重装転生者はゲマトリアで何を思う。   作:焼け野原主任

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どうも、焼け野原主任です。

さてまぁ今回は先生大怪我の知らせを聞いたアキラくん、どうするんでしょ?

では…どうぞ。




その者、心配性につき

 アビドス高校……、いや、カイザーコーポレーション自治区内。

 

 東大通りと呼ばれる通りで、一両のT−34−85が薄く積もった砂塵を巻き上げながら爆走していた、だが、そのT−34には一発の砲弾も積んでおらず、代わりに狭い車内にこれでもかと救急箱や医療用モルヒネ、血止め薬など大量の医薬品に、折り畳まれた大砲が詰め込まれている。

 極め付けにその戦車に乗っている人はただ一人であり、その一人は必死の形相でアクセルペダルを踏み込んでいる。

 

「……まずい、まずいぞこの状況はッ___!!」

 

 もちろん、僕、茅場アキラだ、僕は半泣きの表情になりながら、自分の考えの無さにひどく後悔しながら柴関へと向かっている。まさか、こんな所で購入したT−34−85が役に立つとは思っていなかったけれど、これが無かったら徒歩で向かう事になり、着いた頃には余計に酷い事になっていたかも知れないと考えた。

 

 ……こうして先生を助けに行く為に疾走している時間すら酷くもどかしく感じる、偶に何かのゴミを踏んづけるが、そんなこと気にしてはいられない。

 

 そうして、僕が走り抜けていると目の前に数両の装甲車が見えたと同時に連続して銃声に爆発音が聞こえて来た、ブラックマーケットで、ヘルメット団との戦闘もあったが、やはりこうしてしっかり統率された行動を行う組織の戦闘をの音を聞くと、戦闘とはこういう物かと痛感する。そして、ジャーマンブラウンの車体にゲヘナ学園の風紀委員の紋章がデカデカと貼り付けられた装甲車にT−34の車体を向ける。

 

「ッ死ねぇ!!!」

 

 絶叫、凄まじい音を立ててT−34は装甲車へとぶつかった、衝撃で僕の頭がハッチに叩きつけらる。それで一瞬気を失いかけたが、やがて脳へと伝わったズキズキとした痛みが僕を覚醒させる。

 

「痛ッ……」

 

 目の前のハッチから抜け出ようとするが、どうやらさっきの衝撃で歪んだのか開かない、すぐに僕はブラックマンバと救急箱を持って車長ハッチから出て、周囲を見る、すると、目の前に車体がひしゃげた装甲車であった物が佇んでいた。そして、その先に、白い制服を赤く染め上げた先生、そして、ノノミやシロコがその先生を守る様に戦闘をしているのが見えた。

 

「なんだお前__」

「オラァ!!」

 

 凡そ年頃の乙女(男だけど)が発してはいけないような、凄まじいドスの効いた叫びを上げて折り畳まれたブラックマンバを横に振り抜く。MP40を構えていた風紀委員の体から鈍い音がするが、そんな事お構いなしにそのまま僕はハンマーの様にブラックマンバを振り回し、周囲にいた風紀委員を気散らして先生の所へと向かう。

 

「先生!!!」

 

《"ア! アキラ!? その怪我……、大丈夫なのかい?"》

 

「先生は人の心配より先に自分の心配をしてください!」

 

 僕はそう叫ぶ、今まで出た事のないであろう大声に自分もビックリするが、そんな事に意識を割くより先に先生の治療をしなければならない、崇高の器たり、かつ生徒を救済するその身がそう簡単に死んでもらっては困るのだ。

 

「……ウッ! グ、ゲッホゲッホ……ほら先生、これで一応は大丈夫です」

 

「そうは言ってもアキラ! 貴方凄い怪我じゃないの!!」

 

 セリカが叫ぶ、ふと自分の制服に目を落とすと、本来白いハズの袖が赤く染まっていた、どうやら衝突した時に他の所も怪我をしてしまったらしい、とは言え、キヴォトス人である限りそう簡単に死ぬ筈が無いのでとにかく放っておく、僕は直ぐにブラックマンバを展開して砲撃を開始、目標をセンターに入れて引き金を引く、すると放たれた榴弾が風紀委員の歩兵を蹴散らし、迫撃砲を破壊する。

 

 戦闘中、朦朧とする意識に対抗する様に注射針の付いたアルミチューブを太腿に差し込み、チューブを握り潰す。体の中に流れ込んで来る液体が朦朧とする意識を覚ませる。

 

「……ックまだまだ……」

 

 頑丈な盾を持った風紀委員にはAPFSDSを使い、盾ごと破壊し沈黙させる。いくらノノミの持っているM134があるとは言え、その元になったM61バルカンよりも威力は断然低く、結局あの虹6のモンターニュを百倍固くした様な動く要塞を破壊できるのは僕ぐらいであった。

 ……いくら相手が硬いとは言え、口径的には旧式の、それでも57mmの戦車砲クラスから放たれる最大貫通力が500ミリ近いAPFSDSを叩き込むのもそれはそれでオーバーキルな気がする。

 

 一頻り銃声が止み、ホログラムで出現した風紀を乱しかねない風紀委員の横乳女がぐぬぬと悔しそうな顔をする。

 

『……よろしい、そこ迄して抵抗するというならば、此方にだって策はあります……、ゆけ! 戦車部隊!』

 

 アコが号令をかけると、奥から四両のIV号戦車が顔を覗かせる、だが、前世でやっていた某戦車ゲームのお陰で車内のモジュールの配置は記憶しているので、的確に弾薬庫の位置に砲弾を叩き込み、弾薬を誘爆させる。

