KAMEN-RIDER_WARS-OF-RELICS 作:大神
では、
ティンダロスの襲撃を奇策によって逃れた僕らは奴らの勢力圏から逃れるために全力を尽くしていた。
『追手なし、でもしばらく変身は解かないで』
「了解、僕もびっくりしたよ。けど荷馬車は大丈夫?」
「天井にひびが入ったけど、このくらいなら大丈夫よ。」
「落ち着いたら直すの手伝ってね。」
「それは勿論」
そんな他愛のない会話をしながら引き続き護衛を続ける。
「これからどこに行けばいいんだろ。僕の村に戻る?」
「一番近いしな、しかし困った。トウカイシティに行けんとなると手続きが...」
多くの商人や旅人が所属し依頼や仕事の募集を行っている組織ギルド、それは大戦期に入り衰退した人類を世界中で支えてきた機関であった。ギルドは大戦期にライダーたちが街を守るために作った聖域の中にある。ちなみに日本列島に現存するギルドは4か所、エゾ、ミヤコ、トウカイ、サセボの4つだ。
うちのキャラバン、アーレス商団はトウカイシティのギルドに所属している。ここでギルドに戻る理由は僕の加入をギルドへと報告するためだ。なんでも新しい人員を受け入れた場合、所属ギルドへの報告が義務付けられるらしい。これは人員の情報が正しくわからなければ信用できないということだそうだ。
僕はルピナさんからギルド発行のマニュアルを受け取り中身を読む。
「この地図じゃ僕の村より北の方角にもミヤコっていうギルドのある大都市があるよね。前にザクロさんが言ってたトウキョウってところ」
「ギルド同士は連絡取れるって書いてあるよ。ここに行けば...」
「駄目だ!」
提案は一蹴された。声の方向を見ると鬼の形相でマルさんが僕を睨んでいた。しかしすぐに彼は冷静になって口を開いた。
「怒鳴ってごめんな、けどあの街はだめだ。あんなろくでもないところに行ったら何されるかわかったもんじゃない。」
「僕こそ、なんかごめんね」
「皆さ、いろんなもの背負って生きてるんだよ。」
そんなマルさんの言葉を聞き気合を入れなおしたときにそれは起こった。
「え...?」
『...カンラ?』
思わずそんな声が出た。次に感じたのは衝撃。左側から勢いよく巨大な質量がぶち当てられ吹っ飛ばされ、地面にたたきつけられた。荷馬車にいるみんなも慌てて止まり心配そうに僕の方を見ている。
何が起こった?そんな疑問はすぐに解消された。槍だ。それも穂先の部分が巨大な、俗に言う馬上槍、ランスというものだろう。僕とは少し離れた場所に突き刺さるそれを見て、得体のしれない寒気に襲われた。すると、
「直撃させたはずなのに無傷じゃん。硬すぎない?」
戦場に似つかわしくないような子供の声がした。聞こえた方角を見ると禍々しい水色の機械鎧が佇んでいる。ローマの剣闘士を歪めたようなそいつは槍を拾い構える。
「まあいいや。折角かび臭いお城から出てきたんだ。楽しませてくれるよね。」
「カンラ、俺も!」
「マルさんは馬車を出して!こいつは危険すぎる」
まず、仲間を逃がす。敵の力も目的も未知数、その上自分と違ってみんなは生身だ。何かあれば簡単に死なせてしまう。
「君、優しいんだね。」
「敵に褒められても嬉しくないよ。」
「そっか、じゃあ始めようか。」
「ボクの名は擬神装甲ベラドール。主の命により君たちと戦いに来た」
相手は武器を構えると名乗りを上げてきた。敵とはいえ無視して殴り掛かるのは少し気が引ける。少し考えた末、僕は呼吸を整え口を開く。
「...仮面ライダーアイギス」
刹那、ことは起こった。ベラドールと名乗ったそれはすさまじい速度で僕の上半身に向けてランスを叩き付けようとする。瞬時に上体を反らし最小限の動作で攻撃を躱す。
『リーチも威力も侮れない。交わしながら隙を伺うんだ!』
「了解!」
「意外と反応もいいね。楽しくなってきた!」
攻撃はますます激しさを増してきた。しかし僕は、四方八方から自在に激流のごとき連撃を捌きながら、突破口を見つけ反撃に出る。
「このタイミングなら!」
『待って!それは...』
「かかったね!」
