七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス) 作:墓守
私は叩き起こされてコーヒーを飲んでいた。まだ寝ぼけてる。
「んん……オコなの?」
「オコなの? じゃねーよ、いい年して。傑に言った情報! 情報源教えろ」
「覚えてないし、覚えてても言わないよ。守秘義務ってものがあるからね」
それに、十年近くあとの情報なので、まだ真人が産まれてない可能性すらある。
今、どこまで食い込んでいるのか、そもそも接触してない可能性すらある。失敗したかな。スヤァ。
「寝んなよ!」
「ん、五条くんが夏油くんを殺す際に灰にすれば済むことだよ」
「殺さねーよ! ぶっ殺すぞ!」
「でも、夏油くん、呪詛師になりたいんだろ?」
「デタラメ言うな!」
「ま、不味い呪霊をしょっちゅう取り込んで、憂鬱な依頼にばかり向かわされたら、それは病んで当然だけど。当然なことが当然なくらい、夏油くんは全うでイカれてないよね」
「お前が傑の何を知っているんだよ!」
「んー……」
「コーヒーぶっかけるぞ、お前!」
「本格的に動くとしたら10年後だよ。何焦ってるの? 君らしくない」
ずずー。スヤァ。
「悟。いいんだ」
「良くない!」
「悟も知っていたんだろう? 私が悩んでいたの」
「傑……」
「神谷先生はさすがだよ。的確に心を抉ってくる。私が揺らがなければ良いことだ。それだけなんだけれど……ごめん、悟。大丈夫だって言ってあげられない」
「傑。しっかりしろよ! 俺達は二人で最強なんだろ!」
二人で最強。そう言っているということは。
「ああ、悟くん」
「なんだよ!」
「君はまだ最強じゃない。早く最強にならないと、大切なもの、何一つ守れないよ。失うものの筆頭は夏油くんだ。有用なのに繊細。狙われやすい」
「っ なんなんだよ、お前、本当に一般人か? 呪術師の血も引いてないのに、俺達の最強の名を奪いやがって……」
うん? 今ナニカ、おかしなことを聞いたような……スヤァ。
「ああもう、とにかく情報よこせよ」
「名前難しくて、じょうごって名前と真人って名前しか覚えてない。火山みたいなのと、花みたいなのと、フランケンシュタインみたいなの。会話可能、企み可能な人形の特級呪霊の皆さんだ。呪霊こそ本当の純粋な人間なのだーとか言い出して、人間を牧場以外皆殺しにしようと企む輩。後は知らない。忘れた。zzz」
朝、起きたら監視カメラ、監視呪霊共に増えていた。
起きたら部屋の外で控えていた補助監督からのご挨拶が。
?
なんだかガッチガチに監視が増えているが、まあ良いか。
食堂に行くと、五条くんたちが既にいて、手招きされた。
「おはよう、五条くん。昨日は遅かったようだね」
「……昨日のこと覚えてないのか?」
「意外に神谷先生は寝起きが悪いね」
「しっかり休んでしっかり働くのが私の信条だからね」
「神谷せんせーの情報の裏取りした。まだ途中だけど」
「うん?」
「傑が! 無理やりメロンパン食べさせられるって話だよ」
「ああ。メロンパンね。メロンパン」
「はぁ……。白を切られたけど、あれはクロ。っていうか、神谷先生の監視増やして、わかりやすすぎ」
「もしかして、あのあと突撃したんですか? 真夜中に?」
「あんたが真夜中に爆弾発言するからだろ」
私はオムライスを食べながら、思い出そうとする。特に記憶はないな!
「こいつ記憶ないって顔してやがる……」
「実際ないんじゃないかな」
「呪術界最強の名が泣くぞ」
「五条くんがどうしたって?」
「おまえのことだ」
私はキョトンとした。
「俺達を差し置いて呪術界最強にして最凶。全自動テロ発生装置。1人で日本を滅ぼせる。ついでに最近は謎の情報源を持っていることも判明。禅院家を脅した経歴あり。お前!」
「ええ……? こうえい、だね? でも、私は脅しをしたりはしないよ」
「しただろう、恵に泣きつかれて」
「記憶にないね」
「まじかよ。恵の発表会に蟲を勝手に出しただろ。あと、授業参観に勝手に出ただろ」
「あれは、甚爾さんが出れないって言うからね。代わりに行ったんだよ」
「高専の警備の穴を突いてな! 子供はのびのび育つべき、恵くんの為ならなんでもしちゃうよって言葉を添えてな!」
「失礼な。僕は恵くんだけじゃなくて、他の沢山のお友達のためにもそうするよ」
「そういうとこだぞ、はぁ……。勝手にテリトリー広げて人助けしたこともあったし、そのたびにジジイどもはヒヤヒヤしてるんだぞ」
「私自体は弱いんだけどねぇ」
「ジョーダン。脳内麻薬でリミッター外せるだろ。技術は最近身につけてるし、訓練するなって言われてる。するけど」
「訓練は私もしたくはないなぁ。間違って腕でも傷つけたら最悪だ。それにしても、こんなに大人しくしているのに、まだ私のことは信じてもらえないのかな?」
「無理だろ」
「それは困ったね。一応、こっちも相談したいことがあったんだけど、信じても貰えてない状態ではちょっとね」
「相談したいこと? 最強で唯我独尊のドクターが」
私は、補助監督をちらりと見た。
「甚爾さんにでも相談するよ。できれば五条くんも相談に乗って欲しかったけど、仕方ないね。明後日か」
「それって富士山のこと?」
「うん? 富士山? なんでそれを? その三倍くらい高い山のこと」
「ちょっと顔貸そうか……」
「あの、困ります。大事なことはきちんと報告してください」
そこへ、声がかかった。夜峨学長である。
「五条。お前、上層部から呼び出しかかってるぞ」
「二度と顔を出すなとか言っておいて?」
「真夜中に襲撃すればそうも言われるだろう。昨晩の話を詳しく聞かせろということだ。多少の心当たりはあるそうだ」
「へぇ?」
五条くんが面白そうな顔をした。
五条くんの覚醒については、どうしようか。
かなり危ない橋を渡っているし、甚爾さん弱くなっているんだよね。
「じゃあ、行ってらっしゃい。僕は新しい症例について院長先生から貰ったデータを読んでるから」
「「「神谷先生も行くんだよ」」」
私は関係ないじゃん!?