七人で墓穴掘る(じゅじゅ✕幽白クロス)   作:墓守

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コピーヤナの話を褒めていただけたので引っ張り出してみました。
誤字報告、ここ好き、お気に入り、評価、感想ありがとうございます。
ちなみにヤナシリーズは幽遊白書原作の設定と違い、姿だけでなく能力までコピーする超最強能力者に変更されてます。


番外編 ヤナは唯一にして完璧な理解者

 幽白の世界に転生した。

 チートはなかったので、蟲寄市に引っ越した。

 あえて霊能関係の修行をしなかったのが良かったのか、めでたくネット系の強能力を開眼し、テリトリー連邦ってサイトを運営して遊んでいる。

 テリトリー連邦はあっという間に登録人数が増え、相談に色々乗ってあげる。

 あまりにも重い相談は幻海師範に丸投げだ。

 蟲がいっぱいなのが不快だが、それなりに楽しんでいる。

 

 そんな時、駅であからさまに困っている人がいた。

 

「困ったね……。駅が全然聞いたことのない名前だし、お金もなんだか違うし、ここどこ? ぐ、頭が痛い……。まさかきさらぎ駅?」

「君、大丈夫? 頭痛と吐き気がするなら、助けてあげるよ。仲間だから」

「……?」

 

 俺は、その男の人を抱き上げた。

 

「俺も自分の部屋に知らない人を部屋に案内するのは怖いから、ホテルでいい? 良いよね。お金は出すよ」

「あの……。困ります」

「数日苦しむことになるよ、吐き気と頭痛。ここでは今、流行っているんだ。副作用の被害者の互助会組織があって、そこに所属しているんだ、俺。名刺も渡しておくからさ。良かったらでいいから、登録してよ。困ってたら助けてあげるよ」

「?」

 

 体を固くしていた男だが、ホテルに来ると露骨に体から力を抜いた。

 ここには、結界が張ってあるから蟲がいない。

 

「もしかして、蟲見えてた? 珍しいね。蟲見えているのに、症状が出るの」

 

 そう言いながら、受付へと向かう。運がいい。佐田さんが受付だ。

 

「ギルド長。もしかして、また?」

「やめろよ、俺はただのサーバーさ。この子に一週間部屋を。食事はお粥届けてあげて。あんまり症状が酷いようだったら、ドクターを呼んで。君、この人は佐田さんっていうんだ。佐田さん。君の状態をよく知っているから、医者が欲しい時は必ず佐田さんを通さないと駄目だよ。死ぬようなものじゃないし、安静にしてれば治るから大丈夫なんだけど」

「かしこまりました。よろしく、佐田です」

「サーバー……さん、あの」

「ん? 何? 御礼なら……」

「お金も貸してください」

「ははっ いいよ。そんなに貸せないけどね」

 

 3万ほど財布から出して渡すと、ジーッとお金を睨む。

 

「サーバーさん。貴方は呪術師ですか?」

「呪術師? いや、呪術師でも霊能者でもないよ。話は元気になったら、聞くよ。その時、渡した名刺を出してみればいい。連絡方法は佐田さんが知っているから」

「……わかりました。ありがとうございます」

 

 佐田さんに少年を預けて、ミッション終了。

 それから、三日後には能力越しに『メール』が届いた。

 

『ありがとうございます。先日の行き倒れです。直接会って話を聞いていただきたいです』

 

 直接会いたいとのことなので、俺はホテルへと向かった。

 

「サーバーさん!」

 

 部屋へ行くと、ほっとした顔をされた。

 

「やあ、行き倒れ君。名乗る偽名は決まったかな?」

「夏油です。 夏油 傑」

「……それ、本名? あんまり本名を名乗るのは……」

「サーバーさんの本名も知りたいです」

「言わないよ」

 

 えっ 呪術廻戦の夏油? そんなバカな。

 

「で、夏油くん。話したいことって?」

「えっと、まず異世界と言うか、パラレルワールドに行く方法って、あったりしますか?」

「君は異世界人? 駅もお金も違うって話してたよね」

「そう……なるのかな? 実感はないですけど。悟たちに電話も通じないし……」

「うーん……。詳しい人はいるけど、テリトリー連邦の人じゃないからなぁ。日も経っちゃってるし。何より、君、その人の恋人にそっくり過ぎて一抹の不安が……。純粋な人を汚すのが好きって人だし。ホモだし。君、こっちで暮らす気はない? テリトリー連邦に入ってくれたんだから、なんとか庇護はしてみせるよ」

