シュラハトくん見逃して   作:私貴方私(Y-ou@so-soなフリー)

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【第ニ幕】スワンプマン

「『魔族の絡む物語にハッピーエンドはない』

この時代において、魔族の記録を残す理由など

1つしか存在しないのだから」

【とある歴史家】

 


 

 

ヴァイゼからシャーデンフロイデまでの短い旅を終え、休むために宿屋を探していたフリーレン達。

芸術都市と呼ばれるだけあって、他の町では見たことがない不思議な形の建物がいくつもある。

ただ、そのせいで宿屋を判別できず疲労も溜まっており、フェルンが不機嫌になってきていた。

 

不運なことは続く。

芸術都市は過去にヒンメル達が訪れたことがあり、未だに顔を覚えているファンも多い。

そして明日、勇者パーティーに関わるミュージカルが先行公開される。

もちろん街中その話題で持ちきりである。

 

結果、勇者パーティーの魔法使いだったことがバレたフリーレン。

彼女は今、いつも以上の大勢に囲まれて身動きが取れなくなっていた。

 

 

†

 

 

「シュタルク、大丈夫ですか?」

「うぷ、人酔いした…」

 

フェルンとシュタルクは、フリーレンに群がったファンの人々にもみくちゃにされ、今しがたなんとか抜け出すことに成功。

しかし、シュタルクが人酔いしてしまい、木陰でフェルンが介抱していた。

 

「しくしく、俺戦士なのに…」

「まあ、あれは仕方ありませんよ。それに…」

 

フェルンは、押し寄せる人々からシュタルクが庇ってくれたことに気付いていた。

幼(・)い(・)頃(・)か(・)ら(・)の(・)仲(・)である。

この弟みたいな存在が、いざという時頼りになることをよく知っていた。

 

「あれ? フェルン一級魔法使いじゃないか。 偶然だね」

 

「レンゲ様? お久しぶりです。一級魔法使い試験以来ですね」

 

フェルンは名前を呼ばれ、膝の上から視線を上げる。

そこには、つい最近お世話になった一級魔法使いレンゲの姿があった。

 

「あ、座ったままでいいよ。彼しんどそうだしね」

 

「はい、ありがとうございます。その節はどうもお世話になりました。レンゲ様は帰省ですか? ご実家がこちらとお聞きしましたが」

 

「まあね」と頷くレンゲ。

フェルンは目の前にいる男装をした少女へ目を向ける。

 

彼女と出会った時、フェルンとレンゲは受験者と試験官という関係だった。

しかし、その後の二次試験で何故か迷宮探索のパーティーにレンゲが付いてきたことで、色々会話をする機会があった。

芸術都市シャーデンフロイデについても、その時に教えてもらった話である。

 

自分よりも幼く、自分よりも知識や経験が豊富という珍しい人物。

彼女に対して、フェルンは素直に驚き、尊敬の念を抱いた。

そしてそのまま意気投合し、彼女達はお互いのこれまでの旅を語り合った。

フェルンは友達が少ない。

そんな彼女にできた『初めてのお友達』であった。

 

フェルンの友達はかなり特徴的である。

自分よりも小柄な少女であるが、服装は男の子のようであり、魔法使いなのに腰には剣をたずさえている。

戦っているところを見たことはないが、話によるとその剣を使った魔法を使うらしい。

 

「ところでこれはどういう状況なんだい?」

 

「実は…」

 

フェルンはこの騒動について説明した。

フリーレンはあの人だかりの中であること。

そして、自分たちは今夜の宿もまだ取れていないこと。

 

「分かった。私がなんとかしよう」

 

レンゲは人だかりの方を一瞥し、近づいて行く。

そして、大声で叫んだ。

 

「たいへんだ!! ロイファーとゲフローレンが熱愛発覚だって、今3番街のホールでフラッシュモブやってるらしい。今ならまだ間に合うぞ! 見に行こう」

 

!?

