とりあえずなんとか生きてます。
今後一部本編の話を飛ばすことになると思います。
まあ一話づつ拾っていたら終わりそうにないですしね…
それに加えて番外編でオリジナルの話を書くことになるかもしれません。
本筋には影響しない完全な番外編になる予定ですのでご了承ください。
豪華な装飾物、そしてその装飾物を数多く置いても狭さを感じさせない広さ。
前回万丈目との試合でオベリスクブルーに昇格した俺は、今そんなだだっ広いブルー寮の一室にいる。
前世ではカードゲーム関係に資金の殆どを投じていたがためにあまり住まいは良いところに住んでいなかった。
イエローですら贅沢感を感じていたというのに、お城のように豪華なこの寮に住むとなれば落ち着きもなくなる。
私は何故部屋で一人そわそわしているんだ…
そんなブルー寮の中では一つの噂が流れている。
ブルーの万丈目が行方不明になった、と。
あの昇格決闘の後、万丈目には処分が言い渡された。
しかしそれはしばらくの謹慎という軽いもの。
捨てられたカードがメインデッキではなかったこと、そして一番は被害者である三沢が処分を軽くしてもらえるよう校長に頼み込んだらしい。
アイツ性格出来すぎているだろ…
ところが今日になって寮からアイツは姿を消した。
誰にもそのことを告げることなく。
「…アイツにも思うところがあったんだろうけど。」
こうなったのが自分のせいだとは思わない。
たとえあの決闘が原因だったとしても後悔はしない。
どんなときでも決闘で手を抜いたりはしない。
「とは言っても、気にはなるよなぁ…」
授業サボって探してみるかな…。
―〇●〇―
さて例のごとくクロノス先生の授業をサボって外に出てみたものの、さてこれからどうするか。
正直思いつきでやってきているから心当たりなんてものもない。
現状は地道に探していくしか手がない。
「せめて他にも探してくれる人が居てくれれば気分的にもだいぶ違うのだが。」
そんなことを言っていると校舎側から人の話す声が聞こえてくる。
なんか最近ご都合主義が多い気がするがそんなことは気にしない。
声が聞こえた方に向かうと見慣れた姿が見える。
どうやら考えていることは一緒のようだ。
「十代、翔、明日香、なにやってんだ?」
「舜!お前も授業サボってたのか。」
「万丈目の事が気になってな。というか明日香までとは意外だな。」
「私だって同級生を気にかけるぐらいのことはするわよ。」
明日香は本来優等生だ。
普段授業をサボるようなことはない。
やはり万丈目のことが気にかかっていたようだ。
「ところで取り巻き1に取り巻き2、なんでお前らもいるんだ。」
「ジュンコよ!」
「ももえです!」
うん、知っているけどね。
流石にもう名前は覚えた。
明日香とちょいちょい会うからこいつらともそこそこ面識はある。
ももえの方は最近態度が柔らかくなってきた気がする。
なんかこの前「ほう、近くで見ると中々に…」とか言いながらニヤニヤしていたがなんだったのだろうか。よく聞こえなかったが何故か背筋に寒気が走った。なにこれ怖い。
ジュンコの方は最初の頃から変わらず、会うたびに怒鳴られている。まあ憧れの存在である明日香と親しくする俺が気に入らないってところだろう。
気持ちはわかるがもう少し柔らかくなってくれてもいいと思うのだが…
「冗談だ、許せ。」
「ふん、相変わらず性格悪いわね!」
「まあまあ、ジュンコさん。」
相変わらずって俺そんな性格悪く見られるようなことしたか?
いや、単純に嫌われているだけか。
「さて、遊んでいる時間ももったいない。そろそろ行こうか。」
「おう、行こうぜ。」
―〇●〇―
「おーい、万丈目―!」
「万丈目くーん!」
万丈目の姿を今日になって誰も見ていないという点から、まず俺たちは森の中から探索を開始した。
しかし万丈目どころか人の影一つ見当たらない。まあ授業がある時間帯だし当然といえば当然なのだろうが。
「まったく、どこにいったやら…」
「ふぅ、まったく…」
明日香はため息をつく。
しばらく歩いて疲れでもしたかな?
