KAMEN-RIDER_WARS-OF-RELICS   作:大神 

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 流れにのってきたぜ。
では、


抜け道と優駿

 

 「全くへファイストス様も容赦ないよね。」

 

 そんな事を呟きながら、絞め落とされ床で失神している来訪者の少年の足を持ち上げ応急処置する。絞め技で落ちた人の多くは脳に血液が行かず酸欠状態になっている事が多い。そのため足を身体より上に持ち上げる事で血液が脳に流れやすくなる。これにより短時間の蘇生につながる。

 

 「僕、また負けたんだ...」

 

 どうやら目覚めたらしい。思ったより意識もしっかりしてる。しかし表情は曇っており涙を堪えていた。

 

 「機神はフィジカル弱いってのは通説だけどあの人は特別だよ。弱点を技術でカバーしてるんだ。」

 「じゃあ相手の実力を見誤った僕が未熟だったんだね。」

 「全く、悲観しすぎるもんじゃないよ、怪我人がさ。立てる?」

 

 少年の体を起こし、座らせた。

 

 「ありがとう。僕はカンラ、君は?」

 「ハル、へファイストス様の弟子かな。」

 「ところでさ、壁の外にいる仲間はどんな人なの?」

 

 自己紹介が終わったところで気になる事を聞いてみた。

 

 「4人いるんだ。キャラバンなんだけどに馬車と一緒に旅してて、僕はまだ新入りなんだけど皆優しくって...」

 

 彼は泣きそうになりながら早口で言葉を続けていた。

 

 「そっか、大事な人たちなんだね。」

 

 それなら取り乱しても無理はない。

 

 「僕にも大切な人がいたんだ。お兄ちゃんなんだけど、親がいないのに僕を見捨てず育ててくれた。」

 「生活費を稼ぐために騎馬隊に志願したんだけど、初陣であっさり死んじゃってさ。」

 「落馬したところを滅多刺しにされたんだって。」

 「帰ってくるって言ったくせに。」

 

 そんな話をしていると気まずい空気になった。

 

 「なんかごめん。大変だったでしょ」

 「大丈夫、今はへファイストス様もいるし。」

 

 お互い黙り込んでしまう。アイスブレークしようとしたら空気が凍ってしまった。しかしそんな沈黙はすぐに破られる。

 

 「ここどこ?」

 

 カンラの相棒の女神様が目覚めたようだ。呑気に伸びまでしており空気がちょうどよくほぐれた。さて、ここでとある提案をしよう。

 

 「ところで君は仲間を助けたいって言ってたよね。まだ気持ち変わってない?」

 「もちろん、へファイストス様は助けてくれるって言ってたけどさ。」

 

 一呼吸おいて搾り出すような声を

 

 「彼らは僕の仲間なんだ。仲間が危ない時何もできないのは嫌だ。」

 「君の気持ちはよく分かった。よし、行こう。そっちの女神様も。」

 「ちょっと待って話がわからないんだけどぉ⁉︎」

 

 失礼ながら女神様の存在を忘れていた。

 

 「後でちゃんと話すからついて来て」

 「君がそういうのなら...」

 

 カンラがうまく場を治めてくれたので、僕は彼らを案内する。

 

 「ついて来て、早く君の仲間を見つけるためにもさ」

 

―――

 

 ハルに導かれるままに進んでいくと独特の匂いが僕らの鼻をかすめる。青々とした牧草の香り、そしてどこか安心するようなケモノのにおい。僕らが訪れたのは街外れの大きな牧場だった。

 

 「こんにちわクロコマおじさん!今どの子がいるの?」

 

 ハルは辿り着くなり管理人と思しき壮年の男性に駆け寄り、元気よく挨拶した。

 

 「よく来たなハル。さっき騎馬隊の連中が結構な数連れて行っちまったけどお前さんの相棒は残ってるぜ。」

 「本当!?」

 

 クロコマと呼ばれた男性の言葉を聞くなりハルの顔はパッと明るくなる。愛馬と仲はかなり良いらしい。

 

 「それはそうとさ、僕だけじゃなくて友達の分の馬も用意できない?」

 「もちろん、と言ってやりたいんだが...」

 「さっきも言ったが騎馬隊が来てよ、ほとんど出払っちまったんだが」

 「もしかして一頭しかいないんですか?」

 

