無限交流決闘道   作:乖離

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今回はちょっと長め。
分けようかとも思いましたがこれぐらいならいいかな、と。

アンケートのご意見を踏まえてのTFのキャラが登場。
物語の本筋に関わるかどうかは未定ですが、何人か登場する予定です。


6話 「荒ぶる魚類(と哺乳類)」

Side 舜

 

困った。

大変、困った。

 

俺は今物凄く困っている。

確かに最近は痴漢騒ぎに巻き込まれたり、

それが切っ掛けでなんか一部の女子と仲良くなったり、

なんか十代の傍でハネクリボーの幻が見えたり、

何故か心情的にとても疲れる出来事ばかり起こったりはしていた。

 

だが一番の問題は、目の前にある昨日届いた手紙だ。

 

『カードテスター 如月瞬様 定期レポート提出のお願い』

 

何故今まで疑問に思わなかったのだ。

俺が今使っているカードの多くが俺以外は誰も持っていないユニークカードだ。

そんなものを大量に持っているなんて不自然極まりない。

 

恐らく、その不自然さを取り除くために神が用意したのが

この新カードのテスターという立場だ。

これなら世の中に出回らず、全く知らないカードを持っていても

不自然とは言えなくなる。

 

だが、そこはいい。

むしろ今後言い訳ができる分ありがたい。

 

問題はここに書かれている定期レポート。

内容としてはデッキサンプル、コンボ開発、決闘レポートだ。

 

二つ目まではいい。

むしろ楽しい。

問題は三つ目。

 

「お、覚えてねぇ・・・」

 

どの決闘も序盤はともかく、

後半はテンションが上がりすぎて全然覚えてない。

 

ここにきて決闘中二病がマイナスに働くとは・・・

仕方がない、次の決闘をきっちり覚えておくしかないか。

しかし、

 

「レポートで出す以上、やっぱり手応えが少しは欲しいな。」

 

十代や明日香クラスとまでは言わない。

せめてイエロー、いややはりブルー以上は必要か。

イエローも腕としては悪くない。

むしろ一部の決闘者はブルークラスの奴もいる。

 

ただデッキ構成に関してはなんというか・・・個性がない。

簡単に言うと、使っているカードの種類にこだわりがなさすぎる。

攻撃力の高いモンスターをとりあえず入れて、

汎用性のある魔法と罠を突っ込む。

そんなデッキ使いが多くいる。

 

「俺そういうのと決闘するの苦手なんだよなぁ。」

 

俺のデッキは基本使っていて面白いかだ。

つまり他の人と違うデッキであればあるほど楽しみを覚える。

もちろん出来れば勝ちたいから構成は真剣にやるがな。

おかげでデッキの数が増える増える。

そしてお財布の中身が減る減る・・・

 

「しかしそうなると一番近い決闘する機会となると・・・」

 

明日の月一テストか。

 

 

 

試験当日

 

現在筆記テスト中。

ちなみに半分ぐらいの時間を残して俺は全て終えた。

まあほぼ満点だろう。

入試に比べればカード単体の知識や、詰め決闘を使った問題など

少しは難易度が上がったがまだまだ初級クラスだ。

 

そんな中、十代は試験開始時間を大幅に過ぎた状態で入室してきた。

そして即いびきをかいて翔と爆睡し始めた。

ちょっと待て、おい。

 

流石にあれはないだろう。

周りの生徒全員が十代たちを睨んでいる。

いや、当たり前だが。

あの明日香まで睨んでるぞ・・・恐っ!

これは一人の友人としてアイツの将来が心配でしょうがないぞ。

 

試験終了後

 

「起きろ二人共、試験はとっくに終わったぞ!」

 

二人を起こそうと思ってみると先客がいるようだ。

十代の知り合いみたいだが、

ラーイエローの生徒とは珍しいな。

しかし、どっかで見たことある顔だな。

誰だったか?

