とある放課後。
いつもの灯台にて俺は亮と決闘談義に花を咲かせる。
亮はたまに俺を呼び出しては決闘について相談をしてくる。
普通に考えたら一年の俺にあのカイザーが相談をするなど考えられないだろうが、亮はそんなこと気にもとめずに何でも聞いてくる。
そんな亮が今日言ってきたのは意外にもとあるイベントについてだった。
「武藤遊戯のデッキ展示?」
「ああ、今度この学園で展示されるらしい。」
失礼かもしれんが亮がこの手のイベントに興味があるなんて意外だ。
「俺はてっきり『人のデッキの中身なんて関係ない』、とか言うもんだと…」
「お前はたまにとんでもなく失礼なことを言うな。」
怒られてしまった。
まあこれも仲良くなった故の軽口の類だが。
「やっぱり朝一で見に行くのか?」
「残念だが整理券はもう売り切れたようだ。まあ、ゆっくり見に行くさ。」
流石にキングオブデュエリストのデッキともなると皆興味津々というわけか。
「お前は見に行かないのか?」
「興味はある。俺もゆっくり見に行くさ。」
前世の頃、遊戯のデッキの詳細な内容は気になっていた。
…だって明らかに事故が多そうなデッキに見えたからな。
あれが実はちゃんとしたデッキでした、というオチなのか、やはりキングオブデュエリストのドロー力ありきのデッキだったのか…確かに気になる。
だがまあ、そこまで目くじら立てるほどのものではないだろう。
「でもそんな貴重なもの展示するなんて、警備とか大丈夫なのか?」
「そこは流石に心配ないだろう。」
…本当かな。
なんかこういうイベントはトラブルの種になる気が…。
こっちの世界に毒されたかな?
―〇●〇―
夜、外は殆ど人気がない。
いつもならデッキの調整をしてとっとと寝るところだが…
「…イカン、気になって眠れん。」
展示開始は明日の朝。
もし何かトラブルが起きるとしたら今日だ。
そう思うとワクワk…もといドキドキして眠れやしない。
「…行ってみるか。」
もちろんデッキは持っていく。
何があってもいいように。
主に決闘とか。
―〇●〇―
展示会場についた俺は明らかな異変を見つけた。
「なんで入口がフルオープンなんだ。」
警備がザルってレベルじゃないと思うが。
これなら中に入っていけそうだが…
しばらく中へ進むと一つのショーケースがある部屋にたどり着く。
しかし、ここもやはりおかしい。
「明らかに盗まれた後だよな…。」
ケースのガラスは割られ中にあったと思わしきデッキの姿はない。
…どうやら予感は大当たりのようだ。
「あれ、クロノス先生じゃないですか。」
「え…わ、私は盗んでないノーネ!」
いや、まだ何も言ってないですから。
責任問題とかが怖いのだろうか。
「で、犯人はどっちに行ったとかわからないんですか?」
「わかりませんが、今はドロップアウトボーイ達が探してくれてるノーネ。」
十代たちか。
アイツ等のことだ。どうせ皆より先にデッキを見てやろうとか思ったんだろうな。
「じゃあ俺も探してきます。クロノス先生はここを頼みます。」
「私の責任問題になる前にお願いなノーネ!」
結局そこなのね。
―〇●〇―
さて、どこから探したもんか…
「うわぁーーーー!」
「この声…翔か!」
いきなりの展開。
流石にもう慣れてきたよ!
俺は声がする方向に走り出す。
「翔!」
「舜君…」
海岸部では翔が転げ落ちていた。
どうやら決闘で負けた勢いで落下したようだな。
そして対戦していた決闘者は…
「神楽坂か!」
「久しぶりだな、如月。」
ラーイエローの神楽坂。
イエローだった頃、何度か対戦したことがある。
やたら人のデッキを真似たがり、いざ真似をすれば
まるで本人が使っているかのように使いこなす。
正直中々調子がつかめないやつであることは覚えている。
といっても、結局一度もおれに勝てなかったが。
その時は俺のデッキのカードはどう手に入るかとか、しつこかったなー。
「丁度いいところに来たな。この最強のデッキで、今日こそお前を倒す!」
「お前がデッキを盗んだのか!」
「そうさ、このデッキがあれば俺は無敵だ!」
どうやら少しお灸をすえないといけないようだな。
こんなところでデッキだけとはいえ、武藤遊戯と戦うことになるとは。
正直ワクワクしてきた!