「出てきなさーい!決闘に負けたぐらいで雲隠れなんて情けないわよー!!」
周りの鳥たちが一斉に飛び立つ程の大声で叫ぶ。
いやぁ、相変わらず勇ましいことで…
「相変わらずキツイなお前…」
「まあ気持ちはわからんでもないが…」
いつものことだ。いい加減慣れてしまったような気もする、うん。
「あら当然よ。ホント最近は軟弱な男子ばっかり。」
女子から見ても思うところはあるのだろうが、それが全員だと思われるのは癪だな。
まあ、だからといってどうすればいいかと言われても何も案はないのだが…
「でもきっと万城目さんは違いますわ。だってイケメンなんですもの♪」
コイツは本当にブレないな。ある意味尊敬する。
十代達も若干引いているようだ。
そんな中、明日香が一人身構えていた。
「どうした明日香?」
「あそこ、今何か動いた。」
明日香が指差したのは草むら。
どうやらあの草動いたのを見たという。
まさか本当に森の中に隠れていたのか?
しかしそんなことを考えながら近づいた俺たちに姿を見せたのは
「「ウキーッ!」」
「うわー!」
二匹の猿らしき生き物だった。
えっ、この島猿までいんの!?
それにこのサル達、明らかに機械のようなものを纏っている。
腕に装着しているモノに関してはなんかデュエルディスクっぽいような。まさか…
「ウキー!」
「ウキャー!」
そんなことを考えているあいだに二匹の猿が俺たちに飛びかかってきた。
あっという間にもみくちゃ状態になる。そして気づいたときには猿の姿は消えていた。
「な、何…」
「猿…だったよね?」
「た、多分…」
俺たちは呆然としていた。
いきなり草むらから現れた猿が暴れて一瞬のうちに消えた、なんて今まで経験したことがないことだ。いや当たり前だけど。
呆然としている俺達の前に現れたのは黒のスーツを着た男たち。
その内の一人はライフルらしきものを持ち物々しい感じだ。
「今度はなんなの。」
「逃げられたか…」
なにかを追っているように見受けられるが、もしかしてさっきの猿らしきモノの関係者か?
すると木々の中から悲鳴が二つ聞こえてきた。
この声はたしか取り巻き×2の声のような…
悲鳴のする方を見ると二匹がジュンコとももえを連れて奥の方へ逃げていくのが見える。
どうやらさっきのゴタゴタの中で連れ去られたようだ。
「あそこだ!」
「追え、捕まえるのだ。」
「ちょっとこれどういうこと!」
スーツ集団が猿を追いかけ、俺たちがそれを追いかける。
短い時間で一気にいろんなことが起こりすぎて正直わけがわからないが、今はとにかくあの猿を追いかけるしかなさそうだ。
しかしあの猿どこまで行く気なんだ?
―〇●〇―
俺たちの足がようやく止まる。
あの猿共、山越え川越え好き放題逃げやがって…
おかげさまで肩で息をするまで走らされた。
なんか周りの人たちは全然平気そうな顔しているけど気のせいだと思う。そう思いたい。
「もう逃げられないぞ!」
黒服の一人が猿に向かって叫んでいる。
どうやら麻酔銃で捕獲しようとしているらしいが…
「助けて、明日香さーん!」
「お助けをー!」
二人が助けを求めて叫んでいる。
流石にこの状態じゃ黒服たちもうかつに手が出せないようだ。
「つーかアンタ達一体誰なんだよ。」
ごもっともな質問だが俺にはそれ以上に気になるものが二つあった。
一つはもちろんジュンコとももえのこと。相手が人間ならともかく、猿相手じゃ早く対処をしないとどうなるかわかったものじゃない。
そしてもう一つは猿が身に着けている機械、まず間違いない。
「アニキ、あの猿デュエルディスクつけてるよ。」
「あれはただの猿ではない。」
「見りゃわかるわ。」
「我々が訓練を重ねて育て上げた決闘者猿だ。」
決闘者猿…これは突っ込んだほうがいいのか?
