重装転生者はゲマトリアで何を思う。   作:焼け野原主任

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どうも!焼け野原主任です!

今回は比較的長いです!そして!投稿遅れてすみません!

では、どうぞ!


ん、覆面水着団結成

「ここまで情報がないなんてあり得ません……、妙ですね……」

 

「……やはり、ヒフミさんもそう思いますか」

 

 隣のベンチの方からヒフミの呟く様な声が聞こえ、それを聞いたアヤネが覗き込んでいた端末から顔を離し、通信越しに頷く。

 

「はい、お探しの戦車……レオパルトでしたっけ、の情報、あのレベルの高級品であれば通常の販売所以外にも、軍放出品販売所などでも販売されている可能性があるのですが、当の放出品販売所ではそもそもその戦車が販売されていた記録はありませんし、唯一販売していた所も閉店していました」

 

「……実際にそんな事が可能なの?」

 

 セリカがそう聞くと、ヒフミはフルフルと顔を横に振る。

 

「いえ……、いくらブラックマーケットを牛耳っている企業でも、ここまで統制することは不可能なんです。情報屋に便利屋……、情報を売ることを生業にしている人が沢山います、なので、何処かから絶対に漏れ出るのです」

 

 ヒフミは自分のスマホをスクロールしながらそう言う、スマホに映し出される集めた各店舗のデータに情報屋の証言、そのどれもが情報の不足を表し、隠蔽の可能性を醸し出している

 

「となると、この状況はやはり異常というわけですか?」

 

「異常……というよりは、普通ここまでの事はする必要も意味もないんです」

 

 ヒフミはスマホを膝の上に置き、確信に近い顔をして皆を見て話し始める。

 

「ブラックマーケットに集まってる企業は、ある意味開き直って悪事を働いているんです。だから、逆に隠すことの方が不自然に見えるんです。──そういう意味では、確かに異常かもしれませんが……──……例えばあのビル、あれがブラックマーケットに名を馳せる闇銀行です」

 

「……闇銀行?」

 

 ヒフミが指を刺した方向には、一見なんて事の無い綺麗なビルが見える。ここ周辺の建物の中では壁のセンスのないけったいな落書きや空薬莢が落ちていないなど、比較的綺麗にされており、清掃が行き届いているのが感じられた。

 周囲をマーケットガードが固め、装備もそこら辺を巡回しているのより重装備で、ビル前の広場の中心に一台対空機関砲が設置され、異様なまでの威圧感と物々しさを醸し出している。

 

「はい、ブラックマーケットでも大規模な銀行の一つで、噂だとキヴォトスで起きる15%の盗品があの銀行に流されているそうです……。横領、窃盗、誘拐……ありとあらゆる犯罪で発生した財貨が彼処に流され、違法な兵器や武器に変えられてまた別の犯罪へと使われる……、そんな犯罪の悪循環が続いているのです」

 

「…………そんなの銀行が犯罪を煽ってるじゃないですか……」

 

「……そうした方が利益も多い、と言う事が皮肉ですけどね」

 

 僕は当たり前の事をボソリと呟く、その言葉に反応したようにセリカが地面を踏んで憤慨した。

 

「利益の多い多くないの話じゃないでしょう! 連邦生徒会は何やってんの……!」

 

「ま、利益以外にも理由は色々あると思うよ〜、どこだってそれなりの事情を抱えてると思うからさ」

 

「現実は思った以上に汚れてるんだね……、私たちはアビドスの事にばかり気を取られてて外の事に目を向けなさ過ぎたかも……」

 

 自分達の預かり知らぬところでいつの間にかここまで闇が拡大していたという事に皆は自分らの無知や無力を痛感し、そんな皆をヒフミは痛ましそうな顔を向けた、そんな無知無力を痛感する皆と、そのヒフミの姿に僕は反対に愉悦の海に浸り、表情に出さない様堪える。

 すると、ヒフミが何かを見つけた様に顔を横に向け、僕の視界の端にも何かの集団の影が入る。

 

「……! 皆さん! 隠れてください!」

 

