七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス)   作:墓守

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ダークエンジェル5

「あっはっは! 人間の術師から呪力を奪う毒か! 良いね! 良いよ! 君、面白いよ!! いや、侮って悪かった!! 改めて聞くよ、君は何者だい!?」

「知るかよ。こっちは穴の維持に集中してるんだよ、わかれ」

 

 夏油がなんかこっちに来た。……なんてね。目的はわかっている。

 

「穴は閉じても良いんじゃないかな。自己紹介は済んだだろう? 君の主も君の位置はわかったろうさ」

「穴はこのまま開く。メカ丸。主様が来たらすぐ教えろ。それと、計画通り帳に手を加えろ。誰を入れても良い。誰も外に出すな」

『わかっタ』

「ああ、ついでに彼に命じてくれないかな。五条 悟の抹殺を!」

「ああ? 五条 悟ぅ? そんなもんどうでもいいんだよ。主様がそんなものに負けるはずがない」

「自信たっぷりだね。私達は、そんなわけにはいかないんだ。どうしても、五条 悟の身柄が欲しい」

 

 ……ふん。断れば殺すつもりだな。確かに向こうのほうが強い。ソレは認めよう。

 

「……一度呪力を失えば、解毒剤を飲まない限り呪力復活の見込みはない。メカ丸には他にして欲しいことがいくらでも……ふむ。だが、五条 悟はそんなに有名なのか?」

「知らないって怖いね。日本でいちばん有名だよ。呪霊の間ではね」

「ふぅん。なら、五条 悟は主様に献上する。勝手なことをしすぎたからな。一番の有名人が、妖怪になればそれなりにインパクトがあるだろう。五条 悟の一番大切な人間の心臓が必要だな」

『眼の前の夏油 傑が五条 悟の親友だったはずダ』

「マジかよ、親友同士で殺し合ってんのか。さすが人間、やっぱり滅びるべきだな。君の心臓をくれ。二週間後の15日、五条 悟に君の心臓を食わせて妖怪にしよう。腐ると困るから、抜くのは儀式の直前でいい」

「私の?」

「どうせ、入れ物にすぎないのだろう? その体。乗っ取りなんて珍しくもない」

「ほう……。君も? どういう方法でしているのかな」

「方法は複数あったと思うが、忘れた。思う通りに体が動けばソレでいい」

 

 これで素直に騙されてくれるといいんだが。

 人間の術師から呪力を奪う力? 違うな。

 人間を特殊能力に目覚めさせる、殻を破らせる毒だ。

 体が適応するのに一週間から二週間……。その間、なんとか言いくるめて殺しをさせないようにしないと。五条 悟を特別視していないのは本当。だって知らないし。

 ただ、彼も人間。俺の守るべき相手だ。

 彼が悪霊から人間を守ってきたというのなら、優先順位も上げるべきだろう。

 メカ丸にも頼まれているし。

 

「妖怪になるとどうなる?」

「俺に逆らえなくなるのと、人間を喰らうようになる。まあ、後ろのやつみたいになるわけだ」

 

 俺は妖怪達を指し示す。

 

「……それって、他の呪術師も捕まえてきたらやってくれるかな?」

「好きにしろ。ただ、この帳からは出るな。あと、できるだけ帳内の人間を殺すな」

「……何故かな?」

「新たに生まれる妖怪の餌用に決まっているだろ。こっちもそっちを信用してない。手口を知ってるやつは主様の許可がない限り、逃さない。口添えはしてやる」

「ふーん。本性現してきたね。まあ良いよ。ここでお喋りしよう。後ろの、なんなの?」

「穴だ」

「どこに繋がっているのかとかさぁ。地獄?」

「いや。魔界だ。地獄と一緒にするな。あれは人間と比べて過激なだけで単なる刑務所だから」

「……へぇ? じゃあ、君は魔王……は違うか。主様いるからね。悪魔ってところかな?」

「記憶喪失だからな……正体については、さっぱり」

「そこでそう来る?」

「だってそうだし。あ、黒の章でも見るか? メカ丸、テレビとビデオデッキ用意しろ」『わかっタ』

「メカ丸くんも君には従順だね。儀式はしたのかな?」

「いや。向こうにメカ丸の心臓を食わせて妖怪にする約束をした。どんな形だろうと、生きていて欲しいらしい」

「裏切られるかもよ?」

「ははは、大げさな。多少は思い出してきたんだ。人間に何が出来る? こっちには主様がいるんだぞ」

「あはははは」

「はははははは。じゃあ、捕獲と調べるのぐらいは良いよね?」

「見つけたら寄越せよ」

「わかったよ」

 

 ふう、頭脳労働も大変だな。

 しかし、俺の撃てる霊丸は5発。アイツラに真正面から勝つことは無理。

 時間稼ぎはなった。後は、覚醒をどう隠すか、だな。

 

 

 

 

 

 

 とあるビルの地下。メカ丸は五条と補助監督の二人を匿っていた。

 

「き、もちわる……」

「五条さん……」

『治癒に最短一週間。酷い時は一ヶ月掛カル。術を使おうとするナ。諦めて休メ』

「そういう、わけにも、いかないでしょ」

『仮に捕まると、15日に夏油 傑の心臓を食べて妖怪に生まれ変わることにナル』

「……何? 心臓?」

『そう言っテタ。妖怪が何かはシラナイ。人は食うラシイ』

「最悪……」

『ただ、ツバサは嘘をツク。何が狙いかはワカラナイ。この不調のことも、解毒剤がいると嘘をついてイタ。実際は、時間経過で回復して特殊能力に目覚めたりスル。一般人が回復する一週間後から貴方が回復するまでの時間が勝負ダ』

