雷霆の巨人 ーRuler of Titansー 作:マルシア
女型の巨人の捕獲に失敗した調査兵団は近日中にエレンの
引き渡しが行われるが、アルミンが女型の正体を導き出し
て、アニをストヘス区で捕える作戦を決行する
そんな中、カールはエルヴィンからある質問をされる
では、第十一話をどうぞ!
2024年2月5日 会話の内容を少し変更しました
2023年12月23日 6年→8年に変更
「カール‼︎エレンは巨人化に成功した‼︎
女型の巨人のうなじからアニを切り離すんだ!」
「わかりました!」
エレンの巨人化が成功と作戦を伝えに来たアルミンに
了解の一言を言って、立体起動に移った。
パシュン!プシュウゥゥゥゥゥゥ!シュウゥゥゥゥゥゥ!
「カール・ヘッシャー‼︎戦線に戻りました!」
「来たか、カール‼︎奴の足の腱を断つだけいい!
何としても女型をこのストヘス区から逃すな‼︎」
「了解‼︎」
カールは民家の壁にアンカーを射出して、立体起動に
移る。そして、アニを追いかける。すると、横から
ミーナが近付いて来た。
「カール‼︎作戦は失敗したの⁉︎」
「はい…失敗しましたが…この戦いはアニはエレンに
負けるかもしれません……その時は僕が巨人化して、
アニを助けます!」
「つまり…計画通りってことだね……わかった!
まずはアニに追いつきましょう!」
「えぇ」
民家を使って、アニのいる場所まで行くと、そこは平地で
追いかけていた兵士は立ち尽くしていたがエレンが追い
かけたことで兵士はハンジの指示の元、二手に分かれて、
追いかけた。
カール達もそれを追いかけていたが、下に目を向けると、
一人の女の子が瓦礫で押し潰された母親に泣きながら
寄り添っているものだった。カールはそれを見て、顔を
歪めながら、地上に降りた。それを見たミーナは驚き
ながらも後を追った。
シュウゥゥゥゥゥゥゥゥ!カチャッ!
「君!大丈夫か……!」
「おかあさんが…おかあさんが……」
「君のお母さんは……ごめんね…ごめんね……」
「カール!今はアニを追いかけないといけない‼︎
その子は私が責任持って預かるから!」
「わかりました……後は頼みます…」
パシュン!プシュウゥゥゥゥゥゥゥゥ!
(これが…本当に…しなければいけなかったんですか……
エルヴィン団長…)
カールは立体起動をしながら、音の方向に近付いて
行くと、そこにはミカサに片手の指を切り落とされている
アニが壁を越えようとしていた。そして、もう片手の
指も切り落とされて、落ちていった。
それを見たカールは2日前に話したエルヴィンとの会話を
思い出す。
『君にはストヘス区で戦闘しているであろうエレンと女型
の間に入って、巨人化してほしい』
『団長!何故…ストヘス区で戦闘をする必要が…あるの
ですか…』
『人間の姿で捕らえただけだと、憲兵団に引き渡さないと
いけないが、巨人の姿で彼女を捕らえたら、それは我々の
管轄として扱えるのではないのか……これが理由だ』
『それなら…アニをウォール・ローゼにもおびき寄せて
からでもいいのでは…』
『それでは多くの壁内人類が女型を捕らえたのがエレンの
巨人の力によるものでなくては、エレンを憲兵団に
引き渡しをしない結果を出せない』
『しかし…』
『これは取り決めだ、カール』
『兵長、分かっていますが…これでは…』
『ストヘス区の住民が可哀想か……お前の仲間の女型は
俺の部下や多くの調査兵を殺した…それを考えてもなお、
住民が可哀想に思えるか?』
『……わかりました…その約定を飲みます…』
『飲み込んでくれて、感謝する』
(アニ……私は…自分がして来たことが正しいのか……
わからなくなって来ました……)
カールはアンカーを屋根に刺して、そのままガスの噴射の
勢いで飛び上がると、周りを見回すと、アニに近づこうと
しているエレンを見てからカールはブレードの刃を手の平
に当てて、勢いよく切った。
ピカッ!ドオォォォォォォオォォォオオォォ‼︎
カールの元に雷が落ちて、カールの周りに骨が形成され、
次は筋肉、そして皮膚が形成されて、15m級の三体目の
巨人がストヘス区内に出現した。
巨人の容姿は、顎に髭を生やして、手から雷、いや雷の槍
