F級テイマーは数の暴力で世界を裏から支配する   作:ゆーき@書籍発売中

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第十四話 父からの呼び出し

 レントが祝福(ギフト)を授かってから数日後。

 俺は超久々にガリアから呼び出しをくらった。

 用件は聞かされていないが……まあ、予想は出来ている。

 ガリアがこのタイミングで俺を呼び出すなんて、()()()を伝えようとしているとしか思えない。

 そう思いながらメイドに連れられ、執務室の前に連れてこられた俺は扉をノックする。すると、中から低い声で「入れ」と言わた。

 

「失礼します」

 

 扉を開け、中に入った俺は平然とした態度で頭を下げる。

 そして顔を上げると、更に数歩歩き、部屋の中央付近で立ち止まる。

 前方には執務机に肘をつき、目の前で手を組むガリアと、その横で控えるギュンターの姿が見えた。

 すると、ガリアが口を開く。

 

「お前は知らないだろうが、先日私の()()であるレントが祝福(ギフト)を授かったんだ」

 

「それはおめでたいことですね」

 

 ガリアがレントのことを()()と言ったことにピクリと頬を動かしつつも、俺は形式ぶった態度で祝福の言葉を言う。

 そんな余裕のある俺の態度が気に入らないのか、ガリアはちっと舌打ちをする。

 

「レントの祝福(ギフト)はA級の”剣士”だ。お前とは大違いだな」

 

 侮蔑するような口調でガリアはそう言う。

 ……何かウザいな。

 チートな部分はあれど、肝心なところはF級相当という”テイム”の祝福(ギフト)のこと。結構気にしてるんだよね……

 

「それは本当にそうですね。敵いませんよ」

 

 ”誰が”とは言わずにそう言う。

 A級だろうが所詮剣士は個としての力。

 剣1本で60万を超える俺のスライムに勝てるとは到底思えない。

 勝てるとすれば、集団戦に強い殲滅系の魔法師とかかな。あとはS級の戦闘系の祝福(ギフト)を持ってる奴全般か。

 ……S級はともかく、殲滅系の魔法師はそこそこ居るな。

 すると、ガリアはまた俺の態度が気に入らないのか、今度は鼻を鳴らす。

 

「ふん。随分と余裕そうな態度だな。お前が今、どんな立場なのか教えてやろうか?」

 

「いえ、結構です。僕がどのような立場に立っているのかはよく分かっていますので。どれだけ努力しようが、もう当主にはなれないということを――」

 

 子供相手に随分と大人げないことをしてる奴だなぁと思いつつ、俺はガリアにそう言う。

 すると、ガリアは「なんだ。分かっているではないか」とどこか驚いたような口調で言った。

 

「なら、話は早い。この私、ガリア・フォン・フィーレルが命じる。本日、お前をフィーレル家から勘当する。今後一切フィーレルの名を名乗ることは許さん。荷物をまとめ、即刻出ていくといい」

 

 どこか愉悦に満ちた声で、ガリアはとうとう俺にその命令を下した。

 勘当されたと言われた瞬間、俺はちょっとした喪失感と、ここから出られる喜びを感じた。

 

「分かりました。これまでお世話になりました」

 

 平然とそう言って、俺はくるりと背を向ける。

 こうして俺は最後まで表情も口調も変えることなくガリアとの対話を済ませ、執務室を後にした。

 背後から「最後まで忌々しい奴だ」と聞こえてきたが、無視してやった。

 

「さて、最後に嫌がらせでもしとくか」

 

 あいつは荷物をまとめてここを出て行けと言った。

 その”荷物”。別に宝物庫にある()()でも問題ないよねぇ?

 

「よし。近づいてくる奴はいない……な。魔力よ。空間へ干渉せよ。空間と空間を繋げ。我が身をかの空間へ送れ」

 

 直後、俺の姿は部屋から消え――

 

「よっと」

 

 次の瞬間には宝物庫の中にいた。

 様々な貴重品が床に置かれており、これぞ宝物庫って感じがする。

 

「まさか宝物庫に転移されるとは思ってないだろうな」

 

 顎に手を当て、クククと笑いながら、俺はそう言う。

 この宝物庫には、当然魔道具で魔法の結界が張られており、普通に侵入しようと思えば、警報覚悟でそれを壊すしかない。が、俺の場合は違う。

 1年程前、宝物庫へ向かうガリアの服の裏にこっそりとスライムをつけておいたのだ。

 そのスライムは体長僅か2センチほどしかない変異種であった為、バレることもなく、通れたと言う訳だ。

 あとはそのスライム越しに”転移座標記録(ワープ・レコード)”を使って座標を記録して転移出来るようにしたと言う訳だ。

 その後、そのスライムは普通に召喚で回収すれば問題なし……というわけだ。

 

「さてと。どれにしようかな……?」

 

 取るとは言ったものの、あからさまにレアなやつを取ったら、その捜索が行われた時に俺が容疑者の1人として扱われる可能性もある。それは非常に面倒だ。

 だから、ここは取っても暫くは取られたことが発覚しなさそうな、埋もれているものを貰うとしよう。

 

「なーにかいいのは……お、これいいじゃん!」

 

 そう言って、俺が引っ張り出したのは宝物庫の奥に埃をかぶって放置されていた剣だ。

 すっと鞘を抜いてみると、見事な刀身が露わとなった。

 

「おお。これはミスリルだな」

 

 ミスリル製の刀身を見て、俺は感嘆の息を漏らす。

 ミスリルとは、ファンタジー世界では定番の白銀色の金属で、硬くて魔力を良く通すのが特徴だ。故に、刀身に魔力を流して斬れば、結構な斬れ味となる。

 

「うん。これを貰ってこう。ミスリルの剣が結構レアだから、変に目立つ可能性もあるが……まあ、人前で使わなきゃ問題ないだろ。ネム、埃を食べてくれ」

 

「きゅきゅきゅ!」

 

 ネムは任せて!とでも言うように元気よく鳴き声を上げると、刀身に纏わりつく。そしてそのままずりずりと持ち手まで移動する。

 その後、鞘の埃も同様に食べると、俺の胸に跳びついた。

 

「ありがとう」

 

 そう言って、俺はネムを撫でる。

 スライムは基本何でも食べるが、このように埃も食べてくれる。

 いやーこれはありがたいね!

 一家に1匹スライムがいるだけで埃は格段に減る!

 まあ、現実はそうもいかず、埃以外も色々と食べるから逆に迷惑になるっていうね。

 ネムはテイムされているから、問題ないのだけど。

 

「さて、魔法発動体……は出来れば指輪型がいいけど……ここにはちょっとしかないな。これはやめとくか。使う頻度も高いだろうし」

 

 魔法発動体とは、魔法師が良く持っている杖のことで、あれに魔力を通して魔法を発動させると、威力が少し上がったり、消費魔力が少し減ったりする。仕組みとしては、単純に魔法発動時の無駄を省いただけだが、その効果は絶大だ。

 だが、俺の場合は基本的に空間転移(ワープ)で背後を取ってから剣で斬るのが主な戦い方となる為、どうしても杖だと邪魔になる。

 そこで目をつけたのが指輪型の魔法発動体なのだが、これは結構貴重なんだよね。見た感じ、この宝物庫には2個しかない。ガリアとミリアが常に所持しているのを含めても4個。流石にこれを取ったら直ぐバレて、面倒なことになりそうだな。

 

「はぁ……じゃあもう行くか。これ以上ここに時間を費やすのはマズそうだ」

 

 自室にいないことがバレる前に戻ろうと思った俺は、その剣を手にしたまま、即座に空間転移(ワープ)で自室に転移した。

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