 

「え、ロイファーが」「マジで!?」「ショック!!」「ロイファーって誰?」「バカ野郎、あのミミック専門の舞台俳優だろ」「ゲフローレンって1000年に一度の美女って言われてる女優じゃん!?」「明日のミュージカルの打ち合わせとかじゃねえの?」「ウヒョお、美女と野獣(ミミック)じゃん。美味しいカップリング!!」「フラッシュモブなら任せろり」「推しの幸せが俺の幸せだ…」「見に行こうぜ」「えっ、でもフリーレン様…」「馬鹿野郎、見に行くなら1000年前の美少女より、今をときめく美女の方だろ!」「たしかに」「行こう行こう」「3番街ってどっちだっけ?」「9番街と3/4番街の南」「あそこ音楽ホールなんてあったっけ?」「知らん」「もしかしたら6番街の間違いじゃない?」

 

ガヤガヤと動き出す人混み。

前の人が移動すると、釣られて自分も移動するのは『人間のさが』というものなのだろう。

 

後に残されたのはしわしわのエルフ1人。

 

「かわいそうに…」

「クライヨコワイヨ…モウムリダヨ…」

 

レンゲはエルフの干物に肩を貸し、フェルン達の元へ連れてきた。

 

「フリーレン様、おいたわしや…」

 

「だから芸術都市は嫌なんだよ…」

 

「俺も苦手だ…」

 

その後、フルーレンたちはレンゲに勧められた宿屋へなんとか辿り着いた。

疲れ切ってぶっ倒れる面々。

レンゲは何かあれば魔法協会の支部へ連絡するように告げ、帰って行った。

 

こうして、フリーレン御一行の芸術都市初日がようやく終わったのであった。

 

 

†

 

 

「お、ここじゃないか」

 

次の日、フリーレン達はチケットに記された劇場へやって来ていた。

 

フリーレンの顔には、普段見慣れない黒い眼鏡がかけられている。

彼女は昨日の反省を踏まえ、少し変装をしていた。

 

「もうあんなことはこりごりだからね…」

 

宿屋でしっかり休んだ3人。

しかし、フリーレンは昨日のダメージが残っているようであまり元気がない。

対照的に、シュタルクはしっかり元気を取り戻していた。

またフェルンも機嫌が良く、フリーレンは無意識に「若いなぁ」という感想を漏らしていた。

 

「フリーレン様。そんなしょぼくれた顔をしていては、楽しいものも楽しめませんよ」

 

「そうだぜフリーレン。元気が出ないときは、楽しいことを想像すると良いんだぜ」

 

『そんなこと言われてもなぁ』と思いつつ、フリーレンは表情筋に力を入れる。

これから見るミュージカルは、あのニヒツが残したものである。

未来視に近い直感を持っていた彼。

このミュージカルを見れば、その理由の一端が分かるかもしれない。

フリーレンの顔に力が入る。

 

「じゃあ、行こうか」

 

 

†

 

 

「まさか、あなたが本物のフリーレン様だったなんて! 俺めちゃくちゃファンだったんです。握手してもらって良いですか? ありがとうございます! あ、ここにサインも貰えますか? すみません、ありがとうございます家宝にします!!」

 

変装は、劇場に入ると即座にバレた。

 

舞台の客席で隣になった人物は、ヴァイゼでチケットを結構な値で譲ったあの青年だった。

渡されたチケットは連番だったので、これは必然である。

フリーレンは少し後悔しつつ、律儀にサインに応える。

もはや慣れたものである。

 

「あ、大丈夫です。芸術を観るときは、誰にも邪魔されず自由でないといけませんからね。マナーは弁えるのが芸術都市民の常識でさ」

 

その言葉の通り、席についてからは観客も皆静かになった。

静か過ぎる静寂、緊張感すら感じる暗闇の中、舞台の幕が上がる。

 


ミュージカル『葬送』開幕


 

 

†

 

 

フリーレンは悩む。

ミュージカルは素晴らしい内容だ。

目の前で繰り広げられる『魔法』をふんだんに使った臨場感あふれる表現技術。

まるで自分がその場を体験しているかのような立体感を持った演技。

以前、ヒンメル達と来た時より、魔法技術も演技の質も向上している。

後で魔導書があれば見せてもらおう。

 

でもそこじゃない。

フリーレンを悩ませている問題はそこにはない。

問題はそのストーリーにあった。

 

二ヒツが知(・)る(・)は(・)ず(・)も(・)な(・)い(・)情報が混ざっている。

私は過去の話をここまで詳しくヒンメル達に話していない。

それでもかなり事実に近い物語。

心に重いものがのしかかる。

 

『ニヒツには、私達に最後まで話さなかった秘(・)密(・)がある』

 

そういうことなのかもしれない。

だが、彼がヒンメル達を信用していなかったとは思えない。

それでもフリーレンは、彼が自分達に相談してくれなかったことを少し寂しく感じた。

 

しかし、話が進むに連れ、明らかに現実と異なる要素が増えてきた。

 

『一般攻撃魔法と呼ばれるものは存(・)在(・)し(・)な(・)い(・)』

 

『断頭台のアウラとは戦(・)っ(・)て(・)い(・)な(・)い(・)』

 