 

起きた翔が男泣きをしている。

とりあえず今の状況を悲観できる感性はあるようだ。

なんか少し安心した。

 

「テストを終わらせてもないのに爆睡する奴が悪い。」

「うう・・・舜君までそんなこと言う・・・」

 

こりゃ次の実技にひびきそうだな。

そこまで悲観的になりすぎても問題だな。

 

「気にすんな、午後の実技試験が本番よ。」

 

十代、お前は少しぐらい懲りろ。

 

「ところで君は・・・」

「ああ、俺は三沢大地。ラーイエローだ、よろしく。」

 

あっ、思い出した。

ラーイエローのトップ、三沢大地。

前に言ったとおりイエロー組は個性が薄いが、

この三沢に関しては少し事情が違う。

 

なんというか・・・こいつは本デッキを使っていない気がする。

具体的に何故かというのは説明できないが、

三沢の決闘は新しいデッキを試すときに使うテストデッキ、

そういうものを使っている友人のイメージとかぶる。

当たり障り無いデッキを色んな手段を想定して動かす・・・みたいな。

うーん、言葉にはしづらいな。

 

「俺は如月瞬だ。よろしく。」

「君が噂の如月か。舜と呼んでも?」

「構わん。」

 

むしろそっちの方がしっくりくる。

翔もそろそろ君を取ってくれないだろうか。

 

「君の話は二人から聞いているよ。

是非機会があればお手合わせ願いたいな。」

「それはこちらとしても是非お願いしたいところだ。

ラーイエロートップの実力ってやつも気になるしな。」

 

決闘のお誘いならいつでもウェルカムだ。

 

「そういえば他のみんなは?」

「もう昼飯か?」

 

そういや周りにたくさんいた生徒が今は教室内に一人もいない。

どういうことだ?

 

「購買部さ。なんせ昼休みに新しいカードが大量入荷するって話だからな。

みんな午後の実技に向けてデッキを補強しようと買いに行ったんだよ。」

 

ふーん、そんないきなり手に入れたカードで

デッキを強化できるなんて中々ないと思うがね。

 

「三沢君は?」

「僕は今のデッキを信頼している。新しいカードなんて必要ない。」

 

うむ、いい心がけだ。

 

「アニキは?」

「俺は興味ある!どんなカードがあるか、見たくってしょうがねぇ!」

 

うん、その気持ちもわかる。

新しいカードって聞いただけで、使えるか使えないかはともかく、

ワクワクがとまらなくなるんだよなぁ・・・

 

「じゃあ僕も行くよ。舜君はどうする?」

「俺はいいかな。デッキの調整でもしているよ。」

 

俺にとっては知っているカードばっかりだろうし。

 

「よし、じゃあ行こうぜ翔!」

「あっ、待ってよー!」

 

二人は走って教室を出て行く。

カードがまだあればいいけど、な。

 

「それじゃ、僕もデッキの調整をするから失礼するよ。」

「おう、またな。」

 

三沢とも別れ一人になる。

さて、どうするかな。

 

「舜。」

 

う、この声は・・・

 

「あ、明日香か・・・」

「何、そのお化けをみるような目は。」

 

 

 

Side 明日香

 

まったく、あの決闘の以降はいつもこんな感じ。

私が声をかけるといつもさっきのような怯えた反応をされる。

私が一体何をしたっていうの。

 

「いい加減その反応やめてくれない。」

「ス、スマン。なんか慣れなくてな。」

 

慣れないって、私と話すの何度目だと思っているの。

 

「そういや取り巻き二人組はどうした。今日はいないのか?」

「ジュンコとももえよ。そろそろ覚えてあげたらどう?」

 

舜は二人の名前を全く覚えない。

というより覚えようとしていない。

まあ出会いが出会いだから仕方ないのだろうか。

 

「二人は新しいカードを手に入れに走っていったわ。」

「ご苦労なことだ。」

 

この様子だと舜は興味ないようね。

まあ想像はしていた。

 

「明日香はいいのか。新しいカード買わなくて?」

「今の未熟なデッキに新しい慣れてないカードなんか入れたら、

それこそアナタにまた突き放されるもの。」

 

あれから私はたまに舜と決闘をするようになった。

毎回違うデッキを使ってくる舜と決闘することは大きな経験になるのと同時に、

毎度力の差を突きつけられる。

なにせ今まで一度も勝てたことがないのだ。

 

「そりゃ結構な心構えで。まあ最初の方はともかく、

慣れないカードは入れないっていうのは正しいとは思うよ」

 

今のデッキでは舜には勝てない。

いや、近づくことも出来ていない気がする。

 

「ねぇ、ちょっと相談なんだけど。」

「ん、何?」

 

この際なりふり構ってもいられない。

 

「私の新しいデッキ、作るのを手伝ってもらえないかしら。」

 

 

 

Side 舜

 

「いいよ。」

「まあいきなりこんなこと言われても・・・って、あれ?」

 

なに変な顔しているんだ?

