人類の敵を拾ったんだが。   作:ファッ?!

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誤字多いので報告助かります。


第五話 そうだ動物園に行こう。

 

 

俺は今、戦艦棲姫とバスで揺られていた。

休日で田舎で朝一のバスはどうも閑散としていてこちらとしてはありがたいのだが、どうも赤字だの廃線だの悪い噂は絶えない。

なくなるのは困るのだ、通勤、通学で使う人もいるしこんな風に、たまに遊びにいくのにも使うのだ。

今日は休日ということで、戦艦棲姫を連れて動物園に行くことにした。

チョイスの理由としてはもっといろんな生物を知ってもらうためだ。昨日はよくわからん野生生物をスプラッタにして戦艦棲姫がわざわざ学校に届けにくる悪夢を見たのだが、コレが俺に少ない資金を払わせて動物園行きを断行する決定打となった。

現状やらんとも言えんところが怖い。是非とも彼女には一般的な動物愛護という感情を身につけて欲しいものだ。

 

 

 

バスの窓からから興味深そうに過ぎ去る景色を見つめる彼女を横目に、必死にバス賃を数える俺。

もし普通にデートやったら俺は惨めすぎないか?もっと漢に、なろう。

 

何が何だかわかっていない戦艦棲姫の麦わらを深く被り直させ、降車の準備をする。

 

ここでやたらとバスの例の降車ボタンを押したがる彼女。

目的地までは我慢してね。ボタンがあったらすぐに押す癖は治そうね。

さあ中継地点の都市部の到着だ。ここから乗り換えで少し遠めの動物園へ。

 

ーーーーーーーーー

 

 

ーーーやってしまった。まさかの道に迷い、次発車は1時間半ほど先。朝の土日とはいえさすがH市都市部、人も多いし道慣れしてなくて大幅にタイムロス、ようやく目的のバスターミナルについたと思ったら目の前でバスを逃してしまうという残念さ。朝早くでよかった…

俺が何かミスをしたのだと悟って気まずそうな目でこちらを見てくる戦艦棲姫。やめろ、そんな目で俺を見るんじゃない。

いっそのこと罵ってくれ…

 

 

大幅なタイムロスだが、この際街を巡ってみるのもアリかもしれない。

幸い時間はあるし彼女の見聞を広めるのにいいのではないだろうか。雑踏の中、逸れないように彼女の手をひく。

 

ーーーーーー

 

「コレハ何カシラ?」

「ん?おーコレ最近新発売されたスイーツかなんかだな。うまそうな匂いだな。」

「…コレモ補給物資カシラ。」

「いやまあそうだけど…食べてみるか!」

 

 

「コレハ何カシラ?」

「コレは口コミで話題のクレープ屋だなあ。この市にも店舗あったんか。」

「…コレモ補給物資カシラ。」

「…なんだ、欲しいのか?」

「…」

「出そうと思えば。(血涙)」

 

ーーーーーー

なんであんなにスイーツは値段が嵩張るんだ?一学生には些かきついぞ。戦艦棲姫も戦艦棲姫で甘いもん見つけるたび補給物資かどうか聞いてきやがって…。

 

もしかしてこの子燃費が悪い…?

 

「うまいか?」

「マタ補給シタクナルワネ。」

「そうかそうか」

 

 

ひと通り付近を散策した俺らは近場のベンチに座り休憩していた。

隣の戦艦棲姫が無表情だが美味しそうに先程買ったシュークリームを頬張る姿を見るとどうも出費などどうでも良くなってくる。

女子よろしく、戦艦棲姫も甘いものが好きなのだろうか。

 

女子、というと彼女の服装に目がいく。俺は適当にTシャツにジーパンであるが、彼女の場合亡くなったのだか消えたんだかわからない母の、家にしまってあった女物のワンピースとカーディガンを適当に着せているだけだ。

マジで服選びはわからない、が、たしかに分かるはこんな綺麗な女の人を今のままにしておくのはもったいないことだ。

 

散策中、途中で服屋にさしかかることもあったが戦艦棲姫も興味があまりなさそうであったし、(もっぱら補給物資、もとい食べ物にしかなさそうであった。)俺なんかが服のセンスがあるか、と言われれば否なので、彼女に申し訳ないな、と思いながらもこの手の会話は避けていた。

 

仕方がないと思いつつも、今度唯一の女友達である「アイツに戦艦棲姫のコーデを任せてみようかな。と考えていた。

 

おっと、そろそろ時間だ。

先程のシュークリームを名残惜しそうに、口元を舐める彼女に声をかけ、もう一度バスターミナルへ。

 

 

途中でまた何かしらスイーツを買う羽目になったのはご愛嬌だ。耐えてくれ、俺の財布。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、この便は直行なので、バスから降りて正面には目的地だ。ちょっと古びた看板の古びたフォントやテイストも、家族連れやカップルで賑わう様子を見るとなんの嫌悪感も感じない。

むしろこの古い動物園は県民じゃお馴染みの場所なのである。

 

とりあえずみんな一回は来たことはあるよね、と言った感じで、大きな敷地の数多くの動物たちが当動物園の魅力である。

 

値段もお手軽、ボリュームもあって十分好条件だ。

 

列に並んで入場券発行をまつ。

「うーむ懐かしくてワクワクするな!」

案外動物園にくるのは何年かぶりである。列に並んでワクワクするこの時間がとても楽しい。

「…人間ッテ総テ外装ガ大キク異ナルノネ」

「そりゃなあ…」

そういえば、彼女ら(存在するかわからないが)は、やっぱり同じ艦種だと同じような格好、顔なのだろうか。

 

その時、俺は今の彼女を他の戦艦棲姫と見分けられるだろうか。もしそれならなんだか寂しいし、何か別の呼び名や特徴があってもいいかもしれない。

 

そんなこんなしてると、俺らの順になった。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

浜辺にて、男は女の腿の上に頭を預け寝ていた。初めから腿の上に頭を置いたわけではなく、ずり落ちてきたかのように乱雑に髪の毛が暴れていた。

 

女は気にせず、ずっとずっと虚に海を見ていた。

 

 

暗闇と漣のみが支配する浜辺にやがて陽が昇りだす

空色は群青に、あたりは紅に。

やがて橙の陽が男の瞼を指すように輝きだした。

眩しさの刺激に男は目覚め、

異常な状況に男は飛び起きた。

 

 

状況を理解すると、弁解する様に女に話した。

それでも女は何もわからないような表情で首を傾げた。

 

 

あたふたした後にため息をついた男は潮風でベタつく体と寝落ちしてしまった自分に悪態をつく。

 

 

 

 

「今日は動物園に行こう!」

 

徐に大きな声を出して、男は彼女に掌を差し出した。

 

ーーーー彼女は、その手を取った。

 

男は逆光でその表情に気づいていなかったが、その時たしかに、彼女は微笑んでいた。

 

 

 

 




意見、感想、お気に入り、全部嬉しいです!どんどんいい作品にできたらいいなあ

話の割合

  • 日常、コメディ
  • 不穏さ、シリアルさ
  • 展開が素早い群像劇
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