シュラハトくん見逃して   作:私貴方私(Y-ou@so-soなフリー)

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『第1話 冒険の終わり』

「エーラ流星が1番綺麗に見える場所で待つ」

 

フリーレンは手の中にある手紙に違和感を覚える。

50 年前一緒に旅をした5人パーティー最後の仲間、騎士ニヒツ。

彼からの手紙には、その一言だけ書かれていた。

 

「場所を教えた記憶はないんだけど」

 

疑問を呟きながら、手紙を持って来たハイターを見る。

しかし、彼は少し困ったように微笑みを返すだけだった。

 

「まあまあ、フリーレン。ニヒツはサプライズが好きだったからね。先回りして何か用意してくれてるんじゃないかな」

 

すっかり老いぼれたヒンメルの言葉に、それもそうかと納得して、早速出発することにした。

 

『流石にその言い訳は無理があるんじゃないか? コソコソ』

『いいや、これでいいのさ コソコソ』

 

何か後ろでアイゼンとヒンメルが話しているが、声が小さくて聞こえない。

何の話か振り返ろうとした時、ハイターが話しかけて来た。

 

「誰かさんと一緒で、彼も中々王都へ顔を出してくれませんでしたからね。私達も久しぶりに会うのでとても楽しみなんですよ」

 

私はそんなに久しぶりと感じていないが、みんなはそうでもないらしい。

ハイターの楽しそうな笑顔を見て、

もう10年ほど早く帰って来ても良かったかな。と少し思案したが、また後でいいかと考える事をやめた。

 

道中は色々な話をした。

特に、今ここにいないニヒツの話題で盛り上がった。本人がいないのを良いことに、50年前の愚痴をあれやこれやと盛り上がる。

 

ダンジョンのトラップに全部引っかかったこと。

泳げないのに湖へフルプレートのまま飛び込んだこと。

料理が上手かったけど、洗い物が面倒だったこと。

下手なのに良く絵を描いていたこと。

魔導書の取り合いをしたこと。

ヒンメルと銅像のポーズ対決に時間をかけ過ぎたこと。

 

たくさん、たくさん…

 

「懐かしいよ。こうしているとあの頃に戻ったかのようだ。あいつもここにいられたら良かったのに」

 

ヒンメルの呟きに私も賛同した。

 

「本当にそうだね。色々話したいこともあったのに、なんで先に1人で行っちゃうかな」

 

会ったらお小言の一つや二つ許されるだろうと、考えながら彼への文句を考える。

 

「…そうしてやってくれ」

 

ヒンメル達は小さく笑うだけだった。

 

 

 

 

夜になり、私達はそこへ辿り着いた。

エーラ流星はまだ見えない。

しかし、そこには鎧が一つ置かれていた。

 

そして、添えられた花。

 

「またサプライズってこと。流石に面倒だよ」

 

私は杖を出し、探知魔法でニヒツが隠れそうな場所を探す。

しかし、杖を構える前に、ハイターが私の肩に手を置いた。

 

「ニヒツはそこにいますよ」

 

ハイターが指を差す。

意味が分からなかった。

 

「その鎧が彼です。あなたも薄々気づいていたでしょう」

 

そんなことはない。

 

「彼は出会った時から魂だけの存在でした。断頭台のアウラによって、死した後も鎧へ魂を縛り付けられていたのが、彼です」

 

嘘だ。

そんなことがあれば、私は必ず気付く。

魔力はもちろん、アイツは飲食だってしていた。

 

「彼がフルプレートを脱いだ姿を一度でも見ましたか?」

 

確かに、アイツの顔を見たことはない。

今まで気にしたこともなかった。

 

「彼はアウラの支配に抗えず、守るべき人々に剣を向けた事を後悔していました。それが南の勇者との戦いで意図せず自由を手に入れ、魔王を倒すまでこの世に留まる楔になったのでしょう」

 

ハイターは、私がみんなと別れた後の話をしてくれた。

ニヒツの告白。

そして、もうすぐ動けなくなりそうだということ。とある場所へ連れて行ってほしいという願い。そして手紙。

 

彼は何故か50年後、この場所へみんなで来る事を予測していたそうだ。

 

意図しない別れ。

そんなことは今まで何度も経験してきた。

でも、これは唐突過ぎた。

私は指先が冷たくなるのを感じた。

なんでもっと早く知ろうとしなかったのか。

目元が熱い。

 

ふと、顔を上げ、目の前のみんなを見る。

みんな50年前と違ってずいぶん小さく見えた。

彼らも明日にはいなくなってしまうんじゃないか。

不安が押し寄せる。

もっと知っておけば良かった。

後悔が体を重くさせる。

 

「俺も奴から預かってたものがある。ここで渡せと言われていた」

 

アイゼンが唐突に手紙を渡してくる。

これも彼からのものらしい。

封を開き、中の手紙を取り出す。

中には1行の文章だけが書かれていた。

 

鏡蓮華の花言葉は、久遠の愛

 

…。

 

 

 

 

エーラ流星が空を包む。

 

「僕はね、全員が揃うこの日を待ち望んでいたんだ」

 

ヒンメルの言葉に、静かに耳を傾ける。

 

50年前のあの時と変わらず、私達はみんなで星を眺めている。

 

「ヒンメル」

 

「何だい?」

 

「鏡蓮華の花言葉って知ってる?」

 

「…ああ、知っているよ」

 

「…そう」

 

 

 

 

√s 勇者ヒンメルの死から0年後。

 

 


 

■ 実績解除

* 【NEW】アウラは南の勇者に殺される

* 【NEW】第1話で死ぬ

* 【NEW】フリーレンとヒンメルの恋を進める

 


 

■ 裏話

七崩賢の魔法は本人が死んでも無効化されない。

主人公はアウラの天秤を手に入れ生存。

アウラは死んだため、支配力は無くなったが、魂を鎧に止める効果を破棄しなかった。

自由になる選択を保留にし、戦友達の無念を晴らすための魔王討伐に燃えた。

そしてやり遂げた。

 




■ 次回
√m 勇者ヒンメルの死から38年後


■ NG集

「俺も奴から預かってたものがある。ここで渡せと言われていた」

アイゼンが唐突に手紙を渡してくる。
これも彼からのものらしい。

「マヨネーズ、
タマゴ、
ナスビ…」
「はぁ?」

手紙の内容をみんなに見せる。

「買い物メモですね」
「だな」
「だね…」

空気は死んだ


あなたのお目当ては?(ここに含まれてない項目もやる予定)

  • 黄金■■■■■がヒンメルと■■■■に
  • ヒ■■ル■■ヒツの決闘
  • ■■■■■■のフリーレン
  • シュラハトと■■■■に存在を許容される
  • フリーレンと■■■■の■を進める
  • 魔族の被害を■■■手段を模索する
  • ヒンメル達の物語を■■■■にしない
  • 最弱の■■賢
  • ■■討伐後の帰り道
  • 1000年後の■■
  • ■■■■■■■■■■■■
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