 僕の言葉を聞くとクロコマさんは肩をすくめた。

 

 「そういうことじゃねえ。もう一頭いるんだよ。けどあいつは気難しくってなあ。」

 「シーザーかあ。」

 

 察しがついたのか、ハルは天を仰いだ。

 

 「気性難なんですか?」

 「そういう訳じゃねえよ。賢くてかわいいやつなんだ。ただな、」

 「面倒くさい子なんだよ。医者が来ると暴れるし、拗ねると馬房から出てこないし」

 「仲いい人には本当に人懐っこいんだぜ。けどお前さん相手だとどうかわかんない。」

 

 今は時間との勝負だ。迷ってる暇はない。なら、僕のやるべきことは

 

 「僕をその子に会わせてくれませんか?」

 「いいんだな?」

 「気に入られなかったら自分で走りますから。」

 

 クロコマさんに放牧地の奥へと案内されると、一頭の鹿毛馬が佇んでいた。綺麗な流星、端正な顔立ち、唯一白斑のない左前脚、どこか無邪気そうな雰囲気を感じさせるがバ体を見て僕は思わず魅入ってしまった。

 

 「シーザー、お客さんが来たぜ」

 

 クロコマさんの声を聞き、彼はこちらへと歩いてくる。

 

 「こ、こんにちわっ...」

 

 緊張のあまり声が裏返った。そんな僕をどこかかわいがるように、シーザーは頭をくっつけてきた。

 

 「喜べ、お前さんを気に入ったようだぜ。騎馬隊の連中にはあんま懐かねえのにな。」

 

 シーザーは友愛の証なのか僕の首をなめている。

 

 「これって乗ってみてもいいんですか?」

 「おう!シーザー屈んでくれ。」

 

 クロコマさんの助けもあり、僕はシーザーの背にまたがった。僕を気遣ってくれているのか、ゆっくりと立ち上がった。

 

 「うわっ!」

 

 刹那、シーザーは放牧地を元気よく駆け回った。僕は何とか掴まり振り落とされないようにする。慣れてくると、様々なことがわかった。

 心地よい。シーザーの体はバネのようで、僕も体中が跳ねるような感覚だ。走るのを心の底から楽しんでいるみたいだった。

 一段落してシーザーはクロコマさんのところに戻り僕を降ろしてくれた。

 

 「こいつ、お前さんをかなり気に入ったみたいだな。」

 「そうですね。本当にいい経験です。お借りしてもいいですか?」

 「引き取ってくれや。お前さん、仮面ライダーなんだろ?」

 「なんでそれを、」

 「お前さんが降ってきたとき、俺もそばにいた。各地を巡ってる上に伝説の英雄の系譜ならってことよ」

 「けど僕には対価が払えません。引き取るなんてそんな」

 「じゃあよ、お前さんがミゼーアを殺してくれ。」

 

 クロコマさんの顔が少し怖くなった。

 

 「俺たちの仲間はたっくさんあのクソ犬に殺されたんだ。ハルの兄貴だってな。」

 

 彼の顔には深い悲しみと憎悪が浮かんでいた。

 

 「わかり、ました。」

 

 色々な事情はあるが今の僕にはやることがある。それを嚙み締め、シーザーを牽引し出口に向かう。しかし不安もある。僕はミゼーアの事を噂でしか知らないし勝てるかもわからない。

 

 「良かった!仲良くなれたんだね。」

 

 そこにはハルとアテナの傍に巨大な黒鹿毛馬が佇んでいた。よく見ると豪勢な鎧に身を包んでいる。

 

 「準備ができたなら行こう。仲間探しだ!」

 

 そうだ。僕らはここで立ち止まるわけにはいかない。

 

 「ところで私はどうすればいい?二頭しかいないよね。」

 「アテナはベルトになって。」

 

 そういえばいつの間にか頭から痛みが引いている。まあ僕も成長してるんだろ。そう考え、村の門をくぐり、僕らは外の世界へと駆け出して行った。

 




ヘファイストス「ただいまー、あれ?誰もいねえ...」

ライダーの相棒が馬でも全然おかしくないと思うんすよ。リククウガは馬にゴウラムつけてたし。
因みにシーザー目線のカンラはなんか小っちゃくて可愛い子だったりします。
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