F級テイマーは数の暴力で世界を裏から支配する   作:ゆーき@書籍発売中

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第四十三話 証拠ゲット~

 金目のものを抜き取った死体を転移門(ワープ・ゲート)で近場の森にポイ捨てした俺は、一旦宿に戻った。

 そして、ベッドにゴロリと寝転がると、フィーレル家屋敷にいるスライムの視覚に移る。

 こいつはガリアの執務室に忍び込ませたスライムなのだが、まさか役に立つ日が来るとは思わなかったな……

 

「さて、お、居るな」

 

 植木の陰からひっそりと、俺は執務机で何かの書類を書くガリアを見つめる。

 麻薬畑の所有者であるという証拠を、1日たらずで全て抹消するのはガリアと言えどキツいはず。

 だから、まだ残っていると踏んで、ここに来たと言う訳だ。

 ただ、あそこに居座られると面倒だなぁ~

 

「どうするか……まあ、無難にこれでいくか。失敗しても、割とどうにかなるし」

 

 俺はそう呟くと、こっそりとスライムをガリアに接近させる。

 そして、ある程度近づいてきたところで、魔法を行使する。

 

「魔力よ。この者の精神へ干渉せよ。意識を奪え。支配しろ」

 

 すると、いい感じに薄くて黒い靄がかかった。

 よし、成功だ。

 にしても、精神作用系の魔法に対する対策はしてないのかな?

 ……いや、してはいるのか。それも、強力なやつを。

 ただ、基準値以上の魔法でないと、発動しないようになっているんだと思う。この手の魔道具って大体1回発動したら使えなくなるやつだから、基準値を設けないと、しょうもない魔法で発動しちゃうからね。

 つまり、俺の魔法は基準値以下の、しょうもない魔法ということか……

 泣きそう。

 まあ、ともあれ成功したのなら、話は早い。

 俺は精神支配(ドミネイト)で、ガリアにトイレへ行くよう誘導する。ついでに、頭の中でおしっこおしっこ連呼させた。

 すると――

 

「む……しかたない。行くか」

 

 ガリアはそう言って立ち上がると、すたすたと部屋から出て行ってしまった。

 よし。今がチャンス!

 俺はスライムに机の上へ上がらせた。そして、何の書類を書いていたのかを見る。

 

「……あーなるほどね」

 

 書類に書かれていたことを端的に説明すると、どうやらガリアは麻薬畑を所有していた罪を、誰かに擦り付けようとしているようだ。だが、残念なことにこれではガリアが関与していた証拠にはならない。

 

「じゃ、次は引き出しを見てみるか」

 

 次に、俺はスライムに命じて、執務机の引き出しを上から順番に開けてもらう。

 1段目は……うん。なさそうだ。はい、次!

 2段目は……うん。こっちもなさそうだ。はい、次!

 そしてラスト3段目……む?

 

「開かない……」

 

 一番下の引き出しだけ、何故か引くことが出来ない。

 どうやら鍵がかかっているようだ。

 

「ん~……見た感じ、魔力認証系の鍵かな?」

 

 鍵穴がないことと、奇妙な金具が取っての部分に取り付けられていることから、俺はこの鍵の特性を見抜く。

 まあ、見抜いたところで、俺程度の魔法師では解除できないんだけどね。

 だから、ここは別の方法で突破させてもらうとしよう。

 

「魔力よ。空間へ干渉せよ。空間と空間を繋げ。門を開け」

 

 直後、俺本体の目の前に真っ黒な穴が出現した。

 

「よし。成功だな」

 

 視覚を戻した俺は思わずニヤリと笑う。

 空間把握(スペーショナル)で念のため確かめたが、間違いない。

 この穴の先は――3段目の引き出しの中だ。

 頑張れば、このように壁越しでも発動できるんだよね。

 そして、スライム越しに発動することで、屋敷に張られている感知系の結界も、裏技的な感じで上手いことすり抜けられる。

 まあ、中々難しくて、流石に物を輸送するのが限度だけど……

 

「さて、どんなのが入ってるかな~」

 

 俺はニヤニヤと笑いながら、引き出しに入っている物を根こそぎ取り出す。

 すると、そこには――

 

「あ、これアカンやつや」

 

 思わず関西弁で言葉を発する。

 何せ、早速目についたのが……

 

「麻薬。見た目からして、キルの葉だな」

 

 そこにはバッチリ、麻薬が入っていた。ちゃーんと加工されていて、いつでも火をつけて吸えるようになっている。

 

「他のはどうかな……?」

 

 絶対他のもヤバいやつなんだろうなぁ……と思いながら、俺は茶封筒から書類を取りだすと、その内容に目を通す。

 

「……ダメやん」

 

 またもや関西弁。

 なんと、そこには!

 国に納める税をごまかしていた証拠がありました~!

 正確には、ごまかしたことにより、どれくらい収支がズレているのかを記したやつね。

 いや、麻薬畑の証拠じゃないんかーい。

 ……てな感じで、思わずセルフツッコミをしつつ、パラパラとその他の書類も流し見る。

 

「うん。真っ黒だね」

 

 1つ1つは小さめだったけど、塵も積もればなんとやら。

 多分、この辺の不正だけで降爵される可能性すらもあるな。

 そして、肝心の麻薬畑についてだが……

 

「お、発見」

 

 1番下に、本日の目玉商品(?)の麻薬畑を所有している証拠が見つかった。

 枚数もそこそこあるね。

 

「ん~これはいいね……ん?」

 

 ふと、頭の中にスライムの鳴き声が聞こえて来た。

 ……あ、やべ。執務机の下にスライム置き去りにしてた。

 俺は慌ててそのスライムに視覚を移す。

 

 カツ カツ カツ

 

 やべっ 足音聞こえてきた!

 そのことに焦った俺は、即座にそのスライムを屋敷の中にいる他のスライムの下へ召喚する。

 

「ふぅ。これで一安心」

 

 ほっと安堵の息をついた俺は、視覚を戻すと、テーブルの上に置いた書類と麻薬を見やる。

 

「あとはこれを……くっくっく」

 

「きゅきゅ?」

 

 思わず邪悪な笑みを浮かべる俺を見て、ネムは不思議そうに首(?)を傾げるのであった。

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