 

「えっと・・・いいの?」

「むしろ何故断ると思ったんだ?」

 

そんな楽しそうなこと断る理由がないと思うが。

 

「だって決闘者として、そういう技術は人に知られたくないものじゃないの?」

「いや、だってそんな大した知識でもないし。」

 

そしてなにより、

 

「それで明日香が強くなるなら、そっちの方が楽しいからな。」

 

周りが強いほうが燃える。

これ、もの凄く重要な。

 

「・・・ぷっ」

 

あっ、笑われた。

 

「何だよ、笑うことないだろ。」

「ふふ、やっぱりアナタ変わっているわよ、凄く。」

 

そうか?

楽しさあっての決闘だからな。

正直当然だと思っていたのだが。

 

「んじゃ、今度どっかに集まってやるか。

なんか使えそうなカードまとめとくよ。」

「ありがとう、また連絡するわ。」

 

そう言うと明日香は教室を出て行く。

正直言うと明日香のあのデッキは少し不満があった。

勝ち筋が少なすぎるんだもんよ。

明日香自身の決闘者としての腕はいいんだ。

多分、これで明日香は一気に強くなる。

楽しみだ。

 

しかしだ、アイツの笑った顔。

・・・ちょっとドキッとしてしまった。

 

 

午後

 

さて、午後の実技試験。

実は対戦相手に関してちょっと裏で働きかけてみた。

先日、校長に事情を説明し実技テストの相手をオベリスクブルーの生徒に

してもらうように頼んでみた。

幸い校長は入学後の俺の成績を考慮に入れてくれたようで

笑顔で了承を貰えた。

これで決闘レポートに関しては問題ないだろう。

 

ん、どうやら向こうで十代が決闘をしているようだ。

相手は・・・万丈目?

確か普通は同じ寮の生徒と対戦するはず。

十代も誰かに頼み込んだのか?

 

状況はどうやら十代に不利なようだ。

万丈目の場には『VWXYZ―ドラゴン・カタパルトキャノン』。

こりゃまた懐かしいというか、珍しいカードだな。

五体合体により召喚されるカードだが、

普通に使うなら一つ前の三体合体の『XYZ―ドラゴン・キャノン』と

『VW―タイガー・カタパルト』で分けたほうが使いやすい。

よって元の世界でも中々お目にかかれなかったカードだ。

 

少し話がそれたな。

あのカードは出すのには苦労するが、

能力的にはかなり強力なカードだ。それに対して十代の場には何もない。

さて、どうする。

 

「俺は『ハネクリボー』を守備表示で召喚!」

「「「かわいい~♪」」」

 

ハネクリボー ☆1 / 光 / 天使 / 攻300 / 守200

 

女子からの物凄い歓声。

本当に女子はこういうモンスター好きだよな。

 

「カードを一枚伏せてターンエンド!」

 

ふむ、十代の伏せカードはわからないが、

手札の数とハネクリボー・・・

アレを警戒すべきところだな。

 

「ハネクリボーを蹴散らして十代に直接攻撃。アルティメットディストラクション!」

 

万丈目の奴、頭に血が上っているな。

それじゃいい結果は出んよ。

・・・いや、俺が言うのも変か。

決闘の展開を忘れるぐらいだし・・・。

 

「手札二枚をコストに『進化する翼』を始動!」

 

あらら、案の定あれか。

十代の引きの強さは異常だな。

流石主人公(仮)というべきか。

 

「どういうことだ!?」

「進化する翼によってハネクリボーが進化!

