七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス)   作:墓守

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評価、誤字報告、感想、ここ好き、ありがとうございます。
今回割と地獄な展開なので注意です。


シーマン 6

 俺達は五条家に集まっていた。

 ほんと、一番情報の漏れが少ないのが五条家なのだ。

 加茂家? 論外です。

 

「清志、ボロボロじゃん。訓練頑張ってる? 成長できてる?」

「全然やで、悟くん。雨の日で勝率100%、晴れの日で0%。領域使ってこられたら終わりやな」

「まあ、僕雑魚ですし。多分、領域展開も使えないですし」

「りょういきてんかい……いずれは私も覚えないと」

「俺、最近使えるようになったぜ!」

「流石やな、悟くん」

 

 にこやかに近況を報告し合う。

 

「傑、大丈夫? 辛くないか?」

「幼児が頑張ってるのに、私が尻尾を巻いて逃げられないよ」

「傑は頑張っています。後私はもう幼児ではありません。子供です」

「幼児に庇われてんぞ傑www」

「うう、名家の子どもって本当に凄いよね。自信なくすよ」

「あ、そうだ。夏油さん、これ飲んで自信回復させてください」

 

 訓練場に移動し、閉じ込めていた呪霊を開放する。

 悟くんがワンパンして、傑くんが取り込み。

 

「大丈夫か、傑? それ、狂うほどまずいんだろ」

「それ何度目だい? 大丈夫だよ、悟。こういう術式なのだし、私の偽物は1000万も飲んだらしいしね」

「それもう、呪霊のワンコそばだろ。24時間取り込み続けても無理だって」

 

「そういえば、恵くんはそろそろ次の覚えた?」

「順調に鍛えてるよ。津美紀は馴染むの大変みたいだけど、外に出しても狙われるみたいだし、今後どうするか悩みどころだね。彼女は術師の血を引いてないから、家の者と結婚させるわけにもいかないし、一生監視と護衛をつけるのは……」

「でも一回呪霊が祓われたみたいだし、護衛は外せないんじゃない? やっぱり気にされてるよね。御三家周囲は」

「悠仁や九相図はどうですか? 今日も特訓をつけてあげるのです」

 

 九相図相手にもお兄ちゃん面の憲紀である。虎杖相手にも負けるのだが。

 悠仁に関してだが、ひとまず、獄門疆と死した九相図を取り込んだ事により、なんと術式と呪力と呪霊が見える目をゲット。価値が爆上がりしているが、宿儺が術式を手にれても困るため、宿儺の器として使う計画は破棄された。良かったのか悪かったのか、といった所である。他の九相図との仲は悪くない。

 

 一通り近況を報告しあう。

 

「で、身の回りはどんな感じ? 自分、もう罠依頼いややぁ! 挫けたいわほんま」

「それが、酷いんだよ、悟! この前なんて毒を盛られたんだ」

「あ? 憲紀、なんで傑に毒見つけてねぇんだよ。丁重に扱え」

「ええ……悟にはついてるのかい?」

「俺は無限で弾くから」

「そういえばそんな事を言ってたね」

 

 話し合いが続く。

 彼らが見据えるのは、遙か未来。

 日本人が、全て呪霊にされる未来を防ぐ為。

 それゆえ、多少の犠牲も飲み込んで、自分達も傷つきつつ進んでいく。

 

 未来を知っているが故に、彼らの視野は狭かった。自分たちのことで精一杯だった。ある程度の犠牲は、許容範囲のものとした。

 だが、大多数の者にとっては、遙か未来の多くの犠牲などより、自分の身近な者の方が大事である。当然の事だ。未来の詳細を知らないなら尚更。

 その当然の事に気づけなかった故に。

 

 悲劇は起こる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 直哉は、よく話しかけてきていた。

 

「真希ちゃん。力が欲しい?」

「欲しいさ。当然だろ」

「真希ちゃん。当主になりたい?」

「なりてーな。私を認めさせてやるんだ」

「絶対に?」\

「しつけーな、絶対にだ。負けねーぞ」

「真希ちゃんが当主になったら、補佐したるわ」

「なんだよ、いつもボコってくるくせに気持ちわる」

 

