今回は便利屋とデカ盛りラーメン回になります。
では、どうぞ…。
「いやぁ〜、悪かったってアヤネちゃん、ラーメン奢るからさ、機嫌なおして?」
「……別に、怒ってませんし」
アビドス市街にあるラーメン柴関内、広い六人テーブルにて其々が思い思いに食事しているが、アヤネは先ほどから相変わらずむくれていた。
まぁ言わずもがな先ほどの会議でふざけ過ぎたのが原因である。先生とシロコとホシノとノノミがアヤネの一時間にも及ぶ
その説教中、ずっと正座をしていたせいで足が痺れた僕は速攻で痺れが回復したホシノに背負われて柴関へと運ばれ、先生はシロコに背負われて同じく運ばれていた。
「はい、アヤネちゃんこっち向いて、お口ふいて…はい、よくできました☆」
「赤ちゃんじゃありません! ……はぁ…」
「アヤネ、チャーシュー食べる?」
「ふぁい…(モゴモゴ)」
ノノミに世話を焼かれ、先ほどからずっと膨れっ面でラーメンを啜っているアヤネがため息を吐き、シロコからチャーシューを貰ってもぐもぐと食べている。
「…何でもいいんだけどさ、何でまたウチに来たの?」
そんな様子を柴関の制服を着たアルバイト中のセリカは呆れた顔で見ていた。定例会議という名の半分説教会が終わった僕らはバイトに向かうセリカの後を追跡し入店、ちょうどよくお昼時だったのも相まって空腹状態だった我々はこうして今ラーメンを啜っている。
「いやぁ〜、まぁ部室以外で集まれる所っていったらここぐらいしか無いからね〜、ね? アキラちゃん」
「そうですね…、ですが、ホシノ先輩」
「ん? なーに?」
ホシノがいつも通りの緊張感の無いゆったりした喋り方で
「何で僕の膝の上に乗っかってるんですか?」
そう、さっきから…と言うか柴関に来て僕が席に座ってからずっとホシノが僕の膝の上に乗っかってるのだ。ホシノのサラサラとしたピンク色の髪で視界の下半分が埋まり、髪からは微かにシャンプーの匂いがずっと僕の鼻腔をくすぐっている。
「え〜? いいじゃ〜ん、別に減るもんじゃないし」
「…そうですか?」
ホシノが僕ににっこりとした笑顔を向け、頭を戻してまたラーメンを啜り始める。
…何故か、こうしてホシノを膝の上に乗せている…というか一緒にいると妙な安心感を感じる、人の温もりという感覚ではなく、何処か僕の知り得ない所で何か
まぁそんな事よりも重大な問題が一つ。それは僕のイキリたちそうな愚息だ、ああ一体これはどうにかならんもんでしょうか、ホシノの背中が僕の腹に密着し、細いながらも柔らかい太ももが僕の足の上に乗っかり、僕の悶々などまるで知り得ぬ顔でラーメンを啜っている。ある意味これが僕が男であることを公表しないが故の弊害の一つかもしれない。
そうして何とか生理現象を抑え込もうと踏ん張っている中、不意にチリンチリンとドアの上側につけられた入店ベルの音がした。チラリとその音がした方向を見ると、そこにはショットガンを抱え、紫色の髪に濃い紫色の軍服の様な服を着た少女…、ハルカが店のドアを少し開いて中の様子を伺っていた。その音に慌ててセリカが僕らの側を離れてハルカの方へ向かう。
「あ、あのぅ…」
「いらっしゃいませ! 何名様でしょうか?」
「こ、ここで一番安いメニューって、お、お幾らですか?」
「一番安いのでしたら…、580円の芝関ラーメンです! 看板メニューですので、美味しいですよ!」
「あ、ありがとうございます…!」
少し息が詰まっている様な声でハルカが感謝すると、後ろから続々と三人の人影が現れる。その人影は店内を見ながらゆっくりとした足取りで入店し、その表情は何処か歓喜にも包まれているように見えた。
「えへへへっ! やっと見つかった! 600円以下のメニューがある所!」
M60を肩に掛け、何やら大きなバッグという重装備でありながら、無邪気な笑顔で店内に軽い足取りで入った生意気な顔をした少女のムツキ。
「ふふふっ、ほら、私の言った通りでしょう? 何事にも解決策はあるのよ、全て想定内だわ」