ハネクリボーは今、レベル10!」

 

いやぁ、懐かしいな。

あれを切り札に据えていた友人のファンデッキを思い出す。

勝率はふるわなかったが、とても楽しかった思い出がある。

 

「コイツの効果はその身を犠牲に攻撃表示モンスターを全て破壊し、

その攻撃力と同じダメージを相手プレイヤーに与える!」

 

LP4000のこの世界で上級モンスターに対するこのカードは

文字通り必殺の一撃になるだろうな。

 

「ハネクリボー、全エネルギーをあいつに返してやれ!」

 

万丈目のモンスターの攻撃を弾き返すことで万丈目の場は空、

お互いに場には何も存在しなくなる。

万丈目のライフは1000。

これで十代が攻撃力1000以上のモンスターを引けば決着がつく。

 

この決闘はここで終わりだな。

十代がここでそのモンスターを引かないなんてことはないだろう。

 

なんせ、あいつは遊城十代なのだから。

 

 

 

Side 翔

 

やっぱりアニキは凄い!

あの万城目くんにあの絶体絶命の状況から勝つなんて。

でもこれでアニキはラーイエローに昇格、

離れ離れになっちゃうんだね・・・

 

それに舜君もこの試験で昇格するはず。

舜君はなんだかんだで筆記テストの成績もいいし、

実技の授業でも負けたところを見たことがない。

 

正直何故オシリスレッドに入れられているのかわからない。

僕なんかとは全然違う、優秀な決闘者。

 

「やっぱり僕はお兄さんみたいな決闘者にはなれないのかな。」

 

そうだ、僕は結局落ちこぼれなんだ。

 

 

 

Side 舜

 

さて、そろそろ俺の番のはず。

相手に関して注文は出したが、具体的にどんな相手と戦うかは

俺は全く知らない。

 

そんなことを考えていると教員一人から名前を呼ばれる。

ようやく出番か。

さて相手は、と。

 

「あら、貴方が何故この場に上がってくるの?」

 

ブルー女子か。

希望通りだな、よしよし。

 

「聞いていますの?」

「ああ、スマン。考え事していてな。」

「これだからオシリスレッドの庶民は嫌ですわ。」

 

ああ、この子も典型的なオベリスクブルーな性格か。

流石に少し慣れてきたよ。

というかこの子もどっかで見た顔だな。

確か名前は・・・

 

「海野・・・サチコさんだっけ?」

 

ピクッ!

 

あ、眉間に血管が。

なんか地雷ふんだかも。

 

「私の名前は海野幸子。サチコではなくユキコですわ!」

 

なんかすごい剣幕で怒られている。

なんかあの名前にトラウマでもあるのだろうか。

 

「ゴメン、名前覚えるのが得意でなくて・・・あっ、俺は如月瞬だ。」

「・・・まあいいですわ。それで何故あなたのような人が私と同じ場に?」

 

テスターのこと、話してもいいけど

この娘にたいしてこれを話すと面倒なことになりそうだ。

適当に誤魔化すか。

 

「さあ、さっきの十代達の組み合わせのせいで

組み合わせが合わなくなったんじゃないか?」

 

まあそういう場合、普通なら教員が相手するものらしいけど。

 

「はぁ、まったく運がないわね。」

「それはどちらのこと?」

「両方に決まっているでしょう。」

「ん、どういうこと?」

「わかっているでしょう。レッドとブルー、実力差は明白。

実力差があればあるほど決闘は無意味かつ退屈なものになる。でしょう?」

 

まあ確かにな。

やり方次第じゃ楽しくはなると思うけどこれは試験、

手を抜くことがない以上ワンサイドゲームもありうる。

 

「まあまあ、そう言わずに。ちょっとお付き合いくださいな。」

「ふぅ、まあいいでしょう。庶民の期待に応えるのも上に立つ者の務めですから。」

 

この娘の性格、なんかブルーとかそれ以前の問題な気がする。

なんか不安になってきた。

 

「さて、始めましょうか。」

「お、おう。」

 

やっぱり女子は苦手だ、ついていけん。

 

「「決闘!」」

 

舜 LP4000 vs 海野 LP4000

 

「私から行きますわ。手札から『アトランティスの戦士』の効果を発動。

デッキから『伝説の都 アトランティス』を手札に加えて発動!」

 

周囲が水に囲まれた神殿のような場所に変わる。

どうやら水属性を使ったデッキみたいだな。

 

