七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス) 作:墓守
「記憶喪失!? 何で言わなかったんですか!」
「自分がヤバそうな武器持ってるヤバそうな人だったから。絶対所属しているのもマトモな組織じゃないなと。でも、国に雇われているってことは本当っぽいし、報告することにした」
「全く……」
「色々教えて」
「ええ、仕方ありませんね。呪力については覚えてますよね?」
「なんか禍々しそうな力だな」
「嘘でしょう……?」
大谷さんという俺の担当の人は、信じ難い顔で俺を見た。
「色々、見えるには見えるんですよね?」
「はい。一応、霊感はあるみたいです」
「霊感? それは呪力というのです」
「?」
それから、色々教えてもらった。
おいおい。やっぱり俺、スパイだわ。力についての常識がぜんぜん違うし。
っていうか、呪力だけで霊と相対してんのか。それは人手不足になるわ。
いや、呪力って言っても俺の知っているのと違うような……。
これは、霊丸はばれないようにしないとな……。
色々と教えてもらう。
ふぅん、監視がある。小さい虫を寄越しているみたいだが、禍々しいからすぐわかる。
一人になった時、聞いてみた。
「貴方は俺の仲間?」
『……ソウダ。夏油に協力してイル。お前がスパイだというのも聞いていて、俺は監視係ダ。キオクソウシツというのはホントウのようダナ』
ふむ。そこまで知っているなら、仲間なのは本当か。
「仲間なら、俺の名前言えるよな」
『ツバサだろ。データを見れば誰でも言エル』
「……そうだな」
『お前は、少し浮いた存在ダッタ。一度、詳しく身辺調査されたが、なにも見つからなカッタ』
「優秀だろ? 記憶を失っても、上手くやってみせるよ」
『夏油の目的がわかっているのか?』
「もちろん。君はわかっているのか? 夏油様の最終目的が!」
『キオクソウシツ者のその手の探りには乗らナイ。が、教えてやる。五条 悟の封印、及び 人類の抹殺……!』
「五条 悟が誰かは覚えてないけど、全人類抹殺は覚えてる。任せてくれ。記憶を失っても、ちゃんと出来る」
『4級がどうやって?』
「……? お前、夏油様の部下ではないな? 俺の本当の名前を知らなかったし」
『!? そうだ。取引しているダケダ。お前の名前は偽名カ?』
「記憶を失っても、名前くらいは覚えてたみたいでな。どうやって変装しているのかすら忘れたけど、ツバサが偽の名前だということくらいはわかる」
『ということは、実は強いのカ?』
「言うつもりがないし、そもそも記憶がないから強さの基準がわからない」
『何故、夏油に従い、記憶もないのに人間を滅ぼそうとスル?』
「人間は滅ぼすべきだ、誰だってそう思うだろ? 夏油様を見ればわかる。あの方は真に邪悪だ……。だから、俺が仕えていた主は、きっとあの方に違いない」
『……もし違ったら?』
「それはありえない。だが、そうだな……。その可能性もあるのか。そうしたら、記憶喪失をアピールしつつ、派手に動くことで真の主の接触を待つしかないな。……けど俺は、主の手を煩わせたくない。目的があって高専に潜入させたなら、その目的をスマートに達成したい。……喋りすぎた」
『ソウカ。ならば、お前もテキカ』
「ここまで聞いたなら、君の目的も聞いてもいいかな」
『俺は、仲間と自分を守りたいだけダ』
「ふぅん……ということは、黒の章は見せられていないのか」
『知らない。それは?』
「言うわけないだろ。お前は夏油様に信頼されているように思えない」
『それもそうか。有意義な話だった』
「ああ、こっちもだ」
ふむ。この会話でわかったことがある。
夏油は俺の先入先じゃないっぽい。マジかよ。でもこっちも潰さなきゃだよな。
とりあえず、夏油様に心酔しているふりをしてして、どうにかこの味方に引き込めないかな。記憶喪失のやつが保護するって言っても無理だし、俺も責任取れない。
だったら、悪役ムーブしかないか……気が重いな。
「そうか。偽名か……。いや、私の知らない勢力が高専に潜入していたとはね。人類滅亡が目的ってことは、共闘できるってことかな」
「あいつは強そうに見えないけど」
「潜入が得意な子かもしれないしね」
「潰し合ってくれれば万々歳なんだがな」
「いやぁ、そうはならないと思うよ? それに、向こうのほうが人類滅亡について乗り気みたいじゃないか。実は、ツバサ君から君の事を仲間に引き込むから任せてほしいって報告を受けているんだよ。記憶を失ってもやる気満々だね」
「っ!!」
「まあ、お手並み拝見ってところかな」
それから、数日後。メカ丸の裏切りが高専にばれ、行方不明となる。