「俺が勝ったらデッキは返してもらうぜ!」
「やれるものならやってみろ!」
「「決闘!」」
舜 LP4000 vs 神楽坂 LP4000
先攻は俺だな。
しかし遊戯…呼び捨ては失礼か。遊戯さんのデッキと言っても何時のデッキなんだろうか。
神のカードは入ってないらしいが、一体どんなデッキになっているやら。
まずは様子見からかな。
「俺のターン!ノーザンベアードを守備表示で召喚!」
ノーザンベアード ☆4 / 光 / 獣 / 攻1000 / 守2000
「さらにカードを一枚伏せ、ターンエンドだ。」
舜 場
モンスター:1 伏せカード:1 手札:4
「オレのターン!『黒犬獣バウ』召喚!」
黒犬獣バウ ☆4 / 闇 / 獣 / 攻1800 / 守1200
黒犬獣バウ…確か番外編の話で遊戯さんがつかっていたカードだったか。
効果はなにも持ってないようだが…まさかカードになっているのを見られるとは。
「オレはカードを一枚伏せ、ターンエンドだ。」
舜 場
モンスター:1 伏せカード:1 手札:4
神楽坂 場
モンスター:1 伏せカード:1 手札:4
立ち上がりは静かに、か。
だが相手のデッキはキングオブデュエリストのデッキ。
そしてそれを100%に近いプレイングで操ってくる相手。
そんな相手に一瞬でも油断するわけにはいかない。
「俺のターン。スタンバイフェイズにノーザンベアードにはコアカウンターが一つ乗る。」
これでコスト軽減ならぬ、生贄軽減ができるというわけだ。
せっかくの相手だ。口上も気合いれて行くか!
「夜を統べる高貴なる竜!我が友、『月光神龍ルナテック・ストライクヴルム』、召喚!」
月光神龍ルナテック・ストライクヴルム ☆8 / 光 / ドラゴン / 攻2500 / 守2600
「おお、前に見たドラゴンと似ているけどコッチもカッコイイな!」
「あれ、十代いつの間に?」
「ちょうど舜が召喚するあたりから。」
随分とタイミングの良い奴だな。
このあたりも主人公補正が効いているのだろうか。
まあ気を取り直して行くか。
「ルナテック・ストライクヴルムでバウを攻撃!」
白き月光龍の攻撃によってバウは破壊される。
「リバースカード発動、『魂の綱』!1000のライフを払いデッキから
レベル4以下のモンスターを特殊召喚する。来い、『クィーンズ・ナイト』!」
クィーンズ・ナイト ☆4 / 光 / 戦士 / 攻1500 / 守1600
神楽坂 LP 4000→2300
魂の綱。原作効果では確か戦闘破壊にも対応しているのだったな。
ライフは削れたが、あっちにも狙いがあるんだろうな。
「俺はこれでターンエンドだ。」
舜 場
モンスター:1 伏せカード:1 手札:4
神楽坂 場
モンスター:1 伏せカード:0 手札:4
「オレのターン、ドロー!『キングス・ナイト』を召喚する!」
キングス・ナイト ☆4 / 光 / 戦士 / 攻1600 / 守1400
絵札の三剣士…遊戯さんの神への布石として有名なカード。
しかしそのデッキに神は入っていなかったはずだが。
「キングス・ナイトの効果、クィーンが存在している時に召喚された場合、山札からジャックス・ナイトを特殊召喚する!」
ジャックス・ナイト ☆5 / 光 / 戦士 / 攻1900 / 守1000
まあそうなるよな。
これで三剣士が勢ぞろいしたわけだ。
しかし、これだけじゃルナテック・ストライクヴルムには届かない。
「フフフ…やはり神は重いか…」
いや、神入ってないでしょ。
流石神楽坂。完全にトリップしているようだ。
「俺は魔法カード、『融合』を発動!絵札の三剣士を融合!」
「そう来たか…!」
三剣士は神の布石のイメージが強いが、切り札となる融合体も存在する。
「来い、『アルカナ ナイトジョーカー』!」
アルカナ ナイトジョーカー ☆9 / 光 / 戦士 / 攻3800 / 守2500
黒衣の剣士が神楽坂の場に降り立つ。
悔しいがやはりカッコイイな。
「ナイトジョーカーで月光神龍に攻撃!」
ルナテックには相手の攻撃宣言時に自身を守備表示に変更する能力がある。
この効果でダメージを無くす手もあるが…
今はあえてダメージを受ける。
舜 LP 4000→2700
「俺がダメージを受けたことで伏せカードオープン。『氷の覇王ミブロック・バラガン』!」
「何!?」
「伏せカードがモンスターだって!?」
やはり驚いているか。
まあ確かにデュエルモンスターズでは珍しいだろうな。
この手の効果はトイマジシャンぐらいか?