「そして『暗黒大要塞鯱』を召喚!」

 

暗黒大要塞鯱 ☆5 / 水 / 海竜 / 攻2100 / 守1200

 

「おお、いきなり大型モンスターの召喚だ!」

「でもレベル5なのに、なんで生贄なしで出せるんだ?」

「俺に聞くなよ!」

 

外野が騒いでいる。

主にレッドの生徒のようだが、勉強不足だな。

 

「貴方は驚きませんの?」

「カードの知識が十分であれば、大したことじゃないさ。

アトランティスが場にあれば手札と場の水属性モンスターレベルが一つ減る。

鯱のレベルは5だから、結果的に生贄が必要なくなるってわけだろ。」

 

フィールド魔法の中ではメジャーな方だからな。

 

「へぇ、レッドにしてはよく学んでいるようですわね。」

「そりゃ、どうも。」

「それならコチラの効果も知っているでしょう?

このカードがあれば場の水属性モンスターの攻守は200ポイントアップ。」

 

暗黒大要塞鯱 攻2100 → 2300 守1200 → 1400

 

ふむ、1ターン目から攻撃力2300か。

なかなかデカイな。

 

「私はカードを二枚伏せてターンを終了しますわ。」

 

海野 場

 モンスター:1 伏せカード:2 フィールド:有 手札:2

 

「そんじゃ、俺のターン!」

 

さて、どうするか。

手札消費を考えなければあの鯱は処理できる。

だけど仮に伏せカードを使って処理されると今のこの手札じゃ押し切られる。

ここはひとまず時間稼ぎをさせてもらおうかな。

 

「俺は『希望の火 エルモ』を守備表示で召喚。」

 

希望の火 エルモ ☆4 / 炎 / 戦士 / 攻1500 / 守1200

 

「エルモの効果、召喚成功時手札から一枚捨てることで

山札から一枚ドローする。」

「あら、そんなに手札が悪いのかしら?」

「まあ準備は必要ってことさ。ターンエンド。」

 

舜 場

 モンスター:1 伏せカード:0 手札:5

海野 場

 モンスター:1 伏せカード:2 フィールド:有 手札:2

 

「私のターン。メインフェイズは何もせず、

暗黒大要塞鯱でエルモに攻撃!」

 

エルモが鯱に踏み潰される。

あれ、背中のメカ関係なくね?

 

「このままターンエンド。さあどうするのかしら、レッドさん。」

 

俺は伝説のポ○モンチャンピオンじゃないぞ。

 

舜 場

 モンスター:0 伏せカード:0 手札:5

海野 場

 モンスター:1 伏せカード:2 フィールド:有 手札:3

 

さて、準備も整った。

いきますかね。

 

「俺は『ドラゴンナイト アリフ』を召喚!」

 

ドラゴンナイト アリフ ☆4 / 炎 / 戦士 / 攻1800 / 守1000

 

「ライフを1000払い、アリフの効果を起動。

このカード自身と、手札または場から『鎧の化身 バー』、

『槍の化身 ター』を生贄に捧げることで、デッキから

『勝利の化身 アリフ』を特殊召喚する!」

 

勝利の化身 アリフ ☆7 / 炎 / 戦士 / 攻2500 / 守1000

 

舜 LP 4000→3000

 

「さらに永続魔法『ツインドライブチェック』を発動。

1ターンに一度、レベル7以上のモンスターが攻撃するとき山札の上から二枚まで表にする。

その中にレベル4以下のモンスターがある場合、1枚選んで手札に加えることができる。

その後、場のモンスター一体の攻撃力を500アップする。」

 

さて伏せカードは怖いが、伏せ除去がない以上

ここで動かないと状況は悪化する一方だ。

ここは攻める!

 

「バトルフェイズ!アリフで暗黒大要塞鯱を攻撃、そしてドライブチェックだ!

山札の上は魔法『ナイト・ショット』とモンスター『ワイバーンガード バリィ』。

よってバリィを手札に加え、アリフの攻撃力が500アップだ!」

 

勝利の化身 アリフ 攻2500 → 3000

 

「バトルは続行、行け!」

「そんな単純な攻撃、通すと思いまして?