「記憶喪失……だっけ」

『ソウ』

「厄介な! ……げぇっ」

『無理するナ。妖怪の餌用に殺すなって言ってアル。一週間は無事ダ』

 

 

 

 

 

 外では、呪霊や悪徳呪詛師達が暴れて、大変なことになっていた。

 また、呪力を失うことを承知で五条 悟を助けに行くかどうかでも揉めていた。

 

「なあ、伏黒」

「おう」

「俺、行くよ。俺なら、呪力がなくてもある程度戦える」

「俺も行く」

「あたしを置いてくなよ!」

 

 そうして、一年生たちは、五条救出作戦に向かう!

 だが虎杖の嘔吐の症状が一番ひどいのだった!

 もちろん、メカ丸の保護対象である。

 

 魔界の一室。美しい妖怪の少年が、窓の外を眺めて何かを待っていた。

 報告が来た。待ち望んでいた報告だ。

 

「修羅様。また、魔界への扉が開きました。開き先は不明です」

「ゲート発生装置なのは確定、かな。優羽……待っていて。迎えに行くよ」

「修羅様自らですか!?」

「うん。今度は逃さない……。ぼくは雷禅みたいにならないよ。ちゃんと自分の足で探して、見つけるんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゾクッ

 

「……っ 扉を閉じる」

「急にどうしたんだい?」

「ヤバい。主様じゃなくて敵方にバレたと思う。覚えてないが。覚えてないが」

「主様は無敵なんじゃなかったのかい?」

「そんな事言ってない。人間相手にどうこうできるはずがないってだけだ」

「なるほど? 妖怪同士の抗争ってところかな」

 

 全力で扉を閉じる。

 段々慣れてきて、霊力もスムーズに動くようになってきたと思う。

 

 しかし、誤算だ。

 そうだ、俺は記憶を失った時、魔界の穴を開ける装置を持っていた。

 先入先の組織のボスは妖怪で、魔界の穴を開けることが目的で、開くのを待っていたのかもしれない。

 そうすると、目立たず逃亡するのがベターだったってことか?

 翼が4級なのは隠れるため?

 くそっ 真なる主様の接触はまだか……いや。いや、よく考えたら、魔界の穴とか規模が大きい。海外よりもっと遠くに本拠地があるという可能性もある。

 となると、事態把握までに時間がかかる……かも。

 ああもう、穴をコントロールしきれるって考えてた俺の馬鹿!

 

「なー。ちょっとくらい、殺して遊んでもいいだろ? 黒の章のマネしたい」

「煩いっ! じっとしてろ! 集中が乱れる!」

「へぇ? 随分大きな口叩くじゃん」

「この穴の向こうの敵にバレたんだって。それで焦ってるの。扉を開けるのも面白そうだけど、それはいつでも出来るようだからね。扉はこのまま締めてもらおうかな」

「へぇ? 人間や呪霊は怖くないのに、妖怪は怖いのか」

「……」

「つまんない。ああ、人間を捕まえていくのは順調だよ。五条はまだ見つからないけど……時間の問題だ」

 

 集中して、扉を閉じていく。

 

「こちらの合図で全員簡単に殺せるようにしてある。君が1%くらい正義の味方だって可能性もあるしね?」

「妖怪って種類によっては生き餌しか食べないしなぁ……。まあでも助かる」

 

 

 

 

 

 事が起こってから一週間がたった。

 

 もうすぐ、魔界の扉は閉じる。というか、ここまで行けば放って置いても閉じる。

 もうすぐ、早いやつは力に目覚める。そうしたら、全力で抵抗するだろう。

 メカ丸にはそういう奴を見つけて、味方につけるように指示を出している。

 大きな不確定要素。

 悪い方に転がることもあるだろうし、良い方に転がることもあるだろう。

 それでも、俺は人間を信じる。自分の未来を、人間はちゃんと自分で掴めるって。

 

 ……だから、覚悟を決めるべき時だ。

 

「五条 悟が見つからない。メカ丸に探させるのは駄目かな?」

「とっくに見つけて確保してる。でもお前、体乗り換えるつもりだろ? あれは主様に捧げる」

「……ふぅん。わかっているなら、仕方ない。妖怪なんて不確定要素にするよりも、彼の術式が欲しいしね。扉も、ここまで小さくなってしまえばどうにかなりそうだし?」

「メカ丸。あれはお前に任せた。主様に渡してくれ」

『任されタ。戦いの狼煙はあげられタ。繰り返す、戦いの狼煙はあげられタ』

 

 俺は立ち上がった。

 呪霊たちに囲まれる一瞬前に、テリトリーを広げる。

 

「!?」

「領域!? いや、違う!!」

「俺のテリトリーへようこそ……」

 

 言葉と同時に、渋谷のあちこちでテリトリーが広げられた。

 

「君、人間と呪霊、どっちの味方?」

「主様の味方に決まってるだろ。人間も呪霊もついでに妖怪も穢らわしいわ。メカ丸は知らん」

「うーん。謎は深まる一方だね。主様ってその三種族じゃないんだ? まあ、体を奪って記憶を読めばいっか。でも記憶喪失なんだっけ? いや、記憶喪失でよくそこまで覚悟して動けるね。尊敬するよ」

 

 そして、戦闘が始まった。

 

 

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