七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス) 作:墓守
尋問がようやく終わりです。
「で、メロンパンの目的ってなんだったわけ天元様を操って?」
「もう済んだことじゃないか」
「今ここに! 目の前に!! 天元様を操れる奴がいんだよ!!」
「うう、悟が虐める」
「ちょっと男子ぃ! 傑くんが泣いちゃったじゃんかぁ」
ヨヨヨと泣き真似する傑に、ふざけた声を出す五条。悟の目がストンと座ったので、僕たちは居住いを正した。
「真人の術式を抽出して、天元様の結界を利用して、なんやかんやすると日本人まるまる一体の呪霊にできるんだよ」
「は?」
清志の言葉に、意表をつかれる面々。
「そうそう、それがひょっとこみたいな面だったら面白いなーって……メロンパンが! メロンパンが言ってたことで私たちではないから!!!」
「そうだよ、俺ら10年も頑張って阻止したし!! マジ大変だったんだから」
「すっごく大変だったのだ、仲間じゃないっていう癖にこっちの妨害めちゃくちゃしてくる老害とか! 騙されてないつもりでいいように騙されてる老害とか! 本当にグレイで尻尾出さないから中々殺せないし!」
「最終的に仕分け諦めて、纏めてバッサリやったなー」
「皆、何度秘匿死刑になりかけたか、わからんよな」
「直毘人、マジでそんなふざけた計画に手を貸したの?」
「そんなわけがなかろう」
「ほら、あれやあれ。唆されて甚爾くんつこて悟くん抹殺させようとした時や。理子ちゃん護衛ん時の。あれ、メロンパンが裏から仕込み入れてん」
「は?」
「パパ、どういうことや?」
「あーもう、この際、僕らが調べた事、全部ぶちまけますよ? だって聞いてきたのそっちですもんね。せいぜい疑心暗鬼でメチャクチャになってください。まず、五条家に六眼が生まれたら抹殺するように仕込んでたのがメロンパンで、依頼してんのは……で、……で、更に辿ると……の家にたどり着いて」
「暴露大会? えーと、灰原さんと七海さんにしつこく罠依頼出してた家が、……で、……家も」
そこから先は阿鼻叫喚だった。
「五条家だけ無事なのはおかしいではないか!」
老害達が抗議をしてくる。
「当たり前やろ、五条家潰す為にやっとった事やもん。話したように、メロンパンは六眼と敵対しとってな。裏から手を回されてとことん攻撃されて、それでも生き残ってるんやからさすがやわ」
「逆に加茂家はほぼほぼ乗っ取られてたからな……」
「1000年掛けてやる事がひょっとこ呪霊作り? バカすぎんだろ」
そう言いつつも、さすがの五条も衝撃に慄いているようだった。
そうだよね。普通にこの量の陰謀でその目的は引く。
「長生きしすぎて退屈……ってキャラじゃないか。常に全力投球で生きてたみたいだし。好奇心の為になんでもするタイプ。倒せて良かったね、悟」
「自分ら10年掛けてようやくやったけど、やっぱり傑くんを乗っ取らせて悟くんが残穢を追ったら一瞬やったな。時短で傑くん死なせた方が良かったんちゃうん? 真希ちゃん達がキレとったの、真希ちゃんの真依ちゃんは犠牲にして傑くんは守り切ったのが原因やろうし」
「津美紀と里香は殺してないし誘導もしてない。自分達で呪霊になる事を選んだんだ。真依にも真希にも聞いた。本当に真希を当主にしたいのかって。何度もね。真希が完全なフィジカルギフテッドになったことで、恵のマコラ調伏の大きな助けになったし、真希自身も強くなった。何より、日本人を丸ごと呪霊にするわけにはいかなかった。全部解決したんだから、もう傑に危ない橋は渡らせない。十分だ」
「せやせや。自分が欲しかった力も当主の座も平穏も得て、なお、失ったものを嘆くんやから真希ちゃんは我儘や。っていうか自分らが必死こいて整えたあと、もう用済みやって追い出すの酷いやろ。人の心とかないんか?」
「あからさまな罠に父さんが引っ掛かるかは疑問でしたし、最悪無駄死にになった可能性もありますから、仕方ないのでは? 夏油さんが救った人の数は、かなり大勢のはずですが」
「壊相……ありがとう」
「うーん。君達が追放刑に処された理由がわかる気がする。察するに未来情報を得て、それを元にまだ裏切ってない人やグレーの人間も根こそぎ切って、味方も未来情報使って利用し尽くしたって感じかな。やっぱり強引な手法は人がついてこないみたいだね」
冷静に五条がいう。いや、拳を握りしめている。夏油について言われて冷静ではないようだ。
「そうなんですよね。まだ尻尾出してないんですよ。ここにいる人達。僕たちが言った証拠も慌てて消すでしょうし」
「どーするわけ? 俺。改善しようとしてもどうにもならない。だからって現時点で粛清したら若い世代からも反感を買う」
清志と五条に問われ、五条先生は聞き返した。
「未来情報ではどうしてるわけ?」
「東京滅びてから更に夜蛾先生が秘匿死刑にされたりとか妨害重ねられて粛清してる。そこまで行ったら流石に受け入れられたみたい」
「東京を滅ぼすわけにはいかないかな」
「ふむ。抹殺されるのは困るが、こうして有望な若い世代が増えたのだから、総監部を入れ替えるというので手を打つのはどうだ?」
「なにを勝手な!」
「……」
呪力が立ち昇る。ようやく総監部は、五条悟が切れていることに気がついた。
親友が堕とされたのは全て策略だったと知ったすぐ後である。
周囲を殺し尽くされるはずだったと知った後なのである。
「悟……」
傑の呼びかけに、殺気が緩んだ。
「悟がここで大量虐殺をしてしまうと、私達のせいってことにならないかい?」
「そう、だね。一回だけチャンスをあげるよ。わざと足を引っ張ってたのは事実のようだし、引退して若い子達と変わってもらう」
「ばかな! 来たばかりの並行世界人を信じるのか!?」
「まさか。でもペアで運用すりゃいいでしょ、加茂も禪院も御三家なんだから。あ、傑と悠仁と九相図については僕預かりとする。しっかり僕が見張っとくから安心してよ。憲紀については、まだ学生だしどうしてもって言うならうちに来てもいいけど」
「清志だけ加茂家に放り込めない。弟達を頼む」
「そ。好きにしな」
「さ、悟くん!? 自分は……!?」
「禪院家に行け。実家だろ」
夏油に暴言を吐いてしまった事が原因とは気付けずに、直哉は崩れ落ちた。
これから直毘人にボコられ、キリキリ尋問される未来が待っているのである。