 残った三両が側面に周り砲撃を仕掛けようとするが、ハルカが一両に肉薄して砲塔天板にプラスチック爆弾をセットし起爆させ破壊、僕も二両とも徹甲弾で破壊、うーんこの連携された対戦車戦闘術……かんぺき〜。

 

『なっ……! ま、まだぁ! 装甲戦力を全て叩き込みなさい!』

 

 なりふり構わないとばかりに叫んで指示をするアコ、その指示の元そのまま突入して来た装甲車もブラックマンバの徹甲榴弾で破壊し、載っていた歩兵が空高く吹き飛ばされる。

 

『くっ……、まだまだ___』

『アコ』

 

 唐突に響く声、自動的にアコのホログラムに投影されたそれは、周囲を一瞥した後にアコを睨みつける。

 

『パトロールを終えて戻ったら居ないから、一体何があったのか教えて』

 

『えっ!? あっあのそれは……、ですね……』

 

 アコが目に見えて狼狽し、目を泳がせながら言い訳を探す様な仕草を見せる。

 

「ここまでの大戦力……、それに十両以上の装甲車に戦車四両を持ち出して、それに先生を怪我させてまでの事があったのか……、アコ、一から十まで、全部洗いざらい吐いてもらおうかしら」

 

 目の前に一人の小さな人影が、横乳女をしょっ引くのが見える。

 つまり、二時間に及ぶ戦闘が終わったという事だ。___でも、それまでにかなりの時間が過ぎ去った様に感じる。

 

 突然、自分に流れる赤い血がこびり付いた、もう何発撃ったかわからない僕の相棒(ブラックマンバ)が力無く地面に落ちる。直後に視界がぼやけ、脳の思考にどんどんとシャッターが下ろされていく様なその感覚、抵抗しようにも耐えられないそれに、僕は身を預けざるを得なかった。

 

 

 

 ◇◇◇

 

 

 

《"アキラ!"》

 

 重い物が落ちる音がした後、後ろを振り向くとアキラが倒れているのが見え、私は直ぐに駆け寄って抱き上げた、見れば体の其処彼処に痛々しく9mmパラベラム弾の銃創が出来、頭部からは酷く血が流れ続けている。

 どうやら、先程迄の大怪我をほぼそのまま放って置いた状態で戦闘を続けていたようだ、……あれだけハードに動き回っていたのだから、不思議な事でも無いけれど、こうして無茶をされては私が心配する。

 

「……脈はあるね、生きてはいるみたい」

 

「よかった……、って、取り敢えず直ぐに応急処置しなきゃ!」

 

 セリカがそう言ってアキラの服の上から包帯を巻き、アキラが持ってきた救急箱から消毒液と脱脂綿を取り出して身体を拭いて固まった血を拭き取り、慣れた手つきで応急処置を済ませる。

 

「……そういえば、アキラちゃんはブラックマーケットからどうやって此処に来たんでしょう?」

 

「ん、多分あれだと思う」

 

 そう言ってシロコが指差した先には、風紀委員が放棄したであろう一両の装甲車に激突したまんまの戦車が佇んでいた。確かに、戦車を使えばブラックマーケットからここまで来るのにそう長い時間は掛からないだろう。

 

「……先生」

 

 ふと後ろから声が聞こえる。小さな体、そしてその体にアンバランスな大きなマシンガンを持ったゲヘナの風紀委員長、空崎ヒナが申し訳のない表情でその場に佇んでいた。

 

「ごめんなさい……、結果として、貴方とその生徒を怪我させることになってしまったのを申し訳なく思う」

 

《"私は大丈夫だよ、でも……"》

 

「先生とアキラを傷付けといて……、申し訳ないの一言で済ませようとするんじゃ無いわよ!」

 

 私の後ろに立っていたセリカが絶叫して食ってかかり、シロコもライフルの引き金に指を掛ける。

 ……私の心配をしてくれるのは有難いし、別に私は謝ってくれればそれでいいのだが、アビドスの皆がそれで納得が行くかと言われると難しい、とは言え、戦うにせよ最強の火力を持つアキラが戦闘不能、便利屋の皆も疲弊しているで勝算は低い。

 

「……実際問題、勝てるかどうかは未知数です……。せめてホシノ先輩が居てくれたら……」

 

「うへ、呼んだかな〜?」

 

「せ、先輩!」

 

 ホシノが銃を肩にかけ、折り畳まれた盾を背負いながらヘラヘラとした様子で弾痕や爆発で陥没した道路を一瞥し、悪びれの無い様子でアビドスの皆の方を見る。

 

「うへぇ〜、こりゃ凄い事になってるね〜。ごめんね皆、昼寝してたら遅れちゃっ………………」

 

 言葉が止まる、先ほどまでの飄々とした調子のいい雰囲気は消え失せ、その目は驚愕に包まれた後、私と、その私に抱き抱えられているアキラをその感情の消え失せた目で凝視する、身体中に付く裂傷、銃創、流れ出た血液が白い服を赤に染め上げ、アキラのそのしなやかな黒い髪はうっすらと赤黒く染まっている。

 

 ホシノはそれで私達に何があったのかを全て察し、肩にかけたショットガンを目にも止まらぬ速さで構えた。




お読みいただきありがとうございます。

さてまぁ何があったのかわからないって方、いますでしょう。

普通にアキラくん痛めつけて先生を静かに曇らせたかっただけです何でもするので許してください。


では…、また次回。

曇るんだったら?

  • ホシノ
  • シロコ
  • 先生
  • 全部!
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