重装転生者はゲマトリアで何を思う。   作:焼け野原主任

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どうも、焼け野原主任です。

今回は伏線回かな?

では、どうぞ…。


崇められたる忘却の神

「あーもう! なんなのよこいつら!」

 

 セリカが弾の切れた弾倉を替え、周りを一瞥して叫ぶ。

 唐突に行われた戦闘、襲撃者であった足元に倒れ伏したオートマタの残骸を見下ろし、シロコは訝しげな表情を浮かべた。

 

「……なんだろう、個々の戦力はそこまで高い訳じゃないんだけど邪魔っていうか……、面倒くさい?」

 

「シロコちゃんの言う通りですね、今まで戦って来た中で1番厄介かもしれません……」

 

『恐らく、連携力が原因と思われます』

 

 オートマタの残骸や、それらが持っていた銃器を手に取ったシロコとノノミの言葉にアヤネが答える。

 専門家には遠く及ばないものの、キヴォトスで生きる以上必要になるので、ある程度の銃の知識は持っている。それに、あまり体力の無いアヤネにとってアビドスでできる事と言えば情報収集ぐらいな物、だから、その通信先に移るアサルトライフルや軽機関銃が一般に流通してるそれに合致せず、そして大量に統一して作られているので専用の一点品の様な物でも改造品でも無い。

 つまり、その既製品やその改造品、それに特注の一点物を使う日雇いの傭兵の類では無いことは明らかだった。

 

『全員が全員……それぞれ与えられた役割に徹しているのです、命令に忠実で、尚且つそれ以上の事はしない……まるで軍隊の様な……』

 

「……とはいえ、この方達は一体何者なのでしょう……?」

 

 ノノミが怪訝そうに呟くが、アヤネは首を横に振る。

 

「……これ」

 

「……?」

 

 不意に、シロコが何かに気付いたようにゆっくりと指先を向ける。その指先は砂に汚れた外壁を指し示し、皆がそこに目を向ければ、砂に汚れてよく見えないけれども、何かのロゴが描かれている様に見えた。

 軽く砂を払って見ると、一つの綺麗なロゴが姿を現す。

 

「……!」

 

「……これって……!」

 

 デフォルメされ、三角形の中に収まったタコの様なマーク、そしてその下にアルファベットが刻まれた……。

 

「___カイザーPMC……」

 

 先程まで、何かを考えている様なホシノがどこか呆然とした様子で、かつ密かに失墜を抱いた表情でそのアルファベットが意味する言葉を呟く。

 

『……はい、照合した結果、断定出来ました、ホシノ先輩が言う通り……、このロゴはカイザーPMCの物です』

 

「カッ……カイザーって……、もしかしてコイツらもカイザーコーポレーションなの!?」

 

「……だね」

 

 シロコが苦虫を噛み潰した様な表情で食い縛りながらそう呟くと、怒り心頭とばかりにセリカが外壁を蹴り付ける。蹴り付けたところは力が入り過ぎたのか、少しヒビが入る。

 

「……ちょっと待ってください、PMCと言うことは……!」

 

 ノノミが先ほどからずっと引っ掛かっていたそのPMCという文字、彼女の脳がその三文字に結論を弾き出す。

 

「……ノノミ、知ってる?」

 

「PMCとは……、民間軍事会社(private military company)の略です」

 

「ぐ……軍事?」

 

 ノノミの口から発せられた物騒な言葉に、力一杯壁を蹴飛ばし、肩で息をしていたセリカが驚愕の表情でノノミを見る。

 

『ヘルメット団のようなチンピラとは訳が違う、本当に組織化されたプロの戦闘集団……文字通り、軍隊です』

 

「なるほどねぇ〜……だからあんなに厄介だったんだ」

 

 アヤネの補足に、ホシノが腕を組んで納得した様に唸る。

 アビドスから金を搾り取って、ブラックマーケットと繋がりヘルメット団に資金や兵器を提供していたカイザーローンとカイザーアームズ、首の回らなくなったアビドスに甘言を囁き土地をせしめたカイザーコンストラクション、そしてそれを裏から操るカイザーコーポレーション……そして、今目の前にいるカイザーPMC、一体どれだけ幅を利かせれば気が済むのか。ホシノは内心かなりの苛立ちを覚えた。

 そして、彼女は少し考える様な仕草をしてから、少し遠慮気味に小さく手を挙げる。

 

「ねぇ皆、ちょっといいかな?」

 

「? 先輩、どうしたの?」

 

「……さっきね、アキラちゃんらしき人影が見えたんだ」

 

 一言、ホシノは告げる。

 遠目だったし、着ていた服もスーツっぽい何かだったし仮面も着けていたし巨大な何かを背負っていたけど、彼だ、長らく途切れていた繋がる様な感覚も、今では続いている。

 取り戻すんだ……、私は最後の最後まで先輩でありたい、大切な仲間を失うのはあの時の事だけでいい、あれが最初の最後であれ。

 

「……えっ!? マジ!?」

 

「ん、やっぱり」

 

「へぇ☆ならやるしか無いですね!」

 

 

 

 不意に、足元の砂が跳ねる。

 手元の端末を見れば、恐ろしい程の赤い点が集合し、画面が赤一色で染まらんとしている。歩兵、戦車、装甲車、戦闘ヘリ、夥しい程の兵器がここに集まりつつある。だが、こんな障害、私にとっては些細な問題でしかない、目的はただ一つ……、彼に会う事、ただそれだけ。

 

 私とシロコちゃんが先頭に立ち、セリカちゃんとノノミちゃんが側面をと後ろを固め、戦車に乗った先生を中心に置く。戦車を中心とした急造の包囲突破陣形、戦車騎乗兵(タンクデサント)となって、私たちは後ろからやって来る大量の足音に銃口を向けた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「〜〜♪」