 咄嗟にヒフミは近くの植え込みに隠れ、そう叫んだ。そのヒフミの尋常ならざる様子を見た皆は慌てて、シロコとノノミが先生を引っ張り、僕はブラックマンバのケースとホシノを抱えてすぐに後を追ってヒフミの近くに行き、最後にシロコがクリアリングをして側へと隠れる。

 

 植え込みに身を隠しながら皆が外を覗くと、黒の制服に灰色のスカート、悪趣味なペイントが施されたフルフェイスのヘルメットを被った兵士と、よく見かける型の戦闘ロボットの集団が目の前に映る。

 

「……あれは?」

 

「マーケットガードです、ブラックマーケットの最上位に位置する治安組織です」

 

「つまり、警察みたいな物?」

 

「……警察ほど、公平であるならどんなに良かったか……」

 

 ヒフミが遠い所を見るような目をする。隊列を見れば、マーケットガードの集団は何かの車両を囲むように展開しており、その車両というのはM3ブラッドレー騎兵戦闘車だ。

 ……わーお☆すげー装備、てか良く見れば兵士やオートマタが持ってる装備も、他校の自警団やヴァルキューレよりも物々しいように見え、なんとも言えぬ威圧感を醸し出している。

 

「パトロール……、にしては重装備すぎるね」

 

「ん、それに配置もおかしい」

 

「……なんかの護衛?」

 

 口々に不安そうに言葉を連ねた僕らの前を騎兵戦闘車が通り過ぎると、その騎兵戦闘車の後ろに、先ほどの騎兵戦闘車と比べればサイズ感の小さい、とは言え普通にみれば割と大きな車両、一見するとトラックの様にも見える。

 だが、外装は生半可な銃弾は弾く様な重装甲のように見え、運転席も装甲板のシャッターが入っており、細い覗き窓がアイラインの様に入っている。車体下部にはおそらく全周に複合装甲のようなものが張り巡らされ、そこだけが少し盛り上がっている。

 

「ふーん……、差し詰め現金輸送車ってところかな?」

 

「ああ、なるほど、護送中だったんですね……」

 

 あの車両を見たアヤネが、まるで信じがたい物を見るような表情でボソリと呟く。

 

「……あのナンバー、見覚えがあります」

 

「ナンバー? ……いや、私にはよく分からないけれど」

 

 セリカがナンバープレートを見るも、なんだか心当たりのない様子を見せる。すると、そのトラックが闇銀行のビルの一部に設置されたスロープを下っていく。

 

「闇銀行に入っていった」

 

「……もう少し近付いてみてください、ちょっと嫌な予感がします」

 

「えっ……!? 危険じゃ無いですか……?」

 

「……大丈夫、あそこが死角になってる。あそこに行こう」

 

 そう言ってシロコが指を刺した所にはちょうど良く銀行から死角になる位置に自動販売機が5台ほど並んであった。シロコはホシノの肩を少し叩き、少々のジェスチャーでやり取りし互いに頷くと、素早く自動販売機まで移動し、周囲を警戒するようにクリアリングをして安全を確認すると僕らの方を向いて手招きする。

 

「……来い、という事ですか」

 

 ボソリと呟くと、重装備のノノミと僕が纏めて移動し、それに続いてヒフミ、セリカが先生の手を引いて続いて来る。トラックは騎兵戦闘車と共に銀行のスロープを下った先で止まっており、トラックの前に騎兵戦闘車が止まっている。

 

 そのトラックの先はシャッターが閉まっており、その左右に守衛と思しき二人の兵士の人影が、トラックの運転手らしい人影が守衛が出した書面にサインしているのが見えた。

 

「今月の集金です」

 

「ご苦労、早かったな、ではこちらの集金書類確認の書類にサインを」

 

「……はい」

 

「いいだろう、確認した」

 

 トラックの運転手が書類にサインをして、守衛に差し出す。と、それを確認した守衛が閉まっていたシャッターを軽く叩いた。

 

「開けてくれ、今月の集金だ」

 

