人類の敵を拾ったんだが。   作:ファッ?!

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第参戦 タコさんウインナー

 

「なんでいるんだよ?!」

「ホラ、貴方"弁当"ナルモノヲワスレテタデショウ?持ッテキテアゲタノヨ。」

 

先ほどから無表情な戦艦棲姫だがどこか誇らしげな顔だ。うんそうだね、ありがたいね。だけどなんでその思考に行き着くんだ?! たかが数時間で情緒がそこまで育つのか?!

 

「おま、そこまで考えられたのかよ?!」

「貴方カラ渡サレタ書物ニアッタノ。人間社会デハ受ケタ恩ハ返スモノ。恩ノ定義ガトテモムズカシカッタケド、ヨク考エタラ貴方ニハ恩シカナイワネ。」

 

 

彼女は道徳の教科書でも読んだのだろうか。というか危険ではないだろうか。この冗談の通じそうにない彼女のことだ。もし挨拶がグーパンです、とか書いてあるものに出会ったら彼女は躊躇なく人の顔を殴り飛ばすだろう。 こりゃ渡す物にも検閲が必要ですね.... と、ここまで言われればあと考えるのは簡単なものだ。彼女は微笑ましくもわざわざ俺なら忘れたであろう弁当を地図かなんかみながら見知らぬ土地を来てくれたらわけだ。 ありがたいんだが....

 

「そうだねぇ、ありがとうねぇ?!帰り方わかる?はよかえれ」

「?ソウネ、モウ用事ハナイワネ。」

「タケヒトくんちょっと待ってね?」

 

俺の方に手が添えられる。万力が如くの力で肩を掴んだのは俺の友人たちだ。加えて凄まじい眼光である。 先ほどまでパニックで気づいていなかったがクラス中の視線がこちらに向いている。俺らが会話を中断したことを皮切りにざわつきも加速的に増えていった。これは、まずい

 

「んじゃ失礼します〜!」

「ちょ、待てよ」

 

逃げべ。 手を振り払い、何が何だか、というような、何も考えてなさそうな彼女の手を引き弁当を持って野次馬をかき分け足早に教室から抜けていく。 夏場だからか、俺の体がほてっていたからかもしれないが、やっぱり彼女の体は出会った頃と同じぐらいひんやりしているように感じた。

 

 

 

ーーーー ほぼぼっちの俺にはやっぱり昼飯を食うところの穴場なんてのはいくつかある。 旧校舎の屋上なんてのはそのうちの一つだ。 普通侵入はできないんだが劣化で鍵が壊れているもんで簡単に入ることができる。港町の丘の上にあるような学校から見る屋上の景色は絶景だ。 灼かれたアスファルトの匂いと照りつくような日差しがどうしようもなく夏を感じさせる。

給水塔の影に隠れて座り込み、弁当を頬張る姿はいつもの俺と同じだが、違うのは隣に絶世の色白美少女がいるというところだろう。

俺のいうままに連れられてきた彼女は立ちすくんでぼーっと俺が次々と弁当を食べていく様子を見ていた

 

「なんだ、座れよ...」

「弁当ッテイウノハ補給ミタイナモノカシラ。」

「まあ、お前ら風にいうとそうだな」

そういえばこいつらは何を食べるんだろうか。ゲームでは艦娘たちは鉄鉱石だのボーキサイトだの油だの...なんだろうか? どれにしろ一学生が準備できる代物ではない。これは何か対策を立てるべきだろう。

「どうしたんだ、さっきから見つめて。」

「私モ補給シタイワ。」

「え?これ食えんのか?」

彼女らにも空腹だのなんだのを感じる感情はあるのだろうか? どうせなので試してみることにした

「食えるかどうかわからんけど、ほれ」

箸にウィンナーをよそい、彼女に近づける。 やってる途中で間接キスだとか、あーん、ではないのか?という思考がよぎったがこれは勢いが大切なのだ。 俺は大人の男だ。こんなことでは動じない。はずだ。 近づけられていく箸に、俺の意図に気づいたのか、彼女は興味深そうに口を開けた。 薄青の唇にウィンナーが触れ、彼女の口の中に入っていく。

「ん!」

「お、美味いか?!」

驚いたように目を見開きゆっくりと咀嚼する彼女をみると、どうも美味しかったように、何度も確かめるように咀嚼するだ姿を見ると好印象に見える。

「人間ハイツモコンナモノヲ補給シテイルノネ...」

どこか羨ましそうに何か考えている様子の彼女。

「コレ...ナンテイウ...何カシラ?」

「ん?味、じゃね?人間は食事が娯楽でもあるからな、味が美味くないとつまらん、だろ」

どこか俺もぎこちない。艦船と違い食べなきゃ死ぬ、補給のためとは言え美味しい食事は当たり前、こんなことすら彼女には経験がない。

何も知らないのだ。彼女は赤子のようなものだ。

どこか寂しさとなんとなく希望と。

タスクが積もってるが嫌ではない、そんな気持ちである。

 

 

話を聞くと、彼女らは全く一応補給をしなくてもどうにかなるらしい。力は出にくくなるが。

人間は食べなきゃ死ぬ、そう伝えると驚いたような表情をした。

明日はどこへ行こうか。

 

せっかくの休みだし遠出でもいいのではないか。、それとも家の中でゆっくり過ごすか。

どちらにしろ楽しそうだ、と思う。

残りの弁当を貪る俺をじっとこちらを見つめる彼女と目が合う。

 

…欲しいのだろうか。またウインナーを箸で掴み口元に近づけると満足げに食いかかった。

 

灰色のコンクリートと宙を覆う青色だけの今までに色彩が広がった気がした

 

 

 

 

 

 

ちなみに戦艦棲姫を返したあと教室に戻ると野郎含め騒がしい女子にこってり絞られたが知らぬ存ぜぬで押し通した。中でも勇樹はガチギレして号泣しながら掴みかかってきたが、一体彼の何がそこまで掻き立てるのだろうか。

非常に疲れたので明日は家で休みたい。

 




短めですが新規です。テストと被り遅くなりました

話の割合

  • 日常、コメディ
  • 不穏さ、シリアルさ
  • 展開が素早い群像劇
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