重装転生者はゲマトリアで何を思う。   作:焼け野原主任

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どうも、焼け野原主任です。

さて、今回はかっこいい?アルちゃんが出ます。

では、どうぞ…。


差し伸べられた新たな手

 僕、茅場アキラは人知れず慌てていた。

 ブラックマンバを持つ手は焦燥に駆られ、じっとりとした手汗がグリップに滲む。柄にもなくこうして慌てているのは、目の前のマーケットガードに原因がある。

 

 引き金を引く、目の前のガードの歩兵の梯団が吹き飛ぶ。

 

 引き金を引く、目の前の歩兵戦闘車が爆炎を上げる。

 

 これを何度繰り返したか、倒せど倒せど相手の数は一向に減っている様に見えない。もうすでに僕の周りには十八発入りの弾倉が二つほど転がっており、正面には焼け焦げたアスファルトやコンクリートに浅いクレーターが数多く空いている。

 

「ん……、キリが無い」

 

「道路は封鎖されているし、倒しても倒した分だけじゃんじゃん歩兵に装甲車も出てくる……、うへ、こりゃマズイね〜」

 

「呑気なこと言ってる場合じゃ無いでしょ先輩!」

 

「ひぃぃぃ! ど、どうしてこんな目に〜〜!」

 

 先生の的確な指揮の下、それぞれ文句を言いつつも僕含めアビドスの面々は善戦し、そして、平均的な戦闘レベルは高いアビドスが展開する戦闘に完璧にヒフミは悲鳴を上げながらその動きに着いて行く。

 ……あなた本当にトリニティの帰宅部ですか? 本当の所属は正義実現委員会だったりしませんよね? 

 

 ヒフミの隠された戦闘力に静かに驚嘆しながら僕は繰り返し梯団を吹き飛ばしていると、背中に何かが当たる。

 

「あら☆、アキラちゃん、どうしましたか?」

 

 目線で後ろを見れば、M134を構えたノノミが笑顔でこちらを向いた。周囲を見れば、皆が先生を囲うように立ち、その先には全周ぐるりとマーケットガードの歩兵や戦闘車が囲み、こちらに銃口を向けている。

 

「ちょ、ちょっと……、これって……」

 

「……囲まれちゃいましたね」

 

「うへ、絶体絶命だね〜」

 

「そ……そんなぁ……」

 

 狼狽えるヒフミ含め皆が周囲をキョロキョロと見る、マーケットガードは銃口を向けたまま一向に打つ気配がない、僕らを逮捕するつもりなのか、それともただ単に我々に恐怖を与える為か、どちらかは不明。

 とはいえ、彼らが与えたその時間の猶予は、僕らにとって活路を見出す為の余裕を生み出した。

 

 ……さて、どうするか、今いる所はブラックマーケットの幹線道路で六車線の三叉路、相手は歩兵戦闘車を正面に配して全周を囲んでいる。なんとなくで見た感じでは、三叉路の内一つは包囲が薄い、罠かもしれないけど其処を突破できれば逃げれる、なら試す価値は十分にある。

 

 結論を導き出すと、マーケットガードに気取られぬ様僕は先生に向かって小さな声で話しかける。

 

「……先生、ちょっといいですか?」

 

《"何だい?"》

 

「彼処、他と比べて幾分か包囲が薄くなってます。罠かもしれませんが……、其処を突破できれば逃げれるかと」

 

《"……危険じゃないかな?"》

 

「……だからなんです? 今このまま囲まれているより、一縷の可能性があるならそれに縋りついた方がいいでしょう?」

 

 僕の言葉を先生は少し不安な表情で、そしてその言葉を噛み締める様に聞いた。話し終えると、先生は不安の拭えない表情のまま、シッテムの箱を取り出し操作を始め、そして皆に耳打ちする。

 

《"……皆、包囲を突破するよ"》

 

「……!?」

 

「マジで?」

 

 皆が驚きと不安の表情で先生を見る、だが、先生の顔は真剣であり、その表情をホシノはそうすると決意を孕んだものであると即座に分かった。

 

「……うへ〜、なら、行きますか〜」

 

「えっ? マジで?」

 

「そうですね、動かなければ変わりませんし」

 

「ん、行動する意味は十分にある」

 

「う……、うぅ……、本当にやるんですね……」

 

《"……なら、決まりだね"》

 

 先生がそう言うと、僕はブラックマンバの弾倉を交換し、ホシノは盾を展開させ、シロコはロケットドローンの準備をし、ノノミはM134の回転を始め、セリカは銃のコッキングレバーを引き、ヒフミは焦燥を隠せない表情で銃を構える。

 ともあれ、ここに居る全員が覚悟を決めた表情になり、それを見た先生は満足そうに、しかし難儀な表情で片手を上げた。

 

《"……戦闘……、開___"》

「待ちなさい!!」

 

 先生が号令をかけようとした瞬間、頭上の方から透き通る様な溌剌とした声が響いた。その声に僕らのみならず、マーケットガードも頭上を見上げる。

 

 すると、頭上にはビルの上に立った四……、いや、五人の直立した人影が見えた。

 

 ショットガンを抱えた濃い紫色の軍服の様なものに身を包んだ一人は、口元の両端が吊り上がり、上に反り上がった三日月の目を縦に赤い直線が横切った、気味の悪い笑顔を浮かべるピエロの様なマスクを付け、水色のトサカの様なものが両側から飛び出ている。