 ガラガラと金属同士が擦れる嫌な駆動音を立てながらシャッターが上昇していく、そして、先ほどからトラックの窓から身を乗り出している運転手のロボットの姿に、皆は驚いた。

 

「……あれ、ウチに来ていつも利息を受け取ってる銀行員じゃない?」

 

「やっぱり……」

 

「おじさんにもそう見えるね」

 

 ようやっとセリカ他数名もそのトラックを運転していた人物は今朝にアビドスに集金に来た銀行員である事に気が付いたようで、シロコの目つきがまるで狼のようにキラリと鋭くなる。

 

「……どういう事? カイザーローンがブラックマーケットに……?」

 

「か、カイザーローンですか!?」

 

「ヒフミちゃん、知ってるの?」

 

 シロコがその名前を呟くと、ヒフミが目を見開いて驚愕する。どうやら何か知っているようだと思ったホシノがヒフミに向けて落ち着いた口調で問いかけた。

 

「はい、カイザーローンといえばカイザーグループの高金利金融業者で、合法と違法のグレーゾーンを上手く利用するまぁ多角化企業といいますか……。カイザーは私たちトリニティの区域にも進出していて、生徒会であるティーパーティーが生徒への悪影響を防ぐために目を光らせています」

 

「ふーん、ティーパーティーがね……」

 

 ホシノがそう呟く、トリニティ総合学園のような大規模校の生徒会が目をつけているとなれば、相当にやばい企業なのだろう。

 

「……もしかして、アビドスはカイザーローンから融資を?」

 

「ま、そこは話せば長くなるんだよね〜……。アヤネちゃん、さっき入っていった現金輸送車の輸送ルート、調べられる?」

 

「少々お待ちください…………いえ、ダメですね、すべてのデータをオフライン上で管理しているようでヒットしません」

 

「やっぱりそうだよね〜」

 

 情報が見つからなかったアヤネの表情が少々曇るが、元々ダメだと思っていたホシノは反対に気楽そうであった。

 

「……まさか、私たちは闇銀行に犯罪資金を提供してたってこと!?」

 

「……いつも現金でしか受け付けない、ということはそういう事でしょうね……」

 

 セリカが全身の毛穴すべてが噴火口となったように憤慨し声を上げる。アビドスから集金した利息を闇銀行に搬入、状況を見ればそう捉えれるだろう、ま、本当なんですけどね。

 ヒフミが「まだそうだと決まったわけでは……」とセリカを宥めるが、その途中で何かに気がついた様に顔を上げる。

 

「あ! さっき確認していた集金確認の書類……あれを回収できれば証拠になりませんか?」

 

「おおー、なるほど、さすがトリニティ」

 

「あはは……、でも、よく考えてみれば書類はもう銀行の中ですし……、無理ですね」

 

「ブラックマーケットで最もセキュリティの固い銀行となると……、それに、周りではマーケットガードが目を光らせていますし……」

 

 自分の考えが浅はかだった、と言わんばかりにヒフミが落胆の表情をする。入り口にも二人、それに対空機関砲まである完全防備の銀行など、忍び込むには到底不可能だ。

 ……たった一つの方法を除いて。

 

「いや、方法はあるよ」

 

「え?」

 

 ヒフミは自分の肩に手を置いたシロコの顔を何かこれを解決する妙案でもあるのかという期待を込めた表情で見る。当のシロコが振り返ってホシノの方を見て頷く。

 

 ……が、悲しいかな、おそらくその妙案は君の期待している物ではない。

 

「ホシノ先輩、あの方法しかないよ」

 

「あー……、あれかぁ……、あれなのかぁ……」

 

「ふぇっ?」

 

 シロコの言葉にホシノは本当にやるのか……と困惑と諦めの表情をして天を仰ぐ。すると、何かに気がついたノノミが声を上げる。

 

「あ……! そうですね、その方法なら!」

 

「えっ……何? まさか、私の思ってるあの方法じゃないよね?」

 

「…………」

 

