「目が覚めたか、ロジャー」
そこは船の中だった。どうやら皆無事らしい。
「レイリー、奴は?」
「どこかへ行っちまったよ。よっぽど最後の一撃が効いたようだな」
「流石はロジャー船長だぜ。俺達じゃ手も足も出ない相手に対して一撃御見舞してやったんだからな」
「どんなもんだいあの化け物め。ギャハハハ」
「笑い事じゃねえぞてめえら!!あの一撃以外まともにダメージ与えられなかったんだぞ。ちょっと大刀傷が付いたくれえでギャーギャー喚くな!ウッ……ゲホッゲホッ」
ロジャーが口から血を吐いた。
「大丈夫か!?船長」
船員の不安を手で抑える。
「ゼェゼェ……早くこの島から出よう。これで終わりじゃない。奴はきっと戻って来る。人間を滅ぼしに」
麦わらの一味が新世界の海を航海中。本日は視界良好、天気は晴れ。そして、絶賛食料不足だった。
「腹減った〜」
「うっせえぞルフィ。おめえが悪いんだから黙って釣り糸垂らしとけ」
ぐ〜。
「腹で返事してんじゃねえよ」
そしたら共に釣りをしてたチョッパーが鼻を抑えて訴えた。
「うー、この海なんか変な匂いがする。すごく不快で気味が悪い。ごめん、オレ部屋に戻るよ」
「不快?」
ルフィとウソップは共に海を見つめる。普通に青々としたいつもの海がそこには有る。
ドン!!
「おわっ!!?」
「キャッ!!?何!?」
船底になにか巨大なものがぶつかった。まるで座礁したような衝撃がサニー号に襲う。
「おいジンベエ」
フランキーが操舵手のジンベエを責める。
「いや、そんな筈は無い。ここに座礁してしまうようなポイントはあるはずもない」
「おい!!お前ら見ろ!!」
サンジがサニー号がぶつかったものの正体を指差す。
「か、海王類の」
「死体のようね」
「め、飯〜」
サニー号はどうやら海王類の死体とぶつかったようだった。まだ真新しい。
「おいサンジ〜」
「わかってる、マリモ剣士。バラしとけ」
そうしてバラされた海王類を船に入れようとして、その肉の異常さにサンジは気付いた。コックとしての勘がこれを食べてはいけないものだと認識する。
「お前ら、肉を船に入れるな。それとチョッパーを呼んできてくれ」
「どうした、サンジ〜。うわっ!?なんだコレ。サンジもそれから離れた方が良いぞ」
まるで検死とでも呼べるような作業をサンジとチョッパーは行っていた。
「おいサンジ、どういうことだよせっかくの飯をよ~」
ルフィとウソップがブーブー文句を言う。
「うっせえ、お前らは黙ってろ。チョッパー、どう見る。」
「死後半日かそこらだとは思う。だけどそこは別に問題じゃない。血の色だ。真っ黒。とても血液の色をしてない。ウイルス?菌?いずれにしてもこれは食べていいものじゃない。多分毒みたいに全身汚染されてる」
「やはりそうか。お前ら、ここでの食料調達は止めだ。ここの魚は食えたものじゃない。汚染されてる。次の島に
ドン!!
また船に衝撃が入った。そしてその正体はやはり……
「皆さん見て下さい!!」
ブルックが指を差した方角から夥しい数の海王類の死体が上がってきた。中にはまるで食いちぎられたかのうような闘争の跡も伺える。海の生態系、そのトップの無惨な姿が次々と潮に乗って流れてくる様に一味が戦々恐々していた。一人を除いて。
「ナミ、進路変更だ。あの流れの先に行ってみよう」
「ちょっとルフィ!!」
「ワクワクしてきた」
「ナミ、無駄だ。船長がああなったら」
皆が一様にやれやれとしながら一人だけ子供みたいな笑みを浮かべる。
「冒険の匂いがする」