 

 小さな体にM60を抱えた、黒い半身を覆う服にお腹から続くワインレッドの黒いフリルの付いたスカートを履いた一人は、鍔の大きい黒いとんがり帽子を被り、灰色の微笑んだ老婆のマスクを付けたその姿がなんともアンバランスな意匠に見えた。

 

 黒いパーカーに身を包み、その下からは少しだけチェック柄のスカートが見える一人は、鉛色の骸骨のマスクに巨大なベレー帽の様なものを被り、その両手をパーカーのポケットに突っ込んでいる。

 

 ワインレッドのコートを羽織り、その下には白いブラウスと黒いタイトスカートを着用した一人は、ハロウィンで見るような、黄土色のかぼちゃのジャック・オーマスクを被っており、今にもあの妙に煽り性能のあるダンスを踊りそうな見た目をしている。

 

 灰色のカイザーの将校服に身を包んだ一人は頬の垂れ下がった老けに老けた中年男性のマスクを被っており、これまたさっきのかぼちゃマスクに射殺されそうな雰囲気である。

 

 …………は? 便利屋と主任は何をしているの? なんで某連邦に反省を促す連中とそれに撃ち殺された奴のコスプレしてまでここにいるの? 

 

「貴様ら! 何者だ!」

 

 マーケットガードの指揮官らしき人物が、上を見上げたままそう叫ぶ。

 

「私の名前はりk、んん"っ! 覆面集団68(シックスティーエイト)のベリアルよ!」

 

「ガ……、ガープ、です……」

 

「やっほ〜! アスモデウスだよ♡」

 

「……はぁ、ベレト」

 

「同じくハングドマン、ギャハハ!」

 

 指揮官らしき人物の叫びに、それぞれご丁寧に組織の名前と自己紹介をし、ベレトだけマスク越しでもわかるくらい鋭い目つきをこちらに送っていることがなぜか伝わった……。

 ……はい、アルちゃんとむちゅきとカヨコ姐さんとハルカと主任ですねはい本当にありがとうございました。

 その便利屋+αがビルの上から飛び降り、外壁についている出っ張りや換気扇を経由しながら地面へと降り立ち、ベリアルが「さあ皆、やぁーっておしまいなさい!」と号令をかけると四人が勢いよく返事をして包囲していたマーケットガードを蹴散らし始めた。

 

「あれってこの前の便利屋達よね……?」

 

「どう言う事なんでしょう……?」

 

「ま〜分からないけれど、味方なのは確かじゃない? 先生」

 

《"うん、好機到来だね"》

 

 便利屋と主任の乱入にかっこいいアルちゃんの姿にしばし脳が機能停止していた僕はハッと気を取り戻し、とりあえず先生がチャンスを見出した事はなんと無くわかった。

 

《"じゃあ皆……、戦闘開始!"》

 

「「「「おー!!」」」」

 

 先生が満足そうに、そして安心した表情で号令をかけると、皆が便利屋……いや、覆面集団68と共に包囲網へと突撃。全員無事で包囲を突破し、アビドス高等学校へと帰還した。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「行ったわね……」

 

 私、陸八魔アルは去って行った彼女達の後ろ姿を見送りながら、被っていたかぼちゃのマスクを脱ぐ。彼女達、正体不明のアウトロー達覆面水着団の撤退の一助を出来たと言う事だけで、今の私は満たされている。

 貸しを作る……、と言うわけじゃないけれど、こうやって人を助ければ、いつか私たちも助けられる時が来るのだろう。

 

「目には目を、歯には歯を、無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を征く……」

 

 私の後ろにいた主任が悲哀が籠った言葉で呟く。

 

「……何それ?」

 

「彼女ら、覆面水着団のモットーだよ。まさに、アウトローその物ってぇ感じかな?」

 

「そうよ、彼女達は真のアウトローに違いないわ! ……我が道の如く魔境を征く……、その言葉、魂に刻むわ!」

 

 そう言って私が振り向くと、足に何か重い物が当たる。下を見れば、黒い大きなバックが落ちていた。

 

「……これは?」

 

「あ、それ、さっきの覆面水着団が置いてったやつだよ。中身、なんだろうね〜……って___」

 

 ムツキがそう言ってバッグのジッパーを開け中を覗き込む、すると中には大量の現金が入っていた。

 

「うぇぇぇ!?」

 

「ななな、なっ、なんですってー!?」

 

「これ……ざっと見ても一億は有るね……」

 

 驚く私たちを他所に、ハルカが涙目に、しかし嬉しそうな表情で口を開いた。

 

「つまり……これって、もうご飯抜かなくてもいいって事ですか……?」

 

 

「好きに生き、理不尽に死ぬ。それが私、肉体の有無ではない……だったっけぇ〜……、ギャハハ、思い出しちゃったよ」

 

 そんな私たちを他所に、主任は何かを呟いた。




お読みいただきありがとうございます。

さて、最近この作品以外にも色々と書きたいものができてしまいました。
もちろん、この先曇らせもあります。

そろそろ2章に移る頃合いにもなってきましたね…。

では、また次回。

曇るんだったら?

  • ホシノ
  • シロコ
  • 先生
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