「……呪術師は忙しくて。1人、抜けるだけでもすごく大変だから。早く帰らないと」

 

 でも君、帰ったら不幸になるよ。とは言えないよな。

 

「君の為に、俺も危ない橋を渡ることになる。それなりに代価が欲しい」

「例えば?」

「君の全部」

「え……」

「君の知識。君のテリトリー。君の思い出。君の体。君の秘密。全部」

「……サーバーもホモ?」

「ホモっていうかさ。一時的に丸々コピーする能力者がテリトリー連邦にいるんだよ。、そいつにコピーさせて君にそれだけの価値があるか手っ取り早く知りたい。個人情報の侵害になるけど、もちろんそれは他に漏らさないし、異世界人だから大して問題にならないだろ? 考える時間はあげる」

「……時間、すぎればすぎるほどまずいんですよね」

「さあ。異世界人なんて初めて見るしね。でも、君の力にはなるよ」

「……わかりました」

 

 それから、二時間ほどで三人組が来た。

 

「サーバーさん」

「コピー、シャドウ、タブーの皆さんだ。敬え」

「やめてくださいよ。サーバーさん。初めまして。異世界人が困っているって聞いて来ました」

「人間に見える」

「すぐわかるだろ」

 

 その後、いたって気軽にヤナが肩を叩く。すると、ヤナが夏油になった。

 

「わ」

 

 驚く夏油。そして、偽夏油は真面目な顔になる。

 

「サーバーさん……。この人既に闇堕ちしてるっす。めっちゃ人とか殺しそう」

「!?」

「うえ、マジで?」

「海藤、テリトリー出して」

 

「!??」

 

 初めて他人のテリトリーを感じて、夏油は緊張する。

 海藤のテリトリーはタブー。禁句を言った人の魂を抜き取るという優れものだが、それより便利なのは暴力禁止結界だ。

 

「夏油 傑。呪術師。向こうには霊力とかないみたいっすね。呪力って力オンリーっす。人間の悪事を見て、人間に失望。あと、呪霊を操る能力を持っているんですけど、その為に呪霊を食べないといけなくて、メッチャクチャまずくて人間性が削られます」

「なるほど! じゃあ、とりあえずお腹いっぱい良いもの食べなきゃな! 霊界まんじゅうとか良いんじゃないかな」

「あと、根は優しいから助けてあげたいっす。高校生で生死をかけた戦いに明け暮れた生活ってめっちゃ厳しいんすね」

「なるほど! じゃあ、幻海さんとドクターに連絡取るかぁ」

「またそんな、ダブスタな……」

「あ、幻海さんとドクターって敵対勢力だから、発言には気をつけてな」

 

 こうして、なんやかんやあって、夏油は帰っていった。

 これは、俺の物語ではない。

 夏油 傑の物語である。

 

 なんとか、東京駅まで帰ってきた。帰ってこれた。

 ひとまず、動けなくて力が入らない。

 なんとかコンビニで充電器を買い、携帯に電話する。

 恐ろしい勢いで着信やメールが増えていく。

 日付を見ると、二週間経過していた。ちょうど、向こうの滞在と同じくらい。

 時代は違うが、時間の流れは同じなのかな?

 充電していくらもしないうちに、電話がかかってきた。

 

「悟?」

『傑! ……時間の流れが違う結界にいたのか?』

「ごめん、全然覚えてない。迎えに来てくれない?」

『すぐ行く』

 

 悟は、本当にすぐに来た。こんな事もできるようになったのか。

 ますますおいていかれるな……。

 

「覚えてないってことは、祓うの失敗したのか? どこから記憶がない?」

「うーん、なんとなく助けられた記憶と、内緒だよって言われた記憶はある」

「記憶を消されたってことか……」

「まあ、今無事だし。良くない?」

「無事かどうかの判断は硝子に見せてからだ」

 

 帰ってきて、メディカルチェックを受け、疲労との診断を受けて眠る。

 起きると、硝子や悟はもう次の任務に行っていた。

 まあ、しょうがないよな。私がいなかったせいで、仕事が溜まっているらしい。

 

 寮に戻って、向こうの世界の携帯をいそいそ構う。

 