罠カード『ポセイドン・ウェーブ』を発動。

攻撃を無効にしますわ!」

 

アリフの攻撃が大波に阻まれる。

 

「さらに私のフィールドには海竜族の暗黒大要塞鯱がいますわ。

よって貴方に800ポイントのダメージを与えます!」

 

大波がこちらに向かって押し寄せてくる。

相変わらず、すごい迫力だな。

 

舜 LP 3000→2200

 

「残念でしたわね。せっかくの攻撃が無駄になって。」

「そうでもないぜ。速攻魔法発動、『ダブル・アップ・チャンス』。

このカードはモンスターの攻撃が無効にされたとき、

攻撃力を倍にして再度攻撃できる!」

「なんですって!?」

 

勝利の化身 アリフ 攻3000 → 6000

 

強力なオーラを纏ったアリフが叫び声を上げる。

ソリッドビジョンとはいえ、あれ体大丈夫なのか?

 

「いけ、アリフ!再び暗黒大要塞鯱に攻撃!」

 

これがうまくいけば大きくダメージを与えられる!

 

「くっ、罠カード『ガード・ブロック』発動!

自分への戦闘ダメージを0にしてカードを一枚ドローします!」

 

おっと、そうきたか。

流石に通るかと思ったんだが。

 

「俺はこれでターンエンドだ。」

 

勝利の化身 アリフ 攻6000 → 2500

 

舜 場

 モンスター:1 伏せカード:0 手札:2

海野 場

 モンスター:0 伏せカード:0 フィールド:有 手札:4

 

さてこの次はどうくるか・・・ってあれ?

 

「よくも・・・」

 

あれ、海野さん?

なんかプルプルしてらっしゃいますけど・・・

 

「よくも私の高貴なモンスターをレッドのモンスター如きが・・・

その行為、万死に値しますわ!」

 

ええぇぇ・・・

そんなに怒ることですかい・・・?

ここまで下に見られると最早反発心すらわかないな。

 

「私のターン、このターンで終わらせて差し上げますわ!

私はアトランティスを破棄して、フィールド魔法『始皇帝の陵墓』を発動!」

 

海の雰囲気は一瞬にして消滅し、かわりに不気味な雰囲気が場を支配する。

今度は上級サポート、ということは切り札投入か?

 

「私はライフを2000ポイント払って、

『超古深海王シーラカンス』を召喚!」

 

遺跡の奥から巨大な魚が出現する。

 

海野 LP 4000→2000

超古深海王シーラカンス ☆7 / 水 / 魚 / 攻2800 / 守2200

 

魚族の代表的な切り札の一つか。

おいおい、切り札の実用性なら今までの中でトップクラスじゃないか。

あっ、でもシンクロもエクシーズもないんだっけ?

 

「シーラカンスの効果、1ターンに1度手札を一枚捨てることで、

デッキからレベル4以下の魚族モンスターを可能な限り特殊召喚します。

私はデッキから『光鱗のトビウオ』、『メタボ・シャーク』を二体ずつ召喚!」

 

光鱗のトビウオ ☆4 / 光 / 魚 / 攻1700 / 守1000

メタボ・シャーク ☆4 / 水 / 魚 / 攻1800 / 守500

 

「だがその効果で特殊召喚したモンスター達は効果が無効になるし、

攻撃もできないはず。」

「そんなこと、アナタ如きに言われなくてもわかっていますわ!」

 

うわー、イライラしているなぁ・・・

 

「手札から『二重召喚』を発動。このターン二回目の召喚を可能にします。

私は手札から二枚目のシーラカンスを召喚!」

 

二体目の上級モンスター。

確かにこれはキツイな。

 

「これで終わりです、一体目のシーラカンスでアリフに、

二体目で貴方に直接攻撃、これで終わりですわ!」

 

ドロー次第になってしまうが、

背に腹は変えられないか。

 

「手札の『ワイバーンガード バリィ』の効果を発動。」

「さっき手札に加えたモンスター!?」

「手札から炎属性モンスターを墓地に送ることで、このカードを守備表示で特殊召喚、その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる。」

 

ワイバーンガード バリィ ☆4 / 炎 / ドラゴン / 攻1000 / 守2000

 

「ふん、無駄な足掻きを。私はこれでターンエンド!」

 