瞬間、体が宙に浮いた。その後勢いよく後方に吹っ飛ばされ地面に水切りのようにたたきつけられた。罠にはまってしまったらしい。急いで立ち上がろうとすると首筋にベラドールがランスの穂先を向けていた。
「駄目じゃん、戦闘中は常に視野を広げないと。」
「一部じゃなくて全体を見るんだよ、全体を」
スピード、パワー、知略どれをとっても僕と敵では差があるようだ。こうなれば奥の手を使うしかない。僕は全身に力が巡るイメージを頭の中で繰り返しベルトのスイッチを起動させる。
「ところでさ、なんでアイギスなの?楯もってないじゃん。」
「それとも防御力が高いから?あれ?」
驚くのも無理はないだろう。先程までダウンしていた敵が背後に現れたのだから。必殺技を用いた強化は長く持たないことを考えると早急に終わらせるのがベスト、それを念頭に置き、渾身の回し蹴りをベラドールに叩き込み地面へ叩き付けた。
するとそいつはすぐに立ち上がる。その様子はどこか嬉しそうだった。
「さっきと形が違う。二段変身、いやあれが本来の姿かな?」
「こんな隠し玉を持ってるなんて、僕も本気で行くよ!」
ベラドールはさらに加速してきた。攻撃もよりすさまじいものになってきた。しかし、流石というべきかこちらも負けていない。防戦一方だった先程とは違い、一進一退の攻防を繰り広げる。僕が突きや払いを交わして蹴りを放てば、敵は槍の柄や穂先で受ける。そんな中僕はこの姿の欠陥を忘れていた。
あたりに警告音が鳴り響く。
「まずい。解除しないと!」
「戦闘中だよ!考え事なんて良くないよねぇ!」
それを隙とみられたのか攻撃をもろに受けてしまった。幸い咄嗟に強化を解除したので爆発は免れた。
しかし、当たり所が悪かったのか身動きが取れない。
「そういえばさ、君僕の仲間の頭蹴り上げたよね。」
「手加減はするよ、命の保証はないけどね。」
ベラドールの脚に力が込められている。あれを食らってしまったらまずい。本能がそう叫んでいる。しかし、体が動かない。
「それじゃあ、しばらくさよならだ。」
「やめっ...」
刹那、体に凄まじい衝撃が走り空へと飛ばされる。
「さてと、後は荷馬車だね。まあ仲間を見捨てるような人たちに見えないし、追いかけるでしょ」
どこか羨むようにそう言うと、鎧は解かれ少年の姿が現れた。彼は通信機を取り出しどこかへ連絡を取る。
「ミゼーア?仕事終わったよ。」
「了解した。戻ってくれチャンドラ。」
満足したように少年は城へと戻っていく。
―――
一方でキャラバンの面々はというと
「あいつ、大丈夫だよな?」
「生き残って脱出するって、今は信じるしかないよ」
不本意とはいえ味方を置いて行ってしまったことは彼らにとっても思うところがあるのだった。ふとカシノキさんが空を見上げ、口を開いた。
「なんだよ彗星か?」
一瞬彗星にも見えたがなぜ上空に向かっている?一同の疑問はすぐに晴らされる。白い装甲が一瞬見えたのだ。
「カンラよね、あれ」
ザクロさんの一言がきっかけとなり荷馬車は方向を変えた。
「絶対に助けないと...」
その言葉と共に荷馬車は仲間を追っていった。
―――
ティンダロスの勢力圏の中、防壁に囲まれた都市があった。中は農業や鍛冶など中世のような雰囲気を放っている。
そんな都市の一画、白髪の少年と葦毛の馬が赤毛の青年へと駆けていった。
「ヘファイストス様!大変だよ!」
「どうした?ハル、またティンダロスの連中が来たのかい?」
「違うよ!人が降ってきたんだ。」
ハルが指を指す方向には血だらけで地面にたたきつけられた少年が倒れていた。
「とりあえず中へ運ぼう。あれを腰につけてるってことは色々と事が起こりそうだ。」
今回から追加知識とか書いていこと思います
・聖域 機神の権能の一つ ライダーとして覚醒した人間のみ使える ケイオスの拒絶 大地の再生 放射能汚染の浄化など
・エゾ 北海道と言えば酪農よな
・ミヤコ 現代の東京と埼玉の複合都市 格闘の聖地たまアリと東京ドームがあるので闘争の街
・トウカイ 実は日系ブラジル人が多い ヒク〇ン・グ〇イシー杯など柔術も盛ん
・サセボ かつては鎮守府や海軍工廠があったことでも有名
・カンラの村 地理的には神奈川 ボクシングが盛ん
・擬神装甲 俗に言うダークライダー