どうも、Cross Alcannaです。
今回は、いつも以上に考察要素が強い回となっております。人によっては難解に感じると思いますが、少しでも休息を摂りながら、ゆっくりとお読み下さい。
では、どうぞ。
「……ん〜…」
少しだけ、マヌケな声が出てしまった。ここが私の拠点だった事に、謎の感謝を示してしまいそうだ。
トリニティの一件から数日が経過。今日の報道で、エデン条約の会場が爆破された事は聞いている。何でも、アリウスの仕業だとかハイレグ集団だとか。
……ハイレグ集団。自分で言ってて、おかしさが募るばかり。が、間違っていないのが何とも。
報道では”謎のハイレグシスター軍団”と言われていた。恐らく、”ユスティナ聖徒会”の事だろう。あの中立派閥のシスター・フッドが出来る前の、同じような組織だったと記憶している。
……それにしては、肌の色がおかしかったような気もする。健康的な肌色とは程遠く、まるで異形が如くの透明度のある水色。
……
…だから執心していたのか?黒服との会話でも、マエストロがエデン条約に際して……とか言ってたし。
「いいや、今はそれはどうでもいい」
これだけ仮説を立てて思考を深めているも、私の研究には何ら関係がない話。前回のように、「関係ないから関わりに行く」なんて事も出来ない状況。
……いや、”出来ない”というよりは”しようと思えない”と言うべきか。言葉の綾なんて、この場では些細な違いにしか過ぎない。気にするまでも無いだろう。
それよりも、だ。
「分かりかけてはいるものの…………」
前々から分析をし続けている、銀色の鍵。進んだと言えば進んだのだが、未だ仮説の域を出ないレベル。核心に迫る程の根拠が掴めずにいる為、断定が出来ない状況だ。
ただ、その仮説は私の考察の中でも存外整合性があるともいえる。
ここで前提付けでおきたいのが、私の唱える”理外”は”色彩”と類似したモノを指している。
銀色の鍵と言えば、何か。
それはどうも、黒服らの言う”色彩”の特徴にも当てはまる様に、前々から気になって仕方なかった。
馬鹿げた空論だと、私も思ってはいる。整合性があるとは思っているものの、最早オカルトのジャンルにカテゴライズされかねないこの仮説は、話せば笑われて一蹴されるだろう。
しかし、ここはキヴォトス。”
つまり。
誰が好き好んで、あのような危険性の塊と接触したいと思うか。かく言う私も、今は接触したいとは思わない。精々、反転なり気でも狂うなりがオチだろう。
少なくとも、まだ研究すべき問いがあると思っているうちは。
「そうなると……接触してくる可能性が…?」
無い、とは言えないだろう。こうして鍵を落としている訳だ。この世界に干渉したいとあちらが思った時には、誰かしら適性のある者へ接触を試みる事も考えられる。
アレは、人の理解を超えた存在だ。私達の物差しで判断を下すのは吉ではない。遥か彼方をもろともせず、技術云々を超えた何かしらで干渉するかも分からない。
黒服らが”色彩”に危機感を向けるのと同じように、私もアレへの危機感を向けるべきだろう。が、誰かに相談する事は早計か。私の中では確心に近くても、客観的視点から見たらそうとは言えない。
それに、このような段階で対策云々を論じるのは、私も得策には感じない。
「接触可能性……これは一旦置いておくべきですね。そうなると……」
確信に迫る何か。……近いモノだと、”色彩”が早いだろうか。となると、黒服と意見を交わすべきだろう。
……が、今日は止めておこう。何せ、今は頭がいつもより冴えている気がする。自分の見聞を深めるには、絶好と言えるだろう。この機を逃すほど、私は阿呆ではない。
「……鍵について、認識を深めるのも手ですかね」
この世界において、誰が
…さて。
鍵とは何か。ざっくばらんに言ってしまえば、”何らかの開閉に使う道具”だろう。「物語の鍵を握る」というような使い回しの場合は、”その場面や状況において、非常に重要な役割等を担っている”という意味になる訳だ。