『テリトリー連邦へようこそ!』

「いよっし! サーバーさんの能力最強!」

 

 サーバーさんのテリトリーは電子世界の中にある……と思っていたが、どうやら違うらしい。まあ、どうでもいい。サーバーさんのサイトがこっちでも見られるなら。

 

「ネットショップに接続して……。やっぱり霊界まんじゅうがある」

 

 そう、私は霊界の食事にハマっていた。

 だってそうだ。今まで、糞不味い呪霊ばかり食べていたからか、霊体の舌が歓喜したのか、中毒のような症状を自覚していた。

 補充できるのを確認して、一つぱくりと食べる。

 甘い。美味しい。魂が喜んでる。後で霊界せんべいも食べちゃおう。

 だがその後は、呪霊を食べた後食べることにする。ご褒美というやつだ。

 流通しているお金が違うから、後でお金をネットショップで使われるポイントに変えなくては。ポイントを手に入れるには、直接お金を変換するのではなく、物を買って売るしかない。数年前の世界か……何が売れるかな。

 

 サーバーさんは、1人で泣いたら樹さんに慰めさせると言っていた。

 それは怖いから、もう一人で悩むのをやめよう。中学生に頼るのは少し恥ずかしいけどね。背に腹は代えられない。

 

『ヤナ。何か売ろうと思うけど、何が売れると思う……? あと、1人で起きるの寂しいから、これからおはようメールしていいかな』

『存分に頼ってくれ! あ、でも受験時期は手加減頼む!』

『了解』

 

 今日は幸せそうな気持ちで眠れそうだ。

 

 

 傑の様子が変だ。

 あの時から、かなり古い携帯を楽しそうに弄るようになった。

 それを覗こうとすると、いやがるんだ。秘密なんてなかったのに。

 

 あと、隠れてなにか食べている……ずるい。今まで、何でも俺に分けてくれたのに……。

 

 もっとちゃんと聞くべきだろうけど、任務で時間がなかった。

 段々、傑はメールする時間が増えていった。

 俺といても、硝子といても、そんな時は携帯を注視して、目も合わせない。

 

「携帯中毒っていうんだぜ」

「知ってる。あと、ネットショップ中毒ね。意味なく色々売り買いするのに嵌っちゃって」

「傑、痩せた?」

「そんな事ないよ。むしろ太った?」

「それはない」

 

 はぐらかされた。いつもは時間がないけど、今日なら少し時間が取れる。

 だから、俺は傑を誘った。

 

「今日! ようやく、任務が空いたんだ、一緒に食べに行こうぜ!」

「ごめん、食欲ない……」

「なんだよ、素麺でも食いすぎたのか?」

「まんじゅうかな……」

「飯も食えよ」

「最近、間食が多くてね」

「俺にも分けて」

「限定品だから嫌だ」

「ええ……いつもは分けてくれるじゃん」

「あれは、ちょっと特殊な味だから、悟には味がわからないと思うよ」

「ちょっと見てもらったほうが良いよ。本当に顔色悪いよ」

 

 そこで、硝子から物言いが入り、診察をしてもらうことになった。

 診断は、栄養失調だった。それなのに、傑はまたメールをしていた。

 

「食堂で最近飯食ってないらしいじゃん。本当に食ってんの?」

「食欲がなくて……。栄養の点滴とサプリお願いしたし、もう心配かけないよ」

 

 傑は話しながらメールをする。硝子が携帯を取り上げる。

 

 

「診察言ったって嘘じゃん。先生は傑が来てないって言ってた」

「呪専の医者じゃなくて、かかりつけ医のところに行っただけだよ」

 

 その時、携帯が鳴った。驚いた硝子が携帯のボタンに触れる。

『ボイスメッセージを開封します『バーカバーカバーカ! 掘ってねぇ落とし穴に嵌ってるんじゃねぇよ! サーバーさんめっちゃ落ち込んでたぞ、飯食わねぇならもうお前にまんじゅう売らねぇって! あれ、カロリー0なんだよ! 見りゃわかるだろ、わかれ! 高2でカロリー計算もできねぇって馬鹿か! ドジっ子もなぁ、お前の仕事で倒れるまでやらかしましたなんて笑えねぇぞ! 腹減らしてできる仕事じゃねぇんだろ! ドジが死に直結する仕事なんだろ! ちょっとは先輩らしくして! とりあえず一週間まんじゅう禁止』』

