F級テイマーは数の暴力で世界を裏から支配する   作:ゆーき@書籍発売中

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第十八話 何か強いって言われてるらしいです

「……あー良かった。ギルドマスター。ナイスな助言だ」

 

 心配してくれた受付嬢には申し訳ないが、流石にあれはちょっとお節介だなと思ってしまった。

 確かに俺が普通の9歳児だったのなら正しい判断だったのだろうが、手段さえ選ばなければ、理論上ここシュレインを崩壊させられるだけの強さは持っているんだ。確かに俺単体ならそこそこ……といった具合だけどね。

 

「それじゃ、早速行くか」

 

 これからやるのは初依頼。

 どうせなら、今日は門をくぐって外に行ってみよう。

 そう思った俺は冒険者ギルドの外に出ると、歩いてシュレインの外へ出る門へと向かう。

 

「きゅきゅ!」

 

 ふと、ネムがリュックサックから出て来て、俺の胸元にすり寄ってきた。

 俺はすぐさまネムを抱きかかえると、優しく撫でる。

 

「はははっ 可愛いな。……あ、そういやネムには従魔の証となるものをつけないと」

 

 ”テイム”で従魔にしている魔物には、他の野生の魔物と区別する為に、従魔である証となる物をつけなくてはならないという決まりがある。証にするものは、それを見て直ぐに従魔だと判断できる物であれば問題ないという。

 

「まいったな。今はそれっぽいもの持ってないし……ネム。悪いけど今はリュックサックに入っててくれ。この依頼が終わったら、買って上げるから」

 

「きゅ~……」

 

 ネムは残念そうにうな垂れるが、しぶしぶといった感じで頷くと、再びリュックサックの中に入る。

 そんなネムに、俺は心の中で謝罪しながら歩いていると、とうとうシュレインから出る門の前に辿り着いた。

 入るときは簡単な検査があるが、出る時は特に必要ない。

 俺はそのまま普通に門をくぐり、シュレインの外に出た。

 

 ◇ ◇ ◇

 

「ギルドマスター。本当にあの子、Cランク相当の実力があるんですか? どうしてもそうは見えなかったんですけど……」

 

 シンが去って行く様子を眺めながら、受付嬢のサリナは横に立つギルドマスターに疑わし気な視線を送る。

 ギルドマスターは元Sランク冒険者である為、その眼は本物なのだろうが、それでも疑わずにはいられないのだ。

 周りの受付嬢も、うんうんとサリナの言葉に同調する。

 すると、ギルドマスターはやれやれと肩をすくめると、口を開いた。

 

「ああ。多分相当階級の高い祝福(ギフト)を宿してる。俺の勘からして、多分A級だな」

 

 ギルドマスターの言葉に、サリナたちはざわつく。

 当然だ。A級の祝福(ギフト)を持つ人は、1000人に1人とされるほど、貴重な存在だからだ。

 なら、なおさら危険なことはさせては駄目……と言いそうになるが、それをギルドマスターが手で制す。

 

「それに、身のこなしからして結構鍛錬を積んできた感じだ。体格の差を考慮しても、Cランク冒険者よりも強いことに偽りはねぇ。だから大丈夫だ。それに、あの感じならどのみち1人で言ってたと思うぜ。だったら、下手に誤魔化されるよりも行かせた方がいい」

 

 ギルドマスターの言葉に、サリナたちはしぶしぶといった感じになりつつも、頷いた。確かにあそこで駄目だと言っても、子供なら無視して行ってしまうのはよくあることだからだ。

 だが、ギルドマスターの内心はそれとは少し違った。

 

(あの子供。実際はそれどころじゃなさそうだな。確かに普通に戦えば、Cランク以上Bランク以下といった感じだ。だが、なんか違和感があると言うか、得体が知れないと言うか……少なくとも何か1つ大きな手札を上手く隠しているな。まるで剣士がその手札を隠すカモフラージュみたいな気がしてならねぇ)

 

 元Sランク冒険者としての経験から、彼はそう判断する。その鍵となるのが、リュックサックからチラリと見えたスライムだと思うのだが……詳しいことまでは、よく分からない。

 だが、長い冒険を経て培ってきた戦闘勘のお陰で、1つ分かることがある。

 それは――

 

「俺でも、手加減は出来ないぐらいの――強者だな」

 

 誰にも聞こえない声で、ギルドマスターはポツリとそう言った。

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