「効果を発揮したこのカードは場に特殊召喚される。」
氷の覇王ミブロック・バラガン ☆7 / 属性 水/ 種族 戦士/ 攻2100 / 守1900
「だがその程度のモンスターじゃ俺のナイトジョーカーは倒せない。
カードを一枚伏せてターンエンドだ。」
舜 場
モンスター:1 伏せカード:0 手札:4
神楽坂 場
モンスター:1 伏せカード:1 手札:2
「俺のターン。バラガンにコアカウンターが置かれ能力がアップ。」
氷の覇王ミブロック・バラガン 攻2100 → 2300 守1900 → 2100
どれだけ攻撃力が高かろうと、対処のしようはいくらでもあるさ。
「バラガンを守備表示に変更し、速攻魔法『ストームアタック』を使用する。」
「え、なんでせっかく出したモンスターを守備表示に何かするんだ?」
それがこのカードの面倒なところなんだよ。
まあ、だからこそ今優位に働くのだがな。
「このカードの効果により相手の場のモンスター一体と自分の場の
モンスター一体の表示形式を変更する。」
「クッ!」
神楽坂が随分悔しそうな顔をしている。
「どうやら手札に魔法カードを握っていたみたいだな。」
「流石だな。そこまで読まれていたとは。」
「えっ、どういうこと?」
十代達は首を傾げている。
レッドの二人じゃこのやりとりの意味はわからないか。
そんな二人の後ろからもう二人、人影が近づいてきた。
「ナイトジョーカーの効果よ。」
「あとはその効果の制約にも関係があるな。」
「明日香!それにカイザーも!」
こんな夜更けに二人揃ってなにやっていたんだ?
…俺には関係ないけど。
「なにか騒ぎが起こっているようだから舜に連絡して確かめようと思ったら、
いくら連絡しても繋がらなくてね。もしやと思って探してみたら案の定ってわけ。」
自分の端末を確認してみると結構な数の不在着信が入っていた。
決闘に夢中で全然気がつかなかった。
「舜のことだからどこかで決闘をしているのだろうと明日香が言ったものだからな。
ソリッドビジョンの光が見えてすぐに飛んできたというわけだ。」
うわー、完全に俺の特性を把握されているよ…
なんか恥ずかしい。
「で、ナイトジョーカーの効果ってなんだ?」
「あのカードは対応するカードを手札から捨てれば、
その効果を無効にすることができるの。」
「じゃあなんで神楽坂君は効果を使わなかったんっすか?」
ふむ、そこが今回のややこしいところだな。
「この効果はナイトジョーカーを対象に取るカード効果にしか使用できない。
だが、舜が使ったストームアタックというカードはその枠には当てはまらない。」
元の世界でのトリシューラみたいなものだな。
ここら辺のルールはかなりややこしい。
そういや小学生ぐらいのころはこの手のルールでよく喧嘩したっけなぁ…
「よくわかんないけど、舜の魔法は有効ってことだな!」
「そうっすね!」
それでいいのかレッド組。
まあ俺は決闘を続けるだけだけど。
「この効果によりバラガンを攻撃表示に、ナイトジョーカーを守備表示に変更。」
「たとえ守備表示でもお前のバラガンではナイトジョーカーは倒せないぜ!」
もちろんこれで終わりにするわけじゃない。
「俺はユニオンモンスター、『バルカン・アームズ』を召喚!」
バルカン・アームズ ☆4 / 属性 水/ 種族 機械/ 攻1600 / 守500
「このモンスターの召喚時、カードを一枚ドローし、一枚を墓地に送る。
そしてミブロック・バラガンにユニオン!」
バルカン・アームズは形を変え、氷の覇王に纏われていく。
「これでバラガンの攻撃力が800アップする。」
「出た!舜君のユニオンコンボっす!」
ユニオンコンボってなんだよ。
しかもなんかどっかで聞いたことあるような台詞だな。
ともかくこれでナイトジョーカーの守備力を上回った。
氷の覇王ミブロック・バラガン 攻2300 → 3100
「攻撃力が3100…」
「ナイトジョーカーへ攻撃だ!」
ナイトジョーカーは銃弾をあびながらバラガンによって両断される。
―〇●〇―
こんなに強力なモンスターを出したというのに、アイツはいとも簡単に突破してくる。
俺は今、最強のデッキを使っているはずなのに…
「俺は一枚カードを伏せてターンエンドだ。」
舜 場
モンスター:1 伏せカード:1 手札:2
神楽坂 場
モンスター:0 伏せカード:1 手札:2
このままじゃ負ける…
また負ける…
いや、今の俺は決闘王だ…
負けるわけがない…
「俺のターン!」
決闘王に負けは無い!
投稿スピードが遅すぎるから最新のカードを使っても問題ないということに
今になって気づきました(汗