舜 場

 モンスター:1 伏せカード:0 手札:0

海野 場

 モンスター:4 伏せカード:0 フィールド:有 手札:0

 

ふむ、大ピンチだな。

アリフは残ったけど、手札がない以上シーラカンス二体を処理するのは難しい。

ツインドライブでもしかしたら一体は処理できるが、運任せな上に二体目に潰される。

勝負はこのドローでキーカードを引けるかどうか。

だけどその前に・・・

 

「海野さん、ちょっと質問があるんだけど。」

「なんですの?いくら負ける直前だからって時間稼ぎなんて見苦しいだけでしてよ。」

「君さ、もう自分が勝ったみたいな感じで喋っているみたいだけど

なんでそう言えるの?」

「そんなのこの状況をオシリスレッドの落ちこぼれである貴方が

覆すことなんてできないからに決まっているでしょう。」

 

ふーん、やっぱりそこに帰結するわけか。

となるとやっぱりこの決闘、勝たないとダメみたいだな。

 

「じゃあ、もし俺がこの状況を覆せたら少しはレッドを少しは見直してもらえるのかな?」

「ふん、そんなことは有り得ないでしょう?

もしそんなことがあったらレッド寮の前で這いつくばって謝罪して差し上げますわ。」

 

いや、そこまでしてもらわなくてもいいんだけど・・・

まあ兎に角、勝たないことには始まらないか。

 

「じゃあ、気合入れて・・・ドロー!」

 

ん、来てくれたか。

主人公補正なんて無いから不安だったけど、

流石俺のデッキは空気を読むのがうまい素晴らしいデッキだな。

 

「俺は君の始皇帝の陵墓の効果を使わせてもらう。」

「私の魔法を!」

「俺はライフを2000払い、最上級モンスターを生贄なしで召喚する。」

 

舜 LP 2200→200

 

さあ姿を現せ。

 

「この世の全てのものを焼き尽くす黙示録の炎! ドラゴニック・オーバーロード!」

 

ドラゴニック・オーバーロード ☆8 / 炎 / ドラゴン / 攻3000 / 守2500

 

「これが貴方の切り札・・・ここで引き当てるなんて。」

「有り得ないなんて言わないでくれよ。

それはただの君のイメージ不足だ。」

「イメージ、ですって?」

 

そう、今の君にはこの言葉を送ろう。

 

「イメージしろ、君の場を包み込むオーバーロードの炎を。オーバーロードの効果発動!

次ターンの攻撃を封じるかわりに全てのモンスターに一度ずつの攻撃が可能となる。」

「すべてのモンスターに・・・」

 

そう、オーバーロードの攻撃力は君の

全てのモンスターの攻撃力を上回っている。

つまり君の場は

 

「全滅する・・・」

「イメージは出来たか?

ならば受けろ、燃え盛る灼熱の炎!エターナルフレイム!

さらにドライブチェック!『ガード・グリフォン』を手札に加え、

オーバーロードの攻撃力を500アップ!」

 

ドラゴニック・オーバーロード 攻3000 → 3500

 

オーバーロードの炎がすべてのモンスターを包み込んでいく。

炎がはれた時、彼女の場には何も残っていなかった。

 

「私のモンスターが全滅・・・」

 

海野 LP 2000→600

 

「ラスト!アリフで直接攻撃!」

「キャアアア!」

 

海野 LP 600→0

 

うし、どうにか目的は果たせたな。

 

 

 

Side 幸子

 

何故私がレッド如きに。

有り得ない。

有り得ない有り得ない。

 

私は将来人の上に立つべき人間。

その私がこんなオシリスレッドの落ちこぼれなんかに・・・

 

「おい、大丈夫か。」

「・・・あなたに心配されるほど落ちぶれてはいません。」

 

言葉だけ、強がっているだけだ。

正直立ち上がるのがやっとだ。

 

「負けは負け、約束は守りますわ。」

 

たとえどんな屈辱的な条件だろうと一度だした約束は違えない。

自分の誇りさえ捨ててしまったら今の私には何も残らない。

 

「いやー、その事なんだけどさ。」

「なんですの、ハッキリしませんわね。」

「その話、無しにしてくれない?」

 

・・・一体、この男は何を言っていますの?