「そ、それは困る……!」

「え。こんにゃくまんじゅうでも食ってたの? そんな理由?」

 

 すっと傑は視線をそらした。

 

「お、美味しくて……つい」

「灰原―。七海ー。ちょっとお願いしたいことがあるんだが……」

 

 俺は迷わず電話をして、後輩を呼び出した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 事情を聞いた先生に傑が教育的指導を受ける。非常に珍しいが、当たり前だ。

 その間に、二人が傑の部屋から食料を探し出して持ってきてくれた。

 

「先輩、その……」

「うん? どうした?」

「夏油先輩が食べてたおまんじゅうと、ラーメンと、せんべいなんですけど……。これでした」

「? 空箱? ……いや、違う? まんじゅう型の呪霊……? 霊界まんじゅう、地獄インスタントラーメン、霊界せんべい……」

 

 すっと傑に視線を移すと、傑はすっと視線をそらした。

 

「りょ、料理好きの呪霊から買い取って……」

「処分するぞ―!」

「先輩、こんな罠にかからないでくださいよ!」

「うわああああああああああ! それだけは! それだけは! そのお菓子だけが生きる理由なんだ!」

「やばいものが入っているのではないか……? 中毒物質とか」

「……いや、そんな術式は見当たらない。呪力も全く感じないし、一個ぐらい食べてみるかな。味薄っ」

「ああああああああああ! 食べた! 私のおまんじゅう!! 悟、食べ物の恨みは恐ろしいんだぞ!」

「お前にそれを言う資格はない」

「どれどれ」

「先輩、一個もらいます。本当だ。変な食感」

「そんな怪しげな……でも食べます。薄味……」

「私には何よりの甘味なんだ! まずい呪霊の後にはそれを食べないといられないっていうか……!」

「呪霊まずかったの? まあ確かに美味しいわけ無いか」

「っていうか、料理好きの呪霊から買い取るってなんだよ」

「も、黙秘する」

 

 その後、説教されまくって携帯を没収された傑だった。

 携帯は何の変哲もない、ひどく古い携帯だとかで、メールなどはサイトでやり取りしていたらしく、わからなかった。

 

 携帯が無くなって、傑は俺達のことを見てくれるようになった。

 でも、しばらくしてあからさまに傑が精神的に追い詰められてたから、俺の監視付きで霊界まんじゅうを買えることになった。

 料理をする呪霊なんて珍しいから、報告をと言われたけど、傑は黙秘を通していた。

 

 傑って、意外と食いしん坊キャラだったんだな。

 霊界せんべいを食べる傑は凄く幸せそうだ。

 

 夏。最近呪霊が大量発生して仕事が忙しい。

 いつか、この日が来るかもと恐れていたことが起こった。

 同級生の灰原が、死んだ。私を助けるために死んだ。

 そして、飛んできた夏油先輩は、灰原の死体を見聞した後、せーので泣きじゃくりながら電話をかけた。

 

「ヤナ……っ 私はもう駄目だよ、後輩が死んでしまって、私も呪霊を食べることが辛くて……! コエンマ様が慰めてくれないと死んじゃう。死んじゃう。それか悪堕ちっていうのする。助けてもらうのと引き換えに樹さんと一緒に黒の章を見る」

『夏油……っ 頑張れ! 夏休みだし、学生のテリトリー連邦動かせないかやってみる! だから、先走って樹さんのとこになんか絶対行くなよ! あいつ、サドのホモだし!』

「ヤナァ……! 私を助けられるのはお前だけだ……! 世界一頼りになるし。この世でたった1人の私の理解者だし」

『任せろ! 俺はお前だったことがあるんだからな! 最悪オレ一人でも助けに行くから』

「何よりコエンマ様の手配がなんとかくるようにしてくれ。私だって頑張っただろ? ご褒美が必要だと思うんだ。死体の保存をしておくにも限界がある」

 

 電話を切った後、夏油先輩はぴたりと泣くのを止め、ケロリとしていた。

 

「灰原だけど、なんとかなるかもしれない。コエンマ様が無理だって言ってから絶望しよう」

 

 コエンマ様が誰かはわからないけれど。……なんとなく、今までで一番情けない姿を見せた先輩が、今までで一番、頼りがいがあるように見えた。

 

