シュラハトくん見逃して   作:私貴方私(Y-ou@so-soなフリー)

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【後編】聖夜を祝う魔法

「フリーレン、思ったよりも賑わっているね」

 

その夜、ハイターを部屋に残し、ヒンメルとフリーレンは2人で広場に向かっていた。

 

村の広場はヒンメル達の銅像を囲んで賑わっていた。

その光景は、数日前まで魔物に怯えて衰退するだけだった村とは思えないほど活気に満ちている。

そして、目に入る超巨大ハンバーグと大量の酒。

 

「村長に今日がヒンメルとフリーレンの誕生日だって伝えたら、すごく驚いて村中に伝えて回ったらしい。だから、この騒ぎは歓迎の宴と2人分の誕生日会なんだとさ」

 

楽しそうに踊っている酔っ払いの間を抜けてニヒツが近寄ってくる。

手には取り分けたハンバーグと酒の大ジョッキを持っている。

 

ニヒツはフリーレンとヒンメルを誕生日席に案内し、山盛りのハンバーグと酒を置く。

 

「師匠3人分くらいのどデカいハンバーグなんて人生で初めて作ったぜ。師匠はまだ村の料理人と裏で追加のハンバーグを焼いてるよ」

 

そこへジョッキを持った村長が現れる。

 

「この度はおめでとうございます。こんなにめでたい日が重なるなんて、あの辛い日々からは思いもしませんでした。ぜひお二人の新婚旅行にはまたうちの村へ立ち寄ってください」

 

「?」

 

なんだか村長に誤解があるようだが、既にだいぶ酔っており、話がそのまま進んでしまう。

村長によると、魔物の主が現れる前まで、ここは酒で有名な村だったらしい。

これで酒造りも再開できると言って、帝都へ討伐依頼の報酬にしようとしていた秘蔵の酒を村長が勢いで樽ごと開けてしまったらしく、宴のために酒蔵を大解放しているらしい。

 

「そう言えば、ハイターはまだか? 酒といえばアイツだからな」

 

「あぁ、ハイターはな…」

 

ヒンメルがニヒツにハイターの状況を説明する。

ニヒツは天を仰ぎ、片手で顔を覆う。

彼も全てを理解した。

 

「取り敢えず後で部屋まで持って行ってやるか。2人は楽しんでくれ」

 

ニヒツが厨房に戻る。

入れ違いにアイゼンと少女がやってくる。

 

「どデカいメルクーアプリン作った。姐さん食べてみて」

 

少女がデカすぎて崩壊しかかっている特製メルクーアプリンを差し出してくる。1000年ぶりの誕生日プレゼント。

フリーレンは自分の顔ほどの大きさがあるメルクーアプリンを満面の笑みで受け取る。

 

「美味しい」

 

フリーレンにとって、これまでの1000年で1番楽しい誕生日になった。

 

 

 

 

「ハイター、ハンバーグと酒持ってきたぞ」

 

「おお、ありがたい。でも動けないので食べさせてください」

 

…。

ニヒツはかなり嫌だったが、雛鳥のように口を開ける僧侶にハンバーグと酒を与える。

 

「宴はどうですか?」

 

「ヒンメル達も村の人達も楽しんでるよ。雪も降ってきたが、銅像のおかげで広場は明るくて暖かい。なんだかクリスマスを思い出すな」

 

「くりすますぅ? ですか。どんなものですか?」

 

「ああ、家族みんなで温かい食事を食べたり、ケーキを食べたりするイベントだな。あと、夜にサンタってのが来て良い子にしていた子供にプレゼントを渡すんだ」

 

「楽しそうなイベントですね。魔王を討伐したら、そういう楽しいイベントもたくさんできるようにしたいです。あとお酒のイベントも」

 

ハイターらしいと笑うニヒツ。

 

「そう言えば、今度大きな町で本屋に持ち込む予定とか言って結構な数絵本を作ってましたよね。予備もあるみたいですし、子供達に配って感想を聞いてみては?」

 

「ああ、それはありだな。ついでにあの子の誕生日向けに試作したぬいぐるみもいくつかある。サンタの真似事でもしてみるかな」

 

「…ニヒツ、あなた本当に多芸ですね」と驚き呆れるハイター。

 

「今度作り方を私にも教えてください。魔王を討伐した後、孤児院の子達にも作ってあげたいので」

 

ハイターは故郷を思う。

今でも鮮明に思い出す孤児院での思い出。

ヒンメルと一緒に孤児院を抜け出して勝手に魔物を討伐し、一緒に神父様に怒られたあの頃。

 

「いいぜ。等身大テディーベアが作れるようにしてやるよ」

「よく分かりませんが等身大は結構ですよ」

 

 

 

 