最早原型が分からぬ程ゴテゴテと装飾されたスナイパーライフルを持ち、フフン、と得意げかつ、不敵な笑みをしている一見キャリアウーマンに見えなくもないが、白目剥いて「ななな、なっ、何ですってー!?」とか言ってそうてか言ってる陸八魔アル。
「そ、そうでしたか…、流石社長、何でもご存じなのですね」
そして、軍服の様な物に身を包みショットガンを抱えて腰を低くしながらアルの側を歩くハルカ。
「…はぁ……」
その一番後で頭を痛そうに抱え、眼前の光景に呆れた顔をしているカヨコ。そう、アル、ハルカ、ムツキ、カヨコのこの四人、何を隠そうブルアカ界のギャグメンバー兼
そんな騒がしい便利屋の面々に臆せず、セリカは顔色を崩さずに接客する。
「四名様ですか? お席に案内しますね」
「んーん、どうせ一つしか頼まないし大丈夫」
「一杯だけですか? でも、どうせならゆっくりお席へどうぞ、今は暇な時間なので、空いている席も多いですし」
「おー、親切な店員さんだね〜、それじゃあお言葉に甘えて…っと、そうだ」
セリカの言葉に席に向けて歩き出したムツキがふと思い出したようにセリカの方を向く。
「わがままついでに箸は四膳でよろしく〜」
「えっ!? 四膳ですか!? ま…、まさか一杯を四人で分けるつもり!?」
セリカが驚きの余りそう口にすると、ハルカが銃を抱えたままぺこぺこと頭を下げて謝罪を口にし始めた。
「ご! 御免なさいっ! 貧乏ですみません! お金がなくてすみません!!」
「え!? あ、ちょ、さっきのはそういう意味じゃなくて…別にそんな謝らなくても…」
「いえ! お金がないのは首が無いのも同じ! 生きる資格なんてないんです! 虫ケラにも劣る存在なのです! 虫ケラ以下で御免なさい……!」
「はぁ……、ちょっと声デカいよハルカ、周りに迷惑…」
一体どこから出てくるんだと思えるそのネガティブな言葉のオンパレードにセリカは戸惑ってしまい、そろそろ周りの目が気になってきたカヨコがハルカのそばに寄ってハルカの謝罪を止めようとする。が、しかし何かを決めたような顔に変わったセリカがぺこぺこと頭を下げるハルカの方をがっしりとタイミングよく掴み、彼女に向け叫んだ。
「ううん! お金がないのは罪じゃないよ! むしろ胸を張って!」
「うぇっ…へ…? ……はい?」
「お金は天下の回りもの、ってね。そもそもまだ学生だし! それでも、それでも小銭をかき集めて食べにきてくれたんでしょう!? それが大事なの!!」
セリカの叫びが店内にこだまし、先ほどまでセリカが戸惑っていたにも拘らず、今度はハルカが戸惑いを見せるが、そんな事など歯牙にも掛けずに叫び続ける。
「え、えっと………」
「もう少し待っててね! すぐ持ってるから!」
そう言い残してセリカは厨房へと走っていってしまい、そんな便利屋から見れば稲妻のような彼女の行動に呆気に取られ、少ししてから近くのテーブル席へと座った。
「……なんか妙な勘違いをされてるみたいだけど?」
「まぁ、実際いつも貧乏ってわけじゃないしね〜、強いて言えば金遣いの荒いアルちゃんのせいだし」
「アルちゃんじゃなくて社長でしょ? ムツキ室長、肩書きはちゃんと付けてよ」
「ん? もう仕事終わったしいいでしょ? てか、社長なのに社員にラーメン一杯奢れないって実際どうよ?」
「うぐっ…」
「今日の襲撃任務に投入する人員雇う為に、ほぼ全財産使っちゃったし…」
椅子に座って呆れた顔でカヨコに指摘されたアルは返す言葉を失い、引き攣った笑みを浮かべ余裕の態度を崩さない。好意的に見れば動じないハードボイルドの様に見えなくもないが、それが吹けば簡単に崩れ去る脆い虚勢なのを僕は知っている。
「ふふふ…、でも、こうして実際ラーメンは口に出来ている訳でしょ? それぐらい想定内よ」
「たったの一杯だけじゃん、せめてさ、四杯分のお金は確保しておこうよ……」
「ぶっちゃけ、忘れてたんでしょ? ねえ、アルちゃん、夕飯代取っておくの忘れたんでしょ?」
「…ふふふ」
ムツキとカヨコから飛んでくる追い打ちにアルは黙ってただ微笑んだ。実際彼女にとっては図星であったが、アルは失敗を認められない性の人なのでまぁ仕方ない…のか?