 その後、高専にいっぱい知らない人が来た。

 その人達全員に、先輩は抱きついていった。

 

「ヤナ―! 超愛してるっ」

「なんとかしに来た。でも、今度だけだからな」

「わかっている。今乗り切ったら、また考える。いっぱいごちそう用意して待ってるから! 灰原の体はこっち」

「やれやれ、本当に今度限りだからな?」

「はい、コエンマ様!」

 

 そこからは、驚きの連続だった。

 人はそのまま散らばり、「ヤナ」と呼ばれた人は夏油先輩に触れると夏油先輩に変身・呪霊を引き継ぎ、灰原の元へと案内されたコエンマ様がおしゃぶりを灰原の上でかざすと、灰原が蘇ったのだ。

 先輩はコエンマ様に抱きつき、感謝の言葉を述べる。

 その後、灰原と夏油先輩と私と、残ったサーバーさんという人で、料理を作った。

 霊界料理という実態のない料理と、普通の料理と。沢山だ。

 

「あの、どういった方たちなのですか?」

「前に私を助けてくれた人達だよ。テリトリー連邦という異能者の互助会仲間でもある。あっ コエンマ様は、霊界の閻魔様のご子息。偉いから、言葉には気をつけるように」

「は?」

 

 しばらくして、五条先輩も帰った。

 

「灰原が生き返ったって聞いた! 灰原!」

「五条先輩! 夏油先輩の伝手凄いっすね!」

「流石に一生に一回だけだけどねー」

 

 夜になると、続々と異能者達が帰ってくる。

 

「本当、しょうがないな―夏油先輩は!」

「天沼も来てくれたのか!」

「俺のゲームに勝てる呪霊なんていないしね―」

「安定して卑怯……でもそういう天沼が好き」

『捕まっている呪術師がいたから助けておいたぞ』

「さすが大竹さん、尊い……!」

「まあ、これで呪霊も大幅に減って休めるだろ。3日ほど滞在することにする。夏油も夏休みを取りなさい。それにしても、全然戦力が足りてないではないか。来年大丈夫なのか?」

「ありがとうございます、コエンマ様。そっちから、誰か人材を寄越してくれたりはしないですか……? 報酬は学長がどうにかすると思います!」

「んー。大竹が良いと言えば……」

「大竹さん!」

『仕方ないな……』

 

 夏油先輩の知らない顔。

 信じられない。

 

「傑……」

 

 五条先輩と硝子先輩も、輪の中心にいる夏油先輩に置いてきぼりになって呆然としてる。

 そこで、傑先輩が振り返った。

 

「一緒に遊びに行こう! どこに行く?」

「えっ でも良いのか?」

「ヤナ達には私は甘えることにしているんだ。どうせ取り繕っても全てバレているし、そういう能力だから。それに、せっかく夏なんだから、いっぱい思い出つくりたい」

「えっと……俺は、一日でいいから爆睡しようかな」

「じゃあ、三人でスイートルームとって爆睡な」

「それはやばいだろ……家でいいよ家で」

「海行きたい、海! 七海と灰原はどうする? 3日間!」

「俺もご一緒したいです! 七海も行こっ」

 

 暗かった場所に、太陽の陽が差し込んだようだった。

 今回だけ。

 今回だけ、今回だけ。

 呪術師界に、希望が訪れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 のだが。

 10日後には、やはり呪霊が元のようにポコポコと湧いて忙しくなるのだった。

 

「夏油さーん。あの人達、雇えないんですか? こう、恒常的に!」

「夏休み終わったら大竹さんが来る。あと、ヤナが二年後に夏休みだけ手伝いに来てくれるって。来年は受験だからね」

「責任持って雇うからって大学受験やめてもらえないですか?」

「ヤナにはヤナの夢があるから、無理強いできないよ。それと灰原、お前、助けてもらったんだから七海と一緒にテリトリー連邦の入会テスト受けろよ」

「入会テスト?」

「向こうの指定するホテルで過ごして、頭痛があれば入会。能力に目覚めるから、登録して帰る。頭痛が一ヶ月無かったら、才能なし! そのまま帰る」

 

「凄く怪しいんですが、それは……」

「まあ、怪しいよね。でも行って」

 

 それをきっかけに、二世界観の交流が始まり、呪術廻戦の世界がほんの少し優しくなるのだが……。それは少し、先の話。

 

 

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