フリーレンが思い出した出来事をフェルン達に語る。

3人ともそれを静かに聞いていた。

 

ヒンメルの誕生日が自分の誕生日になったこと。

巨大なハンバーグとメルクーアプリンを食べたこと。

ニヒツが子供達にプレゼントを配って回ったこと。

 

「祭りに歴史あり。まさか俺がガキの頃からある祭りの始まりを知れるとは思わなかったぜ。やっぱりエルフってのは生きた歴史だな」

 

兄貴ですら知らない知識を得て驚くザイン。土産話が一つ増えたと少し嬉しくなった。

 

「流石、勇者ヒンメル。カッケェな」

「ハイター様があまり語ってくださらなかったのは、少し苦い記憶だったからでしょうか…」

 

フェルンとシュタルクも普段はそれほど興味のない歴史の話だが、楽しめたようだ。2人でその後どうして今の形に落ち着いたのか、楽しそうに感想を話し合っている。

 

しかし、ザインはフリーレンの話を聞いて、今の聖誕祭との相違点を見つける。

 

「フリーレン、その時にヒンメル様へ靴下みたいなものをプレゼントしたか?」

 

「うん、プレゼントしたよ。よく分かったね」

 

「なるほど…」と1人納得するザイン。

そして、お節介おじさんザインはあることを思いつく。

 

「シュタルク、この辺りは靴下の名産地でな。戦士用のものも売ってるから買っておいたほうがいいぜ。フェルン、シュタルクはセンスがないから選んでやってくれ」

 

「え、いいよ1人で買えるから」

「いえ、ついでに私も買うので選んでください」

「えぇ…」

 

フェルンに引っ張られていくシュタルク。

ザインはこの後の展開を想像し、少し楽しい気持ちになった。

 

「靴下に何かあるの?」

「聖誕祭は恋人に靴下を送る習慣もあるんだ」

「へぇえ。なんで靴下なんだろう?」

「…」

 

本当に理解できていない様子のフリーレンを見て溜め息をつくザイン。

このクソボケエルフを落としたとされる勇者ヒンメル。彼はやはり勇者だったんだと改めて尊敬の念を抱いた。

実態がどうであったかは本人達のみぞ知る。

 

 

フローエ フリーヒン(ヒンメルとフリーレンの誕生を祝う魔法)

 

 

√m 勇者ヒンメルの死から39年後

 

 


 

■ 実績解除

* フリーレンとヒンメルの恋を進める

* ヒンメル達の物語をおとぎ話にしない

* ヒンメルとフリーレンのふれあいイベントを加える

 


 

■ 裏話1

村人A「勇者様がエルフの娘にプレゼントもらった」

村人B「指輪のお返しだって」

村人C「え? 勇者様が告白したって?」

村人D「勇者様がびしょ濡れになったらしい」

勇者「イケメン」

村人E「僧侶様はお酒が大好きらしい」

村人F「勇者様が靴下で結ばれたって」

村長「なに!? 勇者様と魔法使い様がお誕生日で、靴下で結ばれて、お酒が浴びるほど飲みたいイケメンだって? こうしてはおれぬ。蔵の酒を全部開放じゃ!! ヒャッハー」

 

■ 裏話2

この回でヒンメルが被った不幸 ※ 画面外含む

- 鳥のフンにまみれる

- マントを踏んで転ぶ

- 靴下に穴が開く

- 犬のフンを踏む

- 水をかけられる

- 小指をドアの金具にぶつける

- トイレが満員

- 発酵した魚が詰まった桶を被る

- マントに落書きされる

- 石につまずいてフリーレンに抱きつく

- フリーレンに臭いと言われる(最大ダメージ)

- 取り皿が割れる

- 水浴びしていたらエルフと鉢合わせる

- 川で溺れる

 

それでも勇者の心が折れることはない。

 

■裏話3

「フリーレン、本当に誕生日覚えていないのかい?」

「うーん、正しくは覚えているけどヒンメルに伝わらない…かな」

「?」

「暦って時代や国によって数え方がころころ変わるからね。新しいものに対応するのが面倒になったんだよね」

「…(スケールが違った答えに呆然とする勇者)」




■ 次回予定
タイトルロール




■ 走り書き
メリークリスマスはドイツ語でFrohe Weihnachten(フローエ ヴァイナハテン)
【ドイツ語】フローエ フリーヒン
【英語】 = メリー フリーヒン
【日本】 = フリーレンとヒンメル生まれた日やったー






葬送の
フリーレン
〜〇〇の魔法〜



『みんなが感想をくれる魔法』

<(*´ω`*)> 人間の寿命短過ぎる

ヒンメルとフリーレンが結ばれるための1番の障害は?

  • ヒンメルの諦め
  • フリーレンの精神的成長
  • 何も知らない魔王
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