ここ最近長い事執筆できていなかった理由として、リアルがとても忙しくて執筆が進まなかったのが事実です。
久しぶりの投稿ですが、どうぞよしなに。
では…どうぞ。
窓代わりの液晶に映る森林の光景が、まるで窓がそこにあり、その先に青々とした木々が本当にその窓の先で本当に青々と生い茂っているかような印象すら受ける。
「おはよう、主任」
「おっはよ〜う、アキラくんちゃん?」
ぐらりと、僕が石のように重たくなった寝起きの頭をゆったり起こせば、眼前に映る主任をじっとりと気だるそうに見つめる。
「久しぶりに主任の方が起こしに来るなんて……、何かあったんです……?」
「え〜、そもそもアキラくんちゃんは起きた所で自分一人では準備もままならないじゃん?」
「もちろんその通りだけどそういう事を言っては駄目だ主任」
「んふ〜……自覚がお有りのようでなにより」
勝てないな……、とそう感じながらアキラはもそもそとベッドから這い出て、クローゼットを開けて着替えを始める。
因みに最初は黒服や主任が起こしには来ず、自分で起床していたのだが……、アビドスにいた頃の名残か、皆でバイトしたり遅くまで学校でヘルメット団を撃退したり、はたまた夜遅くまで商店街に出かけたりしていて生活習慣が乱れに乱れていたが故に、夜の3時に寝て昼の12時に起きるというバグり散らかした時間感覚と生活習慣になってしまったので、こうして今主任が起こしに来ているというのが現状だ。
別に、起こしてくる事に不満があるわけじゃない、なんだったら逆に感謝してるくらいなのだ。
だからこそ、最近は主任がこうして起こしに来てくれるお陰だったり、色々見直したりして生活リズムはある程度整い始めている。
____……それはそれで、少し、物足りないのではないのかね?
着替えていると不意に脳に言葉が響く、何事だと思って周囲を見渡すが、僕の周囲には扉近くで何らかの書類を見ている主任の姿のみであり、その声の主らしき者は確認できない。
「どうかしたかい?」
「あぁ……いや……」
その様子をみた主任が怪訝そうな顔色でこちらを見る。どうやらその声の主は主任ではないらしい。
一体何者なのだろうかと思考を巡らせるが、その正体に心当たりは無い、転生した時にも女神的な何かに出会った訳でもないから天の声的な何かでもないのだろう。
なら本当に一体何者なのだろうか?
そう思った時、僕の脳に軽い頭痛と共に一つの予想が現れる、そう、自分の脳に干渉可能で耳にも影響を及ぼせる存在。
そう、
____……まぁそう思うだろうな、君は。
……一体、何の用で来たんだい?
____なんというか……、君の顔がどのようなものになったか見に来たくてな。
どう言う事だいそれは……。
____言葉の通りだよ、アキラくん、私は君の様子を見にここにやって来た。
____なに、暇を持て余した神々の遊びとでも思ってくれ。
……暇潰しに人の脳に不法侵入してくるとはね、神様の世界に日本国憲法はないのですか?
____いかに優れた憲法とはいえ、神は人の道理では動かないのだよ。
神様ってのは大分ふてぶてしいのですね、わかりました。
____ふむ、君も大分言うようになったようだ。私としても成長しているようで何より。
なに父親ヅラしてるんですか、僕の父親は鳥でもないし松岡修造でも無いですよ。
____わかったわかった、私が君の父親になれるよう努力しよう、それで良いかな?
ホント何いってんですか? 焼き鳥にされるのをご所望で?