 

「だって実際、今のレッドには確かに実力不足どころか決闘者に

なりきれてない奴がたくさんいるわけだし、君の言うことにも一理あるさ。」

「だったら!私に何をしろって言いたいの!」

 

わからない。この男が何を言いたいのか。

 

「つまり、今度からレッドだっていう先入観だけで見下すのはやめてほしいなー、と。」

「さっきと言っていることが違うのではなくて?」

「違わないさ。さっきも言ったけど、レッドには未熟な奴が多い。

だけど多いだけで全員がそうとは限らないだろ?

だから少なくとも最初の決闘からいきなり格下だと侮らないで

全力で決闘をして欲しいんだ。」

 

確かに今までの私ならそんなことはしない。

格下と思えばそれに相応しい態度をとってきた。

だけどそれがこの男にとってなんの特になるというのか。

 

「今は未熟な奴でも今から知識をきっちりためて、必死で考えて、

君みたいに強い娘と決闘したりすれば自ずと強くなる。」

「それで、周りが強くなっていってあなたに何の得が?

ただ将来の競争率が上がるだけじゃなくて?」

 

そんな私の疑問に彼は一言。

 

「だってさ、そっちの方が面白いじゃん。」

 

「・・・は?」

 

一瞬思考が真っ白になった。

 

「だって、強い奴と戦ったほうが面白いじゃないか。

手札を見て考えて、お互いの手の内を読み合って、

一つのドローで戦況がひっくり返されたりしてさ。

それで負けても、次勝つために必死でデッキ考えたりしてさ!」

 

目の前の男は小さな子供のように目を輝かせて語る。

少し前に自分に打ち勝った男のそれとは似ても似つかぬ無邪気な姿で。

これがきっと、

 

「私に欠けていたものなのでしょうね。」

 

私のとっての決闘は社交界にデビューするための作法の一つでしかなかった。

だから今まで楽しいと思ったことはない。考えたこともない。

だからこの男に負けたのだろう。目の前で子供みたいに語るこの男に。

 

「ふぅ、分かりましたわ。今後は気をつけることを約束しましょう。

もうこんな負け方をするのは嫌ですから。」

「ありがとう、海野さん。」

「幸子。」

「へ?」

 

彼は変な顔をしてこちら見ている。

会った時から気になっていたが、たまに下手な丁寧語が入るあたり

彼は異性の扱いは慣れていないようですわね。

 

「今後は私のことは名前でお呼びなさい。いいわね、舜?」

「あ、ああ。わかったよ、幸子さん。」

「ふふ、よろしい。」

 

まあこういうところぐらい勝っていてもバチは当たらないでしょう。

 

 

 

Side 舜

 

はぁ、ビックリした。

あのあと(半強制的に)連絡先を彼女と交換した。

なんかリベンジをするのに連絡先もわからないのでは

話にならないということらしい。

なんか変に緊張してしまった。

 

しかし正直驚いた。

自分のデッキが慣れないカードを使っているせいで

多少荒削りとはいえ、正直あそこまで追い込まれると思っていなかった。

 

「・・・こりゃ、たるんでいるのかもしれないな。」

 

今思えば伏せカード除去がない状態でカード三枚消費の上級モンスターを

出して突っ込む、なんて危険極まりない。

このデッキはモンスター除去も多めだし、もう少し耐えるべきだった。

結果的に後続が繋がったから良いものの、元いた世界ならプレイングミスもいいとこだ。

 

「俺も鍛え直しだな。」

 

帰ったらデッキ見直しながら十代あたりと特訓でもするかな。

早く直さないと命取りだ。

まあそれはともかく、

 

「楽しかったなぁ。」

 

こういうテストなら毎週あってもいい。

 

 

 

今日の余談

 

「あっ、また決闘内容覚えてねぇ・・・」

 

結局、十代に協力してもらいました。




テスターという立場に関してはオリカに対する逃げ道です。
若干無理やりなのはご愛嬌。
多分掘り下げることは今後無いでしょう。

TFキャラは今後ちょいちょい出てきますが、誰が出るかはまだ未定です。
そういえばTFのキャラって誰が人気なんですかね?
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