ここはいい。正直、こんなものは辞書さえ引いてしまえばいい話だ。問題は、”鍵という言葉の解釈可能性”。
”先生”という言葉に”生徒の為に動く”という解釈が展開・定着されたり、”大人”という言葉に”子どもの行動の責任を取る”という解釈が展開・定着される事で、先生のあの行動がある訳だ。
であるならば。同様に、”鍵”という言葉にどのような解釈が存在しうるのかを模索する事は、何らかの進捗を達するのに適切な手段とも言えるだろう。
”鍵”には、”何らかを開くのに用いる”であったり”物事の重要なモノを担う”という根底の意味がある。それから、何かしら拡大なり転換した解釈が出来ないだろうか。
「鍵の本質……」
鍵の本質。私なりの解ならば、”干渉”だろうか。
何かを開ける。或いは、ある場面に於いて重要性を持つ。それは、開ける対象や一場面に対する干渉をする事になる。それも、間接的ではなく直接的に。
……どの時間軸にも
と、するならば。
誰に干渉するか。誰を
鍵を媒体とし、この世界に干渉する可能性は、最早肯定的とも言える。だとすれば、誰なのか。
最有力候補は、先生だろう。先生はこの
だとすれば、”鍵”としての条件を充分に満たしうる。それに加え先生は、外から来た人間だ。アレも、この世界から見れば外側の存在。依代とするには、これ以上にないとも言えるだろう。
黒服やマエストロも、候補にはなりうる。が、先生よりも可能性が高いとは言えない。この世界においてゲマトリアは、さして重要な意味を持ち合わせていない。”主役を妨害する敵”程度の認識存在が関の山だろう。
であれば、ベアトリーチェはどうか。アリウスを統治してまで成し遂げる事。それが”色彩”との接触であった場合は、適合性があると言えるだろう。そうでなかった場合は、先に触れたレベル。
それ程までに、我々は希薄なのだ。我々は、重要な意味合いを持ち合わせられない。
「…………ふむ」
かく言う私も、この点において”鍵”たりうる可能性はさして高くはないと考えている。……無い、とは言えないが。
外側を知っている、という点では確かに”鍵”たりうるだろう。しかし、この
今のキヴォトスにおいての私は、敵対組織の幹部Aくらいの存在。別側面で言えば、実態の掴めない謎の人間。それでも、物語の根本を覆すような存在かと問われれば、首を横に振る他ないように思う。
……やはり、先生をマークすべきだろうか。
「ただ、私の憶測で測るのも正しいとは限らない……」
何せ、相手は常識など無いに等しい世界の存在。私達のルールが、まるで無用な世界の生命。我々が歩いて移動する傍ら、浮遊して動き回るような奴ら。私の中の常識が通用するとも、どうにも思い難い。
そうであって欲しくない仮定として、もし「今までの憶測が全て無意味で、”鍵”たる条件など無いに等しい」のだとしたら、私もたまったものではない。キヴォトスの誰でも良いのだとしたら、いよいよお手上げだ。
そもそも、私が想定する様な方法で接触してくるかも分からない。”キヴォトスに落とした銀色の鍵”を媒介にして、顕現してくるやもしれない。あの超常存在の事だ、そんな事をしてもおかしくはない。
つまり、だ。これ程に思考を重ねたは良いものの、結局は”予想外を予想しておく”事しか出来ない。想定の通りであればラッキー、そうでないのが当たり前という考えでいるべきなのだ。
……私が、嫌いとする分野だ。言ってしまえば、博打やパチンコと同等。自身の実力が殆ど問われない、天のみぞ知るというヤツだ。
「…………はぁ。今日は、もう寝るとしますか」
考えれば考える程、不相応な疲労が募る。思考の量も然る事乍ら、想定しうる敵の強大さに。
準備したところで、果たしてどれ程意味をなすのか。
そんな現実から目を背けるように、私は夢の世界に逃避する。