 何度もした会話なのに、その時の直哉の表情を覚えていない。

 

 

 

 

 真依は私に問いかけた。

 

「おねぇちゃん。強くならなくてもいいんじゃない?」

「嫌だ」

「おねぇちゃん。当主になるのってそんなに大事?」

「大事だ」

「おねぇちゃん。おねぇちゃんが望むなら……私、応援するよ。だからおねぇちゃん。私の事、ずっと側においてね」

「当たり前だろ」

 

 

 そういった真依の表情を、覚えてない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、16歳の誕生日だった。

 

「真希ちゃん。当主になれるかもよ。儀式をすれば、強くなれる。最後や。本当に当主になりたいんやな?」

「たりめーだ! 儀式でもなんでもしてやんよ!」

 

 調子に乗っていたのかもしれない。術式なしの直哉に勝てたから。

 確かにその後、直哉は認めてくれていたから。

 

 五条家と。禪院家と。加茂家の者が集まる。

 

 そこに、死装束の真依が現れた。そうして出された遺書と書かれた封筒。

 

「は? なんだよその格好、真依」

「双子はね。1人と看做されるんだよ、おねぇちゃん。だから、おねぇちゃんは中途半端。天与呪縛なのに、私に呪力があるから、呪力があると看做されるから。お姉ちゃんの呪力を持って行って、私が死ぬ。それでおねぇちゃんは、ようやく完全になれる」

「何言ってんだよ……」

「私の事、側に置いてね。約束よ」

 

 そうして、真依は自らの心臓を突いた。

 

「真依!?」

 

 真依の最後の呪具が構築されていく。

 体が震える。嫌だ。納得できない。頭の中に今までがめぐる。

 嫌なのにどんどん頭がクリアになって、真依が死んだって情報が入ってきて、魂でそれを理解して。

 

「なんで、なんで言わなかった!!! そんな事なら、私は……!!」

「真希ちゃんが、知ろうとしなかっただけやろ。さ、戦おか。術式ありでの自分に勝てたら、それで名実ともに真希ちゃんが当主や」

 

 直哉が、直哉が。直哉が!!! ぶっ殺す!!!!

 

「真依に何を吹き込んだ、直哉ああああああ!!!」

「ああ、甚爾くん。そこにいたんやね」

 

 優しい笑みを浮かべる直哉の心臓を狙い、抜き手をさす。

 だが直哉も早い。負けない。負けない。

 互いのスピードはどんどん上がっていき、そうして直哉を突き放す。

 

 トドメを刺そうとした時、最強が立ちはだかった。

 

「はい、そこまで。当主の座は真希。五条家の代表として、見届けたよ」

「悟、知ってたのか? ふざけんな!!!」

「憎しみは甘んじて受けるよ。でもさ、真希。ちょっと考え甘かったんじゃない? 当主ってのは綺麗事だけでできるもんじゃないよ」

「遺書。読んであげな」

 

 夏油がいう其の手から、真依の遺書を奪う。

 慟哭するも、全ては遅かった。

 

 

 

 

 

 そして同時刻、恵と乙骨は津美紀と里香に呼び出されていた。

 

 

「結局。私達って、どこかのタイミングで人質とか受肉だと思うんだよね」

「私達、それは嫌なの。乗っ取られたりとか、殺されるより悪いじゃない?」

「津美紀。……姉貴、早まんな!!」

「里香ちゃん、僕が守るって信じてよ!」

「私達、守りたいんだよ。重しになりたくない。だから、呪力、分けてね」

「憂太。側においてね。ずっと一緒だよ」

 

 ナイフが煌めく。血が流れる。

 

「「ああああああああああああああああ!!!」」

 

 それは、五条達も想像すらしていなかったこと。

 特級過呪怨霊、爆誕。

 

 本来のものとは違う、破滅の種は、その時確かに撒かれたのだった。

 

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