いやしかし、ここが遊戯王の世界だと考えると非常識でもないのか?あれ、もしかして俺が非常識なのか?なんかもう理由がわからなくなってきた。
「決闘者猿!?」
「その名もSuper Animal Lerning、略してSALだ。」
「結局そのまんまかよ!」
だめだ、ツッコミを抑えられない…
十代達も驚いてるし、非常識なことには間違いないようだ。良かった…
「博士…」
「いかん、つい口が滑ってしまったようだ。」
スーツ集団はそのまま捕獲を続行しようとするが、十代はそれを制し何かをしようとしているようだ。
何をするつもりなのか問われるが、十代のことだから多分…
「もちろん決闘に決まっているさ。」
デスヨネー。まあこの世界の大体は決闘で解決できるようだし、あながち的外れでもないのかもしれない。
…あれ、なんか価値観がおかしくなっている気が。
「誰とでも決闘をすれば心が通い合うんだ。」
「いや、相手猿なんだけど…」
そして十代は猿を決闘へと誘うために挑発をする。
「すげぇアニキ、猿と会話してる。」
「きっと人間と会話が出来るよう教育されているのよ。」
「どっちも大概だと思うがな。」
気にしたら負けっていう風潮でもあるのだろう。
そんなこんなで十代と猿会話は続く。
「俺達が勝ったら人質を解放しろ!」
「ま、負けたら?」
「俺が負けたら?あ、そうか考えてなかったぜ。」
まあそこまで考えるようなタイプじゃなさそうだしな。
ん、というかアイツ俺達って言わなかったか?
「よし、俺達が負けたら猿、お前らは自由だ!」
「そんな~!」
「意味がわかりませんわ~!」
二人からは非難轟々のようだ。まあ何されるかわかったもんじゃないしな。
しかし、やっぱり十代の奴俺達って言っているよな。
「心配するな、二人共。俺と舜は絶対負けないさ!」
「やっぱり俺か!」
そりゃ相手は二匹だし、やるとしたら二人になるだろう。だが何故俺…
「いいじゃないか。猿と決闘なんてそう何回もできるもんじゃないぜ。」
いや、何回も出来るもなにも普通猿は決闘しないから。
しかし十代の言うことにも一理ある。猿と決闘…うん、おもしろそうだ。
「ちょっと真剣に考えなさいよ!」
「そうですわ!」
「あ、スマン。」
確かにヘタをすれば二人の命に関わるしな。
真剣にやらねば。
「…ウキ?」
「ウキッ!」
「え、キャー!」
「ジュンコさん!?」
猿二匹はなにか話す素振りをしたかと思うと片方の猿がジュンコを連れて場所を移動する。
どうやら決闘を受けるつもりになったようだ。
「ウキー!」
猿が気合が入った雄叫びを上げると同時にディスクを展開する。
ディスクが扱えるようだし、本当に決闘ができるようだ。
正直半信半疑だったからな。
「俺はこの猿を相手にする。舜は向こうの猿を頼むぜ。」
「えー!どうせなら如月くんの方に救って欲しいですわー」
「この期に及んで何言っているのよー!」
「むぅ…」
十代の発言にももえが文句をたれ、ジュンコが抗議し、明日香は何故か俺を睨む。
俺に一体どうしろというのか…
ここは決闘をとっとと終わらせるのが正解か。もちろん勝利でな。
十代の方は決闘を開始するようだ。
「そんじゃコッチも始めますか。決闘!」
「決闘!」
「うおっ、決闘中は機械が代弁するのか…」
なんか一々驚かされて、心臓に悪い日になっているな。
舜 LP4000 vs SAL LP4000
「俺のターンからだ。ドロー。」
流石に猿がどういう戦術で来るかまではわからない。
なんせ経験がないのだから。いや、当たり前だけど。