 

 僕、茅場アキラは鼻歌を歌いながらPMCの兵舎の屋根上に立っていた。すっかりデフォルト装備になった黒服製照準器コンタクトレンズの倍率を八倍にし、遠くに見える爆炎と、その中を突っ切るレオパルトを眺めていた。

 

「ん? アキラくんちゃん上機嫌だねぇ?」

 

 横合いからの声、いつも通りの気味の悪い笑顔を浮かべた主任が、いつも着ている士官服ではなく、デザートカラーの戦闘服に主任専用の防弾チョッキを着用し、肩にはM82バレットライフル、腰にMP5を吊り下げ、臨戦体制で隣に立っていた。

 

「? そう見えます?」

 

「うんとっても」

 

 ま、確かに色々と闇を持ってるホシノに言葉をぶつけれるのは楽しみだ、僕を取り戻す為か、それともストーリー通りセリカに焚き付けられてこのPMC駐屯地を調べに来たのか……どっちかはわからんけど、ね。

 黒服が退転学届を出してきてくれたし、まーこれで終わり、あとは、僕がホシノを壊せば僕の目的は完了、このままホシノを捕らえてもいいし、自発的に黒服の元へ来るもよし……。

 

「……アキラくんちゃんってさぁ、一体どういう思考回路で動いているのか、聞いても?」

 

「……命令には従いますが、それ以外は基本自分のやりたい様にやります。好きに生きて、理不尽に死ぬ。こんな武力の世界はそんな事だってありうるんですから、自分のしたい事を自由にやりますよ」

 

 僕がそこまで言うと、主任は少し驚き、そしてゲラゲラと笑いだす。

 

「ギャハハ! 成程ね〜。…………へぇ、懐かしい言葉だ

 

 高笑いした主任が何かを呟くが、その言葉は僕の耳には入らなかった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 広大な荒野、地平線が見えるほどまで続く何もない、何も無い空虚な夜の砂漠。そこに、七つの白い影がある。

 その影は、白いローブに身を包んだ、厳かで神聖な印象を受ける司祭の様な人型の存在が、能面の様に無表情な、白いデスマスクを顔に付け、円を組むように立っていた。

 

「異物___」

 

「かの神が乗り移りたあの存在は___」

 

「まさに異物___」

 

 余韻を残す、司祭たちの特徴的なその語り口は酷く無感情で、まさに言葉に出来そうも無いその異様な程に厳かでそれでいて神秘的で、空気が恐怖し震える程の威圧感。

 

「___我々は」

 

「かの世界に____」

 

色彩(██)を____」

 

「齎さなければならない____」

 

 すると、そこに立ち止まっていた司祭らの一人がゆっくりと歩き出し、他の司祭らも一列になってその砂漠を進み始める。その姿はさながら幽鬼の様であり、砂に刻まれた足跡は彼らが引きずられるローブに消されるのが足のない幽霊の様にも思え、砂漠を横断する白い蛇にも見える。

 

「全ては虚しい____」

 

「虚しい___」

 

「かの地は____」

 

「我らの残骸の上にあるに過ぎない___」

 

 一人の司祭の言葉は、他の司祭らに反響する様に復唱され、砂漠に消えゆく。

 

「進む___」

 

「かの者は___」

 

「色彩の器に在らず___」

 

「忘れられた神々の一つである彼は____」

 

「進化を進める___」

 

 異様な恐怖を抱く程の厳かな雰囲気は消えるはずも無く、それどころか語気と共に俄かに強くなって行く。

 

「彼は___?」

 

「あの器は____?」

 

「忌むべきかの存在は____?」

 

 

 

 

「___理解できぬ」

 

 一人の司祭が嘆く様に語る。

 

「かの存在は____、色彩と対をなしうる存在___」

 

「進化は___止めなければならない___」

 

「その進化は____忘れられた神々の___」

 

「その記憶に一石を投じる事となる____」

 

 

「つまり___何を意味する?」

 

 一人の司祭が足を止める。それに続いて、歩いていた他の司祭も等間隔で立ち止まる。

 

「___驕ってはならぬ」

 

「____驕ってはならぬ」

 

「_______驕ってはならぬ!」

 

「__________驕ってはならぬ!!」

 

 一人の司祭の言葉は復唱され、やがてその場の空気を震わせる程の叫びとなっていく。

 

「彼は消されるべき存在___」

 

「異物は___取り除かれなければならない___!」

 

「『物語』に存在せぬその命に___!」

 

「足元を救われてなるものか___!」

 

「かの者が___色彩に牙を剥き___、その障害となるのなら___」

 

「取り除かれるべきだ____!」

 

 司祭らは一斉に右を向き、一人の黒い人影を注視する。

 

「死の神よ____かの者に鉄槌を___!」

 

 

「鉄槌を___!」

「鉄槌を___!」

「鉄槌を___!」

 

 繰り返されるその声は、司祭の目の前の黒い人影に注がれる。

 白く長い髪、妖艶な程に胸元が大きく開かれ、スカートに深くスリットが入った黒いドレスに身を包み、縁が淡く水色に輝く漆黒のヘイローを浮かばせた一人の人影。

 色彩の執行者であり、嚮導されるべきその者は、空間に黒い楕円を開いた。




お読みいいただきありがとうございます。

さて、なんだか司祭達が変な事をしているらしいですね…。何してるんでしょう?そしてその人影って一体何コ*テラーなんでしょうね…。

次回、ホシノと裏切り後アキラが邂逅します。

では、また次回。

曇るんだったら?

  • ホシノ
  • シロコ
  • 先生
  • 全部!
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