KAMEN-RIDER_WARS-OF-RELICS 作:大神
では、
まずは頭の中を整理しよう。僕はミゼーアの縄張りで謎の怪物と戦って負けた。確か最後に頭を思い切り蹴り上げられたことを覚えている。それを裏付けるようにへファイストスと名乗った機神は脳のダメージと言っていた。今気づいたが氷嚢が頭の上に置かれている。自分は手厚く解放されたらしい。
「何から何までありがとうございます。」
「いいさ、僕がやりたかったことだもの」
どうやら、彼は温厚な御仁のようだ。しかし、それとは別にやらなきゃいけないことがある。
「すみませんへファイストス様、この街に来たのは僕とアテナだけですか?」
「そうだよ、空から壁を越えて吹っ飛んできたんだ。」
嫌な汗が背中をつたっていった。じゃあなにか?キャラバンの皆はまだ怪物が渡り歩く外の世界にいるのか?ここで燻ってたらダメだ。すぐにでもアテナを起こして助けに行かないと。
「だからまだ動いちゃダメだって」
「どいてくださいへファイストス様、仲間が、キャラバンの皆が危ないかもしれないんです!」
「その体で行ってどうするの?取り敢えず死んでくる?」
「はっきり言うけど今の君じゃティンダロス相手に戦えない。未熟すぎるからね。」
そうかもしれない。けど大事な人たちの命が危ないかもしれないんだ。助けてもらった手前申し訳ないけど強引にでも押し通るしか...
「なるほどね。君の意思はよくわかった。でも僕にとっては君もそこでアホ面晒してるバカ女神も大事な後輩なんだ。」
その言葉と共に、へファイストス様はコートを脱ぎ捨てボクシングに酷似した構えを取る。
「だから無駄死にはさせたくない。僕は戦時中、君みたいな若者が死ぬのをずっと見てきたんだ。」
「でも僕にも譲れないものがあるんです。」
「なら無理矢理にでも通ることだ。」
その言葉を聞いた瞬間、僕は即座に飛び起きる。頭に激痛が走るが無視してへファイストス様にダブルレッグテイクダウンを狙う。機神は馬力が弱いことは周知の事実であるので一番有効な手ではある。
けど、やっぱり命の恩人を極力傷つけたくない。両腕がへファイストス様の腰を掴んだ。それぞれこのまま押し倒して逃げれば!
「君は優しいね。けど僕を舐めすぎだ。」
その言葉と共に、彼はあっさり僕の組みからエスケープした。
「反応はまだ未熟だ。こんな状態で戦いに身を投じさせるなんて、ね!」
バックを取られてしまった。なんとか逃げ出そうとするもへファイストス様は僕の首を背後から絞めている。俗に言うリアネイキドチョークだ。
(まずい、もう意識が...)
完全に僕の負けである。でも最後の意地でタップはせず失神することを選んだ。負けを認めるのが癪だったのである。
「今の戦いで分かった。君はまだ仮面ライダーの力を十分に活かしきれてない。伸び代はあるけど、焦りすぎて何も見えてない。」
「君はなんのために戦っているんだい?」
意識が落ちる瞬間、そんな言葉が聞こえてきた。
ーーー
聞き分けの悪い子だった。仲間のために傷ついた体に鞭を打とうとする精神は高潔だし素質も悪くない。彼のことを見たらコハクはもちろん、始まりの英雄ですら弟のように可愛がるだろう。けど未熟すぎる。精神は脆い上に、迷いがある者の戦い方をしていた。
「やれやれ、先輩としての責務を果たすか。」
「あれ?へファイストス様どっかいくの?」
「集会所だよ。さっきの仕事受けようと思ってさ、条件付きで...」
そう言い、僕は外へ歩いていく。やがて街の中心にそこそこの規模の建物が見えてきた。
「騎馬隊長、いるかい?街の外である人を探して欲しいんだけど。」
僕だって後輩相手にかっこつけたいのである。
神話大戦中に命を落としたライダーの多くは今のカンラくらい強い。慣れてる時期が一番危険ってことです。