を持っていた。
「ウゥゥ……」
「何だ⁉︎まさか…アニの仲間か⁉︎」
巨人は女型の巨人に近付いていき、女型の巨人のうなじ
からアニが出現して、巨人が差し出した手の中に入って
しまった。それを見たミカサ巨人の指を切り落とそうと
指にアンカーを刺し、ガスを噴射させて、指にブレードを
振り落としたが、ブレードが砕け散って、切れなかった。
ミカサは切れないと分かると、アルミンが立っている屋根
にアンカーを刺して、飛び移った。
「クッ!アニみたいに硬くて、切れない!」
「ミカサ‼︎あの巨人は⁉︎」
「わからない……でも…あの巨人はいきなり出現した…
だから、あの巨人には知性が……」
⦅私はカール・ヘッシャー……調査兵団の団長、
エルヴィンとの約定により、今この場で出現した。⦆
「え…」
「君が本当にカールで、団長との約定が本当なら……」
「本当だ」
「リヴァイ兵長⁉︎」
いきなり巨人が喋り出したことより、巨人の正体がカール
だとわかったことより、エルヴィンとの約束の方に対して
驚いていると、後ろから私服のリヴァイが近付いてきて、
とんでもない発言をした。
「オイ、カール…さっさと出てくるんじゃあ
なかったのか?」
「すみません、リヴァイ兵長」
巨人のうなじから顔を出したのは、先程までエレン達と
行動していた……カールであった。カール巨人はアニを
隠していた手を開いて地面に下ろして、カール自身も
地面に立体起動で降りた。
「兵長…二日前の約定は守ってもらいますよ」
「それに関しては問題ないが……まずはストヘス区の本部
に戻るぞ」
リヴァイが馬車の方に歩いて行ったので、カールとアニは
リヴァイの後を追った。
アルミンとミカサはそれを呆然と眺めていたが、エレンの
ことが心配になり、巨人化したエレンの元に向かった。
走っていると、壁の一部が剥がれて、巨人の顔が覗かせて
いた。それを呆然と眺めていた調査兵の全員が目撃した。
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ーーストヘス区本部
「え!崩れた壁から巨人が見えていたんですか⁉︎」
「あぁ…それを見ていたウォール教の司祭のニックって
人が光を遮断するように言って来て、ハンジさんが
急遽、大きな布で塞いで……でも確実に壁内の人類に
真実がバレて来ているんじゃあ……」
「ミーナの言う通り、壁の真実が調査兵団にバレつつあり
ます…つまり、政府が何かしらの対応策を取ってくる
はずで……!」
コンコン
父親が既に他界していて、身寄りのない少女を助けると
申し出て、本部でカールと合流したミーナは調査兵が
騒いでいる話題をカールに話していたら、アルミンが
入って来た。
「突然部屋に入って来たことは謝るけど…やっぱりつい
さっきの方が…どうも信じられなくて……よかったら
話してほしいと思って…」
「それについてはエレンとミカサが揃ってから話し
ましょう…」
「ミーナはこの事は知っていたの?」
「えぇ…知っていた……とう言うか、教えられたの方が
正しいかな…」
「そう…なんだ…」
(アルミンには嘘をついてしまいましたからね……しかし!
今、壁の秘密を僕の口から調査兵団に伝えれないので…
それ以外は教えた方が…いいですね?)
アルミンの方を見ていなかったカールはアルミンの方を
見て、一言呟いた。
「僕は貴族……そして、巨人の……」
バタン!
「アニ⁉︎」
「カールがここに入っているのを見てたから…この緊急
事態の情報を伝えに来たの……ウォール・ローゼ内で
巨人が発見されたって言ったら意味がわかる?」
「ウォール・ローゼの城壁都市の開閉扉ではなく、硬い
壁の部分が破壊されたってことか…」
それをアニが言った途端、アルミンが慌てて、部屋の外に
出て行った。
「それと…今回の出来事は…カールが壁外調査の時にした
事と同じことをマーレがしている」
「つまり…壁内人類を巨人化させて起こった出来事か?」
「そうだとしたら…壁外人類が侵攻して来たってこと?」
「わからないけど…確かなことは私達の戦士長が壁内に
入っている可能性がある」
「とりあえず!ハンジさんのところに行きましょう!