 セリカのまさかという表情の問いにこくりとシロコが頷き、返答を返す。簡潔かつ明瞭、いい返答にセリカは驚愕し「嘘ッ!? まじで!?」と声をあげる。

 

「……あのう……、全く話が見えてこないのですが……あの方法とは……?」

 

「……残された方法はたった一つ」

 

 シロコは無言で自分のバックから青の一枚のセーター生地の布を取り出し、その布を被った。

 

 

 

 

「銀行を襲うの」

 

 

 

 清々しいまでの宣言、ある意味ヒフミのブルアカ宣言よりも清々しいのではないか。運営さんスチル作成して下さいお願いします

 

「…………はいっ!?」

 

 ヒフミの困惑の表情、そりゃそうだ、今まで荒事とは無縁……、確か無縁だったよね? のトリニティの生徒がこんなこと言ってついてこれるかと言われたら行けないだろう。

 ちなみに突発的事象なので無論無計画、それにシロコが覆面を被ってそういったということは本気の証でもある。

 

「だよね〜、そういう展開になるよね〜、ま、いっか」

 

 ホシノもピンクのマスクを被った、マスクの頂点からアホ毛が飛び出している。

 

「わぁ☆、悪い銀行さんをやっつけちゃいましょう!」

 

 ノノミも緑のマスクを被る、マスクの後ろ側からお団子が飛び出ている。

 

「マジで? マジなんだよね? はぁー……それなら……、とことんまでやってやろうじゃない!」

 

 吹っ切れたセリカも赤色のマスクを被る、ツインテールがマスクの両脇から飛び出ている。

 

「……了解です、こうなったら止めても聞く耳持たないでしょうし、どうにかなる……はず」

 

 諦め気味にアヤネも水色のマスクを被り、その上から差し込む様にメガネをかける。

 

「……ま、行きますか」

 

 僕も面白そうな表情で黒のマスクを被る、ポニーテールを差し込む為の穴があるのでそこからポニーテールを出す。

 

「ごめんヒフミ、あなたの分は覆面の用意がない」

 

「うへ〜、だったらバレたら全部トリニティの所為だと言うしか無いね〜」

 

「えっ! えぇっ!? そ、そんな……、ふ、覆面……何でえっと、だから……、あ、あぅ……」

 

 どんどん消え入っていくヒフミの声にノノミが見かねた様に何か工作している。

 

「それは可哀想すぎます、はい、これをどうぞ☆」

 

 ノノミが差し出したのは6、と書かれたたい焼きの紙袋、頭一つ入りそうなほど大きな紙袋だったので、目が見えるように穴を開けてマジックで書くだけで完成した。

 

 ……まさか、これを見越して大きな紙袋にしたのか? (迷推理)

 

「おー! たい焼きの紙袋、それなら大丈夫だねぇ〜」

 

「えっ、ちょっ待って下さい皆さん……、あ、あぅ……」

 

 ノノミの好意で差し出されたたい焼きの紙袋が被せられ、抵抗する隙もなかった。彼女の被ったたい焼きの紙袋についた甘い匂いに彼女は複雑な感情を抱いただろう。

 そして、某格ゲーの痩せた医者のような姿になったヒフミ、いや、覆面水着団のリーダーとなったファウストにホシノ、シロコ、ノノミ、セリカ、アヤネ、そしてアキラこと僕の六人が集まった。

 

「じゃ、先生、例の言葉を」

 

 ホシノが先生の方を向き、皆も一斉に先生の方を向く。すると、先生もいつの間にやら覆面を被っていたようで、灰色の覆面の目の前に子供が描いた様な、拙い、人の顔が書かれた生え際の後退した垂れをつけている。

 ……いつの間にそんな物用意したんだよ先生。

 

《…………よし、銀行を襲うよ!!》

 

「「「「「おー!!」」」」」




お読みいただきありがとうございます!

今回5700文字というまぁ僕が書いてる中では比較的多い文量となりました。これも主にキリよくする為ですので悪しからず。

さて、次回は銀行襲撃です。では、また次回。

曇るんだったら?

  • ホシノ
  • シロコ
  • 先生
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