『黄金郷のマハトはヒ(・)ン(・)メ(・)ル(・)達(・)が(・)倒している』

 

『私達の旅の目的はオ(・)レ(・)オ(・)ー(・)ル(・)で(・)は(・)な(・)い(・)』

 

これはまだいい。未来の話なので直感が外れただけだろう。

でも、手記を書いていた『当時の話』が『事実』と大きく異なっている。

確定したはずの『当時の話』に誤りがあるのはおかしい。それは明らかに意図的なものだった。

 

『葬送』では、勇者パーティーに『騎(・)士(・)が(・)い(・)な(・)い(・)』。

 

騎士ニヒツは、私達の冒険に自分がいない方が良かったと考えていたのだろうか?

それはなんだか寂しい。

 

彼がいなければ危ない場面はたくさんあった。

彼がいたから救えた命もたくさんあった。

自分の言葉が足りず、更なる悲劇を生み出しそうになったと(・)あ(・)る(・)村(・)の出来事も…。

あの一件だけでも、ヒンメルはニヒツにいつも感謝していた。

 

私達は完璧じゃない。

だからみんなでそれぞれを補い合っていたんだ。

今はそう感じている。

 

 

†

 

 


閉幕


 

 

ミュージカルが終わった。

たくさんのモヤモヤを抱えたままのフリーレン。

 

「おいおい、どういうことだよフリーレン。俺たちまで、なんで80年以上前の手記に出てきてるんだ?」

 

「フリーレン様、ザイン様までいましたよ。しかも知らない七崩賢とフリーレン様が戦ってましたし」

 

詰め寄るフェルンとシュタルク。

「わかんない」「わかんないかぁ…」

フリーレンも答えを持っているわけではないので答えようがない。

 

「それにしても断頭台のアウラを杖(・)で(・)ぶ(・)ん(・)殴(・)っ(・)て(・)倒(・)す(・)のは意味が分かりませんよ。『殴り合いじゃああああッ‼︎‼︎』ってどういうことですか、魔法はどうしたんですか?」

 

ミュージカルのストーリーには、違和感が多々あった。

それは主に戦闘描写である。

 

手記にはそこまで詳しい描写がなかったのかもしれない。

細かい部分については、過去編も含めてかなり舞台向けにアレンジもされているようだった。

 

 

†

 

 


カーテンコール


 

ミュージカルが終わってカーテンコールが始まる。

上映中は静かだった客席も、皆スタンディングオベーションで演者と『監督』を迎える。

 

フェルンもそれに倣い、立ち上がって拍手を送る。

劇の間に見なかった先頭にいる小さな人物が『監督』だろうか。

 

どう見ても子供である。おそらくレンゲと同い年くらいの少年だろう。

少年は会場を見渡し、何かを見つけたようだ。

満面の笑みで飛び跳ねながら、こちらへ手を振ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フリーレン様の魔法が彼(それ)を貫いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小さな監督は笑顔のまま腹を貫かれ、魔(・)力(・)の(・)チ(・)リ(・)と化していく。

「キャアアァ」「フリーレン様なにをッ!!」響く悲鳴と怒号。

 

そして、場内で混乱と暴走が起こるかと思われた。

しかし、皆の視線を集めたフリーレンが静かに指を指す。

一同はその先へ目を向け、同時に静寂が訪れた。

監督だったものは無傷な部位も含めて崩れて行き、後には何も残らなかった。

フェルンも混乱していたがいち早く事態を理解する。

 

「…魔族ですね…」

 

おそらく魔法で隠蔽していたのだろう。

監督が消えた辺りから、先程までなかった魔族の濃厚な気配を感じた。

 

シャーデンフロイデの舞台は高度な魔法技術を使う物だ。

そのため、この場にいる演者を含めた全員が魔法の知識を持っている。

もちろん魔族の知識も。

 

周囲の人間もようやく事態を理解した。

フリーレンの凶行は自分たちに紛れた魔族を無力化するための行動だった。

擬態がバレたことで魔族が自分たちを人質に取らないようにと、一瞬で判断して実行した。

正しく英雄譚にうたわれる恐るべき洞察力と決断力。

隣で腰を抜かしている青年も、この恐るべき美姫に目を奪われていた。

 

 

『ひどいなぁ…フリーレン…』

 

 

 

†

 

 

場内のスタッフが客を落ち着かせる。

やがて、責任者と思しき男がフリーレンの側へやってきた。

 

「助かりましたフリーレン様。ただ…」

「擬態していたんだ。本物の監督はおそらくもう…」

「そうですね。とにかく魔族の侵入経路を調査します。衛兵が来るまで一緒に待機していただけると幸いです」

「しかたないか…」

 