____……これでも、昔は一人の父親だったのだがね……。
残念ですが、僕は貴方の息子ではありませんので。
「おーい、アキラくんちゃん?」
「おわ!」
そうして脳内にやって来た父親を名乗る不審照り焼きチキンと会話していると主任が後ろから抱きついてきて僕の顔を覗いてきた。
「……なんですか主任」
「いや〜なんかボーッとしてたからねぇ? ちょっとお姉さん悪戯したくなっちゃった」
なんだかんだ面が良いのもあってこうしてスキンシップのような事をされると僕の精神衛生上あまり宜しくない。
特に僕の身長が低いのもあるが、主任も主任で身長が高い為にこうして抱きつかれると主任の胸がこうして僕の後ろ頭に直撃し、まさにエデンを感じる事ができる。
「……そういえば、ふと思ったんですけど」
「なんだい? アキラくんちゃん?」
「主任って、なんでゲマトリアそのものに所属……? してるんです?」
「ん〜……いきなりだねぇ」
僕がそう聞くと主任は僕を後ろから抱きしめたまま悩む。
そう、ふと思っただけだった、でも根拠はあった、黒服を始め、デカルコマニーやゴルコンダ、マエストロ、ベアトリーチェなどはなんだかんだ目的を持ってこのゲマトリアと言う組織に所属している。
当の僕はあまり目的らしい目的は無いが、結局それでも技術の探求の為に所属している節だってある。えっホシノ……? 曇らせたいよね。
でも、主任からはそれが感じ取れなかった、いや、正確にはその様な目的は持っているように思えなかった。
「……ま、いつか教えてあげる、じゃ、俺はちょっと出かけてくるからね〜」
少し考えた後に、主任はそう答えて部屋を後にする。僕の疑問は上手くはぐらかされてしまったが、でも何処か引っ掛かりを覚えながら、着替えを続けて僕も部屋から出た。
アビドス砂漠のどこか、砂を被った巨大な建造物の前に主任は一人佇んでいた。
外壁の損傷具合や、風化の度合いを見てもかなり昔の施設であることは明白で、周囲にある電波塔のような採掘タワーは風化し折れ曲がっている。
だがそれを、主任は懐かしそうな目で見ていた。
___うっひゃ~、ひどいねこりゃ、これホントに使えるの?
___ぶつくさ言わないで作業進めて……ほら、使えそうな物だって出てきたじゃん、頑張って!
___はいはいわかったよ……、あ、これどう?
___おっそれそれ!! その調子で頑張ろ!
ふと彼女に思い出されるのは過去の記憶、もういつの話だったか余り覚えていないが、それでも少しは残っていることに小さな安堵を覚えた。
だが、それと同時に蘇ったその記憶が胸中にどよもす。
「……あれで、本当に良かったのかなぁ……」
何時ものように飄々とした余裕ある主任の姿はそこになく、何処か憂いを帯びた、まるで自分が成したかった事を見失った子供のような表情をせざるを得ない、ただの一介の少女としての姿しかなかった。
___いや、昔の彼女がやった所業を思い返せば、こうして昔懐かしんでいる権利はないのかもしれない。
「……仕方ない、のかな、うん」
「おや、貴方一人でここにいるとは珍しい」
ふと横合いから聞こえたその声の主に、主任は表情を変えずに目線だけを向けて立ち上がり、パタパタと将校服についた砂をはらう。
「……や、黒服の旦那」
「昔を、懐かしんでもいましたか?」
「……まぁそんなとこさ、黒服の旦那こそこんなとこに何の用だい? ここにあるのはただの廃墟となった施設に、未だ子供のまんまなお姉さんだけだよ?」
黒服の落ち着いた問いかけに、皮肉げに、そしていつかの自分と今の自分を自嘲するように主任はそう語った。
「様子見です、思い出に浸り始めた貴方の」
「……そうかい」
幾分か慣れたような口調の黒服の言葉に呆れたように彼女は返す。
「……アビドスから卒業し「違うよ」……失礼」
黒服の言葉を主任は遮る、その声はそれ以上を詮索されることに強い不快感を示した声色で、遮るままに話し続ける。
「違うんだよ、私は、アビドスから抜け出して、何もできなくてそのまま帰ることもできずに今はこうしてゲマトリアとカイザーを行ったり来たりする半端者なんだから」
「私はどうしようもない離反者なんだから」
そう、軽く吐き捨てるように、そして詮索した黒服よりも自分の方に言い聞かせるような口調で主任は言い切る。
「そうは言いますが、私達としては、アビドスの生徒として見ることしかできませんので」
「ま、そうだろうね旦那達は」
「クックック……貴方も同じ様なものでしょうに」
「そうかい……そういうもんかい」
ため息混じりに、呆れたように主任はそう答える。
「……じゃ、行ってくるよ」
そう思い立った彼女は、何かに取り憑かれたように、それこそ幽鬼のように、だが力強い足取りで、砂埃の舞うその施設へと歩みを進めた。
「……では、行ってらっしゃいませ、月島トウト、名を隠された者よ」
その言葉の直後、一陣の風が吹き荒れる。その風は砂を巻き上げて周囲の視界を狭めていき、その砂嵐が晴れる頃には黒服の姿はそこには無かった。
「…………うへ」
その姿を見ていた人がいるとも知らずに。
ご読了、ありがとうございます。
さて、これまでのストーリーを覚えてくださっている方はいらっしゃるのでしょうか…、かくいう私もその一人ですが()
そして主任はどうやらなんだか一物抱えているようですね…。
では、また次回。
曇るんだったら?
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ホシノ
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シロコ
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先生
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全部!