七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス) 作:墓守
「というわけで、わしの部下がこちらの世界を引っ掻き回したようで申し訳なかったな」
「コエンマ様が謝ることなど! 全て、全て俺が悪いのです! 記憶を失っていたとはいえ、申し訳ありませんでした!! そもそも霊界探偵でありながら、地獄も経由せず勝手に転生した罪、反省しても反省しきれません!」
俺はガバっと五条 悟に土下座した。
ちなみに五条 悟は渋谷にいる中で一番地位の高い人、代表者である。
五条 悟の後ろには、敵味方入り乱れて術士がいる。
もちろん、戦闘は特防隊が許さない。事後処理が済んでからにして。
「メカ丸、いや、幸吉くんの精神的ケア、特殊能力に目覚めた人達の相談は俺が責任を持ってさせていただきます! まだ記憶は完全ではないですが、勉強します!」
「チョット待って。えーと、つまり、霊界って? そんなのあるの?」
「俺の所では、人間の霊魂・魂・寿命は霊界が管理している。こっちでは水先案内人が見えないので不思議に思っていた。こちらの世界は人間の自治が働いているのだろう」
「物は言いようだね。無法地帯って言ったら?」
「よく頑張っていると思う。人間ごときが、霊界の庇護もなく生きるなんて」
「優羽!」
「申し訳ありません!」
土下座!
「今後のことだが、一度転生してしまった以上、優羽はこの世界のものだということになった。今後は残りの生を罪を償って生きてほしいと思う。その後、魂を回収する。こちらから水先案内人をつける。預け先はそちらで決めてくれ」
「……君はソレでいいの? 体よく切り捨てられたようにしか思えないけど」
「何を言う! コエンマ様は、俺のために修羅様の提案を蹴ってくださったのだ! 心臓もぐもぐするより、労働に汗を流したほうが良いに決まっている。それに来世でコエンマ様に仕えることをお許しくださったんだぞ。君はコエンマ様の慈悲深さと慈愛と決断力の高さと威厳と……」
「優羽」
「申し訳ありません!」
「あ、そう。そうね」
「それと、1人、そちらからスカウトしたいものがいる。スカウトと言うか、知り合いに似ていて放っておけなくてな。仕事はそちらでさせて、こちらも死後魂を回収という形になる。霊界探偵助手だな。優羽。お前が守ってきた魔封環を使うぞ」
「はっ」
特防隊の人が夏油 傑を捕まえて、頭の中身のメロンパンをグシャアッする。
そして、治癒をする。
「まさか……」
「魔封環! ……後は、生命エネルギーの譲渡が必要だな」
夏油の体が光る。
「コエンマ様が慈悲をくださったのだ。喜びにむせび泣き親友にキスするが良い」
「なんで」
「生命エネルギーの譲渡だ。眠り姫は王子様のキスで目覚めると言うだろう」
そして、夏油が復活する。
「うーん。私は生き返らされても、すぐまた処分されるだけだと思うけどね?」
夏油 傑が苦笑する。
「霊界が後ろ盾になって安全装置つけて俺が監督するので問題ない」
その夏油を、抱きしめる者がいた。
「……っ !」
傑の履歴はコエンマ様に聞いている。何も言えないだろうな。生き返ってよかったと、五条 悟は言ってはいけない。戻ってこいとも言えるはずがない。
「僕に貸しを作って、どうするつもりだ?」
「こちらの世界は初めて見る。色々と調査をしたいのだ。それは部下もいるみたいだし、呪術師でももうないようだし、こちらで組織ごと接収しても構わんだろう。ひとまず、表向きは君の下に優羽が、優羽の下に夏油が、夏油の下にその組織が付くことになる」
「コエンマ様に支配していただけるのだ。ありがたかろう」
「優羽!」
「こっちの世界の霊も管理すると?」
「コエンマ様は、彷徨える霊に同情しておいでなのだ」
「優羽! 修羅に売るぞ!」
「申し訳ございません!!」
「……この世界の者として。そちらの謝罪を、受け取るよ」
会談が終わり、夏油 傑に拘束具の天使のリングを付ける。
頭にふわふわ浮かぶ金の輪っかである。
「これ何?」
「首輪だと絵面が悪いだろうと思って、俺がデザインした。感涙しろ」
「首輪でいいから」
「遠慮せずに」
「首輪にして」
夏油に、女の子たちが抱きつく。
「夏油様ー!!」
「夏油様……!!」
うんうん。ハピエンハピエン。
霊界にしっかり侵略されて支配されるよろし。
「あ、そうだ。テリトリーはどうだった?」
「ああ、メカ丸のテリトリーで鑑定してもらった。テリトリー空間に任意の存在だけ引きずり込むことが出来るみたいだね。安全だし、範囲日本がすっぽり入りそうだし、もう巻き添えを心配する必要なくなるね。好き勝手やられてるだろうし、ピシッと決めとかないと」
ふーん。ま、本人嬉しそうだし、日本入るテリトリーって相当すごいし、良いことなのかな?
俺は知らない。五条 悟の最強が誰にも揺らがされることがなくなったなど。
俺は呪術師に興味がないのだ。
これから、五条 悟旋風が日本各地に吹き荒れる事となる。しかし、それはどうでもいい事だ。コエンマ様のお心安らかにするために、俺はこの国から呪霊を一掃するぜ!
「はぁぁぁー。コエンマ様、今日もお美しい……っ」
「君はコエンマ様が関わると本当に気持ち悪いね。依頼も終わったし、ラーメン食べる? 食べながら君の能力を使って日本人総能力者にする為の計画を話そうよ。魔界の穴計画でも良い」
「んー。良いけど」
「二人共、依頼持ってきた! ついでに一緒にご飯食べよ」
「げっ 五条 悟! 今日依頼五件もやったんですけど」
「二人ならやれる! コエンマ様のため、コエンマ様のため」
「見せてみろ、悟」
穏やかな日々。
「優羽ー。遊ぼうよ―」
しかし、そこに修羅様の魔の手が迫りつつあった!