フリーレンが迅速に解決したとはいえ、しばらく拘束されそうである。

その間、フェルンは魔力の痕跡を調査していた。

 

「フェルン、あれの正体に気づけたか? 俺はさっぱりだったけど…」

「私も全く分かりませんでした…。それに魔族の気配は残りましたが、今もフリーレン様の魔法以外、この場で魔法を使用した痕跡が見当たらないんで…す…」

 

フェルンが言い終わるや否や、攻勢魔法の気配を感知。

 

フェルンは反射的に『六角構造体複合防御魔法(一般防御魔法)』を展開する。

速度を重視し、周囲に展開したため展開範囲は狭い。

咄嗟にシュタルクを抱き締め、防御魔法の範囲に引き込む。

 

同時に周囲が吹き飛んだ。

 

「おい、大丈夫かフェルン!」

「大丈夫です。魔法攻撃なので防ぎきれました。しかし、これは…」

 

何者かが放った攻撃魔法。

対応できたのは自分を含めた数人の魔法使いのみ。

フリーレンも無事なようだ。

「フリーレン、会いたかったよ」

「『神話のゲシヒテ』…」

 

舞台の奈落から、子供の魔族が現れる。

 

「魔族の気配を感じない。でも見た目も魔法も明らかに魔族のもの…」

 

フェルンは気分が悪くなる。

例えるならば、『りんごを食べたと思ったらカレーの味がした』。

もしくは、『クレープ屋台があると聞いて来たら、おかずクレープだった』時のように、認識と体感、期待したものと現実が微妙に噛み合わない感覚。

 

「私は会いたくなかったよ」

「それはざ」

フリーレンは問答無用でゲシヒテへ攻撃を放つ。

再びゲシヒテは魔力のチリとなった。

「会話の最中に攻撃するのは、人の世界だとルール違反では?」

視線すら向けないフリーレン様の魔法で再び魔族は四散する。

でも、これで倒したとは到底思えない。

そして想像通り、再びゲシヒテが現れてはフリーレン様に倒される焼き直しの光景。

 

フリーレン様は生き残った周りの人々を気にしながら戦っている。

相手の消耗が見えない状態でこれは悪手だ。

フェルンとシュタルクも加勢に向かおうとした時、ゲシヒテが再び攻勢に出た。

【一般攻撃魔法(ゾルトラーク)】

フェルンは再度、『フリーレンの防御魔法(一般防御魔法)』を形成し、恐るべき貫通魔法を受け流す。

 

しかし、他の生き残った魔法使いはそうも行かなかった。

彼らが咄嗟に展開した『四(・)角(・)の多重防御魔法』は立ちどころに貫かれ、皆崩れ落ちた。

 

「これはフ(・)リ(・)ー(・)レ(・)ン(・)様(・)の(・)貫通魔法! なんで魔族が…」

 

フェルンは疑問を抱くが、戦況は再び変化する。

 

 

--- 『勇者ヒンメルの如き斬撃を放つ魔法』 ---

 

 

フリーレンと戦っていたゲシヒテが足場ごと細切れになる。

 

「撤退だよ。僕について来てくれ」

 

そこには昨日出会った一級魔法使いレンゲがいた。

ゲシヒテが再び現れる前に、レンゲはフリーレンの首根っこを掴み劇場を脱出する。

シュタルクもフェルンを抱え、それに続く。

フェルンはこの惨状に目を逸らしつつ、シュタルクの服を強く掴んだ。

 

 

†

 

 

フリーレン達が劇場の出入り口から勢いよく飛び出す。

そこは予想に反して、人だかりなどはできていなかった。

あれだけ派手な戦闘が行われたのだ。

すでに騎士団に囲まれていてもおかしくは無い。

 

フリーレンはその辺りに歩いていた人物を捕まえ、質問する。

 

「騒音? 別にそんなもの聞こえてませんよ。 劇場が崩れた? いえ、ここからは特に何も変化ないですけど…。私は向かいの店で毎日働いてますが、今日が特別変な感じは特にないですね」

 

混乱するフリーレン達。

先ほどまで戦闘があった劇場施設へ目を向ける。

確かに変わったところはない。

ゲシヒテの魔法は施設の外まで貫通させるのに十分な威力があったはずだ。

 

何も分からないが、ここに居ては危険だ。

フリーレンがフェルン達にこの場を離れるように声をかけようとした途端。

 

劇場施設から観客が出て来た。

 