そうなると、とりあえずは様子を見るしかないか。
「『無頼勇騎タイガ』を攻撃表示で召喚。」
無頼勇騎タイガ ☆4 / 地 / 戦士 / 攻1800 / 守800
「タイガは場で表側表示である限り炎属性としても扱う。そしてコイツの攻撃は効果によって無効にすることはできない。カードを一枚伏せてターンエンドだ。」
舜 場
モンスター:1 魔法・罠:1 手札:4
さて、猿のプレイングとはどんなものか。
ちょっとワクワクするな。
「私のターン、ドロー。私は『ビーストライカー』を攻撃表示で召喚!」
ビーストライカー ☆4 / 地 / 獣 / 攻1850 / 守400
ビーストライカー。もしかしてコイツのデッキは…
「ビーストライカーの効果、手札のキング・オブ・ビーストを捨て『モジャ』をデッキから特殊召喚をする。ウキー!」
モジャ ☆1 / 地 / 獣 / 攻100 / 守100
「墓地の『キング・オブ・ビースト』の効果発動。場のモジャを生贄にすることで墓地のこのカードを特殊召喚をするウキー!」
キング・オブ・ビースト ☆7 / 地 / 獣 / 攻2500 / 守800
舐めていたつもりはなかったが思っていたよりも実用的なデッキのようだ。
…ちょっとこの世界の認識をあらためたほうがいいかな?
「キング・オブ・ビーストで無頼勇騎タイガを攻撃!」
「…!決闘中に考え事をするなんて俺もまだまだだな。伏せカードオープン、『ドンドン吸い込むナウ』。このカードの効果で俺は山札の上から3枚をオープン、その中から地、または火属性のモンスタカードを一枚手札に加える。そしてこの効果に成功したとき、相手モンスターを一体手札に戻す。」
不確定とはいえやはり強い。
アドバンテージを確保しつつの除去、弱いわけはないか。
「俺が手札に入れるのは火属性『熱湯グレンニャー』を手札に。よってお前のキング・オブ・ビーストを手札に戻す!」
大きな渦が出現しキング・オブ・ビーストが中に吸い込まれていく。
…なんか渦というか洗濯機みたいだ。いや、名前的には掃除機か?
「ビーストライカーでタイガを攻撃!」
巨大なハンマーによって潰されるタイガ。
流石に破壊までは逃すことはできないか。
舜 LP 4000→3950
「何やっているのよー!もうちょっとマジメにやりなさいよ!」
後ろのジュンコから文句が飛ぶ。
そんなに焦らせないで欲しいもんだ。
ここはひとつ励ましの言葉でも言っておくか。
「待ってろ、必ず俺が守ってやるからなー!」
「な、何言ってるのよバカ!」
あれ、なんか顔赤くして怒られた。
なんか変なこと言ったか俺?
「あーん、ジュンコさんだけずるいですわー!」
「舜!ふざけてないで真面目に決闘をなさい!」
「はい、スイマセンでした!」
ももえが羨ましがり、明日香に怒られた。うん、めっちゃ怖い。
というよりなんで怒られた?俺なにかしたか?
「伏せカードを一枚セットしてターンエンド、ウキーッ!」
舜 場
モンスター:0 魔法・罠:0 手札:5
SAL 場
モンスター:1 魔法・罠:1 手札:4
雰囲気がどんどん混沌としていく…
いや猿と決闘している時点で普通じゃないのだが。
せめて決闘ぐらいは普通にやりたいよ…
今回の余談
「ウキーッ!」
「くそっ、猿のくせにやるじゃないか!俺のターン!」
「ふふふ、これはいいデータが取れそうだ…」
十代サイドでも決闘は続く。
「…華がないっすね。」
一人盛り下がる翔であった。
というわけで通常パートが長くなってしまったため今回も前後編にお送りします。
ギャグパートは出来るだけ拾いたいところ。