二人とも!」
アニとカールが話しているとミーナが二人の話の間に
入ったので、二人の話し合いはそこで終わり、
三人でハンジの元に向かった。
三人がハンジの元に向かっていると、エレン達の三人組と
鉢合わせてしまった。
「か、カール…ハンジさんの伝言を伝えるね
これより数時間にストヘス区を内扉から出発して、
南部のエルミハ区に向かう……だからそれまでに
準備をしていてくれってことだから」
「わかりました…では数時間後の厩舎で……」
「おい!カール‼︎」
カールはアルミンからの伝言を聞いたので、準備をする
為に立体起動装置のある補給室に向かおうとしていると、
エレンがカールを呼び止めた。
「お前…何で……巨人の力を黙ってたんだ!
それに…アニと一緒にいるってことはお前もあの壁外調査
の一件に一枚噛んでるってことだろ!」
「それはエルミハ区までの移動している時に話を
しましょう」
「おい‼︎待てよ!」
エレンがカールを呼び止めたようとしたが、アルミンに
止められて、近寄ることができなかった。止められた
エレンはアルミンに激昂していた。
それを我知らずとカール達は補給室に向かって行った。
「カール、あの子…ニーニャちゃんどうする?」
「僕達は兵士なので、いつも面倒を見られるわけではわけ
ではありません…だから、僕の母上に預けるというのは
どうですか?」
「カールのお母さん?」
「えぇ…母上は一人で屋敷に暮らしているので……」
「あんたの屋敷ってウォール・ローゼ内にあるんだったら
今は一緒の方が良いじゃないの?エルミハ区で預けたら
良いと思うし……あんたらしくないよ」
「すみません……流石にエレンからあんな風に敵意を
向けられるのは……」
「そんなに気に負うことはないよ、カール!
それに……私もあそこまでの殺気をミカサから向け
られると……ちょっと参っちゃうよ」
話している間に三人は補給室に着いていた。
補給室に入ると周りからの視線が凄かったのだ。
それは人類の敵に向けるような視線や巨人の力に畏怖する
者など様々だ。
三人はそれを気にせず補給を始めた。
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ーー数時間後(巨人発見より16時間後)
ウォール・シーナの内側
ミーナ、アニはニーニャと一緒の荷馬車に乗って、
カールだけがエレン、ミカサ、アルミン、リヴァイ、
ハンジ、ウォール教の司祭のニックの荷馬車に
乗っていた。ストヘス区の内扉を通り過ぎて十数分は沈黙
が流れていたが、エレンがその空気を切るようにカールに
話しかけた。
「オイ…カール……お前は何で巨人の力を黙って
やがったんだ」
「エレン…僕の家、ヘッシャー家は貴族で、身分を偽って
南部の訓練兵団に入った」
「お前が貴族だってのはさっきアルミンに聞いた」
「そして、僕のこの力はフリッツ王が三重の壁を築いて
から100年間……13年ごとに受け継がれている」
「巨人の力が受け継がれている……」
「そうだよ…僕の父上は力を受け継いで13年後に僕に
力を受け継がせて、父上は力の呪いで死んだ」
「カール!それは……エレンも同じなの?」
「それはわからないけど僕はあと8年でヘッシャーの誰か
に受け継がせないといけない……
この話も重要ですが…何故ウォール教の司祭のニックが
同じ荷馬車に乗っているんですか?」
「彼は教団の壁の秘密を知っているらしいんだけど……
私たちに同行して、自分の目で見て…自分に
問うたいらしい…」
カールは自分の話を言いタイミングで切り上げると、
ニックの話に移すと、ハンジはすぐに同行している状況の
説明をしたが、その話を聞いたエレンが立ち上がった。
「イヤイヤイヤイヤ…おかしいで……うっ⁉︎」
「おとなしくして…まだ巨人化の後遺症が…」
いきなり立ち上がったのが悪かったのか、エレンは目眩を
起こしてたので、ミカサが支えた。
「ありがとうな、ミカサ
何か知ってることがあったら話して下さいよ…
人類の全滅を防ぐ以上に重要なことなんて無い
でしょう?」
「どうだろうな…私には司祭は真っ当な判断力を持った
人間に見えるんだ……もしかしたらだけど…
人類滅亡より重要な理由が…あるのかもしれない…」
「まぁ…こいつには少し根性があるらしいが他の信仰
野郎共はどうだろうな…全員がまったく同じ志とは
思えんが…まぁ」
リヴァイは服越しに銃をニックに向ける。
「質問の仕方は色々ある…
俺は今…役立たずかもしれんが…こいつ一人を見張ること
ぐらいできる
くれぐれも…うっかり体に穴が空いちまうことが無い
ようにしたいな…お互い……
…それはさておきだ…ハンジ」
「ん?」
「お前はただの石ころで遊ぶ暗い趣味なんてあったか?」
ハンジはリヴァイから手に持っている細長い石のような物
を指摘すると、ハンジは嬉しそうに石を突き出した。
「これはただの石じゃない…女型の巨人が残した硬い皮膚
の破片だ」
「……え…え⁉︎消えてない⁉︎」
「そう!