しかもあれだけの惨状だったにも関わらず、誰も傷ついていない。

彼らは談笑している。

お互いにミュージカルの感想を言いつつ、何事もなかったかのように帰っていった。

 

「あ、フリーレン様。なんで外にいるんですか? トイレなら館内にもありましたよ。それにしても残念でしたね。めちゃくちゃ良いところだったのに、途中退室されるから驚きましたよ。まあ、本番公開がこれからあるみたいなので、しばらくうちの都市に泊まるならまた見てくださいよ」

 

早口で捲し立てる青年。

フェルンは彼が隣の席のおしゃべりな青年だと気づく。

彼は先ほどの襲撃で胸を貫かれたはずだ。助かるはずがない。

 

「フリーレン様…。これはどういう事でしょう…」

「わからない…」

 

「ちょっと君、触らせてくれない?」

「え!?」

 

フリーレンが戸惑った様子の青年にボディーチェックを行う。

もちろん並行して魔法の解析と健康状態の確認も行う。

結果は至って健康。

 

「も、もう良いですかね。それじゃあまたどこかで会いましょう」

 

そう言って青年は去っていく。

 

「あれは幻術だったのでしょうか?」

 

「私達が昔倒した『奇跡のグラオザーム』なら同じことができそうだけどね。私達が抜け出せている時点でおそらく違うかな」

 

どちらにしても一度態勢を立て直す必要がある。

宿屋に置いて来た魔道具が必要だ。

フリーレン達は急いで宿屋へ戻ることにした。

 

「それはそうと、レンゲ。君は何か知っているんじゃないかな?」

「…」

 

フリーレンがレンゲへ問いかける。

 

フェルンもそのことには違和感を感じていた。

なぜ都合よくあの場に現れたのか。

なぜ勇者ヒンメルに関する魔法を使うのか。

なぜ初日に出会えたのか。

シャーデンフロイデの話を聞いた後、そこへ向かうことになるという偶然がありえるだろうか?

 

フェルンは親しい友人を問い詰めるような状況に心を痛める。

しかし、だからと言って見過ごすわけにも行かない。

 

「知っています。でもここでは話せません。なんとか安全な場所へ移動しましょう。私の家がありますそちらへ行ってから全て話します」

 

「…分かったよ」

 

ピリついた空気が元に戻る。

だが、その前に荷物を回収することを伝える。

 

「分かりました。荷物を確保したらすぐにここへ向かってください。そして行き先は誰にも喋らないでください」

 

レンゲが誰にも見えないように何かの紙をフリーレンに握らせる。

おそらくレンゲの家までの地図だろう。

私達は別れ、宿屋へ向かった。

そして、宿屋に入った瞬間。

 

 

意識を手放した

 

 

†

 

 

 

「むにゃむにゃ」

「…あれ寝てた?」

 

フリーレンは伸びをしてベッドから降りた。

めずらしく、フェルンはまだ眠っている。

 

「昨日はたしか…」

 

昨日の記憶があやふやだ。

一階に降りる。

一階の食堂では、女将が料理を運んでいる。

 

「あら、フリーレン。早起きじゃない」

「好きなところに座りなさい。朝食を作るじゃない」

 

桃色の髪におさげをつけた小柄な女将。

初日に受付で出会った女将とまるで容姿が異なる。

女将の姿に目を凝らす、次の瞬間眠気が吹き飛び、フリーレンは手元に杖を呼び出した。

 

 

 

女将の頭には、大きな角が2つあった。

 

 

 

 

 

 


 

■ 実績解除

* 【NEW】原作にいない七崩賢との戦い

* 【DOING】最弱の七崩賢

 

 


◽️ 裏話

一級魔法使いレンゲ(Länge 長さ)

原作:一級魔法使い試験編の二次試験で壁に挟まれて失格退場。

本作:

既に一級魔法使い。僕っ娘。男装。ヒンメルの真似? ヒンメルに関する魔法を使う。

一級魔法使い試験の二次試験にて、ゼンゼに変わって試験官を任される。

先輩のゼンゼに相談して原作と同じ試験内容に決定。

 

■ 裏話2

スワンプマン

1987年 アメリカの哲学者が考案した思考実験。

あなたをあなた足らしめるのは、心なのか身体なのか、はたまた記憶なのか。

ではそれらを寸分違わず複製したもう一人のあなたがいたとすれば、あなたはほんとうにあなたですか?




■ 次回
劇場版葬送のフリーレン『最弱の七崩賢』

ふりーれんどこ?

  • ふーりれんとこ?
  • ふりーれんどこ?
  • ふりれーんどこ?
  • ここ
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