F級テイマーは数の暴力で世界を裏から支配する   作:ゆーき@書籍発売中

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第四十六話 わ~すげーお偉いさんだぁ~

 1日後。

 全24か所に不正証拠書類を送り付けてやった俺は、王都中を監視しながら、元犯罪組織のアジトで寛いでいた。

 

「皆頑張ってるな~ ファイト~!」

 

 全く気持ちのこもっていない応援をしながら、俺は王都内で買った串焼きを頬張る。

 そんな俺の視線の先では、王城内に緊急招集される貴族たちの姿があった。

 いやー凄いね。

 まさか送り付けた次の日に会議を開くなんて……!

 他にもやるべきことが色々とあっただろうに。

 一体誰のせいで、予定変更により発生した寝不足貴族とその部下が量産されたのだろうか……

 はい。俺です。すみません!

 にしても彼ら、皆昨晩は全然寝てないと思うんだよなぁ……

 魔法で肉体的な疲れは取っているから、執務に支障はないだろうが、精神的には結構きつそうだ。

 そんな呑気なことを思いながら、俺は毎度おなじみのミニミニスライムを適当な貴族に引っ付かせて、会議室へと運ばせる。

 

「やっぱ会議内容は確認したいからね」

 

 流石に満場一致でガリア侯爵が護送されることになるだろうが、それでも万が一ということがある。

 ちゃんと会議の結果をリアルタイムで確認して、その結果次第では、最悪俺が直接手を下すのも考えなくてはならない。

 ……と、言うのは建前で、本音は――

 

「貴族の会議。めっちゃ見てみたい……!」

 

 ただの好奇心だ。

 いやーでも気になるものは気になるんだよ。

 貴族の会議とか、前世でラノベと漫画で読んでたけど、普通に好きだった。

 あの、混沌とした感じがいい。

 そして、実際この会議は混沌した感じになりそうだ。

 正体不明の人間から送られた、超重要そうな不正証拠書類の扱いについて話し合ったら、絶対そうなる。

 そんな不謹慎なことを思いながら、俺はのんびりとスライムの視界を眺めていた。

 

「……お、着いたか」

 

 少し王城内を歩いたところで、ミニミニスライムを引っ付けている貴族が1つの部屋の中に入った。

 この部屋はだいぶ前に王城内を冒険した時に見たことがあるので、状況も考慮すれば、会議室だと直ぐに分かる。

 

「おお、沢山いるなぁ……」

 

 会議室は大きな机と、それを囲むように椅子が置かれているといった感じで、既にその椅子の半数以上が取られていた。

 座っている貴族の面々を見るに、どうやら部屋の奥に行くほど、高位の貴族が座っているようだ。

 となると、1番奥にある、一際豪華な椅子――今は空席だが、そこに座るのは王族ということになるのだろう。

 今回の件で国王が出張ってくるのかと聞かれると、少し悩むところだが、多分王族の誰かしらはいると思う。

 もう一度言うが、ガリア――フィーレル・フォン・ガリア侯爵は、中立派トップ――国内でも片手で数えられるほどに力を持った貴族だからね。

 その後、俺はミニミニスライムを離脱させると、ひっそりと移動させて、上手いこと天井の窪みに貼り付かせる。

 これで、会議の様子は一目瞭然って訳だ。

 その後暫く待ち、だんだんと席が埋まって行き――最終的に俺が送り付けた貴族家全ての当主が出席した。

 おーすげぇな。

 まさか全員参加するなんて……予定等で、誰かしらは兄弟等の代理人を派遣するのかと思ってた……

 まあ、それだけこの件を重く見ているということなのだろう。

 すると、再び会議室のドアが開き、数人の一際強そうな騎士が入って来た。

 冒険者ランクで測るのなら、低くてもAランク――1番強い人はSランクなのではないかと思わせるほどの強さがあった。

 例え強力な祝福(ギフト)を貰ったとしても、ここまで強くなるのには、相当な修練が必要なんだろうね。

 そんなことをしみじみと思っていると、その騎士たちに続いて1人の男性が入って来た。

 金髪碧眼、容姿端麗、豪華ながらも派手過ぎることは無い白を基調とした服。

 どっからどう見ても人生勝ち組だと思わせるような風貌の男性が会議室に入って来た途端、貴族たちは一斉に立ち上がり、頭を下げる。

 うん。なるほど。

 まさか――

 

「第一王子――レイン・フォン・フェリシール・グラシア殿下が来られるとは……!」

 

 平民になったことと、前世が相まって、だいぶ口調を崩すようになってきた俺ですら、無意識の内に丁寧な言葉遣いになってしまう。

 それがこの方、レイン殿下だ。

 御年19歳で、主に政治面が得意とされている、次代の国王に相応しい方だ。

 傲慢さは無く、偉ぶることも無く、だが自然と敬ってしまう。そんな感じだ。

 まあ、俺としては結構好ましい人だと思っている。

 ……上から目線は流石にマズいか。

 そんなことを思っていると、レイン殿下はスタスタと会議室内を歩き、そのまま1番奥の椅子に座った。

 

「皆。顔を上げ、席についてくれ」

 

 真面目ながらも、どこか爽やかな声音でレイン殿下は言う。

 そして、その言葉に反応して、貴族たちは皆それぞれ椅子に座った。

 全員が椅子に座ったところで、レイン殿下が口を開く。

 

「今回は、私の呼びかけに応じて下さり、感謝する。それでは、緊急会議を始めましょう。議題は、ガリア・フォン・フィーレル侯爵の不正疑惑について」

 

 レイン殿下の言葉に、貴族たちは皆、引き締まったような顔になるのであった。

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