アニが巨人化を解いて体から切り離されても…この通り!
蒸発もしない…消えてないんだ!
『壁』の破片と見比べたら…模様の配列や構造までよく
似ていたんだ
つまりあの壁の大型巨人が主柱になっていて、その表層は
硬化した皮膚で形成されていたんだ」
「じゃ…じゃあ…」
「おっと!待った、アルミン…言わせたくれアルミン!」
「このままじゃあ…ウォール・ローゼの穴を塞ぐのは
困難だ…適した岩が無い限りはね……
でも…もし…巨人化したエレンが硬化する巨人化の能力で
壁の穴を塞がるかも……あっ!そうだ…カール……
君の巨人は女型の巨人と同じ材質の物を生成していたが、
どうなの?」
気配を消して、いようと思っていたが、ハンジに声を
かけられたので、カールは嫌そうな顔をしながら
質問に答えた。
「僕の巨人では無理ですが……エレンの巨人なら…
あるいは出来るかもしれませんし…そうしたらウォール・
マリアまでは少数で行けますね」
「そのうえで…夜間に壁外の作戦を決行するのはどう
でしょうか、ハンジさん?夜から巨人が動けませんし…
それなら少数の兵でウォール・マリアまで行けるかも
しれません…」
「……状況は絶望のどん底なのに…それでも希望がある
もんなんだね…」
「それは…エレンが穴を塞がるかどうかに懸かっているん
ですが……」
「エレン…それってできそう?」
ハンジに問われたエレンはやったことが無いので、
できるかできないかを答えることができず、しどろもどろ
していると、その空気を切るようにリヴァイが
話し始めた。
「できそうかどうかじゃねぇだろ……やれ…やるしか
ねぇだろ
こんな状況だ…兵団もそれを死力を尽くす以外にやること
はねぇはずだ…必ず成功させろ」
「…はい!オレが必ず穴を塞ぎます!……必ず…」
「それはいいとして……カール…お前は報告書に言わ
なかったことがあるだろ?」
「……え?」
「鋭いですね、兵長……
確かに…僕は全ては伝えていません…僕が王家の分家
ということ以外は……しかし、これは黙秘ではありません
もしこの情報が政府に流れたら…まず間違いなく政府は
調査兵団を解体し、エレンを連れ去ろうとするでしょう」
「……まぁ、そんなところだろうな……
コイツも情報を漏らさないところを見るとはそういうこと
だろうな……」
リヴァイの発言を聞いて、馬車の中は静かになったが、
ハンジがその空気を察して、声を上げた。
「…もうすぐエルミハ区だ」
「俺と司祭…女型は俺と一緒に残ってもらう
お前らはエルヴィンが決めた即席の班だ
わかってるな、アルミン…お前はその調子でハンジと知恵
を絞れ」
「は…はい!」
「カール、お前は今から重要対象なんだ…身勝手な行動
はするな……そして、ミカサ
お前は………」
こうして荷馬車はエルミハ区に入って行った。
しかし…遠く離れたウォール・ローゼ内の古城、
ウトガルド城跡では大変な事態が起こっていた……
読んでいただきありがとうございます!
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