「はぁ…、ま、リスクは減らせるに越したことは無いし今回のターゲットはヘルメット団みたいな雑魚では手に余る案件なのも理解するし、同意する」
「でも、会社の全財産を叩いて迄傭兵を雇う必要がある程、アビドスは危険な連中なの?」
カヨコさんその通り、我々はただ無名の司祭の技術をもとに作られた専用装備を使えて、周到な襲撃計画を組む事が出来てかつ準備も万端に出来て、ただキヴォトス最高級の神秘を持ってる生徒が三人いるだけの取るに足らない学校ですよ。はい、なので安心して襲撃してください。
「多分、アルちゃんもよくわかってないと思うよ? 情報もあまりなかったからビビっていっぱい傭兵雇ってるんだよ」
「誰がビビってるですって!? 全部私の想定内! 失敗は許されない、ありとあらゆるリソースを注ぎ込んで事に当たるのが便利屋68のモットーよ!!」
「初耳だね、そのモットー」
「多分今思いついたに決まってるよ〜」
「うるさい! なら、今回の依頼を成功させて報酬が入ったら、すき焼きにするわ! だからみんな気合い入れなさい!!」
テーブルから身を乗り出して少々ヤケクソ気味にアルが叫び、ムツキとカヨコは少し驚いた表情になって顔を見合わせ、アルの対面に座っているハルカは何が何だかわからない顔をしている。
「あのぅ…、すき焼き…って、何でしょう?」
「大人の食べ物だね…、すごく高価な…」
ハルカの問いにまだ少し驚いた表情のままなカヨコが答えを返す。すると、ハルカの目がキラキラと輝く。
「う…うわぁ…、私なんかがそんなもの食べていいんでしょうか? やっぱり…、食べた後はハラキリですか?」
「そんなわけないでしょ…、まぁ、ウチみたいなすごい会社の社員ならそれぐらいの贅沢はしなきゃね!」
「へぇ〜、やる気満々じゃん、アルちゃん」
「アルちゃんじゃなくて、しゃ・ちょ・う!」
「はい! お待たせしました! 熱いので気をつけて!」
便利屋の皆が言い合っているのを遮るようにセリカが注文のラーメンを持って便利屋のいるテーブルへと戻ってくる。だが、そのラーメンはラーメンと言うには余りにも大きく、重く、そして、デカ盛りであった。麺とモヤシで山ができており、8枚のチャーシューが山肌のように…例えるなら土砂崩れを防ぐコンクリートの壁の如く、その野菜と麺の山が崩れるのを抑えている。
そんな僕自身も生で見た事は無いどんぶりに乗った山に、便利屋の面々も驚愕の余り目を見開く。
「でっか…」
「これ、ざっと十人分ぐらい有るよね…?」
「こ、これはオーダーミスなのでは? こんなの食べるお金、ありませんよぅ……」
「いやいや、これで会っていますって、五百八十円の柴関ラーメン並、ですよね大将!」
便利屋の皆が訝しげに──ハルカは不安げに──セリカの方を見るが、彼女はそんな事を気にせず満面の笑みで首を横に振り、厨房に居る仁王立ちした犬、いや、人徳あふれる柴関ラーメンの大将に言葉を投げかけると、大将はそれに応える様にカウンター越しに親指を立て頷いた。
「ああ、ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだ、気にしないでくれ、こっちのミスだからよ、料金は柴関ラーメン並、一杯分だ」
「大将もあぁ言っているんだから、遠慮しないで、それじゃごゆっくりどうぞー!」
そう言ってセリカはテーブルを離れ、残ったのは山の様につまれた麺、チャーシューヤサイメンマシマシの柴関ラーメン超特盛バージョン。そしてご丁寧にも四人分のとり皿まで用意され、便利屋の皆はその山を輝きに満ちた目で見ている。
そんな楽しそうな便利屋を見ながら、これからのことを思案していると、ふと僕のMA1に入れたスマホが鳴る。
「ん? アキラちゃん、電話来てるっぽいけど?」
