16歳の誕生日だった。
「真希ちゃん。当主になれるかもよ。儀式をすれば、強くなれる。最後や。本当に当主になりたいんやな?」
「たりめーだ! 儀式でもなんでもしてやんよ!」
調子に乗っていたのかもしれない。術式なしの直哉に勝てたから。
確かにその後、直哉は認めてくれていたから。
五条家と。禪院家と。加茂家の者が集まる。
そこに、死装束の真依が現れた。そうして出された遺書と書かれた封筒。
「は? なんだよその格好、真依」
「双子はね。1人と看做されるんだよ、おねぇちゃん。だから、おねぇちゃんは中途半端。天与呪縛なのに、私に呪力があるから、呪力があると看做されるから。お姉ちゃんの呪力を持って行って、私が死ぬ。それでおねぇちゃんは、ようやく完全になれる」
「何言ってんだよ……」
「私の事、側に置いてね。約束よ」
そうして、真依は自らの心臓を突いた。
「真依!?」
真依の最後の呪具が構築されていく。
体が震える。嫌だ。納得できない。頭の中に今までがめぐる。
嫌なのにどんどん頭がクリアになって、真依が死んだって情報が入ってきて、魂でそれを理解して。
「なんで、なんで言わなかった!!! そんな事なら、私は……!!」
「真希ちゃんが、知ろうとしなかっただけやろ。さ、戦おか。術式ありでの自分に勝てたら、それで名実ともに真希ちゃんが当主や」
直哉が、直哉が。直哉が!!! ぶっ殺す!!!!
「真依に何を吹き込んだ、直哉ああああああ!!!」
「ああ、甚爾くん。そこにいたんやね」
優しい笑みを浮かべる直哉の心臓を狙い、抜き手をさす。
だが直哉も早い。負けない。負けない。
互いのスピードはどんどん上がっていき、そうして直哉を突き放す。
トドメを刺そうとした時、最強が立ちはだかった。
「はい、そこまで。当主の座は真希。五条家の代表として、見届けたよ」
「悟、知ってたのか? ふざけんな!!!」
「憎しみは甘んじて受けるよ。でもさ、真希。ちょっと考え甘かったんじゃない? 当主ってのは綺麗事だけでできるもんじゃないよ」
「遺書。読んであげな」
夏油がいう其の手から、真依の遺書を奪う。
慟哭するも、全ては遅かった。
そして同時刻、恵と乙骨は津美紀と里香に呼び出されていた。
「結局。私達って、どこかのタイミングで人質とか受肉だと思うんだよね」
「私達、それは嫌なの。乗っ取られたりとか、殺されるより悪いじゃない?」
「津美紀。……姉貴、早まんな!!」
「里香ちゃん、僕が守るって信じてよ!」
「私達、守りたいんだよ。重しになりたくない。だから、呪力、分けてね」
「憂太。側においてね。ずっと一緒だよ」
ナイフが煌めく。血が流れる。
「「ああああああああああああああああ!!!」」
それは、五条達も想像すらしていなかったこと。
特級過呪怨霊、爆誕。
本来のものとは違う、破滅の種は、その時確かに撒かれたのだった。