★★ろくでなしSpace Journey★★(連載版)   作:埴輪庭

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16.惑星D80②

 ◆

 

「ねえ、外を見てみて」

 

 アサミが突然言った。

 

 君とレミーは窓に近づき、外の景色を見た。そこには壮大な宇宙が広がっており、無数の星々が輝いていた。

 

「見て、あそこに何か見えるでしょ、ぐるぐる~ってね」とアサミが指差した。

 

 君は彼女の指の方向を見つめ、遠くに渦巻くような光が見えた。それはまるで宇宙の中で巨大な渦巻が発生しているかのようだった。

 

 

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「これは……宇宙渦か?」君が驚いた声で言うと、アサミは頷いた。

 

「そう、宇宙渦。正式名称は忘れちゃったけどね。あまり頻繁には見られないけれど、ここまで近くで見ることができるのは珍しいわ」

 

「宇宙は真空なんだから、風なんて起こるはずもないのになぁ」と君が言った。

 

 すると、膝元にいたミラが応えた。

 

『太陽風という現象があります。しかしこれは厳密に言えば風ではありません。太陽の磁場を帯びた超高速のプラズマ粒子流を太陽風と呼ぶのです。宇宙渦も同様で、一見風が巻いているように見えるだけです。わかりましたか、ケージ』

 

 アサミが苦笑しながら話を継ぐ。

 

「その子の言う通り。宇宙渦は恒星や惑星の重力場が相互作用して発生する現象なの。特に、複数の重力源が互いに引き合うことで巨大なエネルギーの渦が形成されるのよ。この渦がガスやダストを巻き込んで、ああいう渦巻状の現象を生み出すの」

 

 アサミはミラを見ながら続けた。

 

「見た感じ旧式のガイドボットに見えるけれど、結構高級なエモーショナルドライブを積んでるのかな」

 

 エモーショナルドライブとはAIに感情を模倣させる機構のことだ。当初、このエモーショナルドライブはその必要性が疑われていたが、紆余曲折を経て現在ではなくてはならない機能の一つだとされている。

 

 というのも、宇宙での旅は長く、そして孤独だ。人は多くの場合、その孤独に耐えうるほどメンタルが強くない。エモーショナルドライブはそんな弱いメンタルの人間たちを慰撫するために生み出された機能である。

 

「いや、そんな高いもんは積んでないと思うけどな。俺は金が必要だし、できるだけ節約したいと思ってるから、あんまり高いオプションはつけられなかったんだ。なあミラ、実際どうなんだ?」

 

 君が膝元のミラに聞いてみると、ミラは『当機のエモーショナルドライブのモデルについてはアルドメリック社へお問い合わせください』とすげない返事を返す。

 

 アルドメリック社は惑星開拓事業団とのつながりが深い企業として知られている。惑星C66の開拓事業団支部の受付嬢のアルメンドラなどもアルドメリック社の製品だ。

 

「アルドメリック社か……」

 

 アサミはつぶやきながら、何か考え込んでいる様子だった。

 

「珍しくはないだろ? 今時どこの製品もアルドメリック社の製品ばかりだし。まあ、メジャーな企業が嫌いだっていうやつも結構いるけどね」

 

 マイナー企業を好む消費者も決して少なくない。特にアルドメリック社にはいくつか薄暗い話もささやかれており、不買運動もちらほらと起きているくらいだ。

 

「そうだね、珍しくはないね。製品も性能がいいものばかりだし。特にエモーショナルドライブの研究はここが一番進んでいるんじゃないかな」

 

 そう、アルドメリック社のエモーショナルドライブは他社より頭一つ抜けた性能をしている。

 

 ──……まるで本物の人間と話しているみたいだと賞賛する者も少なくない。

 

 ◆

 

 航海は順調に進んだ。

 

 途中、いくつかの宇宙生物が船の前を横切り、君はそのたびに端末を向けて撮影したりもした。

 

 

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 こういった映像データは惑星開拓事業団が安値ではあるが買い取ってくれる。君も小銭稼ぎの一環として撮影しているのだが、どちらかといえば趣味によるところが大きい。

 

 君はミーハーな気質であり、珍しいものや美しいものが好きだった。

 

「そういう映像データって、まとまった量をアルバムにして売ったりすると結構高値がついたりするんだよね」とアサミが口を挟む。

 

 アサミの言う通り、そういった映像データ集は好事家に引き取られたりもする。もちろん物にもよるが、そういったものはネットワークの海に腐るほど転がっている。それでもなぜそんなものに値段がつくかといえば、宇宙生物の研究がろくに進んでいないからだ。

 

 とにかく多種多様なのだ。

 

 今日百種の生態が解明されたかと思えば、翌日には千種の未確認宇宙生物の情報が寄せられる。

 

 だから、一言で映像データ集と言っても、どれ一つとして同じものはない。そんな宇宙生物界隈はマニア達の沼として知られている。いくら金を突っ込んでも底が見えない底なし沼だ。




【宇宙生物①】

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学名:"Auroraflora Stellaris"(アウロラフローラ・ステラリス)

Auroraflora Stellarisは星々の微弱な光をエネルギー源とする光合成能力を持つ。全身を覆う透明な膜が光を吸収し、エネルギーに変換する仕組みである。次に、触手を使い宇宙空間を滑らかに移動する。触手の先端には微細な吸盤がある。また、生体発光を用いて同種間でコミュニケーションを行う。発光パターンは感情や情報を伝えるためのもの。生殖は無性生殖で行われる。触手の一部が切り離され、新たな個体として成長していき、成体になるまでには数年を要する。

【宇宙生物②】

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学名:"Planumimbrialis Titanis"(プラヌミムブリアリス・ティタニス)
Planumimbrialis Titanisは、極めて巨大な薄い円形の体を持ち、星間ガスや微小な宇宙塵を吸収してエネルギーを得る生物である。全身を覆う光沢のある膜がこれらの物質を効率よく捕捉し、消化する。円形の体の中心には、感覚器官として機能する暗いスポットが存在し、周囲の環境を感知するためのもの。触手を持ち、宇宙空間を漂うように移動する。また、生体発光を利用して同種間での信号を送受信する。この発光パターンは特に繁殖期において重要であり、交尾相手を引き寄せるために使用される。生殖は有性生殖で行われる。繁殖期には体の一部が発光し、異性を誘引し、受精後には新たな個体が徐々に成長する。

【宇宙生物③】

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学名:"Serpentorbis Mirabilis"(セルペントルビス・ミラビリス)
Serpentorbis Mirabilisは、長い紐状の触手が球状により集まった外見を持つ。この触手は微細な化学センサーを備え、周囲の環境を感知しながら、エネルギー源となる宇宙微粒子や有機物を探し出す。触手はしなやかに動き、獲物を捕らえる際に用いられる。高度な電気信号を用いた交信手段を持ち、触手の先端から電波を発信することで、遠隔で同種間のコミュニケーションを行うことができる。繁殖は無性生殖によって行われ、触手の一部が分裂して新たな個体となる。この生物の成長過程は非常に早く、数週間で成体に達することが確認されている。
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