「ホシノ先輩、ちょっと退いてもらっても? 少しお手洗いに」
「いいよ〜」
僕の膝の上に乗っていたホシノが降りて膝上の重みがなくなると、僕はトイレに向かって個室に入るとドアを閉めて鍵をかけてからジャケットからスマホを取り出し、カイザーからの着信に通話アイコンをタップして自分の耳へ持っていく。
「こんにちは、何用です?」
『こんにちはぁアキラくん、どうだい? 順調かい?』
電話先から聞こえるのはちょっとしたダミ声に飄々とした喋り方、最近黒服と一緒に聞いたばかりの声で前世でも聞いたことのある声だが、未だに僕は慣れない。
「…だから何用だって言ってんじゃないですか」
『あらぁ? つれないねぇ? ま、いいや』
「切りますよ?」
『ああちょっと待って、まぁその用事なんだけどさ。俺、アビドスの任務に就く事になったわ』
「…そうですか、で?」
僕がそう聞くと電話先からちょっと呆れたようなため息が聞こえ、その飄々とした喋りが少し落ち着く。
『協力できるよってこと、ま、仲良く行こうじゃん?』
「はぁ…、じゃ、呼んだら来てくださいよ?
『OK OK、じゃぁね〜』
スマホを自分の耳から離し、赤い通話切りのアイコンをタップしていつ聞いても面倒な相手と通話を切る。…ったく、仲良くねぇ…、一体どの口が言ってんだか。あぁ、とはいえ僕はゲマトリアのまんまだけどね。
僕は個室の鍵を開けて、トイレから出ると、入店口の辺りですでに委員会のメンバーが待っているのが見え、僕は急ぎ足でそこへと向かう。
「んも〜、アキラちゃん待ったんだよ〜?」
「じゃあ、戻りましょうか☆」
「はい、そうしましょう」
僕を笑顔で迎えるアビドスのみんな、多分、僕はこれから一般的には許されない行為に走るんだろう。でも、それが僕の望みなんだ。ふとそう考えると、僕の心の奥底で何か靄りとした感覚が湧いたが、僕はそんな事を全く気にせずにアビドスへの帰路へと立った。
お読みいただきありがとうございます!
はいさて、今回出てきたカイザーグループの主任…、まぁ、わかる人ならわかるでしょう!(丸投げ)
今回、あんまりアキラくんの心情を書けなかったのが心残り…。とはいえ、まぁ現時点であれば、問題の無い範囲でしょう。
では、また次回
茅場君に使ってほしい兵器
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四連装機関砲
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大型レールガン
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18連装ミサイルランチャー
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155mm榴弾砲FH70
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六連装超大型チェーンソー
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ブースター付き柱
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主任砲
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マルチプルパルス
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ヒュージミサイル
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ヒュージブレード